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2017年8月14日 (月)

DREAM FACTORY 2017 盛夏(会津インターハイ)

会津IH
団体2年連続5位入賞!

1年かけて和歌山信愛にリベンジ!


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平成29年度 会津インターハイ (7月26日~29日 あいづ総合運動公園)
団体戦
1回戦 シード

2回戦 ③-0 星野(埼玉)
 鈴木・保科 ④-2 渡辺・伊藤
 前山・阿部(瑞) ④-2 神庭・榎本
 水澤・田辺 ④-0 田中・佐藤
3回戦 ②-1 和歌山信愛(和歌山)
水澤・田辺 ④-1 朝倉・中井
 前山・阿部(瑞) 2-④ 松井・戸根
 鈴木・保科 ④-1 下江・浦口
準々決勝 1-② 修大付属鈴峯女子
 水澤・田辺 ④-3 白木・広沢
 前山・阿部(瑞) 0-④ 笠井・奥田
 鈴木・保科 3-④ 吉田・森本

2009年、夏の甲子園決勝で起こったドラマを覚えている方がどれくらいあるでしょうか。
史上最多7度目の日本一を目指す中京大中京高校と、それまで夏の甲子園勝率が都道府県最下位の新潟県代表 日本文理高校との決勝戦。日本文理は堅実な野球で新潟県勢初の決勝戦へ駒を進めましたが、最終回は10対4で6点のビハインド。マウンドにはその後広島カープでプレーするエース堂林がマウンドに立ち、すでに2アウトでランナーなし。ところが、ここから、ドラマが起こります。そこから、なんと10対9の1点差に詰め寄るのです。
テレビのアナウンサーの絶叫。異様な歓声が甲子園を包みます。
あと1点届きませんでしたが、サイレンがなる中ホームベースを挟んで整列する二つのチーム、青ざめた中京大中京の選手たちと、最高の笑顔を見せて仲間を讃えあう晴れやかな日本文理の選手。そのコントラストの違和感をよく覚えています。
・・・まさか同じようなことを、うちの選手たちが、インターハイの舞台で演じることがあろうとは、想像だにしていませんでした・・・

1年前の岡山インターハイ、初の団体入賞を果たしたチーム北越は、準々決勝で和歌山信愛に敗れました。完全な力負けでした。
「地方区」の学校でも頑張れば全国ベスト8までは行ける。けれど、その上を目指すとすれば、全国から優秀な選手(全中優勝クラスの選手たち)を集める「全国区」の学校を倒す力、つまり「日本一」の実力をつけなければ、その夢は叶わないということを実感させられた敗戦でした。
それから1年、「次は絶対!」をスローガンにチーム北越は着実に一歩一歩力をつけてきました。ウサギと亀の寓話のごとく、前をぴょんぴょん走る「全国区」チームを追って、雪国のハンデを背負いながらも会津の夏を目指して亀の歩みを進めてきました。北越の選手たちはエリートではありません。このDream Factoryでも綴ってありますが、秋には県でも負けました。冬の北信越選抜でもエースが力を出せずに全国選抜にも出られませんでした。あらゆる面で力不足でした。トップに届く力がないのならつけていくしかない。今年のチーム(特に3年生)は誰も「そんなこと無理だ」とは思いませんでした。やはり岡山での悔しさをチームが共有していたからだと思います。会津で「次は絶対!」、チームの意志が揺らぐことはありませんでした。

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そして臨んだ会津インターハイの団体戦。
初戦の相手は、埼玉県大会の決勝をドラマチックな逆転勝利で優勝してきた星野高校でした。チーム力があります。十分警戒して戦いました。
この試合、全国大会初出場の阿部瑞希(2年)が自己ベストを大きく超えるパフォーマンスを見せて、星野高校のエースを破りました。阿部は県総体でも北信越総体でも団体戦には出ていない選手です。まだまだ技術は未熟ですが、誰にも負けないガッツがある選手です。団体戦では「誰にも負けない」何かが強みになる。それを実証してくれたような戦いでした。チームに勢いをつけてくれました。

