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2025年7月17日 (木)

DREAM FACTORY 2025 盛夏 

<あらゆることから力を集めて>

 梅雨をほとんど感じず、暑い毎日です。新チームがスタートしています。
県総体団体戦決勝敗退。私が北越高校へ赴任してから初めてインターハイ団体戦のない夏です。冬の団体戦1回戦負けから約7か月、紆余曲折を経て、そして9人の1年生を迎えて、この日へ向かいました。二度の挫折から立ち上がったキャプテン吉澤が粉骨砕身チームを作ってきましたが、「間に合わなかった。」
理由はあげられます。全てを受け止めるしかありません。決勝で戦った三条高校は冬のチャンピオン。プレッシャーも並大抵ではなかったと思いますが、キャプテンを中心に火の玉となっての戦いでした。山口インターハイでのご活躍をお祈りします。
絶望の中にも1年生ペアの個人戦優勝、そして選手達の成長が見られました。例年より少し早く2026年インターハイへの歩みを進めていきます。一歩はまだまだとても小さい、時に後退しているように見えることもあります。
あらゆることから力を集め、光を放つチームになってほしい。

ハイスクールジャパンカップ新潟県予選会
ダブルス
優勝   戸松・薄   ベスト8 吉澤・丸谷

シングルス
優勝   吉澤   準優勝  薄
3位   戸松


春季地区大会
団体戦  優勝
個人戦
優勝   戸松・薄
準優勝  吉澤・須貝
3位   石井・丸谷

県総体
団体戦  準優勝 
     決勝 対三条高校

        1戸松・ 薄  ④―0
        2吉澤・丸谷  3―④
        3五十嵐釉・石井2ー④

個人戦
優勝    戸松・薄
ベスト16 吉澤・丸谷


<キャプテン吉澤 茉子のノートより>

 3年目の県総体が終わった。インターハイに行けない。すごく悔しい。みんな私を連れて行こうって一つになってくれて、あとは私が勝って連れて行くだけだった。本当にみんなベストを出してくれて、本気でやってくれてありがとう。負けたけど、どのチームよりも一つになっていた。それは私がまとめただけではなくて、みんなが一つになろうとしてくれたおかげだ。そして、まだ北信越がある。最後のリベンジ。
 本当になんて幸せ者なんだろ私。
 先生、ベンチ見て何度も何度も助けてもらいました。人と目を合わせられない、ベンチ見れない私がこんなにも力をもらえるのだと今思い知らされました。遅かった。
 信じて戦うってこうことなんだな、と思った。団体戦で戦えない私を克服した気がする。全く戦えない私じゃなかった。悔しいけど楽しかった。接戦の緊張感が楽しいって本当にあるんだと思った。
 でもこれが勝っていたら本当にもっと楽しく、嬉しく、自信につながり、今後にもつながったんだな、と思う。
 勝ちたかった。勝てた。
 インターハイへは行けないけど、北信越で絶対リベンジする。県優勝できなくても、北信越で優勝すればいい。あと2週間、本気で生きて、残り8日では遅かったけど、14日は間に合うかもしれない。
 戸松、薄ごめん。インターハイへ連れて行けなくて。希空もごめん。私に、チームにこんなにも全力になってくれたのに。みんなとインターハイに行きたかった。戦いたかった。あと2週間で引退。悔いだけは残さず終わる。
ファイナルP4-5忘れるな!!G2-1リード思い出せ!!
北信越ではリベンジ!!
笑顔で終わる残り2週間。全力で生きろ!!
今日も1日ありがとうございました。
(6月8日)

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 団体戦決勝敗退というこれ以上ない悔しい結果ではありましたが、その中にもキャプテン吉澤を含め、選手達の成長が見られました。この高校3年間という特別な期間での人間的な成長には驚くばかりです。仲間がいて、その成長を望み、促すことで自分も成長する。いつもいつも感動します。話は前後しますが、ある選手の成長を紹介します。


