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2022年10月

2022年10月30日 (日)

Dream Factory 2022 秋

「負け」から始まる 北越の秋

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秋季新潟地区大会

〇ダブルス

1位 高橋寧々・須貝若菜

2位 安藤愛莉・渡邉七瀬

〇シングルス

1位 高橋寧々

2位 須貝若菜

3位 安藤愛莉

県新人選抜大会

〇シングルス

2位 安藤愛莉

3位 高橋寧々、須貝若菜

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3年間チームを牽引してきた入澤・本間とチームを支えてきた佐藤・丸山が現役を退き、チーム北越も代替わりの秋を迎えました。

そして、「北越あるある」ですが、今年も秋は勝てないです。

ただ、県新人選抜のダブルスでベスト4に一つも入れなかったというのは、ちょっと記憶にないくらいです。

それもいいでしょう。

「伸びしろ」がたくさんあるチームです。

どんなチームカラーで、今年はどうやって全国エリート校に挑んでいきましょうか。

脚本はこれからです。

インターハイ後の夏はとにかく基本をやりました。

身体つくりの基本、技術的な基本、考え方の基本、人として信頼される行動の基本です。

2年生(新3年生)の3人にチームリーダーの自覚が根付き、1年生(新2年生)が育ってこないと選抜も来年の夏も戦えません。

成長の第一歩は自分と向き合うこと。

変わるべき自分に気づき(最初は気づかされ)、自己改革の意志を固め、自分と葛藤し、自分の弱さに涙し、それでも前へ進もうともがく中で、少しずつ人は成長していくものだと、今年も信じて、全力でその成長を促し、支え、認め合っていきたいです。

県新人選抜では、ほぼ全員が自分に負けての敗退だったと思います。

いいと思います。

自分の弱さに打ちのめされることは、向上のための良質の糧ですから。

挫折もあっていい。それが小さなものでも大きなものでも。

ただ、自分で「挫折」だと目を背けずに認めることです。

挫折したなら、また立ち上がるだけですから。

そこから逃げないこと。

人は弱いのです。

その弱さを認めて、だからこそ、仲間と連帯するんです。

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周囲を見ましょう。

必ず、同じように理想と現実のギャップに悩んでいる仲間がいます。

君だけじゃない。

だから、連帯して、励まし合って、前へ進んでいくんです。

その一つひとつの過程こそが、君たちのドラマであり、君の成長です。

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県の新人選抜で、弱さを思い切り表現することになってしまった二人の1年生のノートを載せます。

ここが向き合うことのスタートですね。

チーム北越、前へ!!

転んで立ち上がって、前へ!!

県新人戦のベスト8決め。中越戦のG3-3、P6-4。

安藤が攻めて、私の真上に上がってきたイージースマッシュ。

自信持って打ち切れず、半分コートに入れにいって、その結果OUT。

それから全てが崩れ、4ポイントを全部失ってゲームセット。

毎日練り上げて、一番苦手プレーだったスマッシュも少しずつ自信ついてきていた。

大会会場での朝の当日練習でも問題なかった。

それなのに、マッチポイントで高く上がったスマッシュボール。

どこに打っても決まったはず。

練習通り、ステップもタイミングも正しかったが、あの瞬間、私は自分を疑った。

今までの練習を信じて思い切ってラケットを振れなかった。

ミスをしたら…

思い切り振って大丈夫か…

慎重にいった方が…

私は日々の練習を裏切るような感情が生まれて、スマッシュボールを入れにいった。そしてアウト…

「弱い自分」

こんな形で現れるのか…

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信じて戦えない自分が情けなくて、悲しくて、みんなに申し訳なくて。