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3回戦で第2シード和歌山信愛との勝負です。全国選抜に出ていないため、北越は15シードでした。それで3回戦に信愛と激突です。
ベースラインに並んだ時、1年前の試合後の整列を思い出しました。実力の差が歴然で相手にならなかった準々決勝、敗戦の挨拶。うなだれる選手たち、挨拶の後、選手たちと握り合った手。その手の力から、選手たちが「次は絶対!」と誓ったあの日。あれから1年、雪国育ちのチーム北越が、全中個人優勝、団体優勝選手をそろえた「全国区」チームに挑みます。
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対戦は2面展開で始まりました。
向かって左コートに第一対戦、水澤奈央(1年)・田辺なつき(3年)ペアが全中メダリストペアの朝倉・中井ペアと、右コートでは「ガッツ」の阿部瑞希と昨年の悔しさを知る前山愛の2年生ペアが平行陣の布陣で、前日の個人戦ベスト8の後衛 松井選手と前衛 戸根選手のペアとプレーボールです。
挑むチーム北越は、スタートダッシュに勢いがあり、どちらのコートも怒涛の攻撃で序盤をリードします。その勢いを持続して中盤に入りましたが、右側のコートでは、阿部にボールが集められ、さすがに「ガッツ」のみでは苦しい展開になってきました。ただ、阿部も前山もよく戦いました。特に阿部は練習では見たこともない正確な中ロブと長いシュートボールを何本も打ちつづけ、松井選手をかなり苦しめました。最後はシード校の意地を見せて長いラリーを制した信愛が④-2で逆転勝利。
一方、左側のコートでは、中盤に入っても水澤の正確なラリーは揺るがず、田辺の得点力と機動力でポイントを重ね、一度も主導権を渡さずに④-1で勝ち切りました。
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1-1で3番勝負。キャプテン同士の戦いとなりました。

和歌山信愛は、下江・浦口ペア。3年前の全中、このペアで個人日本一です。対するチーム北越は、全中個人でベスト8に入り「全国区」からの誘いを受けましたが、それを断って地元に残り北越のキャプテンとしてチームをつくってきた鈴木、そして高校になってから前衛を始めた保科のペア。3年最後のインターハイで「ウサギ」と「亀」が最終決戦を迎えました。
遡ること1カ月半前、6月のハイスクールジャパンカップでも、鈴木・保科は下江選手と対戦しました。小雨が降り続く中、④-0で勝利しましたが、あの悪コンディションでは本当の力が出せないままだったと思います。
そして、会津インターハイ、前日の個人戦、4回戦で鈴木・保科は下江・戸根ペアに④-1で敗れました。
初日の3回戦で、下江・戸根ペアは文大杉並高校の小林・西東ペアと凄まじい戦いを繰り広げていました。実際、3年ペアとしての意地、責任、気迫がコートから溢れるばかりの戦いに、僕も心から感動しました。そして深い敬意を覚えました。次の日に当たる相手に「感動と敬意」を覚えている場合ではないのですが、感じてしまうものは仕方がない。それほど素晴らしい戦いでした。
4回戦で鈴木・保科も、気迫を前面に出して戦ったのですが、下江選手の気魄が上回っていたと思います。そして戸根選手の迷いのない機動力にも翻弄されました。戦い後の握手をした時、下江選手は鈴木に「ありがとう。頑張るからね。」と言ってくれたそうです。言われた鈴木も「遥花(下江)は、私が日本一を本気で目指しているのを知っていたから、ああ言って私の夢を受け取ってくれたんだ。」とその日のノートに書きます。もう、これだけでも感激です。この二人の心の交流、そしてお互いへのリスペクトは高校生同士の戦いの域を超えていると思います。
ですから、団体戦、この二人をもう一度対戦させたかったのです。
(チーム北越の挑戦と和歌山信愛の下江さんのドラマ等の記事が「ソフトテニスマガジンポータルのWEBサイト」に載っています。右上の「2017インターハイ特集」をクリック)

