Dream Factory 2021 盛夏
2021チーム北越
戦った! 競り合った!
信じて 立ち上がり続けた 最後のインターハイ
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ずっとチームを支えてきた近藤梨果のノートから
第4シード 和歌山信愛に負けた。
目標にしていた「決勝」に行けなかった。
もちろん、選手を責めているのではない。選手たちは最大限やれることをやり切って負けたんだ。
全国から選手を集める和歌山信愛に食らいついていく姿に鳥肌たったし、声を出しての応援は禁止されていたけど、それでも声が出ちゃうくらい心を一つにして戦えた。今思い返しても、とても充実してかけがえのない経験だった。
第1対戦のキャプテンペア星野・高橋。
中盤のG2-2までは互角の競り合い。相手がJAPANであろうと決して引かずビビらず、強い思いと気迫で向かっていく姿は北越らしかったし、とてもカッコよかった。
隣のコートで同時進行で戦っていた入澤と本間。
G1-3と追い詰められても、今回は1本1本、強い意志を崩さずに挽回してくれた。
ファイナルの1球1球に、入澤の強い意志を感じたし、自分の強気を前に押し出して戦い続ける本間の姿に感動した。
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1-1の三番勝負。
高野は戦ってくれた。
ウイナー(トップ打ち)を何本相手のコートに突き刺したんだろう。ノーミスでラケットを振り切る高野を見て、3番勝負、高野で良かったって、素直に感動した。
凛の気迫がコート中にあふれていた。最後の最後、全国の大舞台で、自分を信じて戦えた、それは凛にとって、とてもデカいことだと思う。北信越で団体メンバーから途中交代させられて、インターハイでその自分にリベンジした、そのドラマを見れて私も幸せです。
信愛戦で、高野・鷲尾を3番に使うというのは、先生が二人の成長を認め、チームの思いを背負って戦ってくれるって信じたんだと思う。
ほとんどのゲームで競り合える。競り合えるけど大事なポイントで甘い。そしてG0-3、後がなくなったベンチで、先生は高野に強く伝えた。高野の甘さを先生は見逃さない。
その直後から高野は変わった。信愛の後衛と互角の打ち合い、本当に激しい打ち合いだった。凛は全く逃げなかった。そのハートに鷲尾はついていけてないように見えた。鷲尾も悔しいだろうけど、私も悔しい。
ミーティングで先生が話してくれたように、明日からの個人戦、団体戦の延長としてチームのために戦ってほしい。
(8月2日 近藤梨果)
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8月2日~個人戦。引き続き、近藤のノートから。
個人戦1日目。
星野・鷲尾。二日目に残るための最後の戦いが、またしても和歌山信愛だった。
団体メンバーではないが、和歌山県大会で2位。
G3-0から、相手は戦術を変えて挽回していき、ファイナルへ。
私は二人のファイナルの死闘を決して忘れないだろう。
何本のマッチポイントを握ったんだろう。それでも勝たせてくれない信愛。
それでもあきらめず、また挑み続ける北越。
先生が言っていたことがよくわかった。
ファイナルの強さは 人間力の強さ
少しでも自分を疑ったら、少しでも気持ちが引けてしまったら、すぐにGame Set。
最後は⑫ー10。
実績的、技術的には相手が上だったかもしれない。でもファイナルの強さは別のところにある。
一緒に3年間やってきたからわかる。星野はファイナルに弱かった。自分を超えられないでいたからだ。そして星野はずっと自分の弱さと戦ってきた。直前合宿でも自分の弱さに泣いていた。でもそういう日々がこういう場面で何倍もの強さと自信になる。
試された。そして乗り越えた。
ありがとう星野。
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鷲尾は…
昨日の団体戦とは全く違った。
星野の強気と一体となっていた。二人の心がつながっていた。
鷲尾は今度こそ「鷲尾で終わり」にしたくなかったんじゃないかと思う。それが鷲尾なりの意地だったのかもしれない。
ここで攻めろ! という場面で、今までの鷲尾なら無難な選択をしていたのに、今回は敵の裏をかくような選択、動きがたくさんあった。
今日の朝、鷲尾は先生に「心に他者を置け」と伝えられていた、それを最後の最後で実践してくれたんだ。何度強く伝えられても心を重ねられなかった鷲尾が、最後の最後で表現したこと、それは先生の願いであり、私たちの願いだった。
ありがとう、鷲尾祐稀。
(8月3日 近藤梨果)
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「2021チーム北越」を支え、応援してくださった皆様、ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
新チームもよろしくお願いします!
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最後に、部長 斉藤菜月のノートでこの1年間を締めくくります。
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3年間、ありがとうございました。
私たちのチームの戦いは今日で終わりました。
日本一を目指してやってきた3年間。でも届かなかった。
私たちも本気でやってきたけど、まだまだ全国で夢をかなえるまでにはなれなかった。
先生はずっと「今年はチャンスだ」って言ってくれていた。
確かに、戦ってみて、第4シードの和歌山信愛にも1-1の3番勝負。ジャパンの選手にも星野・高橋で中盤までG2-2の互角。個人戦では、星野・鷲尾が和歌山の2位ペアにファイナルジュースの末に勝ち切り、二日目の4回戦では、団体優勝メンバーの東北高校にも競り合える。
入澤・本間は4回戦まで圧勝。5回戦、ハイジャパ準優勝で団体も準優勝の三重高校のエースに互角の戦い。
先生が繰り返していたことだけど、全国の頂上って、遥か雲の上ではない。決して届かないところではない。
届かない相手ではないけれど、勝ち切ることができない。
「戦える」と「勝ち切る」の違い。
「互角の力」と「負けない力」の違い。
この差に、きっと3年間の日々の積み重ねの違いがあるんだと思う。
3年間、日本一をまっすぐに思って自分と向き合った者と、頑張ってはきたけど最後の年になって本気になった者と、そこに大きな差があるんだな。
毎日毎日の少しの積み重ねの差、練習の中での少しの意識の差、いろんな小さな差が積み重なって、最後の夏、超えられそうで決して超えられない壁として現れる。
これから後輩への「恩送り」になるけれど、こういうことをしっかり伝えながら指導してあげたいなってすごく思う。
今日の夜にも話が出たけど、私たち、今の意識のままもう一度3年間をやり直せたら、絶対に変わっていた。もっともっと全国で激しい戦いができた。決勝にも行ける力もつけれたと思う。だけど、そのことをやっと実感できた時、もう私たちに時間は残っていない。
やっぱり悔しいです。
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ただ、3年生、この6人で、よくここまで来れたな、って正直思います。
いろんなこと伝えてもらい、教えてもらって、いくつも回り道したけど、逃げずにこの場所へ来れたこと、やっぱり嬉しく思います。
広島から新潟に来て、この5人の仲間に出会えて本当に良かった。
こんなドラマを一緒に生きれて嬉しかった。
先生、改めて、本当にありがとうございました。
「恩送り」と「受験」、頑張ります。
これからもよろしくお願いします。
(8月4日 部長 斉藤菜月)