2018年8月17日 (金)

DREAM FACTORY 2018 盛夏(鈴鹿インターハイ)

鈴鹿IH  団体準優勝!
第1シードを倒し、
夢の頂点まであと一歩!


鈴鹿IH 35

平成30年度 鈴鹿インターハイ 
(7月30日~8月2日 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 庭球場)
団体戦
1回戦 シード

2回戦 ②-1 羽黒(山形)
 水澤・木村 ④-1 三浦・福島
 前山・冨樫 ④-2 石井・池添
 阿部・田中 1-④ 白幡・川又
3回戦 ②-0 高田商業(奈良)・・・(皇太子様 御覧試合)
 阿部・田中 ④-2 籠谷・石井
 水澤・木村 ④-1 山田・木原(恵) 
準々決勝 ②-0 三重(三重)
 水澤・木村 ④-0 竹田(真)・藤城
 阿部・田中(打切り)高場・花尻
 前山・冨樫 ④-3 田川・浪岡
準決勝 ②-1 須磨学園(兵庫)
 阿部・田中 0-④ 木瀬・平岡
 水澤・木村 ④-1 牛留・安保
 前山・冨樫 ④-3 江藤・掃部 
決勝 1-② 昇陽(大阪)
 阿部・田中 3-④ 蓮岡・吉田(澪)
 水澤・木村 ④-2 上野・岡田(麻)
 前山・冨樫 2-④ 吉田(さ)・吉岡 

「私は超える!」
これが、今年1年、鈴鹿IHまでのチームスローガンでした。
昨年、会津IHでベスト4まであと一歩のところで負けてしまった。2年連続で阻まれたベスト4への壁。そして、チームの主力であった3年生が抜けた後の新チームは精神的に幼い選手が多かった。その幼い自分と向き合い、超えていかなければ全国で戦うことができない、そのような思いから作った年間スローガンでした。
今回の鈴鹿IHで見せたこのチームのドラマは、僕の想定をはるかに超えていました。
記者さんに、表彰式の後インタビューされました。
「失礼ですが、春の選抜では初戦敗退ですよね。しかも同じ6人(スーパー1年生等の加入なし)ですよね。そのチームがたった4カ月でどうしてこれほど強くなったのですか?」
簡潔に語れることと、簡潔に語ってしまっては真実を損なうことと、物事には二つあります。この記者さんの疑問は全くごもっともなのですが、それは簡単には語れないことです。
あえて、言ってしまえば、同じ6人のメンバーが、当時抱えていた自分の弱さと真剣に向き合い、それを超えていったからだ、とは言えると思います。
「私は超える!」
本当に彼女たちは超えていきました。その結果としての全国準優勝。ここに至るまでの彼女たちのひたむきな日々に心から敬意を贈りたい。

鈴鹿IH 31 鈴鹿IH 32 鈴鹿IH 33


決勝戦の後、本当に多くの方々から祝福のメッセージをいただきました。
彼女たちの戦いは、多くの人に勇気と希望を与えたようです。
メッセージの一部を紹介させていただきます。

「準優勝、おめでとうございます。選手たちの闘う心に感激しました。惜しかったですが、素晴らしい試合でした!」
「すごいです。感動しました。先生が書かれている北越のブログの内容とリンクして、先生と生徒の気持ちに震えました。おめでとうございました。」
「チーム北越、準優勝おめでとうございます。優勝まであと1ゲーム、惜しかったです。でも、津野先生がずっと取り組んできたことの成果が次々と出てすごいです。お疲れさまでした。」
「団体2位、おめでとうございます。本当にみんなよく頑張っていて勇気と感動をもらいました。前山、木村、阿部、3年生が本当に成長していて驚きました。特に阿部が田中を引っ張って戦う姿、最後まで力強い声をコートに響かせて攻め続ける姿も中継からよく伝わってきました。庭野も全力でサポートしていたと思います。とにかく本当に感動しました。日本一まであと一歩でしたが、多くの人にエネルギーを与える戦いだったと思います。私も悔しさと感動で涙が溢れました。」
「準決勝からインハイTVで見てました。水澤のハイジャパ優勝も感動しましたが、今日の戦いも感動させてもらいました。鈴木保科田辺が抜けて大変だよ、と言っていたチームが堂々の準優勝、すごいと思います。団体決勝の舞台、全国のファイナリスト! 本当に1歩ずつてっぺんに近づいてますね。いい試合を見させていただきました! 先生、選手のみなさんありがとうございました。」
「素晴らしい戦いを観させて頂きました。日本一まではあと一歩…でしたが、日本一魅了する戦いをしてくれたと思います。感動をもらいました! 俺も、もっと頑張っていこうと思いました。」
「準優勝おめでとうございます。ライブ配信で見ていました。うまく言葉で表せませんが、本当に力をもらえました。気づいたら見ていた母と二人で泣いていました。日本一が目の前にあったからこその悔しさもあると思います。私も悔しかったです。でも準優勝という結果はみんなの頑張った最高の結果だと思うので、胸を張って新潟に帰ってきてください!」
「団体準優勝おめでとうございます。インハイTVに釘付けでした。あと一歩のところで、本当に悔しいです。来年こそは優勝しましょう。北越を目標に頑張ります。本当に勇気をもらいました。」
「先生! インハイ団体準優勝おめでとうございます。動画でリアルタイムで応援していました。本当にインハイ優勝がもうすぐ近くにあるんだなと感じました。団体に強い北越、やっぱり最高ですね。チーム力にただただ感動です。みんなの闘う姿を見て、勇気と元気をもらいました。自分もあんな風に引かずに迷わず攻め続けるプレーをしたいと思います。今後も津野先生らしく、北越らしく、頑張ってください。選手にも『おめでとう!』と伝えてください!」
「激戦、お疲れ様でした。新潟で応援している私でも疲れ果ててしまったのですから、現地で応援している保護者のみなさん、サポーターの子供たち、選手、先生の疲労感は半端ないですね。正直、春の地区大会を見た時、今年はインハイに行けないのではないかと心配していました。今年のチームは間に合わない、と思いました。それなのに、この試合。強くなったんですね、驚きました。三重戦から涙腺崩壊してました。少しずつ日本一に近づいている! 先生、来年ですね! 絶対日本一! 応援しています。」
「みなさん本当におめでとうございます。頂点まであと少しというところで、悔しさもあると思いますが、みんなの頑張りと優勝候補の壁を破っての準優勝という快挙はいろんな人にすごいパワーを与えています! 母校の北越女子ソフトテニス部が決勝! という文字を見て驚きと感動で心がいっぱいになりました。卒業してからもいろんなパワーと勇気を伝えてくれる津野先生に高校時代に出会えたことに感謝します。平成最後の夏、すごい感動をありがとうございます!」
「インターハイ団体2位、おめでとうございます。インハイTVを見ていて、私の現役の時のことも思い出しました。そして今の私にとってもすごい勇気をもらいました。実は今、仕事でつらいことが多いのです。ですが、みんなの試合を見たら、私も頑張らなきゃ!と思いました。これからもずっと応援しています。」
「準優勝、おめでとうございます。北越らしいいいチームになりましたね。見てて感動したし、パワーをたくさんもらいました。3年生と水澤が本気でチームを作ったのだなと感じました。木村、成長しましたね。たくさんの壁を乗り越えてきた証拠ですね。前山も阿部も去年の二人とは別人でした。最高学年として責任を持ちながら戦っている姿が見ていてわかりました。前山、去年と違って全然チャラくなかったです。北越の立派なエースになりましたね。」
「インターハイ準優勝おめでとう! 家族で乾杯したよ! 友達として本当に誇らしいよ! 私たちももう一花咲かせたい、まだ諦めたくないって思いました。元気もらいました。どうもありがとう。本当におめでとう。」
「インターハイ団体準優勝おめでとうございます。未だに信じられない思いです。みんな本当に頑張りましたね。三重戦と決勝戦はライブ配信で見てました。一人ひとりの成長が感じられ、涙が止まりませんでした。チーム力って本当に大事なんだなって、改めてみんなが示してくれました。日本一まであと一歩、素晴らしい戦いをありがとうございました。北越のみんなとまたテニスをしたいなと心の底から思いました。私もみんなに負けないよう頑張ります。」
「インハイ準優勝、おめでとうございます。日本一まであと一歩でしたね、惜しかったです。私もハラハラドキドキしていましたが、すごく嬉しい気持ちで一杯です。『あらゆることから力を集めて光を放て!』という北越の部訓って、改めて凄い言葉だなとしみじみ思うんです。私もうまくいかないことが多かったりチーム内の嫌なところが見えたりしていたのですが、この言葉を思い出して、自分に集中できるようになったんです。うまくいかない状況や他人の嫌なところからでも人は力を集めることができるんですよね。そして光に換えていくことができる。様々なことからプラスのエネルギーを集められるんですよね。これから私もインカレが始まります。4年目にしてやっと自力でインカレの切符を手にすることができました。やっとです…。いろいろ苦しいことも多かったですが、やっぱりテニスを続けてきてよかったと心から思っています。」
「インターハイでの団体準優勝,本当に本当におめでとうございます! 本当にお疲れ様でした。とんでもない偉業だと思います。灼熱の地でまさに台風の目のごとく、選手一人ひとりの個性が躍動していたように見受けられました。しかもインターハイでもう1勝という課題をちゃんと残してきたことも、彼女たちらしいというか、とっても素晴らしいです(笑)。私自身は昨日夕方に仕事が落ち着いてからインターハイの様子を調べはじめて、そこからインハイTVに釘付けになり、20時過ぎまでライブ映像を拝見して帰宅できなくなりました。長丁場すぎますね、ソフトテニスの試合は。決勝まで進む選手と監督の負担はどれほどかと…、想像を超えていました。今回の結果はある意味新潟県にとっても衝撃だったと思います。確かに県外選手をスカウトして強化するという道もあるのでしょうが、他県とスカウト合戦をして同じ土俵で仮に勝利を得たとしてもこれ程の衝撃はありません。津野先生のように地元選手をしっかり育てていく覚悟と指導力があれば、地方から毎年毎年アップセットを起こし続ける面白いチームができる。このスタイルを長年追い求めてきた津野先生だからこそ結果として示すことができたんですね。相当な時間とエネルギーと育成力とが必要なのでなかなか真似はできないでしょうが、以前から津野先生のお話を伺って感じていたことが今回確信できたように感じました。選手にとっても先生にとっても、今回のインターハイが何かの結実であり、またスタートであることを願っています。素晴らしい試合を本当にありがとうございました。」