個人戦の時より、鈴木・保科に勝利への執念がありました。ゲームの鍵になるポイントを鈴木・保科は確実に押さえていきました。サーブレシーブでも強さを発揮して④‐1で勝利。
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チーム北越が、1年かけて積み上げてきた全国トップへの階段は確かなものでした。
鈴木・保科が強い気持ちで戦えた条件の一つに、1番と2番が自己ベストで戦ったということがあったと思います。決してハイジャパ銀メダルの鈴木・保科だけのチームではない。全員が自己ベストで「全国区」の学校へ挑んだ、そのチームとしての気魄が、団体でエースペアの勝負魂に火をつけたと言えると思います。
これだけでも、十分なDreamであり、北越として新たなDreamを刻んだと言っていいのですが、この後に、とんでもないドラマが待っていたのです。

準々決勝は、修大付属鈴峯女子高校(以下、鈴峯女子)との対戦でした。
鈴峯女子は、3年前の全中団体優勝メンバーがそろっている強豪チームです。このメンバーを中心に昨年の岩手国体でも準優勝。今年の春の全国選抜でも準優勝。優勝候補に挙げられる強敵です。
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スタートダッシュは完全に鈴峯女子が上。とにかくテンポが速い。小技も上手です。向かって右側の水澤・田辺は、敵のテンポについていけずに、相手の得点が続きます。サイドパッシングのテンポとスピードに田辺が遅れます。何とか一つ返してゲームカウント1-2。チェンジサイズのベンチアドバイスで修正点を確認したのですが、焦っていたのか水澤に伝わりません。ゲームカウント1-3。
一方、左のコートでは、前山・阿部の2年生ペアが和歌山信愛戦とは違って、粘りのないテニスでミスを連発し崩れていきます。前山の我慢がききません。阿部にも神がかったラリーは見られず、0-④で敗退。
このままでは、鈴木・保科に託す前に、0-②で敗れ去ってしまう。そんな空気が濃厚でした。3番対戦に向かう鈴木・保科に「大丈夫。絶対にお前たちに回すから、自分の戦いに集中して!」と言って送り出したものの、状況は非常に厳しいものがありました。
その状況を変えたのは、3年田辺なつきがペアの1年生水澤へぶつけた強い想いだったと後で知ります。

3年前の春、中学校の地区大会でふと目にした小さな前衛のバックハイボレーのしなやかな身のこなしと間合いの取り方がとても美しくて印象に残りました。田辺は田辺で、中学3年時に参加した県STEP2の大会で、北越高校の選手たちが明るく元気に、そしてどんなボールでも諦めずにひたむきにプレーする姿に憧れ、自分もあんな風にコートで自己表現できたらいいなと思っていたのだそうです。
入部してからの田辺は、まさに亀の歩みを地で行くような日々でした。当初はとても身体が固く、股関節と肩甲骨が使えない。そして自分自身を前に押し出すことが苦手な選手でした。ただ、田辺の最大の長所は「ひたむきさ」です。納得いくまで練習する。妥協しない。毎日の全体練習が終わった後に自主練習の時間になるのですが、ナイターをつけてとにかく納得がいかない状態では決してやめない。継続的なフィジカルトレーニングで身体も進化していきました。今ではチームのフィジカルリーダーとして、下級生に身体の使い方を教える師範役です。そしてもう一つ、「心」が深いのです。だから信じる力があります。信じる力が強いから団体戦に極めて強い。どこからその粘りと強気と勇気が出てくるんだ、と何度も驚かされました。実際、田辺は3年間インターハイの団体戦に出場して全勝なのです。(1年時:2勝、2年時:3勝、3年時:3勝)
ところが、この鈴峯女子戦で窮地に立たされます。ベンチワークの後の4ゲーム目の落とし方も最悪で、0-4で落とします。水澤のミスが3本、そして自分のWFでゲームオーバーです。かつての田辺なら、そこで退いたでしょう。自分のWFでゲームを落としたのですから、「ごめんね」と言って下を向いたと思います。しかし、もう田辺にはアスリート魂が育っていました。
水澤の目をまっすぐに見て、こう言います。
「しっかりしよう!」

