DREAM FACTORY 2016 春(県総体)
県総体 団体5連覇!
2年生 フォースの覚醒
「今までとは違う自分が確かにそこにいた」
平成28年度 新潟県総合体育大会 (5月27日~29日 新潟市庭球場)
個人戦
1 位 鈴木愛香・保科葵
2 位 前山愛・田辺なつき(以上、IH出場)
ベスト16 大原未来・岡崎楓(以上、北信越大会出場)
4回戦 阿部玖瑠実・冨樫美咲
阿部瑞希・猪俣佳矢乃
庭野真李・木村美月
3回戦 和田栞璃・松浦明彩加
団体戦
準々決勝 ②-0 中越
準 決 勝 ②-0 新潟産業大学付属
決 勝 ②-0 巻
前山・保科 ④-0 蓮沼・石山
鈴木・田辺 ④-2 古澤・藤田
大原・岡崎 1-2 宮下・田中(途中打ち切り)
1~2日目の個人戦で、金銀メダルを手にしました。決勝の同校対決は何年ぶりでしょうか。
しかし、個人戦で決勝同校対決を果たした学校は、僕の記憶では団体で優勝できなかったケースの方が多いように思います。
それほど、県総体本番中の個人⇒団体の調整は難しい。
結果から見れば、個人戦金銀。団体戦も全勝で優勝と危なげなく見えるでしょうが、実際は全く違います。
3日目最終日の団体戦、2面に開かれた決勝戦は流れとして非常に危ない方向へ向かっていきました。
2年生保科と1年生前山が組んだ第1対戦は、保科が力強く前山をリードし、前山も自己ベストの戦いでまっしぐらに勝利しました。
完勝でしたが、責任感の芽生えた保科は、その重さゆえ、朝の練習では最悪の出来でした。
ですが、その最悪の中でも、自分を見失わない精神的強さが備わっていたことは、その日のテニスノートからよくわかります。
一方、隣で行われていた第2対戦、2年鈴木と田辺が組んで戦った試合は、序盤リードされ苦しい戦いを強いられました。理由として挙げられるのは、鈴木の責任感が自らの動きを固くさせてしまい、プレーの選択も少し無難になってしまったこと、これまでゲームの入りで熱く戦えずに失敗してきた田辺が強い気持ちをもって戦ったのは良かったのですが、逆に闘争心が前に出すぎてしまい(生理的には交感神経過剰優位の状態)、最適の自律神経の状態でなかったこと、そして準決勝で大逆転をくらって3番勝負へもつれさせてしまった巻の二人が気持ちを入れ替えて戦いに臨んできたこと、等があげられると思います。
実際、厳しい場面でした。G0-2、P1-2までリードされました。ポイントすべき絶好の場面で田辺のミスが重なり、負けられない戦いであることを一番よくわかっている鈴木はゲームを落ち着かせようと大事に配球しますが、それが敵のポイントになる。一方、隣で始まった第3対戦、大原・岡崎の3年生ペアは、岡崎にサーブレシーブで緊張に耐えきれない弱さからくるミスが出始め、そうなると大原も精神的に落ち着かなくなり中盤でリードされていきます。このまま第2対戦で鈴木・田辺が敗れていたら、個人戦金銀校が団体を落とすという最悪ストーリーに陥っていたでしょう。
しかし、この苦境をターンオーバーできたのは、2年生たちの大きな進化があったからでした。
DREAM FACTORY、今年の県総体はいわば「2年生3人のフォースの覚醒」がキーだったと思います。
今年は秋からなかなか3年生がチームを作れない中、春の選抜からこの日まで、2年生は誠実に自分と向き合ってきました。春以降、鈴木と保科はエースの自覚とともに、チームの核としてチームつくりの主体として動くようになっていました。
毎日のノートを見ると、まず鈴木が去年のリーダー吉藤との心の絆、そして強い信頼関係をつくっていたのだとわかります。何より、昨年の奈良インターハイ、あと1勝で吉藤をコートに立たせるという約束で戦った2回戦、鈴木はファイナルのP5-6から自分のミスで約束を果たせなかった。彼女はその悔しさを1年間心に刻んで生きてきたような気がします。