3年生がチームを作れない年は、団体で勝てない。
これは繰り返し僕がチームに伝える教訓です。
春まで、本当に今年は危ないと思っていました。3年生が責任と自覚を引き受けないからです。2年生の水澤にキャプテンを任せるのは適材適所ですからいいとして、その分チームをまとめる仕事、1年生にハートを伝える役割、横道脇道に彷徨うチームに喝を入れる責任、チームのハート作りを3年が引き受けようとしない、指導者として僕も苦しんでいました。口で言うのは簡単ですが、それを心底了解させるのは時間がかかります。深い信頼に基づかない指導など他人のお説教と変わらないですから。
でも、チームは変わりました。県総体の様子もこのブログに書きましたが、部長の庭野とフィジカルリーダーの阿部がまず脱皮して大きく進化してくれました。5月の連休の後、前山が少しずつ自分と向き合えるようになってきました。木村はセンバツの後から、毎朝自分と向き合うために走りつづけ、その成果なのか、日々の言動が頼れるものになっていきました。
そうして迎えた鈴鹿IH。脱皮した「蝶」たちが舞いました。
記者さんにはお答えできなかった、今年のドラマ。
いつものように、生徒たちのノートから浮き彫りにしてみます。

送られたメッセージの多くから「感動」を伝えていただきました。それは、おそらく、決勝の最後、ファイナルまでもつれて、才能も経験も技術も昇陽高校の選手には及ばない田中・阿部の平行陣ペアが、ガッツと意地と根性でボールを打ち合い、競り合っている姿からではなかったかと思います。
監督の僕自身、田中・阿部が見せた三重戦のパフォーマンス(G1-2で打ち切り)と決勝での戦いは、理屈で説明できないものだと思います。多分練習試合で戦ったなら、0勝10敗、しかもすべて大差ではないか、それくらいの力の差はあったと思います。阿部は県総体3回戦敗退(ペア鈴木)、田中は県大会ベスト8でやっとIH出場(ペア冨樫)ですが、IH個人戦では全くいいところなく初戦敗退。冨樫が頑張って挽回の糸口はつかむのですが、田中は応援している者がため息をつくくらいの自滅敗退です。それが、なぜ団体戦であのように奇跡のような戦いができたのか。それはひとえに阿部の力です。阿部のオーラで田中が何段階もバージョンアップするのです。
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阿部瑞希という選手は決して運動センスがあるわけではありません。身体の機能性も悪く、諸関節が曲がらないし使えない。新潟県加茂ジュニア出身、同じジュニアの前山の陰にいつも隠れていた選手です。ただ、阿部の並外れた才能は「ガッツ」です。絶対にあきらめない。それはパフォーマンス的にも、精神的にもです。多くの逸話がありますが、その最たるものは2年生の春先、体育でシャトルランの測定をしていた際、限界を超えてやり続けた結果、アキレス腱を切った、そこまでは普通の頑張り屋ですが、阿部は、自分が決めた回数まで切れたアキレス腱で走り続けたというのです。その結果の重症…。チームとしても試合の前で本当に痛く「いい加減にしろ!」と怒ったのですが、本人はアキレス腱を切ったとしても自分の目標達成の方が大事だろう、というわけです。ジュニアを指導していた先生は「野生児」だと言います。県総体のシードを決める3年春のハイジャパ県予選でも、胃腸炎で3日間も食事をとれない状態で、練習もできずに参加し、3位入賞。その時の阿部のテーマは「3年としての姿を見せる」なのです。胃腸炎で練習にも来れず「姿を見せる」も何もないだろうと思うのですが、阿部は違うのです。確かに大会に「姿を見せ」、しかも本当に3日間食べてないのか、という動きと元気で、ペアの1年生を盛り立てて、賞状を手にさせるのです。1年生の鈴木と組むことについても、阿部は自分から強く希望したのです。その理由は「唯香は才能があるのに、それを出さない。私が組んで唯香を変えたいから」なのです。こんな理由で最後の3年生の県総体のペアを希望するなんて、僕の常識を超越します。何度確かめてもブレない。このシード決めの大会では3位に入ったのですが、本戦の県総体では3回戦敗退。鈴木が狙われました。阿部は何もできず、最後の挨拶に歩み寄ります。それでも阿部のモチベーションは下がりません。春の全国選抜で田中と組んで敗退した、その田中と組んでリベンジをしたい、その思いをずっと持ち続けます。ですが、県総体の団体戦、北信越総体の団体戦、復活してきた2年生の今井にチャンスを与えたので、阿部は4番手ベンチスタートです。期待して使った今井はまだ進化の途上で、二つの大会ともに、2回戦から選手交代で阿部の登場。阿部はガッツを前面に出してチームに元気と勇気を思い出させる。その繰り返しです。このIHでも今井の体調が大会1週間前に悪化、団体メンバー確定は1週間前のことです。すべての経緯は、よくわかった上で、阿部は与えられたチャンスに全力を尽くします。自分がコートに立つかどうかはわからない。けれど、3番手後衛としてほぼ確定している2年生の田中を3年生として責任を持って指導しつづけるのです。選手として出たいけれど、3年生として自分のできることを悔いの残らないようチームの日本一のためやり遂げる、そういう覚悟があるのです。すごい人だと思います。阿部瑞希という18歳の人間は僕の18歳の想定マックスを超えますし、常識も超えていく、心から尊敬します。
ペアの2年生田中遥奈は、運動能力の高い選手ですが、精神的に幼く、なかなか思いが伝わらない。阿部は根気強く、言葉を変え品を変えて指導しつづけます。大会直前の阿部のノートからは、田中を何とかして進化させたいという阿部の切実な思いが伝わってきて、心が痛みます。


田中は、フィジカルリーダーとして、いろいろな仕事を任せられている。けれど、なかなか自覚がない。自覚って、人から言われて出て来るものじゃない。田中自身の中から湧き出てくるものじゃないと、リーダーとして誰も認めない。誰もが認めるリーダーになってほしくて、先生や真李や私は伝えている。でも伝えれば伝えるほど、田中の表情は曇り、声が死んで、あの目になる。もう、その「田中」はたくさん。「旧田中」はダメ。「新田中」にならないと。それが「超えていく」ってことでしょ。ただ、田中は絶対に心をわかってくれる。ペアとしてこれだけ一緒にやってればわかる。話せばわかってくれるけど、それをもっと深く心で受け入れてほしいんだ。田中はそれができるって信じているから伝えているんだよ。伝えてくれる一人ひとりの言葉は皆違う。一人ひとりは同じ人間ではない。だから、いろんな経験や願いが言葉になる。だけど、皆思いは一つ、田中に成長してほしい、それだけなんだよ。田中は幸せだよ。日本一を目指す中で17歳になって、恵理先輩(田辺恵理:どんぐり北広島)や先生方、心から熱く伝えてくれる人がいること、本当に感謝すべきなんだよ! リーダーの心になること、それが必ず大事な場面で自分を助けてくれるから。(7月30日 阿部瑞希)