G1-3、超流れが悪かった。
「しっかりしよう!」
試合中にあんなに強く言ったことはない。生まれて初めてのことだ。
タッチも強くして、「これじゃダメだ!」って想いを奈央(水澤)にぶつけた。
言葉じゃなくて、想いを。


こういう二人の強い想いのやりとりがあったのです。
実際5ゲーム目からの二人の動きも気魄も格段に変わりました。まるで、2人の背後に何か強気の音楽が流れているかのように、二人の攻撃にリズムが生まれました。鈴峯女子のテンポの速いアタックはもう通りませんでした。水澤のラリーが正確さを増し、田辺は俊敏な動きでアタックを止め、移動攻撃で得点を重ねます。
G2-3でベンチワーク。二人に生まれたリズムを止める何の言葉も必要ありません。強い想いを共有して送り出します。
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G3-3でファイナル。
ファイナルは一進一退。とってとられて、でも田辺も水澤も攻撃をゆるめません。全く退かない。田辺の積極的な移動攻撃のハイボレーがアウトして敵にマッチポイントが行きましたが、二人は動じませんでした。確かな攻撃でデュースに戻すと、ラッキーも味方してゲームセット。
「言葉じゃなくて、想いを」ぶつけた田辺の行動がターニングポイントを生みました。あの瞬間に、彼女の3年間が凝縮されていたのだと思います。だから水澤はエネルギーをもらったのです。そしてチームは戦う心を取り戻せたのです。
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言葉って不思議です。
言葉そのものは知性に働きかけることはできても、人間の心を大きく動かす情動に作用することは難しい。けれど、そこに込められた想いが確かで強ければ、ありきたりの言葉であっても、人を動かし、勇気を生み、場合によっては人の運命さえ変えることができる。

その時、左のコートでは序盤の有利な流れを保科の悪い面が出て失いかけていました。2人のゲームの入りは完璧で、G2-1。4ゲーム目も北越に主導権はありましたが、小さなミスから追いつかれ、逆転されていく。そのような展開から、鈴木のテニスは慎重になっていきました。流れが敵にいきかけている。そこで1点を安易に取りにいって何度も地獄を見ています。大きなテニスにして長いラリーの中から、失いかけてた主導権をもう一度取り戻そうとしているのです。鈴木の心の中のせめぎ合いが痛いほど伝わってきます。しかし、敵に行った流れは戻りません。G2-3で逆転されて、マッチゲームを迎えます。
ですが、ベンチに戻ってきた二人は、意外と落ち着いていました。今は流れが悪いが、このまま終わるわけにはいかないし、終わるはずもない。そんな感じです。
6ゲーム目、二人はベンチや応援団の思いも強さに換えてきっちりと戦い、ファイナルへ。
ところが、ファイナルは、ゲームの入りでミスが続き、あれよあれよという間に、ポイント0-6の相手マッチポイントを迎えてしまいます。
このまま終わってしまうのかな、と一瞬思ったのは事実です。
でもそれは諦めているというのとはかなり違います。
「運」とか「天」とかいう流れが敵にあり、如何ともし難い。全力で戦っているのですが、なぜかうまく事が運ばず唇をかみしめている状況です。

