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2017年12月 6日 (水)

HOKUETSU Spirits~2017 未開の旅路―受け継がれる挑戦―~

ついにインターハイ出場!
しかしその先にみえたものは・・・

団体戦前円陣 インハイ インハイ 礼
 お久しぶりでございます、男子ソフトテニス部です。県総体以来の更新となります。遅くなりましてまことに申し訳ありません。今回は、3年生の引退ならびに新チームの現状についてご報告させていただきます。といいましても、6月の北信越大会、8月のインターハイ、9月の秋季地区大会、10月の県新人選抜大会…とドラマティックなイベントは盛りだくさんでありましたので、大変ボリューミーかつ濃い味付けの内容となるかもしれません。忘年会のシーズンも控えております。胃もたれしないよう、よく噛みしめて、ゆっくりと味わってください。

 まずは6月の北信越大会から。「会津インターハイベスト8」という目標を掲げ、県総体を勝ち抜き、感涙しながらみんなで抱き合った5月28日から、私たちにとって未知のチャレンジが始まりました。現チームの中に、県総体優勝からインターハイ団体戦までの期間を過ごした経験のある人物が誰もいなかったのです。選手も、顧問も、スタッフも、誰もいませんでした。恥ずかしながら、どうやってチーム力を高めてよいのかわからない。選手たちも、何が課題で、どうすればインターハイベスト8まで進めるのかわからない、という状態でした。暗闇の中、地図も持たずに食物を求めて荒地をひた歩く旅人のようでした。

 県総体を勝ち、目標を失ってしまったまま茫然と歩みを進めている中で、なんとかこの状況を打開するべく、「インターハイベスト8を目指すならば、北信越大会は狙って優勝できる実力がなければならない」とチームに言い聞かせることにしました。中間目標を策定したのです。最終目標はあくまでも会津インターハイベスト8。そのためにも、北信越でチームの力を試そうじゃないか、と再度チームに火が点きました。旅人は安住の地を求めようとしたのです。

 しかし、チームの状態に、なんとも形容のしがたい違和感があったのです。一生懸命声を出し、きびきびと練習はしているのですが、なにかおかしい。選手たちに傲慢さが現れ、チームメートに対して攻撃的な言動を繰り返す部員が出てくるようになりました。時間が経った今になって思い返してみると、この変化は、県総体を勝ち抜いたことによって生じた副作用だったのだと思います。そもそも、北越高校男子ソフトテニス部は、けっして中学時代に優秀な成績を残したものだけが入部できるようなエリート集団ではありません。団体メンバーの中にも、「え?この選手はどこの中学校の人?」と他校の方から聞かれるような選手も多くおります。中学校時代の積み重ねが少なく、むしろ悔いの残るテニス人生を送ってきた部員が多いのです。そのため、人一倍勝利に飢えているのです。だからこそ、県総体で勝てたのです。使い古された言葉ですが、「雑草集団」であったことが、勝利の秘訣でした。可憐な花ではなく、いびつな形状の雑草でしたが、アスファルトからでも芽を出す強さがありました。しかし、一度勝利を味わってしまうと、ハングリー精神がなくなる。「自分は弱いのだから頑張る」から「俺様は県トップレベルの選手だ」という意識に変わってしまったのかもしれません。ペアのおかげで勝てたはずなのに。チームに支えられているからこそ勝てたはずなのに。謙虚さを失ったチームに、勝利の女神は微笑みませんでした。

 北信越大会当日、個人戦では山本・秋葉ペアはベスト8まで進出しましたが、飯島・田辺、阿部・中野ペアは結果を残せませんでした。2ペア共に、ペアに対する苛立ち、不信感をあらわにするような仕草が見られました。このままでは団体戦は勝てない。去年の結果である準優勝を越えるためには、優勝するしかない、と言い聞かせ、チームに再度奮起を促しました。迎えた団体戦、準決勝までは順調に勝ち抜きました。準決勝の相手は昨年決勝戦で対峙した能登高校です。能登高校は全国レベルの強豪です。全国で戦う力があるかどうかの試金石となる試合のはずでした。しかし、結果は惨敗。昨年よりも能登高校との差は開いていることをまざまざと見せつけられました。全員が全員、「このままではまずい」という認識は持ちました。ただ、どうすれば勝てるようになれるのか。部員たちは明確な答えを出せぬまま、インターハイまでの期間を過ごすこととなりました。荒地を行く旅人は、ようやく眼前の景色が暗闇で、荒地であることを認識しました。しかし、そこからどうやって食物を手にするか、どうやって安住の地を見つけ出すのか。未だ答えを得られなかったのです。