田中は個人戦、初戦で負けた。夕方に冨樫と二人で戻って来て報告してくれた。やはり、勝負のかかる大事なところで、田中が頑張れない。いろんな人から伝えてもらったことを力にすることができなくて負けしまったこと、私も悔しい。やっぱり、やるべきことをやらないで、それを誰かやってくれる、そういうことを日々続けていけば、大事な場面で自分を信じることなんてできるわけがない。信じ切れる自分であるために、今日もまた強く伝えた。二人で決めたこと、信じてやり続けてね。今日の個人戦は、やり切ることができない「情けない自分」に負けたんだって、強く強く強く思って、それを忘れずに、個人戦のあの情けない負けがあったから、団体戦は戦えたんだ!って思えるように。
私の最後の戦いがいよいよ始まります。ここまできて、まだ足りないところはたくさんあるけど、日本一に向けてできることはまだある。明日は田中、冨樫も練習に加わる。先生はいないけど、どこよりも気魄込めて団体戦日本一のために頑張ります。1年間、日本一を目指してやってきた。明日は最後の練習だ。全てをかけてソフトテニスにかけてきた私の3年間を意味のあるものにするために、田中を最後まで信じて、一緒に戦う心を作ります。(7月31日 阿部瑞希)

明日はいよいよ団体戦。私は9年間テニスを続ける中で、北越の先輩達に憧れてこのチームに入り、ここで3年間食らいついて生きてきた。去年の会津インターハイが私の全国初舞台で、先輩達はすごいドラマを作ったけど、私はシード校には歯が立たず、先生に「ガッツだけではどうにもならない世界なのだよ」と伝えられて、それから1年、技術もタクティクスも、そしてフィジカルはリーダーになって日本一を目指してきた。
会津インターハイの帰り道で、ベスト8からベスト4への壁があることと、私達一人ひとりにも乗り越えて行かなければならない壁がある、ということで、新チームの年間スローガンを「私は超える!」と決めて、偉大な先輩達を超えていこうと誓った。
私は3年間の想いを1球1球に込めて明日は戦います。私のソフトテニス人生最後の戦いを、私は私らしく戦いたい。私はどんなボールでも決して諦めずに食らいついて、誰よりもガッツ出して戦う。
そして、田中…。
田中とは、春のセンバツで悔しい思いをして、それから4ヶ月、技術、タクティクス、人間としてあるべき姿、本気になって成長させてきたと思う。田中は単純な奴だけど、素直で、私の言葉を心で受け入れてくれると思っている。まだ幼くて伝えていることがよくわからないかな、って思うときはあるけど、いつかは絶対わかって、もう私がいなくても、その大事なことを後輩へ真っ直ぐ心から言える先輩になってほしい。そう信じて、私は伝え続けます。今日も団体戦のメンバーとして、応援される者として、わかってほしいことを相当伝えた。一つ一つにちゃんと意味がある んだよ。田中をコートの外から熱く応援してくれる人がたくさんいるんだから、今まで伝えられてきたことを心でわかって、やるって決めたことは意地でもやる!
私は、田中を信じています。田中と全国の舞台で春のリベンジをします!
チーム北越の3年として、私はコート上で精一杯私を表現します。(8月1日 阿部瑞希)


今、こうして、阿部の前日のノートをワープロで打っていて、この想いと言葉が、8月2日に見せたコートの外やコート上での実際の阿部の姿と全く重なり、この言葉たちに微塵の誇張も放言もなく、本当にそのまま言葉通りに実行されていたことに驚きと感動を覚えて、涙が溢れてきます。昨今の大学スポーツでの「言葉と実際」の乖離、政治家たちの「言葉と実際」の隔たり、世間ではどんどん「言葉」が軽くなっているようですが、阿部瑞希をはじめとするチーム北越の生徒たちの言葉と実際のリアルな行動、その完全な一致に僕はただ深く感動します。
鈴鹿IH 14 鈴鹿IH 19 鈴鹿IH 20
今日という日は、ソフトテニスの競技人生、最後の戦いだった。
何も知らないガキだった中学生の私が、「厳しい戦いをあんなに楽しそうにプレーする」北越の雰囲気に憧れて、北越の門をたたいた。先生には、ガッツだけではどうにもならないって言われたけど、私の強みはこのガッツだ。
私はストロークの威力もスピードもなく、技術的にも下手くそだけど、とにかくボールに食らいつく、ガッツ出す、それだけでも、やり切ることができれば、全国でも戦えるんだ、そう強く実感した1日だった。
三重高校を倒してベスト4への壁を超えて、準決勝に競り勝った次の瞬間から、私にとって、全く未知の世界が始まった。
決勝戦、陽がすっかりくれたコートに入場して、3面展開で試合が始まった。
私は、プレーボールの1球目から、1球1球に思いを込めて、相手のコートに打ち込んだ。チーム、仲間、先生、そして田中を信じて戦えた。だから、ボールにもエネルギーを込められたし、フォローや厳しいボールも拾いまくれた。
楽しさ…奈央(水澤)が言ってた「全国トップの舞台で戦う楽しさ」ってこのことなんだ、今日1日ですごくよくわかった。
この広い会場の中で最後まで戦っている二つのチーム、日本一をかけて1球1球に3年間の想いと精一杯の情熱を込めて打ち込んだ。そしてポイントした時に田中とハイタッチしてベンチと応援してくれる人たちと一緒に喜ぶ。本当にすっごくすっごく楽しかった。
決勝のファイナル。去年のように0-6からの挽回、奇跡のドラマの再現はできなかった。でも、田中と二人で、「粘り強く、泥臭く、何本もラリーをする」というプレースタイルで、トッププレーヤーたちと打ち合えたこと、それは3年間の私の集大成だし、私の誇りになる。中学の実績がなくても、下手くそでも、頑張ればできるんだ。去年からずっと先生に「最後まで捨て駒でいいのか!」と叱咤され続けてきた。この言葉が私を一番奮起させた。心にぐっとくる言葉だった。先生、下手くそな私でも最後まで信じてくださってありがとうございました。そして3年間、いや9年間、テニス一筋の私に、好きなことを最後までやらせてくれ、朝早くからお弁当を作り続けてくれたお母さんに心から感謝したい。
ただ、私にはまだやるべきことがある。それは田中をアスリートに変えることだ。田中はまだまだ考え方が幼い。昨日もその前も、今日の朝だって、心を伝え続けた。そして二人で戦えた。ただ、これからは最上級生としてチームを作っていく責任がある。自立してほしい。アスリートは自立することで自分の良さが出てくる。そしてそれを信じ切って戦う。それが強さだ。私はそう先生や仲間から教えてもらった。田中や鈴木、新チームのみんなにはそのことをわかってほしいと強く思う。
三重戦や決勝は3面同時展開だった。もうこうなると先生は一人ひとりにアドバイスなんてできない。だからこそ自立が必要なんだ。今どういう状況になっているのか、二人でコミュニケーションをとって判断し、プレースタイルを選択し、実行していく。その自主性がないと3面展開で勝利なんてできない。日々のコミュニケーションと自主自立、毎日の生活では些細なことかもしれないが、それを北越は大事にしている。その些細なことの積み重ねがこういう大事なところにつながっているんだ、って強く思わないとダメなんだ。日本一は日常生活から。
改めて、先生、3年間ご指導ありがとうございました。
明日から、私は今まで受けた恩を後輩へ送っていきます。恩送りとして後輩を成長させ、チームを指導します。これからもよろしくお願いします。(8月2日 阿部瑞希)

鈴鹿IH 28 鈴鹿IH 39 鈴鹿IH 17
瑞希、僕は君に謝らなければならないことがある。
僕は君に「ガッツだけでは全国を戦えないよ」確かにそう言った。
でも、僕が間違っていました。
「ガッツだけでも全国を戦える」
君が証明してくれました。
君は8月2日のノートでこう書いている。「アスリートは自立することで自分の良さが出てくる。そしてそれを信じ切って戦う。それが強さだ。」
君の場合、その「良さ」がガッツだったんだね。誰にも負けない、究極のガッツ、それを追究して自分を高め、それを信じて戦う、シンプルだけどそれが強さなんだ、君はそう言葉で言い、実際に行動で証明した。
田中をあそこまで戦える選手にしたのも君の力だ。いつか幼い田中もこのことに深く気づき、君に心から感謝する日が来るよ。その時は、きっと田中は君と同じように後輩に大切なことを伝えているはずだ。
日本一のガッツをありがとう。
君を一生忘れない。