後悔ばっかり…。

私の弱さは、大事な場面で信じれる自分を練習からつくっていないことだ。

大事なところで臆病になるなんて、前衛としてありえないし、チーム北越の一員としても恥ずかしすぎる。

今日のことを絶対に忘れずに日々の練習では主体的に貪欲に「私が決める!」という強い思いを持ち続けること。

そして、自分と向き合うノートを作り、毎日の練習の中での感情や決めて取り組んだことの反省など、自分の心を強くしなくちゃならない。

ピンチの時、人に頼って安藤に頼って…、そんなことがないように自立して個の強さを身につけていく必要がある。

スマッシュを振り切れず勝ちを相手にあげてしまった今日の「あの瞬間」を忘れずに、自分の1球はチームの1球だということを強く思える人になるよう、強い意志をもって毎日を全力で正しく生きていきます。

(1年 渡邉七瀬)

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「戦っていない」

これがすべてだ。

ただ、土俵から降りただけ。結局何も変わっていない。

私の弱さがバンッ!と全面に現れたのは、ベスト4決め、中越戦の時だ。

最初からラケット振れなかったわけではない。

右ストレート、敵の前衛が視界に入った。

見てしまって、おびえてネット中段。

そのネットから、私はまた引きずった。

相手がどうだからってことじゃない。

ただ、単に自分に負けて、立て直そうともしなかった。

昨日ミーティングで誓ったこと、頭には浮かんだ。

でもただ浮かんだだけだった。その誓いが自分に力を与えてくれるわけでもなかった。

朝の会場練習では長いシュートボールでラリーできていたんだ。

これでもう判明した。

私の崩れは、スキルの崩れじゃない。

技術が身についていないからじゃない。

もう完璧にわかった。

私のモンスターは私の心の中にいて、試合で出る。

せっかく練習で積み上げても、試合で別人なら練習している意味がない。

北越に来た意味もない。

ここへ来て半年が経つ。

この半年間の行動、ネガティブな心、いつも引いて閉じこもってしまう性格。

このままなら、また同じ半年が経ったとしても全く成長はない。

本当に私は弱い。

私のデビュー戦はいつになるのか。

戦うアスリートになるためには、、、

まず、考え方を変えるところからだ!

(1年 下里鼓)

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Another Dream Factory(前半)

昨年、このブログで交流を呼びかけたところ、様々な方と心の交流がありました。

その中で、12月に、ある高校生から一通のメールが届きました。

リーダーとして理想を描きながらも現実は全くかけ離れていて、必死でなんとかしたいのだけれど、孤立無援。

顧問の先生も力になってくれず、仲間も去っていく中、いつも空回りして、自分自身の努力や存在さえ疑うようになってしまった孤独な魂からの便りでした。

藁をもつかもうとする喘ぎのようなメールから、翌年の県総体までの半年間、彼とやりとりした心の交流を、彼の許可をいただいて、これから2回に分けて掲載します。

きっと、全国の部活動で、理想と現実のはざまで悩み、苦しんでいる若い魂がたくさんあるはずです。

その魂たちへ、

現実に折れそうになっている君へ、

無力感に苛まれている君へ送ります、

Another Dream Factory!

初めまして。

X高校2年男子ソフトテニス部部長の山科信二(仮名)と申します。 

毎回DreamFactoryが投稿される度に拝読させて頂いています。 

自分達はこの新体制になってから、来年の県総体団体ベスト4以上を目標としています。

顧問の先生は全員未経験でメニューをはじめとしてほとんどの事を自分一人でやっています。 

自分たちのチームはとても弱いです。

自分が部長になってから「このチームを絶対に変えてやる。勝てるチームにする。インターハイに行くんだ。」と思ってそれをみんなにも話し、この半年程やってきました。

ですが、ほとんど何も変わりませんでした。 

まず初めに声出しを徹底させようと思いました。

さらに練習中の私語をなくし、1年生には毎日テニスノートを書いて提出し、自分がそれを見て書いて返す、という取り組みを始めました。

ですが、先生でない自分に強制力はなく、またチームの中でも自分は上手いわけではないので説得力もなく、声出しは今も徹底できずたった数人が出すようになっただけで、全く緊張感のある練習ではないです。