 北信越大会が終わり、チームとしての活動が残り一月ほどとなった3年生が行動を始めました。それは、チームとしての規範を厳しくすることでした。以前紹介した田中・杉戸を中心に、声の出ない部員や周囲に対して意識が向かない部員は容赦なくコートから出す。徹底して指導する。まさに「心を鬼」にして指導していました。田中も杉戸も情報の伝達が得意な部員ではありません。伝え方にまずさもあったでしょう。後輩たちに不満がたまることもありました。それでも、田中や杉戸を中心とする3年生は指導を続けました。彼らは常々私に話をしてきました。
「僕らが注意できるのもあと1ヶ月しかないんですよね。どんなに嫌われたって言うしかないですよ。このまま新チームにさせることなんてできませんよ。」
 彼らはチームの未来、北越の将来のことを考え、行動していたのです。

 豪雨に見舞われた会津の地では、飯島・田辺が個人戦2日目まで残りました。阿部・中野は全国でひとつ勝ちました。そして迎えた団体戦、一時試合を中断せざるを得ないほどの荒天でした。会場の方々が懸命にコートを整備してくださり、なんとか試合が出来ました。対戦相手は熊本県代表、熊本工業高校です。一本目から相手の技術力に面食らいました。ソフトテニスという競技は、とても天候に左右されやすい競技です。風が吹いても雨が降ってもミスが大量に出ます。基本的に荒天時は「ミス待ち」のテニス、持久戦になることが多くなります。しかし、熊本工業の選手たちは、まったくミスを恐れず、強打してきました。練習量に裏づけされた技術への自信がうかがえました。「ここまでやって、やっと全国レベルなのか」と思わずにはいられませんでした。ミスを恐れ、深いボールが打てなくなる選手。気負いすぎて、空回りする選手。そんな中でもキャプテン田辺は気迫を見せました。このチームが発動した当初から、田辺は背中でチームを牽引し続けてきました。はっきり言って、田辺は言葉によるコミュニケーション能力は低いです。口下手な男です。それでも、このチームが邁進できたのは、田辺という男の存在感、言外からにじみ出る人間性による部分が大いにありました。怪我に苦しみながらも、弱音を吐かず戦ってきました。しかし、田辺を中心とするメンバーの奮闘もむなしく、チームは初戦敗退となりました。

 会津インターハイベスト8。昨冬の県選抜を勝利したときから、呪文のように唱え続けてきたチームの最終目標です。目標は達成できませんでした。どこにあるかわからない安住の地を求めて旅を続けてきた旅人は、目標までたどりつくことなく、志半ばで倒れてしまいました。それでも、彼らの残した功績は限りなく大きなものでした。北越高校男子ソフトテニス部史上初の全国選抜大会出場、団体戦でのインターハイ出場。きっと、県を勝ってからの日々は苦しかったと思います。ベスト8という目標は立てた。しかし、そこに至る最短ルートがわからない。ただひたすらにもがき続けてくれました。彼らの一年間は、「全国で戦う」ということの意味をひたすら突きつけられているような一年間でした。「全国に行く」から、「全国で戦う」へ。チームの意識レベルをひとつ上げてくれました。きっと後輩たちが「全国で戦う」チームになるでしょう。旅人は荒地に鍬を入れたのです。鍬を入れた先に実りが生じるかはわからないけれど、今いる場所を耕し、安住の地にしようとチャレンジしてくれました。そこに種をまき、実らせるという大仕事は、後輩たちに受け継がれました。北越高校男子ソフトテニス部の歴史に大きな一ページを刻んでくれた3年生、本当にありがとう。保護者の皆様、いつもご迷惑ばかりおかけして申し訳ありませんでした。日々の活動にご理解とご協力をいただき、ありがとうございました。部員たちを成長させることができたかどうかはわかりません。それでも、インターハイまでチーム一丸となって戦うことができたのも保護者様のおかげです。急な遠征、インドア練習でのご送迎などなど…。振り回してばかりの3年間であったと思います。本当に、ありがとうございました。後輩たちは、そんな彼らのチームを超えることが使命です。全国の舞台を味わわせてくれた3年生に恩返しをするには、全国の舞台で勝つしかないですよ。その覚悟を胸に、荒地に実りをもたらそうではありませんか。
インハイ集合写真
 最後に、部長としてチームを牽引した田辺から。
 1年生のころは先輩についていくばかりで、2年生になってから副部長を務めたけれど、何をどうしていけばいいのか分かりませんでした。結局、自分たちの代になるまで先輩に引っ張ってもらっていました。自分たちの代になってから、ダメダメながらも部長としてインターハイ団体出場を達成することができました。部長になって本当によかったなと思った瞬間でした。しかし、1つだけ心残りがあります。それは、チームの最終目標であるインターハイベスト8を達成できなかったことです。この目標は、涼翔(現キャプテン山本)を中心に、達成してほしいと思います。今まで以上に厳しい練習をやっていくことになると思いますが、来春に悔いの残らないよう、今を過ごしてください。応援しています。最後に、「北越魂」を持って、がんばれ!!