3年生の木村も、いろいろありましたけど(笑)、成長しました。一番「あらゆることから力を集めて」いたのは木村でしょう。先輩、同輩、後輩、指導者、あらゆる人を総動員して、もがいてきました。しかし燃費が悪すぎて、なかなか光にならない。分け入っても分け入っても青い山(山頭火)、ならぬ、集めても集めても黒い闇(美月)でしょうか。ですが、春の全国選抜の後、木村は自分と向き合うために毎日朝走ることを自らに課します。雨の日も嵐の日も。遠征の日も合宿の日も、みんながまだ寝ている中、一人で起きて走り続けました。全国いろんなところを走ったはずです。それが光になっていったのか、その相関はよくわからないのですが、間違いなく精神的に安定して練習に取り組めるようになっていきました。以前はほぼ毎日、うまくいかないと自分の技術も感情を処理できず泣いていましたが、陽が長くなるにつれ、メンタル的にも技術的にも落ち着いてきました。冷水のがぶ飲みでIH1週間前にお腹を壊す、という大失態も彼女らしいといえば彼女らしい。そして直前に復帰した時、チームに「どっきりカメラ」をしかけられ、感激して大泣きをする、すべて木村らしいです。
当日、木村は、三重戦、そして決勝、誰が戦っているんだ、という変貌ぶりでした。これほど人は変わるのか、もちろん精神的にもタクティクス的にもリードするキャプテン水澤の力は大きいですが、そうだとしてもキーとなる三重戦でエースに3ポイントゲームで勝利、決勝の昇陽戦でもG0-2の劣勢から、二人で挽回していき、木村の連続ポイントで逆転という高いクオリティのシナリオは、全くの想定外でした。
その木村の前日のノートです。
鈴鹿IH 05 鈴鹿IH 13 鈴鹿IH 16
いよいよ明日が運命の団体戦だ。ついにこの日が来たんだ。1,2年生の時の私はクソで、いつも応援席(コート外の金網の外)でガッツポーズをするだけの「金網クラブ員」だった。でも私は全国で勝ちたいから北越に来たんだ。最初で最後のインターハイ団体戦。私たちが主役だ。去年の3年生が抜けて、1年前私たちが立てたスローガン「私は超える!」 3年生の悔しさを見て、来年こそは、って決めたんだ。日々の小さなことからも逃げずに向き合ってきた1年。本当にあっと言う間だった。
私は初の全国舞台の戦いで(全国私学大会)、忘れもしない3月24日、中村学園高校に本当にしょうもない試合をして団体戦をぶち壊し、そこから初めて自分自身と本気で向き合った。次の日から、三重のインターハイまでやり続ける、そう決めて毎朝走った。必ずそれが力になるって信じてやり続けた。
私は特に同じ学年の3年生に本当に感謝している。真李も瑞希も愛も、常にしょうもない私の力になってくれた。1,2年生もだし、先生方、両親…たくさんの人の支えがあって、ここまで来れた。
だから、私にとって明日の試合は「恩返し」の試合だ。
その強い想い。明日は戦います。3年最後の恩返しの試合。戦いきります。(8月1日 木村美月)



さて、前回のブログで僕はこう書きました。
「本当の自立力+自律力が求められるのは、自分の思い通りにならない状況下においてです。簡単には決めさせてくれない。打っても打ってもまた攻め返される。自分の考えを見透かされたかのようにポイントされる。そのような相手に主導権がある場面で、自分や指導者を信じて自分のできることに集中し、苦しい場面でも投げ出さず逃げ出さずに我慢して、その先に必ずやってくるチャンスでギアを入れる。その繰り返しに耐えうるメンタル的フィジカル的タフネスが必要です。それを表現しきれた水澤や木瀬・平岡選手はチャンピオンになり、耐えられなかった選手は負けた。けれど、この成長期にある人間はどこで本気になるかわからない。その自分の中に眠っているギアの場所に気付き、手探りでレバーを握り、ぐっと自分の生きる日々をシフトチェンジできたら、絶対可能性はあります。」
札幌のハイジャパダブルスで、準決勝、シングルスで日本一になった水澤ではなく、前山にボールを集められて負けました。そのことも隠さずに書きました。その上で、僕は前山にこう言いました
「前山、俺がDream Factoryで『前山にボールを集められて負けた』って書いたのは、最終的にお前に自信があるからだよ。もしIHでお前にボールを集められたくないなら、お前の進化を信頼していないなら、あんな風に書くわけないだろ。」
実際に、5月の連休以降、前山は変わってきていたのです。「変われ、進化しろ」のメッセージは常に発信しているのですが、口やノート上でいくら「次は」とか「今度は」とか「対策は…」とか言っても、性根の部分で本気で変わりたいと思わなければ、人間変われるものじゃありません。前山もこれまで、思い通りにならない時に自分の幼さ、未熟な心がいつも顔を出し、我慢がきかず、強気と無謀を履き違えて自己コントロールを失っていきました。その幼さを僕と二人で『愛ちゃん』と名付けて向き合い続けたことは以前書いた通りです。「向き合う」ことの本当の意味をわからせるのにとても多くの時間がかかりました。でもようやくコントロールできるようになってきたのです。制御できるというより、制御しようとする意志がブレなくなってきたと言ったほうがいい。そこまで二人で来れたということです。もちろん、それでも失敗は何度もあります。日常でも、僕の見ていないところで『愛ちゃん』は奔放に振る舞いますから。ある日、僕は前山にこんなことを言ったことを思い出します。
「前山、おまえ自分を信じ切れたことないだろう。そして今まで生きてきて、本当に誰かを信じ切った経験ってないだろう。」前山の顔が曇ります。図星だからです。そして続けてこう言いました。「でも、俺、お前のこと信じるよ。お前は最後、絶対自分を信じて戦う。おまえはおまえ自身を信じきれてないだろうけど、俺はおまえのこと信じきれるよ。これだけ裏切られてきても、俺はおまえを信じるよ。」
その時、前山は今まで見せたことのない表情になりました。この人は何を言っているんだ、そんなことを言う人間がいるのか、という驚きが目の奥をよぎったように思いました。
前山が自分を信じて戦えるようになっていったきっかけは、県総体で庭野のために戦った、その時に感じた「自分を大きくさせるもの」の存在ではなかったかと思います。誰かのために戦うことが、人を強くさせる、そのような人を持っていることの幸せと強み。今回のインターハイで、2年生の今井が大会1週間前にドクターストップ、仲間思いの前山はそのことを自分のことのように残念に思います。そして、団体戦前日のノートにこう書きます。

風花、あなたはチームで一番、弱い自分を「超えよう」としてきたね。けど頑張りすぎたのか、ドクターストップ。すっごく悔しいね。けど、みんな風花の頑張りをしっかり見てきたよ。わかってるよ。だからちゃんとコート上で私たちは私たちを表現するから。風花に優勝旗渡すから。待っててね。ちゃんと見ててね、一緒に超えてきたこのチームの姿。一緒に戦ってきた仲間として、風花に絶対エネルギー贈るよ! 13人で戦い切る。
去年の会津IHの私は、全く戦えず、チームの夢を終わらせてしまった。あの自分にリベンジするためにここへ来た。あの幼い私に、中村学園に、三重に、文大に。それが明日。ついに明日だ。ミーティングでこれまでのDream Factoryチーム北越の歴史を振り返って、これが北越だ。私はここへ来て本当に良かった、って改めて思った。明日は去年の続き。受け継いだドラマを今度は私たちが必ず超えてやる!
苦しいに決まっている。簡単なことじゃない。よくわかっている。けど「団体に強い」これがチーム北越。チーム力、ペア力、どこよりも向き合ってきたから、怖いことない。
あとは自分信じて、チーム信じて、先生信じて。
よし、13人のラスト。コートに立つ者として、ラケット振り切って「前山愛」を表現する。そして、けた違いの気魄で、「私は超える!」(8月1日 前山愛)


