HOKUETSU Spirits 2025 ~ギアを上げる~
髙橋泰・山澤が初タイトル
シングルスも上位を独占
長かった夏も終わり、すっかり秋めいてきました。
新チームがスタートしてから初めての県大会。県新人選抜大会が上越市にて行われました。
この大会に向けて、夏からこのチームが取り組んできたことは1つ。「攻めるテニス」です。多少雑になってもいいから、攻めるテニスを目指せと伝えてきました。
秋季地区大会の結果、この大会への出場は6ペア。それぞれがこれまで取り組んできたことに信念をもって戦ってくれました。
まずは丸山・稲垣。地区大会をベスト8で通過したこのペアは、この1か月間、攻めるテニスの精度をあげることを目標にサーブ、レシーブ、ストローク、ボレーを徹底して磨こうとしてきました。しかし、怪我や体調不良が重なり準備万端とは言えない中での大会本番。初戦の相手は中越高校。強風に苦しみながらも攻める気持ちを持ち続けて戦いました。しかし、ミスの少ない相手に対してなかなか攻め切れません。一進一退の攻防でしたが、最後にこちらのミスが重なってしまい、ファイナル負け。非常に悔しい敗戦でした。十分に上位進出が可能なペアだと確信していましたので、私としても残念な気持ちでいっぱいです。しかし、「攻めるテニス」を最後まで貫いた2人の姿勢は見事でした。きっとこの悔しさが、来春の笑顔に変わると信じています。
風が強い中での試合で、相手後衛より自分のほうが多くミスをしてしまった。打球力で負けた球はなかったが、コートが滑りにくく、足を動かさなければいけない状況で、足を止めてしまい、スピードをあげようという意識をしてしまった。相手の前衛はひたすら動いて、風を考えてポジションをとっていく感じだったので、意識しすぎてしまい、アウトが増えてしまった。今回の敗因は風があるときの技術不足、フットワーク、大事な場面での失点だと思う。1回戦は負けてはいけないという感情がでてきてしまい、弱気になってしまった場面もあった。挑戦者という気持ちより受けるようになってしまった。攻め続けることはできたが、そういう感情のせいで大事なポイントを雑にしてしまった。どんな相手にも向かっていく気持ちを忘れてはいけない。(丸山大翔)
続いて大簱・馬込。20位決定戦でなんとか新人戦への切符を手にしたペアです。後衛の大旗は地区大会で、ミスを怖がってつなぐだけの消極的なテニスしかできず心の弱さを露呈しました。この弱さと向き合う1か月でした。何百球、何千球と打ってきました。この大会で、強く打ち切ることを目標に努力を重ねました。初戦、長岡商業に勝利すると続く3回戦では下越地区の2位の村上高校。技術のある相手でしたが、気持ちの強さでその差を乗り越えてくれました。4回戦では、巻高校のエースに力負けしましたが、堂々のベスト16進出を果たしました。
今日の県新人で越えるべきだったベスト16の壁を越えられてよかったと思う。でも試合の内容はとても満足のいくものではなかった。県の上位と戦うには、技術もフィジカルも足りていないと思った。逆に成功したこともあった。ペアとコミュニケーションをとり続けることと自分たちから攻めてラケットを振り切ること。この2つができていたから、戦えたと思う。今日の大会で成功したこと、失敗したこと、足りないことが明確になった。県インドアまでの期間で課題を少しでも克服する。インドアはベスト8の壁を越えて北信越に行く。馬込ともっと上に行く。(大籏奏輝)
次は中野・伊藤。北越の目指す攻撃的なテニスを非常によく体現してくれるペアで、大会や練習試合をするごとにプレーの質が上がっていく面白い2人です。今大会では、上位進出を果たすために越えなければならない相手がいました。その相手は上越地区3位、産大附属のレギュラーメンバーです。相手後衛は今年のインターハイにも出場した圧倒的格上でしたが、臆することなく攻めのテニスを展開していきました。中野の積極的なラリーから伊藤のネットプレーで得点を重ねました。ファイナルゲームにまでもつれる試合でしたが、最後まで強気な姿勢を崩さなかった中野・伊藤が壁を越えてくれました。続く準々決勝でも巻高校のエースを相手にどんどん攻めていきG3-1までリードしましたが、そこから相手に対応され、悔しい逆転負けとなりました。地区大会でも同じ相手に負けましたが、間違いなくその差は縮めたと感じます。もっともっと2人のテニスを追求してもらいたいと思います。