テニスノートも提出率が段々と悪くなり、内容も薄いものばかりになってしまったので、自分が必要だと思ったら出す、それまでは提出はなしにしました。 

なにが問題なのか、問題が多すぎてどこから手をつければ良いのか分かりません。

自分の実力不足はもちろん大問題なので、毎日必死に練習をして一般のクラブチームにも通っていますが、いつも頭の中にはチームの事ばかりで目の前の練習に思いっきり集中することが出来ていません。

自分なりに何百本もの動画を見たり、色々な選手のインタビューやアドバイスを見てテニスの勉強もしていますがまだまだ足りず、また、それを言語化して部員に伝えることも上手くできません。

ペアや団体のオーダーなども全て自分がしているのですが、相性や仲の悪さ、それに対する自分への非難など中々思うようにいきません。

大会や遠征の日などは自分が全員のスケジュールを管理して、何時に起床、朝ごはんはこれを食べて何時からアップなど決めていますが、試行錯誤の繰り返しで部員達からもよく「なんの意味があるの?」「別に良くね?」という言葉ばかりでまだまだ信用を獲得できていません。

信用を獲得できていないのも、まだこのチームになってから、全く結果が出せていないからだと思います。

秋の大会ではほとんどが1回戦負け。

全く後輩たちに背中を見せることができていません。2年の後半にもなって今だに結果が出せていない。

正直焦っています。

もう今自分が何をしているか、何が正しいのか分からなくなってしまいました。

どんな言葉をかければ部員の心が動かせるのか。

先生にどんなお願いの仕方をすれば練習試合や遠征を増やしてくれるのか。

今どんなメニューをやるべきなのか。

どのフォームが正しいのか。

自分はなんのためにソフトテニスをしているのか…。

 

まもなく県のインドア大会がありますが、きっと今の自分は迷いばかりで部員の支えになれていません。

DreamFactoryにもありましたが、ここまでチームが辛い時に支えて立ち上がらせる部長でいることができていません。

毎回、DreamFactoryを見る度に劣等感でいっぱいになります。

毎日、寝る前も通学中も授業中も来年の県総体のことを考えてしまいます。

今の自分には正直、負けて泣いている自分しか見えません。

 

自分は今、芸術系の大学を第1志望として、特に実技対策の学習を毎日帰ったあと夜遅くまでしています。その大学は非常に倍率が高いです。

最近は部活なんかをやっていて良いのか、不安で不安で苦しいです。

この半年間、どんな辛い時も「自分が折れたらチームが終わる。」そう思って取り組んできました。

けれど最近は、自分がいてもいなくてもきっとチームは変わらないのではないかと考えてしまいます。 

 

前置きが大変長くなってしまいすみません。

先生に質問があります。

①自分はこのチームに、後輩に、あと半年間で何を残せるでしょうか。残さなければならないのでしょうか。

②津野先生の考える、チームの変え方

を教えて頂きたいです。

 

お忙しいとは思いますが、お時間のある時にどうかお返事頂けると幸いです。

 

山科信二

2021.12月

 

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山科君、初めまして。

 

深く感動いたしました。

チームの先頭に立って目標を立て、真剣に理想を追いながらも毎日のように理想と現実のギャップに悩み、見えない未来に不安を抱えながらなんとか活路を見いだそうとしている君に大きな敬意を送りたいです。

本気だからこそ、こうして僕に真摯な思いを伝えてくれたのだと思います。

誠実に受け止めます。

 

結論から言うと、悩み続けること、もがき続けること、それしかないのです。

コツも魔法も特効薬もありません。

人生を幸せに生きるコツも魔法も特効薬もないのと同じです。(世の中にはコツや魔法や特効薬であるかのようなhow to本や情報が溢れていますが)

 

自分は今、芸術系の大学を第1志望として、特に実技対策の学習を毎日帰ったあと夜遅くまでしています。最近は部活なんかをやっていて良いのか不安で不安で苦しいです。この半年間、どんな辛い時も「自分が折れたらチームが終わる。」そう思って取り組んできました。けれど最近は、自分がいてもいなくてもきっとチームは変わらないのではないかと考えてしまいます。

 →ここだけが、とても気になるところです。

山科君は、今の自分が少なくとも好きではないのですか?

