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苦難は傷つくために あるわけじゃない
人の力を伸ばすため
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今回の応援メッセージは、前に紹介した新潟東高校の卒業生、優実さんと千智さんの2年後輩にあたる、稲垣寛子さんと小竹佳恵さんです。
県看護師協会で、医療スタッフの確保に尽力している千智さんからは、疲弊しながらも強い使命感で働き続ける医療現場を思いやる言葉がありました。
ところが、医療従事者への偏見、その子どもへの差別等、耳を疑いたくなるような日本人の醜い言動が多く報道されています。偏見を持ったり差別したりしている人は自分や自分の大切な人が病気になったら、誰に助けてもらうというのでしょうか。
フランスやイギリスでは、夜決まった時間になると、市民がベランダに出て、一斉に医療従事者に拍手を送るそうです。あの「個人主義」の国で、医療従事者へのリスペクトを市民が一つになって表現し、「絆、おもいやり」に長じたはずの東洋の島国が、一番応援すべき人たちを差別する…。
日本はどこで何を履き違えたんでしょう…
(日本とフランスを行き来しながら小説を発表している原田マハさんの『喝采』という短編小説がネットで読めます。突然ロックダウンされたパリ、陽気で社交的なパリジャン(パリっ子たち)がどう行動したのか。そして、夜、街中に波のように響き渡る「喝采」…淡々と描写された日記風のとても短い小説です。ネットで検索して読んでみてください)
東日本大震災の時、世界を驚かせた、日本人の落ち着きと思いやりはどこへ行ったのでしょう。
「不安だからこそ、周りをあたたかくする行動を」という千智さんのメッセージ、もう一度噛みしめたいです。
さて、寛子さんと佳恵さんは、東高校が初めてインターハイに出場した時の1年生でした。先輩に連れて行ってもらったインターハイという輝かしい舞台を目にして、昨日より今日、今日より明日と、日々自分と向き合いながら、成長を重ねていきました。そしてその2年後に寛子さんは金木美才さんと組んで夢を叶えます。2年前の先輩を超え堂々の県3位でのインターハイ出場でした。佳恵さんの夢は叶いませんでしたが、寛子さんペアのインターハイ出場は、この代の3人の力が合わさってのものです。佳恵さんは、前回紹介した北越の山本千紘さんのような存在。チームにとって、いつも元気な太陽そのものでした。
寛子さんは、フラワーアレンジの仕事に就きますが、看護師への夢を捨てきれず、一念発起。新たに勉強を一から始めて国家試験に合格。現在は新潟市民病院に勤めています。新潟市民病院といえば、新潟県のコロナ感染者治療の中核病院です。多忙極まる中、メッセージを送ってくれました。
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北越高校ソフトテニス部の皆さん初めまして。新潟東高校ソフトテニス部OGの新垣寛子(旧姓:須貝)です。高校卒業後、花屋の経験を経て現在、市民病院で看護師として働いています。
先日、インターハイ中止のニュースを聞いて衝撃を受けました。全てをかけて頑張ってきた皆さんや津野先生にとっては悔しくて悔しくて、どのように心の整理をしたらいいのかわからない状態だと思います。簡単に諦められることではないですし、前を向くには時間がかかるかもしれません。しかし、ゆっくりでもいいので、みんなで力を合わせて前向きに乗り越えていってほしいです。
今まで努力してきたことは決して無駄にはなりません。必ずみなさんの力になっているはずです。津野先生という素晴らしい先生に出逢えたこと、一緒に頑張ってきた仲間がいること、これは本当に大切な宝物です。今まで努力してきたことや苦難を乗り越えてきた経験、今みんなが身につけている力はこれからの人生で必ず役に立つときが来るはずです。
私の働いている病棟では人の死を経験することも多く、年齢に関係なく急に亡くなる場合もあり、人というのはいつ死が訪れるかわからないということを実感しています。だから今という瞬間を大切に、できるだけ後悔しないように、日々当たり前のように過ごせることに感謝して過ごしています。
今はコロナウイルスの影響で、職場内でも外でも、心ない言葉で傷つけてくる人がいます。医療従事者であっても普通の人間なので、いつ感染するかわからない恐怖と戦いながら働いています。守るべき家族もいます。そんな中、ひどいで言葉で傷つけられるのは、心が締め付けられる思いです。
職業に関係なく、みんなどこで感染するかわからない状態なので、一人一人が感染しないように気をつけて過ごしてくださいね。大切な人の命を守るため、みんなで力を合わせて乗り越えて行きましょう。