第1シード、選抜優勝校の三重高校との準々決勝、3面同時展開でしたが、水澤・木村ペアが敵のエースを④-0で倒し、真ん中のコートでは田中・阿部のペアが激しいラリーの応酬でまだG1-1と競っている中、前山・冨樫が歴史を開くマッチポイントを迎えていました。前山が高い打点で「おりゃー!」という「けた違いの気魄」を込めて振り切ったボールがネット白帯にぶつかりながらも、強い想いに後押しされてネットを越えた瞬間、僕は動くことができませんでした。勝利に感動したからではありません。前山が最高の舞台で自分を「超えた」ことに深く感動したからです。誰かに感謝したくなって下を向きました。涙が溢れました。
鈴鹿IH 04 鈴鹿IH 03 鈴鹿IH 12
初戦の私、小さかった。試合後、気を作り直すためにコートを出た。そこで冨樫と一つになれた気がした。私の思いをちゃんと伝えて、心をぶつけて、冨樫は「はい。」って心から返事してくれた。
ペアとしても、この場にいたくてもいれない風花のために、という思いが強かった。
3回戦は皇太子様の御覧試合で他の2ペアが勝ってくれた。さあ三重戦。私たちの壁。先生に「田川・浪岡」とやりたいって伝えた。試合はプレーボールから気力で圧して一気にG3-1。けどここから私が大事にやりすぎるし、冨樫も積極性を欠いた。何球もラリーが続いたが、気が入ってないボールだから先手を取られ続けた。そしてファイナルへ。その時、ベンチで先生にこう強く言われた。「ボールを入れに行って負けるなら、ラケット振り切って負けて来い! そっちの方が俺もお前も後悔はない!」 この言葉を信じ、先生を信じて、フラットでラケットを振り切っていった。すると冨樫も絡むし、相手のミスも出る。そしてマッチポイント。今まで逆クロスに打っていたトップ打ち。思いきりセンターに思いを込めて振り切った。「チームのために!」って強く思って! それがネットイン。壁を越えた。
準決勝は須磨学園。1-1の三番勝負。G2-3でマッチゲームを取られる。苦しかった。けど、迷わずひるまずラケットを振り切った。チャンスは思いを込めて、大きな声とともに相手のコートにボールを突き刺した。ファイナルは完全にこっちのペースになった。もう弱い自分はいなかった。自分と闘い続けて、そして打ち克った自分を表現できた。
ついに決勝。3面同時展開で大阪昇陽高校との対戦。苦しい戦いの中、G2-2。そこから相手にセンターを突かれ始めて、ペアとして対応が遅れた。最後はやっぱり無難な私が出て、相手のウイニングショットでゲームセット。
奈央(水澤)は頑張って逆転してつないでくれたのに、木村もやり切ってくれたのに、私が日本一の夢を終わらせた。この決勝は、弱い私との向き合いが遅かった私への試練だったのかなと思う。もっと早く自分と向き合えていれば…。
でも、後悔はない。日本一を狙った。本気で狙った。今まで大事なところで逃げていた私。大事な場面で何度も風花を思った。弱い自分と戦って、涙流しながら逃げずに乗り越えようとしていた風花を思った。それでフラットに最後までラケットを振り切れた。風花の頑張りがなければ私たちの準優勝はない。たった一人の頑張りがチームを強くする。「愛、バンカイ!」「ガマンだよ!」私のことをこんなに分かっている人がこのチームにはたくさんいる。だから頑張れた。ガマンできた。すべてをエネルギーにできた。
たくさんの人に支えられて強くなってきた3年間。「向き合うこと」その大切さを痛感した3年間。日本一を獲れなくて悔しいけれど、私、変われたかなと少し思う。「超えて」全国準優勝、それはとても嬉しいことだ。
「信じてくれる人を信じ切る」
これが私が一番後輩に伝えたいこと。
私は信じることができなかった。「人を心の底から信じたことがない。」先生にそう言われて確かにそうかもと思った。先生の言ってくれることは分かったし、信じようとも思った。けどそれは口だけで、心からじゃないので何も変わらなかった。それが大事な場面で出る。
「俺にとっては試合で勝つより、おまえが『愛ちゃん』に勝つことの方が大事なんだ」
先生からそう言われて、そっから私の中の『愛ちゃん』と向き合いながら、人の心、自分の心も理解しようとしたし、先生を信じるって心から思えるようになった。だから、三重戦、苦しい展開でファイナルに入った時、先生の一言で自分は変わった。先生も自分も信じ切れた。先生、私を信じて3番手においてくれてありがとうございました。
それから、北越が大事にしているコミュニケーション。須磨学園戦で、流れが相手にあり、冨樫がめっちゃ弱気になってストロークもボールを入れにいく、ヒッティングボレーも入れにいく。「やばい」と思って、冨樫の目をぐっと見た。そして言った。
「弱気になってどうすんの! 風花のために勝つんでしょ! 奈央(隣のコートで同時展開)は絶対に勝つよ!」
そこから冨樫の目が変わって、私をぐっと見た。そして「はいっ!」って太い声で言った。去年なら、私がそこまで強く言うと半泣きになってしまった冨樫。もうあの時の冨樫じゃなかった。ちゃんと成長してた。そこからの逆転勝利。本気のコミュニケーション、人を変えるには絶対必要。だからこそ1年生にも先輩後輩関係なく、積極的に伝えてほしい。しっかり伝えることで逆に信頼関係ができる。それは北越だからこそできること。それが苦しい時に必ず支えになるから。
冨樫、去年のリベンジできたね。(前山・冨樫で昨年の会津IH個人戦、三重:田川選手に初戦敗退)きついこと言ったけど、信じてついてきてくれてありがとう。
お父さん、お母さん、お姉ちゃん、いつもありがとう。国体、リベンジするからね。もっと強い私、見せるからね。
「私は超える!」
実現できたかな。3日間の日本一を目指した鈴鹿インターハイ、テニスが楽しかった!(8月2日 前山愛)


最後に、部長としてチームのハートを作り、IHでは裏方の統括として、サポートをまとめあげた、庭野真李のノートを載せます。
庭野なしには、今回の躍進はない、そう断言できます。このチームの鍵ガール、長い戦いがすべて終わって声をかけた時、彼女は声が出ませんでした。すべて戦いに出し切って、残った声がない。かすれるとかハスキーとかそんなもんじゃありません。残った声がない。ただの声じゃなく、魂を込めた全力の「伝え」なので、空っぽになるのです。それが今年のチーム北越のリーダーです。だからここまで来ました。お疲れ様、ありがとう。
素晴らしいリーダーでした。
鈴鹿IH 02 鈴鹿IH 10 鈴鹿IH 34
みんな、お疲れ様。そして、ありがとうございました。
日本一にはあと一歩届かなかったけど、チーム力が日本一でなかったら絶対ここまで来ていない。選手、サポーター、ドクターストップがかかっているのに鈴鹿まで来て精一杯声を出して応援してくれた風花、保護者のみなさん、男子テニス部、新潟で応援してくださった多くの方々、そしてなにより津野先生、本当に本当にありがとうございました。本当にこのチームで良かった。北越に来て本当に良かった。今、改めて思います。
絶対に日本一を獲れるって信じてチーム作りをしてきた。この思いがみんなに届いたし、一人も諦めている者はいなかった。全員が信じていた。実績なんて関係ない、シードなんて関係ない、チームとしての団結力、強い想い、信じる力、それが団体戦に強い北越の強みだ。
この3年間、本当にいろんなことがあった。2年で部長を任されてからが特にそう。コミュニケーションが取れなくていったん部長を下ろされたけど、今思うとその方がよかった。ターニングポイントは紫雲寺での練習の時、「変わろうとしていない」って先生にコート出されて、「変わりたい。本当に変わりたい。」と心の底からにじみ出るように思った。先生は、本当に一人ひとりのことをよくわかっているから、小手先は通用しない。先生の期待に応えようとして動いていた自分を先生は「変わろうとしていない」と言う。そうじゃないんだ。失敗してわかったけど、「このチームの夢を強く思って、その夢を叶えるために自分が生きる。」そういう方向で自分のすべてを見つめなおした。だからトンチンカンだと言われようと、自分なりにチームの夢の達成のためだと思ったら行動するようにした。そうしていたら、先生は県総体の前にもう一度私を部長にしてくださった。選手としてはダメダメだった私についてきてくれて、県総体を戦ってくれて、私に優勝旗を渡してくれた仲間たち。そして一緒に全国で本気で日本一を獲りに戦った仲間たち。本当にありがとうございました。
「私は超える」このスローガンの下で1年間やってきたけど、今思うのは、このスローガンは誰かひとりだけが超えてもダメなんだということ。それぞれ一人ひとりが自分を超えていく、その結果として団体戦の勝利になるんだということだ。私は毎日、このノートの最後に「チームに花を咲かせる」と書いた。書きながら本当にそう強く思って1日を終え、次の日に備えた。
鈴鹿IH 26 鈴鹿IH 27 鈴鹿IH 30
個人戦の2日目、団体メンバーが練習しに行った後、私たちサポート組は個人戦の決勝を見た。文大の優勝が決まった瞬間の選手と応援団の喜ぶ姿を見て、あの喜びを団体戦で実現させたいと強く思った。本気でそう思えた。最後に火をつけてくれた。だから、今日1日、私はこのチームで絶対日本一を獲るんだって強く思って、本気の声をかけ続けた。そして一緒に戦い続けた。
よく「自分を信じて」と選手に声掛けをするけど、まず私が選手を信じてなければダメなのではないかと思った。特に「超えて」ほしかったのが愛だ。それはずっと愛を見てきたからそう思ったんだと思う。3番勝負を任される愛、今の愛なら絶対に超えられる、そう心から愛を信じて応援できた。本当にこれまでの毎日の一つひとつ、1日1日の本気の積み重ねなんだ。
本当に最高のチームでした。ありがとうございました。(8月2日 庭野真李)

鈴鹿IH 38 鈴鹿IH 37 鈴鹿IH 40

最後の最後に、この日にいたるまでの僕のソフトテニス指導歴(一部ソフトボール指導歴を含む)何十年間のうちの数年間、僕とともに本気で夢を目指した数多くの真っ直ぐで純粋な青春たちに、改めて感謝の気持ちを伝えさせてください。岩手県西根町立西根中学校、遠野市立土淵中学校(ソフトボール部)、栃尾高校、新潟東高校、巻高校、北越高校、それぞれ場所は違うけれど、高い山の頂上を目指しつづけてここまで来れました。みんなと過ごした日々のおかげです。ありがとう。
でもね、まだ団体頂点立ってないからね。だいぶ身体ガタがきてるけど、残された時間で頑張るからね。てっぺん立ったら、小千谷の片貝の花火大会で記念の花火を夜空に飛ばすのが夢なんだ。その時はみんな小千谷に来てね!