北越のドラマは相手のシュートがネットしたところから始まります。
1-6、2-6、3-6、1本1本、長いラリーで追いついていく、まさに亀の歩みでした。


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ベンチで思っていたことは、ただ一つです。
「エースを信じるだけ」
4-6、5-6。あと1点…
ここで鈴峯女子は、ファーストサービスを入れ、レシーブをしてそのまま前進する保科にアタックして来ました。
こういう時に保科は強さを発揮します。目の覚めるような中間ポジションからのミドルボレーが相手のラケットを弾き飛ばしました。
ついに6-6。
追いつきました。本当に追いつきました。
0-6から6-6に至るまでの心境について、鈴木は試合後のインタビューでこう答えています。
「(ファイナル0ー6マッチからの緊張感は)意外とそうでもなくて。自分のプレーをしようと思って1点だけに集中してやれたし、絶対負けないで次につなぐからと思ってできました」(ソフトテニスマガジンポータルのサイトから引用)
「無心」ということだと思います。
試合の方ですが、最終的にはファイナルのスコアは12-10です。6-6の後、さらに4回のデュースアゲインが続きます。しかも、そのすべてがアドバンテージ鈴峯なのです。
ということは、10回の相手マッチポイントを鈴木・保科は跳ね返したことになります。水澤・田辺の敵マッチポイントの1回を合わせると、チームとして11回の絶体絶命を乗り越えた。
翌日の地元新聞(新潟日報)には「驚異の粘り!」という記事で大きく取り上げられることになります。
この試合、保科の敵のマッチポイントでの強気のプレーは観ている人に勇気と希望を与えたと思います。
深いロブを追ってスマッシュミスで相手のマッチポイント。でも、退かずにもう一度スマッシュを追ってデュースに持ち込む。そんなプレーが何度もありました。
長いラリーの中、相手後衛がシュートを打ちこんでくる気配を察して、何度ポーチボレーを決めたことでしょう。
以前の保科は違いました。ミスが出ると心が浮ついて連続ミスを犯す。もしくはミスを怖がってフォワード魂を失ってしまう…。
その保科が、あの苦境、あの土壇場の剣が峰で、あれほど冷静に、そしてどんな状況にも動じない勇気をもって、戦う意志を表現できた。それをひたすら嬉しく思います。
6-7、7-7、7-8、8-8、8-9、9-9、9-10、10-10と信じられないスコアが続いていく… 時間が流れているのか、止まっているのか、その中でスーパープレーが何度も繰り広げられる、夢の中のシーンなのか、現実なのか、とても不思議な感覚でした。
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最後は、10-11から短くなった鈴木のロブを森本選手がたたいてゲームセット。
北越の日本一への夢は終わりました。
見方を変えれば、鈴峯女子は10度マッチポイントを握りながら追いつかれ、それでも1度もマッチポイントを渡さなかったのです。その強さもこのドラマのもう一方の主役であるはずです。
泣き崩れる北越の選手たちと、勝利で泣きながら抱き合う鈴峯女子の選手たち。
勝者と敗者が分かれた整列でしたが、去年とは明らかに違う感慨を選手たちも抱いたはずです。「力がなくて負けた」ではなく「互角の力をつけて戦いきって負けた」のですから。

1年間、「次は絶対!」を合言葉に力を紡いできた選手たち。
「全国区」の一角を実力で倒し、全中団体優勝メンバーが中心で春の選抜2位の学校を劣勢から驚異の追い上げで追いつき、信じられないドラマを繰り広げることができました。
今年のチームカラーはイエロー。会津でヒマワリを満開にしようと言い合ってきました。
咲きませんでしたか?
満開ですよね。
ありがとう。みんな。
お前たち、最高だよ。
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そして、今年も力を貸してくれた様々な人たち、丁寧なお礼もできずすみません。
この場を借りて、御礼申し上げます。
ありがとうございました。

最後にキャプテン鈴木のノートを載せます。
今回、みんな結構あっさりしたノートでちょっと拍子抜けなのですが、それは国体があるからでしょう。
今年の新潟県少年女子チームは選手も監督もチーム北越で構成します。
もう、心は国体です。
今度こそ!
その思いは、会津前より強いのです。