「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」辛いときだけど、思いやりの心を忘れずに、頑張っていきましょうね。皆さんが少しでも早く元の生活に戻れることを願っています。
私は、苦難を乗り越える一番の武器は笑顔だと思っています。辛いときこそ笑顔を忘れずに。笑顔があれば、辛く苦しんでいる人を助けられることもあります。今は自分を守ること、そして自分のまわりの一番大切な人達を守ることを第一に行動していきましょう。
自分が辛いときや悩んでいるときに、いつも心に浮かんでくる言葉があります。
『試練は乗り越えられる人にしかやってこない』
また、このような詩もあります。
やさしい人ほど つらい目に遭う
それは 心が磨かれて
もっとやさしくなるため
強い人ほど 大きな災難に見舞われる
それは 苦難を乗り越えて
もっと強くなるための試練
いい人なのにと言われる人ほど
苦労の連続
それでますますいい人になる
苦難は傷つくために
あるわけじゃない
人の力を伸ばすため
苦労は神様からの贈り物
自分が悩んだときはこの言葉や詩を思い出し、そして高校の時の経験を活かして乗り越えて来ることができました。
なによりも心強いのは一人じゃない、仲間がいるというのは大きな力になります。壊してしまうのは一瞬でも築き上げていくのは大変なことです。出逢えたことに感謝して、自分のまわりの人達や家族、仲間を大切にしていきたいですね。
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佳恵さんは、作業療法士として介護施設で働いています。
密接を避けよ、と政府に言われても、密接しなければ 何もできない介護の現場。
世界一の高齢化社会である日本において、重症化しやすいお年寄りが助けを求める場所。
誰かが感染すれば、即クラスターの発生が避けられない、介護の現場も我々が心からリスペクトを持って応援しなければならない職場です。
その佳恵さんからのメッセージです。
お年寄りに対してだけではなく、お年寄りを預けている家族にも気を遣わなければならない、毎日、身体だけでなく心もすり減っていくような状況で時間をとってくれました。
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こんにちは。
私は介護施設でリハビリ職員として働いています。施設には90歳代の方、100歳の方もいますし、誰かがコロナに感染してしまうと、認知症の方も多く、徘徊してしまうため隔離が難しく、大変な状況になってしまいます。
入所しているお年寄りも家族の面会をもう2カ月も制限しているため、家族に会えない寂しさを訴える人もいますし、家族も会えずに心配している方もいて、お年寄りにも家族にも、寄り添うようにしています。施設として、心配している家族に写真を撮ってお渡ししたり、動画を撮って見せたりアイデアを出し合って工夫しています。
また、私の施設ではデイサービスも提供していて、全国的にデイサービスで感染が広がったケースもあるため、熱を測ってから利用してもらったり、自粛をお願いする場合もあり、とても気を遣って入念に様々な対応をしています。職員自身が感染を絶対に避けなければならないという危機意識がありますから、職員も出勤前後に熱を測ったり、休憩でも3密にならないようにしたり、プライベートでも一人一人が気をつけて生活しています。マスクや消毒液が不足する中でお年寄りに感染させないように、とにかく神経を減らしながら不安な日々を送っています。
そんな中、インターハイ中止のニュースを見ました。
切なくなりました。
コロナウイルスが流行り出した頃、今頃は春の遠征で最後の調整が始まるはずだが、遠征に行けるのかなぁ…毎日の部活は…津野先生と今一緒に頑張っている高校生のこと考えていました。
そして、インターハイの中止…3年生はここを目標にして色々なことを犠牲にして頑張ってきただろうに…と思ったら本当に切なくなりました。会ったことはないですが、きっと今まで津野先生と一緒に色んなこと乗り越えて目標に向かってきたんだろうなぁ、きっとみんな悲しくて悲しくて…でもこの気持ちをどこにもぶつけられなくて悔しくて…って皆さんの気持ちを想像しています。
なんかうまく伝えられませんが、形がどうであれ、この悔しさをぶつけられる日は必ず来ると思います。
だからこのエネルギーそのときに使えるように貯めておこうね。そして、一刻も早くコロナが終息することを願おう。
これって考えながら今自分にも言い聞かせています。
すみません。今自分が考えていることを素直にとにかく打ってみました。
先生も体調には気をつけて頑張ってください。時々北越のHP見せてもらって元気もらいたいと思います。