上手くいかないことだらけだし、結果も出ないけど、理想と使命感を持って難題に向かっていく自分が嫌いですか?

もし、そうなら、さっさとコートから去ればいいのです。

ただ、そうだとしたら、芸術なんて目指しちゃダメですよ。

 

自分がいてもいなくてもチームは変わらないかもしれない。

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

「結果承認」を求めているんですよ、山科君は。

生きることとは、結果じゃありません。

人生において、トライとはそういうことじゃないはずです。

上手くいかないかもしれない、何もかわらないかもしれない、でも自分が選んだ道ならば、あと半年、全力でトライする。今を全力で生きること。そこに命はあります。

それは、たとえばマッチポイントのポーチボレーだし、人生のトライだし、芸術そのものだと思います。

トライすること、挑戦すること、その意志と実行にしか価値はない。

古今東西、芸術家は自分の理想を持ち、理解してもらえなくとも、なかなか認められず賞をもらったりできなくとも、それでも芸術に情熱を傾け、少なくとも自分の芸術の理想を求めてもがき続けて、サラリーや地位やヒエラルキーや数値や偏差値や・・・そういうものの極北で生きる人だと思います。

若いうちから損得計算して生きる人に、誰の心を打つ作品がつくれると言うのです。

結果はどうあれ、自分の理想に向かってもがき(理想が遠いからこそ苦しみもがくのですよ)、苦しみ、なんとかして一筋の光明を見つけようとする日々こそが貴重で価値あるものだと思います。

若い時のその経験が、将来の言葉や作品に深みを与えるのは間違いないのです。

 

ただね、ここはちょっと弱音を吐いたんだよね。

それはわかるよ。

 弱音を吐くことも、悪いことじゃないんだ。

それは、なんとかしたいという思いから出た「ため息」だと理解します。

 ※  ※  ※

さて、今後だね。

まず、聞きたいのは、2年生が3人だということだけど、残りの2人とは意思疎通できないの?

思いを真剣にぶつけてみて、自分たちの代の県総体、ベスト4目指して一緒にチーム改革しよう、と訴えられないのかな?

この秋のDream Factoryの生徒のノートにもあったように、僕はどんなにひどい状況でも同士が3人いれば必ず打開できる、って伝えたんだけど、山科君の高校の2年生3人はどうですか? 

2年生3人(マネも含めてもいい)で、ペアやオーダー、1年生への指導、スケジュール管理等を係り分担した上で、チーム全体にはその担当が伝える。

そうやって、ブレーン制を敷いて問題解決にあたることは可能ですか?

まずは、そこから考えたいね。

 

また連絡してください。

遠慮することはありません。 

僕は、君のような真っ直ぐであるがゆえに疎外されていくような人間に大きな魅力を感じます。

力になれるかどうかわかりませんが、何らかの気づきがこれからきっとありますよ。

 

北越高校 津野誠司

2021.12月

 

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津野先生

お忙しい中、お返事ありがとうございます。

直接的な関わりが何も無いにもかかわらず、ここまで自分の思いに真剣にぶつかってくれる大人がいる事に驚き、深く感動しました。 

「結果承認を求めている」、考えてみれば確かにその通りであると思います。

トライし続けることこそが大事で、それはテニスも芸術も同じ。高校に入ってから何度も自分の中で思っていたはずなのに、いつの間にかそれを忘れてしまっていたことに気付かされました。

トライし続けます。ありがとうございます。

 