決勝の前日夜のミーティング、今は大学でテニスを続けている吉藤からのメッセージを伝えました。その中には、こんな言葉がありました。
「ねえ、みんなもうわかるよね。なぜ北越が苦しい時こそ強いのか。それは心を鍛えているからだよ。」
「誰よりも誠実にやってきた」戦いの場面で選手がこう思えること、それは毎日の積み重ね、毎日の自分との対話から生まれてくる思いでしょう。去年の夏からの1年間は、鈴木にとって重いけれども、その重さの先にある強さを手に入れるための道のりだったのだとわかります。
このゲームのターンオーバーのきっかけは、鈴木の迷いなく振り抜いた2本のストロークに加えて、田辺のG0-2ゲームポイントでの目の覚めるようなディフェンスボレーだったと思います。まさに吉藤の言う「苦しい時の強さ」を表現できたプレーでした。
序盤に田辺のミスが続いたといっても、攻めてのミス、ポイントを取りにいってのミスでしたし、ゲームの主導権を握られていたわけではありませんでした。ただ、逆クロスからもってこられた正面アタックをノータッチスルーしてしまったこと、こういうことがあるとこれまでの田辺はミスを怖がって戦いから降りてしまうことが多々ありましたので、そこだけ見ていましたが、この日の田辺はもう以前の田辺ではありませんでした。冬の北信越選抜から何度も繰り返してきた失敗を経て、もってこられてポイントされたプレーでさえその心理を利用できる強さを身につけていました。この日のテニスノートを見ると、この2本のアタックの間に田辺の心の中で何が起こっていたかよくわかります。こうして交感神経過剰優位の状態から冷静さを取り戻し、その後も攻める姿勢を全く緩めずポイントに絡み続けました。序盤でミスがあっても勝利まで攻め続けるフォワードの姿がそこにありました。
「今までとは違う自分が確かにそこにいた」
戦いが終わった夜、田辺が自分のノートに記した言葉です。
なんと深く、そしてなんと清々しい言葉でしょう。
2年生 フォースの覚醒
「今までとは違う自分が確かにそこにいた」
平成28年度 新潟県総合体育大会 (5月27日~29日 新潟市庭球場)
個人戦
1 位 鈴木愛香・保科葵
2 位 前山愛・田辺なつき(以上、IH出場)
ベスト16 大原未来・岡崎楓(以上、北信越大会出場)
4回戦 阿部玖瑠実・冨樫美咲
阿部瑞希・猪俣佳矢乃
庭野真李・木村美月
3回戦 和田栞璃・松浦明彩加
団体戦
準々決勝 ②-0 中越
準 決 勝 ②-0 新潟産業大学付属
決 勝 ②-0 巻
前山・保科 ④-0 蓮沼・石山
鈴木・田辺 ④-2 古澤・藤田
大原・岡崎 1-2 宮下・田中(途中打ち切り)
1~2日目の個人戦で、金銀メダルを手にしました。決勝の同校対決は何年ぶりでしょうか。
しかし、個人戦で決勝同校対決を果たした学校は、僕の記憶では団体で優勝できなかったケースの方が多いように思います。
それほど、県総体本番中の個人⇒団体の調整は難しい。
結果から見れば、個人戦金銀。団体戦も全勝で優勝と危なげなく見えるでしょうが、実際は全く違います。
3日目最終日の団体戦、2面に開かれた決勝戦は流れとして非常に危ない方向へ向かっていきました。
2年生保科と1年生前山が組んだ第1対戦は、保科が力強く前山をリードし、前山も自己ベストの戦いでまっしぐらに勝利しました。
完勝でしたが、責任感の芽生えた保科は、その重さゆえ、朝の練習では最悪の出来でした。
ですが、その最悪の中でも、自分を見失わない精神的強さが備わっていたことは、その日のテニスノートからよくわかります。
2年 保科葵のテニスノートから
県総体 3日目、闘いの日!
結果、優勝!