※今年のサプライズ旅行は、伊勢神宮→鳥羽水族館→鳥羽港→答志島への旅でした。
鈴鹿IH 21 鈴鹿IH 25 鈴鹿IH 22 鈴鹿IH 24 鈴鹿IH 23

2018年7月 4日 (水)

DREAM FACTORY 2018 初夏

水澤奈央 
シングルス日本一!

DREAM FACTORYチーム北越
ついに頂点に到達!

ハイジャパ01


札幌円山公園庭球場は、広い斜面に4面ずつ3段に作られています。米どころの人間としては「棚田のように」といえばイメージしやすいです。公開練習時に丘の上から見下ろすように全国津々浦々から集まった選手たちのフリー練習を見ていた際、ふと心をよぎった思いがありました。
「きっと水澤は優勝する。今回じゃないかもしれないけど、いつかこの子は日本一になる。」
去年、文大杉並の林田選手の練習を見た時、「この選手に敵う同世代の人間はいない。」そう確信させられました。上手いかどうかではなく、練習の時の集中力、発する「気」が別格でした。目の前の一球というより目の前の状況に対する姿勢が他の選手と全く違う。要は一人だけアスリートでした。
今年は、そういう「別格」な選手がいない中、水澤以上にストイックに日々練習を積み上げてきて、この「棚田」においてもその「日々」を表現できている「若穂」は私の見る限り見当たらないのです。上手い選手は毎年たくさんいます。ただ天賦をいただきながらそれを磨ききる覚悟のある選手は本当に少ない。逆に言うとその覚悟を私も含めた指導者が指導し切れていない。「天才は1%のひらめきと99%の努力による」という有名な言葉はもちろん誇張ですし、才能が過小評価されていると思いますが、努力に過剰な重さをかけているのは、「ひらめく才能」があるのに「その後の努力」(原文はperspiration=汗をかくこと)をしないで、「ひらめき」=「才能」を無駄にする場合がいかに多いか、その戒めとしてエジソンは自分にも人類全体にもこの言葉を伝えているのだと思います。
水澤は入学時に、すでにテンポコントロールの才能が並外れていました。「才能」でした。ただ、打球に圧を加える身体の使い方、総合的なフィジカル力、そしてアスリートとしての「哲学」が未開発でした。1年生ですから当たり前です。だから、そこを鍛えてあげてきた当時の3年生鈴木にどうしても敵わなかった。また、入学当時は声も出さない静かな選手で、僕に「サイレントビューティ」とあだ名されていたくらいです。それが3年生の田辺と組んで「北越らしさ」を教え込まれる中で、徐々に熱く自分を表現できる選手に変わっていきました。水澤は今でも田辺なつきを尊敬しており、その影を力にして自分を高めています。また、系統的で組織的なフィジカルトレーニングの成果もようやく実になってきました。打つボールに力が加わり、フットワークも格段に改善されてきました。
指導者として断言しますが、水澤は練習中、一瞬も手を抜きません。どの瞬間を切り取っても、いつも何かと戦っていますし、いつも「現在の自分」に挑んでいます。それが大事な場面での集中力や自信になるのだと思います。

水澤にはよく林田リコさん(現 東京女子体育大学)の話をします。
大会前日のノートに水澤はこう記します。

本気で日本一を取りたいなら「林田さんになる」こと。
本物のアスリートへ! 林田さんを超える!

ハイスクールジャパンカップ2018 シングルス in札幌
大会1日目

1回戦
 ④-0 木原(奈良県:高田商業)
2回戦
 ④-1 米田 (大阪府:河南)
3回戦
 ④-3 田村(宮城県:東北)
準々決勝
 ④-1 斎木(千葉県:昭和学院)

初日は安定して戦いました。サウスポーカットサーブの東北高校の選手に苦しめられましたが、要所で対応して難敵を退けました。
水澤には1年の冬からキャプテンを任せています。下級生キャプテン、それが本人にもチームにも良い結果をもたらすためには二つの要因があると考えます。まず本人がキャプテンになるという「重荷」を自分が強くなるための「挑戦」だとプラスにとらえられるかどうか。「重荷」を「足枷(あしかせ)」とマイナスにとらえてしまい、自分が調子が上がらない原因をこの「足枷」のせいだと考えてしまうと、リーダーはリーダーとして機能しませんし、チーム力も上がっていきません。何より、うまくいかない原因を自分の外に求めてしまう、その姿勢は自分を決して向上させません。二つ目の要因は、周囲の協力です。まずは上級生の理解と積極的なサポート。そして同学年の協力です。水澤自身はキャプテンを任せられたことによって、むしろテニスに対する姿勢が格段に自律的になりました。監督とのコミュニケーション、チームへの目配り気配りと言葉がけ、その一つひとつが彼女のプレー選択、大事なポイントでの集中力につながっていると思います。リーダーをやるということは、自分が発する言葉一つに責任が伴ってくるということで、チームにかける言葉は、そのまま「自分はそれを一番にやれているのか」と自問しなければなりません。それを苦痛ととるのか、積極的に自分を高める「研ぎ石」ととらえるのかで結果は真逆になります。水澤は後者です。そして、そんなキャプテンをチームはリスペクトし、特に3年生で部長の庭野、そして同学年で中学生以来のペアである冨樫が、水澤を強くサポートします。
前日に、冨樫から送られてきたメールを水澤に読んで聞かせたら、彼女は深く感じ入って、涙を浮かべていました。それほど、深く仲間の思いに感動できる選手になっていたんだと感心しました。
その冨樫のメールと水澤のノートを載せます。

こんばんは。今日は雨が降っていたので、自主練習も早めに切り上げて終わりました。
今日は、チームとして北海道の前山・水澤にエネルギーを送るんだ!というテーマで気を持って練習しました。
それを確認したことで、コート全体に「気」があふれていました!
24日の日曜日まで、私たちは代表として戦う二人のために、新部長になった私も他の2年生リーダーたちも他の部員たちも全員が気を引き締めて練習します。(中略)私もリーダーとしてまだまだ未熟ですが、とにかく学校から北海道にエネルギーを送りつづけます! (2年 冨樫春菜)



初日を終えてベスト4。でもまだまだ。結果よりも内容。私たちのために頑張っている新潟のみんなにエネルギーを与えられる内容だったか。まだまだみんなからのエネルギーの方が上だ。キャプテンとして「チームのために」って思いながら戦うことで力をもらえる。苦しいとき、逃げたくなるようなとき、今日も「チーム」が一緒に戦ってくれた。私に「気」をつくってくれた。本当にありがとうございます。
家族からも電話が来て、本当に温かかった。だからこそ、これで満足しない。私の夢は私一人の夢じゃない。みんなのために、明日も戦う! (水澤奈央)



シングルス2日目

準決勝
 ④-2 長谷川(岡山県:山陽女子)
決勝
 ④-3(F⑦‐5) 上野(大阪府:昇陽)


対戦した二人は高い技術とセンスを持った選手でした。
サービス力が高くない女子はレシーブキープが基本になります。水澤はこの日レシーブゲームは一度も失いませんでした。それが勝因であり、課題でもあると思います。
唯一、レシーブゲームを落としそうになったのは決勝のマッチポイントでした。お互いレシーブ力があり、レシーブゲームキープでG2-3。第6ゲーム、上野さんのファーストが入り、水澤のミスも出てP1-3のダブルマッチポイントになりました。しかし、追い込まれても水澤は攻めました。攻め切ってデュース。その後も攻めを休まずにブレイクを許しませんでした。
ファイナルも一進一退の好ゲーム。1本のミニブレイク(敵のレシーブポイントを獲得すること)が流れを左右します。最後は5-6水澤マッチポイントからレシーブエースでゲームセット。最後まで集中して自分のできる攻めを貫いた水澤に勝利の女神がほほ笑んだのだと思います。

ハイジャパ02 ハイジャパ03

シングルス優勝した。でも日本一になった感じがしない。
優勝はしたけれど、まだまだ課題だらけだ。
技術・タクティクスは去年よりもパワーアップできたと思う。それから、みんなの力。
去年の秋。全日本選手権、そして宮崎でのSTEP4。「私がレベルアップしないと、チームは勝てない」そう強く感じて、日々自分と向き合ってきた。
私はキャプテンを任せてもらって本当に良かった。チームを思って今日も力をもらえた。この日本一は私だけの日本一じゃない。
おばあちゃんとおじいちゃんに報告したらすごく喜んでくれた。日本一の金メダル獲ったら、一番にかけてあげるのはおばあちゃんとおじいちゃんって決めていたから本当に良かった。でも、もう一つ持って帰るからね。
明日も日本一の内容の試合を毎試合できるように、ベストで生ききる。
いろんな人からエネルギーをもらって、明日も北越らしく戦い抜く!