<チームのために“釉”らしくプレーを貫き通す 2年五十嵐 釉のノートより>

 県総体の1日目が終わった。1日目を終えてミーティングで強く伝えられたのは“コミュニケーション”・・・。日常生活からつながっているけど「誰かから話しかけられるのを待つ」ではダメ。それは受け身になっていて自分から行動していない。試合での攻めという展開を作ることにもすごくつながることだと思う。行動や実行をしない限り辛い場面、苦しい場で道を絶対に切り開けないわけだから、「この場面」と思いつつ団体戦も今日みたいにベストで戦い抜いていきたい。同じ学年同士でも学べることがあるから、自分自身に不足しているものを、他者を見て自分に取り入れることが大事なんだと思う。
 今までの自分と比較した時に、今までは“自分が勝つことだけに集中して他者の気持ちに興味がなかった。”だからコミュニケーションが成立していないってこういうことだな、とようやくわかった。1人という孤独感からやっと抜け出して、人と関われるような気がしてきた。
 そして、北信越決定戦。負けてしまったけど自分のベストプレーができた。それはチームのみんなが本気で応援してくれたからここまで戦うことができた。本当に応援ありがとう。昨日宣言した「“釉”らしくプレー」というのができて、心の真ん中に常においていたのは“チーム”。特に応援している人の気持ちをずっと考えていた。悔しい思いをして仲間を応援してくれている。自分たちも試合をしたい、戦いたいってチームみんなが思っている。その気持ちをよく理解してベンチ、応援席、チームみんなの顔を見て頑張り続けた。団体戦も一丸となって頑張りたい。(6月6日)

 2年生の五十嵐釉はストローク力、戦う元気はあります。しかし、「決めたい」、「勝ちたい」気持ちだけで状況判断ができなくなることが多く、そのために自分から勝負の舞台を降りざるを得ないことが度々ありました。状況打開のためにはペアや仲間、指導者とのコミュニケーションが必要ですが、練習でも度々そこで躓き前へ進めない日々を過ごしていました。戦うアドレナリンを抑えようとして、無気力に見える態度になってしまったりして、真っ暗なトンネルの中にいるようでした。地区大会も県総体でも団体メンバーに入れることはとてもできませんでした。
 

 きっかけはどこに転がっているかわかりません。個人戦前日の夕食の時、私の英語の授業で出てきた「釉薬」の話になりました。釉薬とは陶磁器の表面に塗る「うわぐすり」のことです。釜で焼かれることでガラス質となり、水の浸透を防ぎ、つやが出るのだそうです。そして焼き上がるまでどのようなその陶磁器がどのような色合いに仕上がるかはわかりません。ダブルスで言えばペアの力を引き出し、美しく輝かせる、そして2人で最高の色合いを作っていく・・・そんな会話の中で五十嵐の顔が変わったように見えました。
   
 この後輩の変化はチーム全員に力を与えました。昨年は自分が負けてチームメイトの応援をすることはほとんどなかった吉澤ですが、悔しさを飲み込んで後輩の成長を讃えます。そして、怪我で団体メンバーを外さざるを得なくなった須貝の代わりに五十嵐釉が団体戦メンバーに入ります。

<キャプテン吉澤 茉子のノートより> 


【明日は団体1日目】
個人戦、三条の2番手に負けてインターハイの切符をとることができなかった。本当悔しい。勝てた。もっと戦えた。もう個人戦の振り返りは1回やめて、団体戦に向けて、団体で山口インターハイに行くために気持ちを切り替えていく。

【ミーティング】
日常の生活がコートで現れる。例で出ていたご飯の時のお茶や会話。1,2年の時は一人と言うのもあったし、当番のようにやっていた感じ。だから、今思うと自分から「こうする」ってできていたらまた変わっていたかもしれない。でもこれは北越というチームの環境、先輩達の指導のおかげで今は抵抗なくコミュニケーションがとれるようになったと思う。だから、先生と作った、先生に整えてもらったスキルと思えて、3人で戦うというのも忘れていませんでした。今日のコメントの「おれも信じているぜ」という言葉が嬉しかった。
 本当に日常が出る。もう今までの経験から痛いほどわかった。でも今の頑張りも出てくれるはず。毎日商店街を走って向き合った時間、絶対試される場面がある。
やりきれる自分を作ってきた。あとはそれを出すだけ。まだチームのキャプテンとして解散したくないし、山口にこのチームで行きたい。