岡山での挑戦権の切符、勝ち取った。ありがとう、みんな。
朝、練習中、全部のプレーがうまくいかなくて不安がたまっていた。試合形式をやっても本当に何もできない。こうプレーしたいけど、その通りにできない。
緊張と不安が混ざって涙が出てきた。
自分が、またこのチームの夢を終わらせるのか…。
この不安がペアの愛(前山)に伝染していった。表情が曇る。元気がなくなる。
その時、我に返った。
愛は1年生で、初めての高校県総体。中学とは全く違う雰囲気。その団体戦だ。こいつにだって不安はあるはず。自分よりもずっと大きい不安と戦っているに違いない。
自分が泣いててどうする!!
去年の悔い、岡山でリベンジするんだろ!
自分に強く言い聞かせた。
不安はある。でも私だけじゃない。
自分には、不安はあるけど、やらなければならないことがある。
みんながついてる。
ここにきたら、もうやるしかないんだ!
自分が先輩! 愛のベストを引き出すのも私だ。
一方、隣で行われていた第2対戦、2年鈴木と田辺が組んで戦った試合は、序盤リードされ苦しい戦いを強いられました。理由として挙げられるのは、鈴木の責任感が自らの動きを固くさせてしまい、プレーの選択も少し無難になってしまったこと、これまでゲームの入りで熱く戦えずに失敗してきた田辺が強い気持ちをもって戦ったのは良かったのですが、逆に闘争心が前に出すぎてしまい(生理的には交感神経過剰優位の状態)、最適の自律神経の状態でなかったこと、そして準決勝で大逆転をくらって3番勝負へもつれさせてしまった巻の二人が気持ちを入れ替えて戦いに臨んできたこと、等があげられると思います。
実際、厳しい場面でした。G0-2、P1-2までリードされました。ポイントすべき絶好の場面で田辺のミスが重なり、負けられない戦いであることを一番よくわかっている鈴木はゲームを落ち着かせようと大事に配球しますが、それが敵のポイントになる。一方、隣で始まった第3対戦、大原・岡崎の3年生ペアは、岡崎にサーブレシーブで緊張に耐えきれない弱さからくるミスが出始め、そうなると大原も精神的に落ち着かなくなり中盤でリードされていきます。このまま第2対戦で鈴木・田辺が敗れていたら、個人戦金銀校が団体を落とすという最悪ストーリーに陥っていたでしょう。
しかし、この苦境をターンオーバーできたのは、2年生たちの大きな進化があったからでした。
DREAM FACTORY、今年の県総体はいわば「2年生3人のフォースの覚醒」がキーだったと思います。
今年は秋からなかなか3年生がチームを作れない中、春の選抜からこの日まで、2年生は誠実に自分と向き合ってきました。春以降、鈴木と保科はエースの自覚とともに、チームの核としてチームつくりの主体として動くようになっていました。
毎日のノートを見ると、まず鈴木が去年のリーダー吉藤との心の絆、そして強い信頼関係をつくっていたのだとわかります。何より、昨年の奈良インターハイ、あと1勝で吉藤をコートに立たせるという約束で戦った2回戦、鈴木はファイナルのP5-6から自分のミスで約束を果たせなかった。彼女はその悔しさを1年間心に刻んで生きてきたような気がします。
決勝の前日夜のミーティング、今は大学でテニスを続けている吉藤からのメッセージを伝えました。その中には、こんな言葉がありました。
「ねえ、みんなもうわかるよね。なぜ北越が苦しい時こそ強いのか。それは心を鍛えているからだよ。」
キャプテン鈴木愛香のテニスノートから
個人戦、まず優勝旗を1本手にした。でもまだだ。「本当の優勝旗」はまだ返還したままだ。私は去年のインターハイのリベンジをしなきゃいけない。
個人戦で結果を残した学校が団体も強い、それは全く違う。2,3年生はわかる。どれだけチームが心を一つにして戦えるかだ。1年たった今ならよくわかる。
去年は皇子先輩(吉藤:今年の卒業生)がハートを作ってくれた。今年は逆の立場だ。
どのチームも打倒北越で向かってくる。
でも、うちらも向かっていく。岡山インターハイへ向かっていくんだ。だから気持ちで負けない。
私は、皇子先輩の気持ちも背負って必ずリベンジしますから。
誰よりも誠実にやってきました。
だから、仲間を信じ、先生を信じ、そして自分を信じて戦います。
「本物の優勝旗」とってきますね。
先輩方からのメッセージ、ありがとうございました。恵理先輩、葵先輩、エースのバトン、しっかり受け取りました。エースとしてチーム引っ張ります!