の2年生との対話、ですが自分以外の2年生は副部長のA、もう1人のB、マネージャーがいます。

何かこういう取り組みをしたい、と思ったときには特にAにはできるだけ1度相談し、その後で全体に連絡するようにしていました。

ですが、チームの事を3人で深く話し合ったことはほとんど無かったです。

というのも、実際やる気があるのか無いのか分からず、そこにぶつかっていくことで自分たちの関係が崩れていくのが怖かったのだと今思います。

けど、自分が本気でぶつかって心を開かなければ何も変わりませんよね。

もう一度、ブレーン制も含めて話し合いたいと思います。

ただ、Bは、インドア大会で勝ち進むことが出来なければ部活をやめると言っています。

理由は受験勉強に集中したい、テニスをやっていて楽しさなどのメリットを感じなくなってしまった、というものです。

B は前々からその事を自分達2人に言っていて、なんとか止めていたのですが、今回は本気で辞めようとしていると感じています。

B は1番手後衛で、多少やる気がなくとも練習中はしっかりと集中し、指導者がいないながらも高校に入ってから確実にレベルアップしてきています。

B がチームから抜けてしまうのは正直厳しいと言わざるを得ません。

けれど、もちろん決定権はB にあるし、B の将来に自分が責任を持つことなんて出来ません。

それでも説得するべきでしょうか、B の考えを受け入れ、気持ち良く送り出すべきなのでしょうか。

もう1つ悩んでいることがあります。

それは1年生の主体性が全くないことです。

誰かが動き出さなさければ動かない、なにかする時はいつも誰かと一緒、指示されなければいつまでも変わらず、変わってもすぐ元に戻ってしまう。

アドバイスをするのもほとんど2年生からで、なんというか、食らいついていくような必死さや全力さが足りないように感じています。

彼らを変えるには何が必要なのか毎日考えています。

根気強く言い続けることが必要なのか、1度自分が身を引いて気づかせることが必要なのか、はたまた何かもっと大きなターニングポイントやきっかけが必要なのか。これに対する先生の考えをお聞かせ願いたいです。

2021.12月

山科信二

 

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 ・

山科君、返信遅れてすみません。

 

戦いモードに入っていました。

いずれ、Dream Factoryに書きますが、今回、北越女子は県の選抜大会で決勝リーグを勝ち抜けませんでした。

今年の3年生が引退してからの大きな戦力ダウンをリカバーしきれませんでした。

こういう冬もあります。

そこからまた学んで、成長していく。

ソフトテニスという競技を通じての成長、そして自立、その過程でのいくつもの挫折と感動。

その一つひとつが大切なのですから。

 

さて、山科君の質問に応えていきますね。

1.B君のことについて

B君は3人しかいない仲間の最後の半年ですから、当然説得すべきです。

それは何よりもB君のためです。

理由は前回述べた通りです。

結果が出る出ないはわからない。

わからないけど、今選んだフィールドで全力を尽くす。

それが、部活でも大学でも人生でも同じ、ということ。

頑張ってきたことは、最後までやり続けることで、何かが生まれ、何か将来につながる種ができるのです。

ここでやめるのは、いろんな正当化を人間はしてしまいますが、人生全体から見れば「投げ出す」ことに他ならないからです。

それでも、「投げ出す」なら、それは仕方ないのです。

「投げ出した」過去を持って、その先の人生を歩む、それがその人の人生であり、それはそれで「アリ」なのです。

「アリ」というのは評価を伴わない「アリ」です。

その上で、山科君と他の二人(もしくはA君と二人)、そしてマネさんと今年のブレーンを組んで、役割分担をして、チームの遂行にあたるべきでしょう。

悩みも相談し、思いもオープンにしながら、1日1日を成長の現場にすることです。

マネージャーさんもはっきりとブレーンに組み込むといいと思います。

 

2.1年生のモチベーションアップについて

心の成長期である高校時代で、1年間の経験の差はとても大きなものです。

1年後になればはっきりわかることが、1年前には何も見えません。

1年生の心は、まだまだ高校時代が海のように広く長くどこまでも続いているように見えています。

切迫感など何もないでしょう。

山科君は違いますよね。

あと半年でゴールですから。

ゴールが見えていて、現在地を測れる山科君(それゆえに焦りも生まれる)と、現在地を全体の中から推し量れず、また推し量る意志もない1年生とは、意識の差は雲泥の差と言ってもいいくらいでしょう。