【五十嵐】
負けて応援という立場になって、五十嵐・吉川の戦いを応援した。こんなにも一緒に戦ってるって思えた。特に五十嵐。なんか急に成長してるじゃん!ついこの前まで心配で朝練で強く伝えたりもしたけど、なんか人の成長って本当に嬉しい。今日の2人みたいなプレーと姿は応援したくなるし、感情が入りまくる!これがチームで戦うってことか。私も五十嵐みたいに振り切りたい!
団体戦に命をかける。絶対に山口インターハイへ行く!1,2年生の力を借りながら、キャプテンとして引っ張り、自己ベストを出してもらう。明日も全力で濃い1日を過ごす。まだまだドラマは終わっていない。切り替えろ、私!
(6月6日)

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<五十嵐 釉のノートより>

 3日間、みんな県総体お疲れ様。そして今日の団体戦、全力で応援してくれたチームのみんな、先生、先輩、保護者の方々本当にありがとうございました。
 残念ながら14連覇を果たすことができず、茉子先輩をインターハイに連れて行けず、本当に悔しい思いと申し訳ない気持ちでいっぱいです。負けた瞬間から、本当に現実なのか受け止められず、頭の中は真っ白だった。1-1三番勝負という絶対譲れない場面で負けてしまってチームをどん底に落としてしまった。私、こんなことをしに北越に入ったわけじゃないのに。本当に北越に来てよかったのな。正解だったのかな。来るべきじゃなかったかな。こんな言葉がずっと浮かんできていた。
 いつ恩返しできるんだろう。いつ本当にチームに役立てる日が来るんだろう。先輩に恩返しすることができなくてどうしたらいいかわからない。

ただ、振り返っても決して内容が悪い試合ではなかった。気魄出して向かっていく気持ちを最後まで崩さず、後輩を引っ張っていくということを先輩としてやり通せた。今までの自分だったら自分のことに精一杯で、自分しか見れないでペアやチームの足を引っぱってばかりだった。大事な場面、戦う場面を自分で壊してしまい、感情のコントロールがなかなかできないで情けないプレーをしていた。
 でもこの3日間ですごく自分の成長を実感した。“団体戦”というのは特に“チーム力・チームのために戦う”ということがとても大事になってくる。だから、自分一人だけでは絶対成り立たないし、チームの人と協力するしかない。当たり前のことしか言っていないけど、本当に私はできなくて、人との関わり・コミュニケーションがうまくいかず、できるだけ関わらないように“自分が”避けてしまっていた。
 一昨日の夜(県総体前日)、夕食を食べている時のコミュニケーションが、自分が変わるきっかけとなった。それは先生とチームの人との会話だった。
 自分の名前の話になって、“釉”という名前、漢字の意味を改めて知ることができた。「多彩な色、実用性」といった意味があった。“自分らしさ”で言ったら全くそんなことはなく、中身はもっとガツガツしていて、自分しか興味を持てていないから周りが見えなかったり、あらゆることに気づくことができなかった。
 “自分らしさ”と、漢字の意味“釉らしさ”、このどちらかを選択していきるならどっちにするの?と先生から問われた時に、自分らしさも大事だけど、“釉”という名前をつけてもらって釉らしく生きれていない自分よりやっぱり名前の“釉”らしく生きたいな、と思った。だからはっきり言った。「“釉”らしく生きたい。」
 ここから何かが変わり、大会でのプレーは今までのものとは別物で、自分でもびっくりした。チームのみんなにも改めて宣言した。「いつも自分らしさを大事にしてこだわっていたけど、“釉らしさ”を大事にプレーするね」って。
 宣言したことをやりきれたと思う。100で向かっても届かなかったけれど、ベストを尽くして最後までやれた。この県総体の3日間で、日常生活での人とのコミュニケーションのおかげですごく成長できたことを実感し、気づくことができた。人と関わるとこんなに変われるんだ。学びや気付きってすごく大切なんだ。
 自分と関わってくれたチームのみんな、先生には感謝しかないです。そして、母。今更かもしれないけど、“釉”という名前をつけてくれてありがとう。この名前、とてもすてきな意味だね。なかなか結果を出しての恩返しができないけど、信じて待っていてほしい。時々、目標に向かっていると壁にぶつかって諦めてしまいそうになって目標から目を背けてしまうけど、やっぱり恩返したいから最後まで見ていてほしい。これからも応援よろしくお願いします。
 石井、ペア組んでくれてありがとう。正直1-1三番勝負はすごい緊張だったね。でも絶対引かず、向かっていく石井の姿見てとても嬉しかった。辛い場面しかなかったと思うけど、石井自身不安な気持ちをコントロールしていて、表情には決して出さずプレーをやりきっていた。やっぱりできるじゃん。私は石井に「自信持ってね。」「まっすぐ決めたことをやり通すよ!」と試合中常に伝え続けた。私の思いはしっかりと石井に伝わっていてとても嬉しかった。
 それでも届かなかった「あと一歩」の悔しさは北信越の団体戦でぶつけていきたい。必ず茉子先輩に恩返しできるようにまた気持ちを切り替えてチーム一丸で向かっていきたい。