4ペア目は早川・髙橋奈。今までコンスタントに結果を残してきたペアですが、その分周りからは見られ、対応されていきます。しっくりこないことも多く、チグハグな状態が続いていました。今大会でも、その不安が解消されることはなく波に乗ることができません。常に迷いながら戦うような状態で積極的に攻めることもできません。なんとかベスト4まではいきましたが、準決勝の相手はそのような状態で挑めるほど簡単な相手ではありません。必死に歯を食いしばりながら戦いましたが越えられませんでした。G2-4。非常に悔しい敗戦だったと思いますが、この2人が生まれ変わるために必要な痛みなのだと信じて、大黒柱のこれからの成長を見守っていきたいと思います。
目指していた結果をとることはできなかった。今日の試合では戦い続けることを大切に試合をした。準決勝は終始バックを狙われ続けていて狙ってくることもわかっていたけど、それを阻止することができなかった。今回負けてしまったけど、ここで戦うのをやめたらずっと壁は越えられないと思う。去年の冬、全然戦えなかった。今年は戦えるように、やるべきことをやる。(早川寛康)
自分たちはあと1点が大切にできていないと感じた。攻めるのが雑になってしまう。それでは、いつまでも勝ちきれない。準決勝は、こっちの切り札として寛康が引っ張りの球をいつでも打てる状態をつくっておかないといけないのに逆になっていた。寛康は後衛前にしか打たない、自分は相手の引っ張りを警戒して動けない。自分たちで自分たちの不利な状況をつくって、その中で攻めようとしてるからうまくいかない。雑、無謀なプレーにつなげてしまった。
早川・髙橋は髙橋・山澤や加藤・新海のようにいろんなことはできない。だからこそ、1つの武器を2人が持たないといけない。2人の武器を合わせて、誰にも負けないようにすればいい。
地区大会、県新人ともに3位で今は結果がでない時期。ここで投げやりになるんじゃなく、どれだけ自分と、ペアに向き合えるだと思う。逃げない。乗り越えて、みんなに信頼されるエースになる。(髙橋奈々輝)
そして加藤・新海。地区大会からペアを組んだ2人ですが、2人の攻撃性が非常によくマッチしてきました。積極的に仕掛けて先手を取り、ディフェンスさせません。北越が今求める「攻めるテニス」を追求してくれたと思います。まだまだ粗さがあり、競った内容にはなるのですが、どんなに競っても攻め続けた加藤・新海は準々決勝で産大附属のエースペアにも一歩も引かずファイナル勝ち。見事にベスト4に進出しました。
そして準決勝は加藤・新海と髙橋泰・山澤の同校対決。この試合は加藤・新海が受けてしまいました。髙橋泰・山澤の攻撃が次々と決まり、加藤・新海は残念ながら為す術なく敗れました。
風が強く、最初は思うようなテニスができなかったけど、終盤は自分たちがやりたいと思うテニスを表現できた。精度が低く、ギリギリの戦いが多かったから、もっと細かい技術に目を向けていきたい。ダブル前衛のときのポジションがまだ曖昧だから、慣れていけるようにする。
今回の県新人では、コンディションが悪いなかでどうやって自分のテニスができるか、ペアとコミュニケーションを取り合ってプレーした。カウントが均衡したときは、1人でどうにかするのではなく、2人で1本を意識して勝ちきれることが多かった。ここからはもっと精度を上げて相手を圧倒できるようにする。
インドアシーズンがはじまって、これからはチームでの戦いになる。一人一人がチームのために行動して全国に向けて戦っていきたい。(加藤玲音斗)
今日はベスト8の壁を越えられた。1日を通して苦しい場面はたくさんあったが、2人で乗り越えられてよかった。最後まで攻めの気持ちをもってできた。
この2日間で多くの成果と課題がでた。成果はベスト8の壁を越えられたこと、しっかりとペアを信用して攻め続けられてたこと。課題はサーブを打ったあとの3球目の攻撃が雑になってしまうこと、風が強い中での戦い方を見直すこと。
インドアではベスト4の壁を絶対に越える。まだまだ自分は強くなれる。(新海一維)
いよいよ決勝。髙橋泰・山澤と巻高校のエースとの対決です。1年生ペア同志の決勝となりました。中学時代からしのぎを削ってきた2ペアで、今年だけでも対戦は4回目。今大会最後の戦いはライバル同士の戦いとなりました。