それは、我々北越高校とて同じことです。

大きく変わるターニングポイントは必要です。

それは冬の大会かもしれません。春の大会かもしれません。

ひょっとすると、来年の県総体の後かもしれません。

2年生は、まず自分たちの代の結束を高め、理想を話し合い、その上で、1年生を少しずつ巻き込んでいくのが自然だと思います。

立ち位置が全く違うので、1年生は日々変わらないように見えます。

でも少しずつ、変わろうとする者も現れてくるものです。

ここは、焦らず、でも必ず成長するものとして、共に生きることです。

 

 

今日は、北越高校は負けた次の日。

みんなドーンと落ちている朝でしょうが、そこでの「学び」もあるのです。

お互い、今日も何か「気づき」がありますように。

 

では、また。

津野誠司

2021.12月

 

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先生お久しぶりです。

あけましておめでとうございます。

返信が遅くなってしまったこと、申し訳ありません。

色々と行事などが重なってしまいました。

 

北越高校女子、負けてしまったのですね、、

結果を聞いたときとても驚きました。

ここから這い上がり、夏に勝利を収める北越を楽しみにしています。

 

ここから自分たちの話になりますが、まず退部しようとしていたBですが自分が止めようとした時にはもう既に顧問の先生に退部届を提出していて、先生との話が済んでいたようでした。

後から自分の気持ちは伝えましたが、それから部活には来ていません。

 

Bの退部を受け、ここでチームが落ち込んでしまってはいけないと先生に提案されたブレーン制を導入してみました。

しかし、何しろ前例のない初めての取り組みで、いくつか例は提案してみるものの皆やり方が分からず、結局今まで通り自分がやってしまうという、現在も試行錯誤の段階です。 

また、やはりこの大会の少ない時期、チームの士気も下がりがちなのか、体調不良者や無断欠席者も増え、メニューの取り組みもイマイチで中々練習の雰囲気も良くありません。

声出しや欠席について部員に注意するものの、自分が注意することに「慣れ」てしまっているのか、以前のような効力はありません。

伝え方ややり方を変えてみるものの、中々上手くいきません。

部長という立場でありながら、求められている実力が無いことは自分でも十分理解していて、それを克服するために練習しているつもりです。

それでもやはり、何かを部員に諭すとき説得力や力不足を感じてしまいます。

実際、少し苛立ちを覚えている部員もいると思います。

やはり実力の伴った人物に指示や指導をしてもらうのが最適なのでしょうか?

 

また、1年生の中に1人やる気の無い部員がいます。

最初、自分は彼がかなり強い意志を持って、高校からでも上手くなるんだという気持ちで部活に入ったのでは、と思っていました。

しかし練習の取り組みもあまり良くなく、言われたことはやるがそこまで、といった感じでまるでやらされているようでした。

秋になり少しずつ周りの1年生が変わっていく中、彼は中々変化が訪れず、自分もどのように促せば良いのか、悩んでいました。

今日の練習のことです。

前衛がボレーした目の前のボールを全く取る素振りも見せず見逃してしまいます。

そこで僕はつい感情的になってしまい、「やる気ないならやめていいよ」と言ってしまいました。

その後、何事もなく練習は終わりましたが、今とても後悔しています。

帰ってきてから彼のSNSできっと自分に対してであろう言葉が書かれていました。

強制では無い部活で自分で選んで入ったにも関わらず、なぜ練習を面倒くさがって本気にならず、チームに迷惑をかけてしまうのか、正直自分には理解ができません。

ただ、彼にも事情があるのかもしれません。

明日から新学期なのですが、明日の部活でしっかりと彼と一対一で話をしてみようと思います。

とても怖くて不安ですが、今まで自分が彼と向き合ってこなかった代償なのだと感じています。

これからもっとメンバー1人1人と向き合いたいと思います。

 

また、最近になり、自分が本当に勝ちたいと思っているのか、何か使命感のようなものに駆られて頑張っているだけなのではないかと思うようになりました。

目標を明確にイメージし続けるために必要なこととは何なのでしょうか?