さあ、こっからだ!
(5月28日)
県総体 最終日。
皇子先輩とリベンジ!
団体優勝。5連覇で岡山IHに行くことが決まった。
決勝戦、やっぱり相手は巻高校だった。
私は去年、この手で奈良インターハイでの戦いを途中終了させた。その借りがある。「あと1勝」をベンチで待っていた皇子先輩のためにも、絶対に団体切符を渡すわけにはいかない。
決勝の前、田んぼに向かってみんなで叫んだ。
私は、「エースとしてチャンピオンシップ貫きます!」と宣言した。
そして、個人戦で決勝を戦った4人で、「うちらが絶対に勝とう」って誓った。
個人戦の決勝で力を出せずに負けた、なつきと愛に「個人の試合みたいではダメだ」って伝えた。
葵とペアは分かれるけど、私たち二人が引っ張らなけらば、って思っていた。
皇子先輩が送ってくれたウサギのぬいぐるみを抱いてコートに入った。
いよいよ始まる。
整列すると、相手は古澤・藤田。地区大会の個人戦で負けた相手だ。だから「よっしゃ」って思った。
プレーボール。
なんかおかしい。気持ちを作ってラケット振っているのに、ボールが短い。
ミスはそんなになくても、自分の少しの「守り」の気持ちから、先手を取られる。
なつきも焦りからか、練習では考えられないミスの連発。
冷静になって、「守っちゃダメだ!」って強く思った。
少しずつ、攻めのリズムが戻ってきた。
攻めてポイントした時の、先生や仲間、応援席がグワアーって喜んでくれる光景を見て、負けていたけどなぜか負ける気は全然しなかった。
G1-2 レシーブゲーム。P2-2、ここで流れが変わる。
古澤のファーストサーブに対して、私はこれまで全て高さをつけて返球していた。それでミスもあった。P2-2、しっかり打ち切った。正直、自分の打ったナイスボールに驚いた。
G2-2 サーブゲーム。長く続いたデュースアゲイン、セカンドサーブの後の3球目、サイドパス。前衛は反応できなかった。
この2本で、流れはこっちにきた。
今思うと不思議だが、私はこの時の心情を覚えていない。なんでそこに打ったのかも覚えていない。体が勝手にというか、気づいたらポイントしていた。自分じゃないみたいだった。
皇子先輩が言った「ギリギリの場面でなぜ北越は強いのか。それは心を鍛えているから。」という言葉の意味が分かった気がした。
こういう時にちゃんと自信を持って打ち切れる、ってことなのか。
県総体の前、レシーブに自信が持てなくて、ずっとレシーブ練習していた。この1本のためにやってきたんだなって、今になってわかる。妥協しないで良かった。
勝ったけれど、試合序盤の変なプレーの選択、ボールが浅くなることも、選手としてはまだまだだ。なつきも戦っていたけど、このままじゃダメだ。私も、なつきも、チームを巻き込んで成長しよう。
私たちが勝ってIHが決まった時、3年生は泣いてお礼を言ってくれた。でも私の目標はここではないから、嬉し涙はまだ。でも、コート出る時に先生に「サンキュー、よくやった」って言われた時は、緊張が解けて涙があふれた。今回の試合は今までで一番重い「バーベル」を背負って戦った。そして苦しい試合を勝ち切れた。これを力に換えたい。
チームとしても、実際まだまだ。これからが「本当のスタート」。IHまでギア上げて、私がチーム作る。皇子先輩のバトンは私が受け取りました。
「自分の弱さ、甘さをそぎ落とし、強さと誠実さを作り上げる」栁先生が伝えてくれたこと。全国で勝つために、自分と向き合おう。Intensity 強さをつける!