会津IH日本一の夢、終わってしまった。
もう一つは勝ちたかった。
なつき、つないでくれて本当にありがとう。そしてごめん。
でも、みんなのおかげで鈴峯戦、頑張れたよ。
苦しい時、ベンチを見て何度も救われた。
ここで負けられっか!って踏ん張れた。
新潟県の他校の人や新潟から応援に駆けつけてくれた人たち、あんなに大勢の人たちに応援されて試合ができて幸せでした。
先生、最後まで自分がベストを出せるように、いろんなことをしてくれて、ありがとうございました。
先生がいなかったら、今の自分はありません。先生のおかげでここまで来れました。
正直、2年生のころまでは先生を信じ切ってなかったのかもしれないな、と今になって思います。
アドバイスやヒントをもらいながら自分で何とかしようと思っていました。
でも、3年になってから本当に苦しくて、逃げ出したくなって、先生を頼るようになった。
そして、その結果、最後は信じ切って戦えた。本当に全国レベルと戦えた。
たくさん悩ませてしまったと思います。
でも、自分のことを信じてくれてありがとうございました。
去年と同じ結果(団体5位)だけど、去年と違う嬉しさがあり、悔しさがある。
和歌山信愛を倒せたのは本当にうれしかった。
1年前は歯が立たなかったけど、あの時、先生は言った「1年後に追いつけない背中じゃない」。
そして私たちはやり切った。
下江にこの大会でリベンジできた。
昨日の個人戦の負けは決して無駄じゃなかったと思う。
「あらゆることから力を集めて光を放て!」
全中チャンピオンの下江・浦口。
北越を選んで、ここで3年間地道にやってきて、3年生で追いつけて良かったなあって思う。
北越に来て良かった…改めて心の底から思う。
鈴峯女子には勝てた。
あと2ポイント。
その2ポイントが取れなかった。
悔しいな。
でも、苦しい場面を何度も乗り越えながら思ったことがある。
3年間の練習って、こういう試合で2ポイントをとるためにやってきたんだなって。
一番苦しい時に頑張れた。
それは自分と向き合ってきたから。そのことは自信を持って言える。
P0-6でも、なんか行ける気がしてた。
怖くもなかった。
ラケットも振れていた。
少しは観ている人に感動を与えられたかな。
地元からも、応援していたよ。見ていたよ。感動したよ。っていっぱい連絡をもらった。
国体ではもっとプレーの幅を広げたい。
このままでは限界がある。
今日のリベンジ、絶対国体でするからね。
みんな見ててね。
今日の試合を見てて「愛香先輩のようになりたい」って言ってくれたけど、国体でもっと強い試合するからね。
国体で勝ってから言ってね。
今日のはダメだよ。だって負けたから。

今日より明日。
おやすみなさい。
(3年 キャプテン 鈴木愛香)


今年のサプライズ旅行は、「裏磐梯の大自然と鍾乳洞の神秘」がテーマでした。
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最後に、会津インターハイで自己ベストを出せたチーム北越を支え続けた3年生3人を紹介します。
冨樫美咲は北信越の記事で紹介しました(Dream Factory 2017初夏)。阿部玖瑠実と猪俣佳矢乃は、県総体で自己ベストで戦いましたが、巻高校のエースペアに競り負けて3年間の選手を終えました。2人は3年間の様々な経験を経て人間的にも精神的にも大きく成長しました。選手としての活動が終了しても、3人は朝練習から放課後の自主練習の時間まで、この会津インターハイの夢のため、そして後輩たちの指導のために、全力で力を貸してくれました。立派な3年生です。団体戦は3年生がチームを作れないと厳しい戦いでチームとしての力を発揮できません。この3人の支えがなかったら、今回のドラマはありえませんでした。
すべてが終わって、新潟へ帰る前、表彰式で首にかけてもらったメダルを、試合には出なかった1,2年生が、この3人に贈りました。
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