 

最後になりますが、先生にアドバイスを頂いてからほんの少しですが、前に比べて未来に対する絶望感がなくなりました。

 

お忙しいとは思いますが返信お待ちしております。

2022.1月

山科信二

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山科君 

連絡ありがとう。

 

冬は厳しい季節です。

木々も葉を落とし、また来る春に向けて、寒さに耐えながら、命の内部に心を向けている季節です。

我々、人間も木々と同じ命。

いろいろ耐えながら、我々の本質へ目を向ける時だと思います。

 

さて、山科君のチームもいろいろ動きがあったのですね。

 

先生に提案されたブレーン制を導入してみました。しかし何しろ前例のない初めての取り組みで、いくつか例は提案してみるものの皆やり方が分からず、結局今まで通り自分がやってしまうという、現在も試行錯誤の段階です。

→いいですね!

そうなんです。試行錯誤こそが力の醸成です。すぐに結果が出ることの方が危ないです。

何度失敗しても、ブレーンに諮る、これを自分に戒めてください。

最終的に山科君の意見の通りに進むとしても、その過程で問題点をブレーンで共有するということが重要です。

繰り返すことで、試行錯誤の積み重ねがあり、必ずブレーンがチームとして力を育みます。

最初は上手くいかないのが普通です。

そこで、焦って独断専行に戻らないことです。

春は遠くないですが、そこまでの日々はまだたくさんあります。

 

部長という立場でありながら、部員に諭すとき説得力や力不足を感じてしまいます。やはり実力の伴った人物に指示や指導をしてもらうのが最適なのでしょうか?

→いやいや、それは民主主義が機能しないから独裁者を希求するのと同じです。

まずは、山科君の実感をブレーンにオープンにしましょう。

そして、作戦を立てましょう。

マネに初め伝えてもらって、副部長にも話をしてもらう。

最後に、山科君が補ったり、みんなで決め事をしたり、チームとして全体前へ進むようブレーンで話をしていくといいと思います。

誠実に話をすれば絶対に分かり合えるし、問題と捉えられたら改善を図るべきだという原則は共有できるはずです。

・ 

僕はつい感情的になってしまい、「やる気ないならやめていいよ」と言ってしまいました。その後、何事もなく練習は終わりましたが今とても後悔しています。

→そうだね。これは反省だね。明日謝るべきです。

僕もボールを追わない選手に「頑張る気がないなら帰れ」と言うことはあります。

でも、それは、「自分を克えて強くなれ!!」って思いが伝わると信じているからです。

SNSの言葉は気にしないことですね。SNS空間はこのようなネガティブな「ため息」が満ちあふれていますから。

失敗した時に、人にとって何よりも大切なのは、「誠実」であることです。

僕も失敗したときや、信頼が得られないような時に、自分に何度も言い聞かせるのは、「苦しい時ほど誠実に。」です。

必ず、信頼は返ってきますよ。

明日、話す時には、謝ると同時に、その1年生への希望も伝えること。

初心者として始めたからこそ、頑張ってほしいし、3年生になったら、今回結果を出した1年生ペアと一緒に団体メンバーになってほしい、とかね。

山科君の彼への希望、期待を伝えるんです。

どうして真面目に練習しないんだ、とかマイナス指摘は、明日は抱き合わせにしないことですよ。

 

また、最近になり、自分が本当に勝ちたいと思っているのか、何か使命感のようなものに駆られて頑張っているだけなのではないかと思うようになりました。目標を明確にイメージし続けるために必要なこととは何なのでしょうか?

→これは、君の弱さです。

そんなことはどちらでもいいのです。

本当に勝ちたいと思って頑張っているのもよし。使命感に駆られてチームをまとめようとしているのもよし。どっちもあるならもっとよし。

「そもそも論」に逃げるのは、弱者の常套手段です。現実逃避なのですよ。

目の前の大切な青春の1日を全力で生きる、それしかないです。

試行錯誤から逃げないことです。

試行錯誤、迷いの日々こそ尊いのです。 

 ・

2022.1月

 津野誠司 

(続く)

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