(5月29日)
「誰よりも誠実にやってきた」戦いの場面で選手がこう思えること、それは毎日の積み重ね、毎日の自分との対話から生まれてくる思いでしょう。去年の夏からの1年間は、鈴木にとって重いけれども、その重さの先にある強さを手に入れるための道のりだったのだとわかります。
このゲームのターンオーバーのきっかけは、鈴木の迷いなく振り抜いた2本のストロークに加えて、田辺のG0-2ゲームポイントでの目の覚めるようなディフェンスボレーだったと思います。まさに吉藤の言う「苦しい時の強さ」を表現できたプレーでした。
序盤に田辺のミスが続いたといっても、攻めてのミス、ポイントを取りにいってのミスでしたし、ゲームの主導権を握られていたわけではありませんでした。ただ、逆クロスからもってこられた正面アタックをノータッチスルーしてしまったこと、こういうことがあるとこれまでの田辺はミスを怖がって戦いから降りてしまうことが多々ありましたので、そこだけ見ていましたが、この日の田辺はもう以前の田辺ではありませんでした。冬の北信越選抜から何度も繰り返してきた失敗を経て、もってこられてポイントされたプレーでさえその心理を利用できる強さを身につけていました。この日のテニスノートを見ると、この2本のアタックの間に田辺の心の中で何が起こっていたかよくわかります。こうして交感神経過剰優位の状態から冷静さを取り戻し、その後も攻める姿勢を全く緩めずポイントに絡み続けました。序盤でミスがあっても勝利まで攻め続けるフォワードの姿がそこにありました。
「今までとは違う自分が確かにそこにいた」
戦いが終わった夜、田辺が自分のノートに記した言葉です。
なんと深く、そしてなんと清々しい言葉でしょう。
田辺なつきのテニスノートから
団体決勝。
今までにないくらいの緊張。
「ぜってぇ、勝つ」っていうメラメラを作って入った。
いい緊張とメラメラで戦いたかったけど、序盤ハカハカした。
3年生のために勝つ!っていう思いが自分の中で焦りになってしまった。
ゲームの序盤、自分の周辺に集まってくるボール。取りに行くけどチップ。もってこられた正面アタックをスルー。チャンスボールを決めにいくけど勢い余っての大アウト。そういうポイントが何本もあった。
相手は打倒北越。向かってくる。そういう怖さももちろん想定済だったけど、G0-2。
取られたらG0-3と追い込まれる厳しい状況、ポイントを取り合って、なんとかゲームポイントまでたどり着く。逆クロス、愛香がつないだボールを相手は踏み込んでアタック。序盤でスルーした時と同じシーンだ。あの時はタイミングはバッチリだったはずなのにスカした。相手が高い打点で打ってくるのに低く入っていたからだ。だから、しっかり上から目線で。そして「来いや!」と心でつぶやいた。やっぱり来た。バッチリ跳ね返した。これでG1-2になって、チェンジサイズだ。
私は、このプレーをきっかけにして攻めに転じた。相手のミスが多くなる。こっちのポイントが増えてくる。
愛香には強気な言葉をかけ続けた。
「しっかり振り切れ!」「攻めるぞ!」
愛香はこたえてくれて、「おりゃー!」って何度も相手コートに力強いボールを打ち込んだ。
完全に流れは変わっていた。
中盤から自己修正して、逆転できたことは成果だと思う。
もし、今までの自分みたいに、小さな気のゆるみや弱気が出ていたら、全国切符は巻がもっていったと思う。
精神的にとても苦しい試合だったけど、確かに今までと違う自分がそこにいた。
自分の大きな財産にして、次につなげたい。
今日で、激しい3日間の戦いが終わった。
IHの切符は手にしたけれど、自分では全然納得していない。
目指すのは日本一だ。
もう一段ギアアップして「自分の中の弱さと甘さをそぎ落として、強さと誠実さを作り上げる」
自分は3年生にたくさん借りがある。
だから、3年生のために戦った。
今年が1,2年生主体のチームだとしても、全国の3年生エースに負けないくらいの気迫あるチームを自分たちで作るよ。
もう、代替わりなんだ。
私には、ラスト1年しかないんだ。
この北越に来て、ラスト1年。自分がチームの「気」を磨き上げて、日本一のチームにします。
さあ、ここからがスタート!