過去3回、髙橋泰・山澤が勝利していることもあり、序盤から受けてしまったように感じます。攻め切る本来のテニスにならずリードされ、焦って強引にプレーしミスをする。完全に相手に流れを渡してしまい、G0-3。絶対絶命です。しかし、3ゲームが終わってのチェンジサイズで2人は意思を共有し、賭けに出ることにしました。今まで以上にポジションを上げ、相手にプレッシャーをかけることにしたのです。まさかの大逆転。後半4ゲームは失点はわずかに3。驚異的な戦いでした。
優勝することができてよかった。だけど自分たちの試合に入るときの気持ちの持ち方の課題、そして技術不足を感じた。まず試合の入り方の気持ちで、準々決勝までは相手と差があったからネットプレーが少し雑になっていた気がする。この余裕な入りを決勝でしてしまったからこそG0-3になってしまったと思う。だから次の大会からは余裕だなんて思わずに試合に入りたい。だけど今日の決勝は自分たちの成長を感じた。今までだったらG0-3になったら諦めていたと思う。でも今回はしっかりとギアを上げて勝負できたから結果的にファイナルで勝てた。1つの成功体験をすることができてよかった。そして技術面の課題は風があるときに軸足が早く決まってしまってミスになっていたと思う。他にはサーブはいい確率で入っていたけど、まだカットサーブが制御できていないから、これからの練習で修正したい。(山澤隆人)
勝負に絶対はありません。必ず勝てる方程式は存在しません。ギャンブルをしなければならないときが必ずあります。髙橋泰・山澤が優勝できたのは、そのギャンブルを成功させられたからですが、それを成功させたことが素晴らしいのではなく、選択したことが素晴らしかったと思います。どんなときでも不安はあります。リードされたら守りたくなります。しかし、その思考のままではいずれ負ける未来が待っています。勝負を賭けることを選択した2人が、県の初タイトルを奪取しました。
今大会は、私は一度もベンチに入らず、外から観戦することにしていました。事前に選手たちに、苦しい場面でもペアで解決してほしいと伝え、大会前から様々なことを想定しながら準備してきました。多くの選手が競ったり、リードされたりする場面がありましたが、2人で対話しながらいくつもの困難を乗り越えてくれました。
次の日にはシングルスが行われ、北越からは7人が出場しました。新潟地区から10人が出場権を得られるシングルスで、7人が権利を得られたことは素直に喜ばしいと思っていますし、新潟県をリードしていこうと決意している我々にとっては、このシングルスも負けられない大切な戦いだと思っていました。
この日はフィジカルに優れた2年生たちと、テクニックに分がある1年生たちが激突しました。準決勝で対戦することになった早川と髙橋奈。ダブルスではペアを組む2人は、お互いが一歩でも前に出て、速いテンポで戦いました。一進一退の攻防でファイナルになりましたが、ほんの少しの差で髙橋奈が勝利し決勝へ。もうひとつの準決勝は山澤と新潟工業の選手。こちらも競った試合になりましたが、技術に勝る山澤がG4-2で振り切り決勝へたどり着きました。
決勝は序盤、髙橋奈の攻撃が山澤を圧倒しますが徐々に対応していくと、髙橋奈が焦りミスが増えたようでした。終盤は山澤がコートを広く使い髙橋の体力を削っていきました。最後は山澤がネット際に短いボールを落としてゲームセット。山澤の2冠で今大会は終了しました。
普段、シングルスの練習をする機会はほとんどなく、手探りな中で戦っていました。しかし、練習の量と質で絶対に負けないプライドが我々にはあります。技術に勝る選手は他校にもいますが、それを超えるだけの練習はしてきた自負があり、それを今大会で証明してくれたと思っています。
我々が目指すのは、あくまで夏のインターハイ。そして、インターハイを勝つために全国選抜で2回戦の壁を越えたい。新人戦はそのための最初のハードルでした。まだまだ積み上げていかなければならないもの、磨き上げなければならないものは多くありますが、チーム全員が力をひとつに、これからも励んでいきたいと思います。
悪天候のなかでしたが、多くの方々が応援に足を運んでくれました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。