水澤奈央選手、おめでとう。
努力は嘘をつかない。君を見ていると本当にそう思います。
「苦境に動ぜず、チャンスに臆せず」
そういうアスリート気質を身につけてきたね。アスリートとして尊敬します。
それから、君はシングルスのすべての試合を団体戦として戦っていたね。
遠く離れたところで頑張っているチームメイトと常に深く交流しあって、仲間の思いを力に換えていた。
「あらゆることから力を集めて光を放て!」
チーム北越の部訓だ。君の大好きな言葉でもある。
人生、あらゆることに力は宿っている。それがたとえ失敗であろうと、時に絶望であろうと、そこは闇の世界ではなく、力が眠っている場所だ。掘り起こすのはアスリートである君。目を背けて逃れようとしていたら、そこにある力強いフォースに気づかない。夏の日差しからも、冬の北風からも、仲間の成長からも、世の中の小さな出来事からも、人は力を集められる。そして光に換えていける。
日本一になった。それは確かに光だ。今までの君が集めた力の集積だ。
でも、まだまだ完成形の戦いじゃない。そこからもまた力を集めなければ、もっと大きな光を経験することはできないよね。
金メダルをおじいちゃんとおばあちゃんの首にかけてあげて、縁側でちょっとお茶を飲んで、さあ、また出発しよう。
君はもっと大きな世界で夢を目指すべき人。
道はまだ続いている。
頑張りなさい。
僕ももっと力になれるよう勉強するから。

ハイスクールジャパンカップ2018 ダブルス 
前山・水澤 全国銅メダル!
決勝トーナメント
1回戦 前山・水澤 ④-1 堀口・大貫(栃木県 白鴎大足利)
2回戦       ④-0 秋山・西岡(香川県 尽誠学園)
準々決勝      ④-0 絵内・新開(徳島県 脇町)
準決勝       0-④ 木瀬・平岡(兵庫県 須磨学園)

ハイジャパ04

ダブルスは、前山・水澤の攻撃的平行陣で日本一に挑戦です。
予選リーグ、決勝トーナメント。いくつか修正しながら勝利を重ねていき、勝負となる準決勝。
完敗でした。ボールを前山に集められました。
前山選手は素晴らしい才能を持っています。身体の使い方、体幹でスイングを加速させてインパクトに力を集約させる技術、日本でもトップレベルの選手だと確信しています。ジャパン U-17にも選ばれ、秋のSTEP4の大会ではシングルスでもダブルスでも水澤よりもずっと好結果を残しました。ところが、自分に甘いところがある。我慢がきかない。そこを自覚させ、向き合わせようとしてきましたが、道半ばです。ただし、前山自身、以前よりもずっと自覚的になり、自分の中の「猛獣」(中島敦の『山月記』からの引用です)を「愛ちゃん」と名付けて、自己コントロールできるよう監督の僕と二人三脚で日々努力しています。その結果は、北信越大会での団体及び個人での我慢の優勝。そして、この大会での準決勝までの戦いで成果として着実に現れていると思います。
しかし、準決勝ではその先の進化が求められました。優勝した木瀬選手はミスがありません。前山にもナイスボールはありますが、必ずミスが入る。ミスが入るとミスをしたという事実に自分が耐えきれなくなって連続ミスにつながる。本当の自立力+自律力が求められるのは、自分の思い通りにならない状況下においてです。簡単には決めさせてくれない。打っても打ってもまた攻め返される。自分の考えを見透かされたかのようにポイントされる。そのような相手に主導権がある場面で、自分や指導者を信じて自分のできることに集中し、苦しい場面でも投げ出さず逃げ出さずに我慢して、その先に必ずやってくるチャンスでギアを入れる。その繰り返しに耐えうるメンタル的フィジカル的タフネスが必要です。それを表現しきれた水澤や木瀬・平岡選手はチャンピオンになり、耐えられなかった選手は負けた。
けれど、この成長期にある人間はどこで本気になるかわからない。その自分の中に眠っているギアの場所に気付き、手探りでレバーを握り、ぐっと自分の生きる日々をシフトチェンジできたら、絶対可能性はあります。
昨年、長らく新潟県の陸上競技の第1人者として活躍してきた久保倉選手の講演会で、久保倉選手は大学の恩師に「心を変えなさい」と何度言われたかわからないとおっしゃっていました。「心が変われば、細胞が変わる。細胞が変わるから身体も走りも変わる」その言葉を高校時代何の実績もなかった久保倉選手は信じます。「どんだけ走ったかわからない」と振り返っておられました。「ひたすら心が変わることを信じて、細胞が変わることを信じて走り続けた」「ひたすら走る、そして絶対に弱音を吐かない、どんなことがあっても逃げずに信じて走りつづける」その時、もう自然と身体は進化しているのだと言います。そういう日々の中で、アスリート魂が育ち、無名の高校生がオリンピック代表になっていったのです。
前山愛選手、99%の誰よりも汗をかく日々、その努力を惜しまず、残り少ない「光」への道を今回の負けからも「力」を得て進んでいってほしいと強く願います。

ハイジャパ05 ハイジャパ06

今回の大会から、シングルスのベンチは審判台の脇(硬式テニスと同じ)になりました。喜ばしいことです。ルール無視の「黒子のささやき」が難しい状況になりました。きっと、本部でお仕事をされていた大会役員の皆さんの中の誰かが、勇気ある発言をなされ、よりアスリートリスペクトの方向へ改善がなされたのだと思います。実際、水澤はゲームの中で、何度もタクティクスの修正を状況に応じて自ら実行しています。シングルスで求められる力とは、技術やフットワークのほかに、指示されたことを実行するのではなく、現在の状況を自ら把握し、対応を意志決定し、実際に試み、主導権を取り戻していく「主体的な問題解決力」が重要だと考えます。その一連の対処ができるかどうかは、日頃から問題解決的に生きているか、日々の練習においても理想と現実の両方を見据え、課題を持って取り組んでいるか、そこが問われるのだと思います。その意味で、今回の改善はシングルスアスリートへのリスペクトだと思うのです。ありがとうございました。
「優勝記念」に、是非今後考えていただきたいことを述べさせてください。それは推薦選手の選考についてです。北海道以外の都府県は、優勝者のみに与えられる出場権をかけて熾烈な予選の末、この大会に参加します。しかし、毎年それ以外の選手が多く推薦されて出場しています。シングルスは日連推薦として枠があるようですが、ダブルスの推薦基準は全く不明朗です。毎年のように推薦される県もあれば、我が新潟県のように長らく恩恵にあずかれない県もある。主催メーカーの製品を日常的に使用していれば推薦される可能性があるとか、噂は聞こえてきますが、本当のところはわかりません。
推薦枠があることは良いことだと思います。特に、全国区の学校がある都府県では、インターハイの個人枠すべてがその1校の選手たちによって何年も占められているという嘆かわしい場合さえある。そのような都府県の選手たちに全国の光を差し伸べてあげられる大会だと思います。
例えば、推薦枠の内、1~2枠を韓国や中華台北の選手に。数枠を日連からの推薦枠に。数枠を教育的な配慮からの推薦枠に。残りの枠を都府県、もしくはブロックの輪番で。というような明瞭な推薦基準を検討して示すべきではないでしょうか。「勇気ある関係者」の「勇気ある発言」を願っております。

<番外編>
今回のサプライズは、「畑ガイドさんと行く農場ピクニック」です。
農業県とはいえ、新潟の子供たちも「食の生産現場」のことをほとんど知りません。
昨年の北海道豪雨により、しばらくジャガイモと玉ねぎの高騰が続いたことは記憶に新しい。
せっかく「日本の畑」北海道に行くのですから、食育を体験しながら学べる場所はないかとネットサーフィンを繰り返していたところ、ありました!
観光農場ではありません。本物の農場で専門の畑ガイドさんから、作物や農場の工夫等、生産現場のあれこれを学びながら、旬の農作物を見て、匂いをかぎ、手に取って、まさに「命」をいただいているのだと深く理解する、そんなツアーがあるのです。
十勝の「いただきますカンパニー」という会社です。会社と言っても、理想を持って社会起業した井田さんを中心にしたスタッフカンパニーです。
代表の井田さんの言葉をホームページから引用します。