 僕も釉の変化には正直驚いています。こんなにも人は変われるものなのかと感心しました。 ずっとずっと君には伝えてきた「人に興味・関心を持ちなさい。人と関わりなさい。人とコミュニケーションを取りなさい。」そのことのとてつもなく大きな意味にやっと気づいてくれたんだね。ようこそ「チーム北越」へ。再入部ですね。
 ラスト1年、マジで楽しみです。(津野)

 “釉”として、お誕生日おめでとう。(栁)
(6月8日、9日)

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<光を放て>

 県総体から2週間後の北信越大会は「チーム吉澤」として最後の大会でした。エース戸松・薄をハイスクールジャパンカップで欠きはしましたが、「吉澤のため」に後輩達が一丸となって戦いました。2回戦能登高校にかないませんでしたが、未来に続く戦いだったと思います。ただし、チームとして「ファイナルで勝ちきれない」課題が県総体、ハイジャパ、北信越と明確になっています。「ファイナルに強い北越」にもう一度なるために、1日1日、一球一球向き合い続けていきます。
 吉澤の本当に最後の勝負は国民スポーツ大会です。8月末のブロック予選に向かい、チーム一丸、精一杯生きていきます。
 

北信越大会
団体戦  ベスト8
個人戦ベスト16  石井・丸谷

ハイスクールジャパンカップソフトテニス2025
シングルス
1回戦  吉澤3―④ 一関学院

ダブルス
予選リーグ 戸松・薄1―④ 出雲北陵
      戸松・薄③―④ 米子松蔭


<チームを代表して山口へ 薄 優心新キャプテンのノートより>  

 今日は身体調整日だった。もうすぐでインターハイになる。初めての舞台で緊張するとは思う。けれど、なにもしない昭和ダブ後で終わるのは本当にもったいない。家族も応援に来てくれる。北越に来て4か月くらいしかたっていないかもしれないけれど、ここまでやって来た成長した姿を見てもらいたい。ハイジャパのあの試合がどう変わったかを。そのためには残りの少ない時間でどれだけ正確性を上げて、おもしろいテニスにするための自分の課題と向き合って行けるかどうか。まだ時間はある。変わっていくチャンスを作るぞ!
そして来年こそは今がみんながインターハイの団体に向けて必死になっている時期でありたい。やっぱりみんなが同じインターハイの目標に向かって頑張っていきたい。今年と同じような、悔しい結果では終わらせない。茉子先輩を連れて行けなかったあのときの悔しさ、涙を決して忘れないでほしい。
(7月14日)


<最高の仲間>

 今回の最後に、もう1人の3年生を紹介します。朝妻希空。1年生の時からペアを組めない選手と組んで試合に出てもらっていました。今年、春の地区大会エントリーの段階で奇数になることがわかり、「最後にもう1回お願い」しました。少し考えて、了承してくれました。地区大会では1年生の今井、県総体では同じく1年生の齋藤と組み、後輩をのびのびと戦わせてくれました。絶大なるコミュニケーション能力と笑顔。その姿はチームに大きな力を与えてくれました。そして、津野監督は朝妻に「山口インターハイまでチームにいてほしい。」と話したのです。朝妻の加入で、県総体前にチームは完成形にぐっと近づきました。何よりもキャプテン吉澤に笑顔が増え、心に余裕が生まれたように見えました。
残念ながら朝妻を山口へ連れて行くことはできませんでしたが、みんなが朝妻を大好きです。ありがとう。 

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北越高等学校 女子ソフトテニス部

       顧問  栁 直子

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