2歳の娘が野菜を食べずに困っていた時ふとしたことから知り合いの畑に行きました。
その畑で、自分で抜いた、まだ土がついたままのカブに、彼女はガブリとかじりついたのです。
その時私は「畑のチカラ」を実感しました。現場を体感する経験が、人を変えると。

現代は都市に人が集中し、農山漁村は人口減少の一途です。
その結果、畑と食卓も遠く離れてしまいました。

誰かが手をかけたものによって生かされている、その想像力を持つには、原体験が必要です。
生産現場に想いをはせる、きっかけが必要です。
私たちは、農業と観光の連携を促進することにより、都市と農村の交流、食育の推進、農村の雇用創出を進め、安心できる「子どもたちの生きる未来」を準備します。
その鍵になるのは「いただきます」という世界に誇る日本人の心の復権であると信じています。


ハイジャパ07 ハイジャパ09 ハイジャパ08

ハイジャパが終わって帰る日、先生が十勝の坂東農場さんを回るツアーに連れて行ってくださった。
北海道のどこまでも広がる大地と畑の緑、そして澄み切った風は、すごいという一言では表せるものではなかった。
ここから日本の食(野菜)を支えてもらっていること、何気なく作物が育っているように見える農場には農家の方々の様々な工夫と努力があるのだと教えてもらった。
いろいろ説明してくださった畑ガイドのスタッフさんの中に、関東の高校の先生を辞めてここで働いている人がいらっしゃった。自分が思い描く生き方と現実のギャップ。そして自分の理想を生きようとすることの決断と幸せ。いろいろ考えさせられた。
北海道で感じた人との関わり合いのありがたさと大切さ。そういう一つひとつに感謝して、人間的にもアスリート的にも真のチャンピオンになれるように!
日々感謝!(水澤奈央)



北信越総体
 団体・個人 2年連続制覇! 

前山・水澤 優勝!
2年 田中・冨樫ペアも激戦を抜けて銅メダル!


団体戦
1回戦  ③-0 松本県ヶ丘(長野)
2回戦  ②-0 髙岡商業(富山)
準決勝 ②-1 金沢学院(石川)
決勝  ②-0 北陸(福井)

北信越総体01
北信越総体02 北信越総体09 北信越総体11
北信越総体03 北信越総体06 北信越総体07
北信越総体12 北信越総体04 北信越総体08


個人戦
優勝 前山愛・水澤奈央
3位  田中遥奈・冨樫春菜
北信越総体10

2018年6月 3日 (日)

DREAM FACTORY 2018 春(県総体 )

県総体 団体7連覇!
3年庭野を囲んで咲いた花
県総体04


団体戦
準決勝  ②-0 中越
決 勝   ②-0 長岡商業
 水澤・冨樫  ④-0  金箱・松嵜
 前山・木村  ④-1  高橋・池田
 田中・阿部       皆川・小柳

個人戦
1位 前山愛・水澤奈央
5位 田中遥奈・冨樫春菜


大会1週間前の日曜日でした。
キャプテンの水澤と3年前山、勝負の厳しさを知る二人が全日本シングルス出場で不在の中、闘いのムードも作れず、それぞれが自分のことばかりに意識がいってしまい、全くチームに覇気がありません。
15時ころだったでしょうか。これ以上練習しても意味がないので、全員を集めて「今日の練習はこれで終了!」と告げました。
帰りかけた僕を追ってきたのは、3年の庭野でした。
「先生、ここで終わるわけにはいきません。私が気魄作りますから、練習やらせてください!」
今年の3年生は、とにかくテニスが大好きな4人です。不器用ですけど、これほど純粋に真っ直ぐテニスに打ち込んだ学年も珍しい。素敵な奴らです。
その「ど真ん中」にいるのが庭野真李です。こんな誠実な人間がいるのか、というくらい誠実×誠実な人です。その裏返しとして不器用でもある。ひたすら純粋にひたむきにテニスをします。その裏返しとして「固さ」を生んでしまう。そういう人です。
あの日、庭野は真っ直ぐに僕の目に訴えかけました。瞬きもせず、強い責任と意志をもった眼でした。
「ギアが入る」という比喩がまさにあてはまる、あの瞬間、チームは別物になったと思います。
この日の夕暮れに戻ってきた水澤が「チームの変貌」に驚いたくらいですから。

今年のキャプテンは2年生の水澤です。技術的にこの年代の日本のトップクラスにいる選手です。入学して1年、技術的にもフィジカル的にも精神的にも、そしてキャプテンを任せられたことで人間的にも大きく成長しました。日々チームを思い、気配りをし、姿を見せ、チームを作ってきました。ですが、やはり県総体は3年の力が必要です。3年がチームにどう責任を持てるか、責任の中で力を発揮できるか、です。
チームは全員わかっていました。その核になるのが庭野真李だということを。

ゴールデンウイーク、合宿を張りました。
チームを三つに分け、それぞれキャプテンを決めて練習を積み上げます。
同じメニューに3チームが取り組むのですが、それぞれのチームはそれぞれが作ります。
圧倒的に気魄あふれるチームになるのは、庭野キャプテンのBチームでした。

まず私たちAチームの空気感が問題だ。
Bチームは(庭野)真李先輩が中心になって気迫溢れるチームを作っていた。でもAチームはどうだったか。ミスが出て、精神的に落ちて、チームの心が作れていない。3年生だけのせいじゃない。キャプテンとしてもっともっとチームのハートを作っていかないと。
キャプテンとして誰にも尊敬されるべき行動! 判断! 態度を!
今日嬉しかったのは、Bチームの佐藤(1年生)がミーティングの時に「3年生のために、って取り組んで良かった」って言っていたこと。真李先輩の気迫が1年生を変えている。私も真李先輩のように後輩に影響を与えて、後輩たちがこのチームのために、この人のために、って思ってもらえるように! まだまだ甘い。日々努力!
(4月29日 キャプテン水澤)


県総体21 県総体22 県総体23

Bチームキャプテンの真李先輩が今日はすごかった。
昨日先生が話してくれた大学時代のリーダーの責任のこと、真李先輩は本当に深く心で受けとったんだなって思う。本当にBチームコートの「気」は朝からすごかった。一方、自分がキャプテンに立候補したCチームコートは・・・。結局、(冨樫)春菜がチームに気を入れてくれていた。私も真李先輩のようにチームを作りたい。
(4月29日 2年 清野美穂)


なかなかチームをまとめていけない3年生でしたが、この連休のあたりから庭野を中心に4人で力を合わせて、決してキャプテンだけにチームを背負わせないように頑張ろうとしている姿が見られるようになってきました。コート上でも「北越の3年生」を表現する場面が増えてきます。

最近、3年生の先輩たちは先輩たち同士、本気で伝え合うようになった。以前のような妥協はない。ただ、強く伝えるとしても必ず「言ってる自分はどうかな」っていう視点をいつも持って行動してほしいと思う。それをやっているのは真李先輩だ。はっきりと後輩にも同輩にも言うべきことを言う。でもいつも自分に対して一番厳しい。チームとして真李先輩を見習うべきだ。人に言ったら、言ったことは誰より自分がやりきること! それがチーム北越、そうありたい。
(5月7日 水澤奈央)


県総体1週間前のチームが変貌したあの日、2年生の清野はノートにこう書きます。

私が今日一番大きく感じたこと、それは「7連覇がかかっている今年、県大会を3年生の最後の大会にしたくないっていう強い気持ちを後輩が持てているか」ということ。連休の合宿で朋恵先生が話してくれた星実里さんの話。あの時の後輩たちはインターハイに行くしか(怪我をしている)星さんを公式戦のコートに出させることは不可能だった、しかも地区大会も負けてのノーシード。どんな思いで県大会を迎えたんだろう。絶対に星さんをインターハイの舞台に立たせたい、その一心でまとまったチーム北越。団体メンバーじゃなくったっていくらでもチームの勝利にかかわれる。チーム北越はそういう歴史を積み重ねてきた。
私が、今の3年生に強い思いがあるとすれば、まず真李先輩に恩を返したいということ。自分は多分、真李先輩が北越の練習に誘ってくれなかったら、この場所にはいない。そして今まで、一番お世話になってきたし、迷惑ばかりかけてきた。自分はずっと子供で変われなくて、ペアを組ませてもらった時も自分をコントロールできずに負けた。自分がやるべきことをやらずに階段ダッシュをやる時にも一緒にやってくれた。真李先輩のような人にはもう出会えないかもしれない。
やらせてもらってばっかで、自分は何を真李先輩にしてやれたか。
私はこのチームが大好きです。まだ3年生とずっとテニスしていたい。だから絶対に県大会で真李先輩を引退させたくない。それは他の人も絶対みんな思っている。
(5月20日 2年 清野美穂)


県総体24 県総体25 県総体26

翌日の月曜日は完全フリー(オフ)の日ですが、こんな小さなドラマがありました。
3年生の気魄が下級生のモチベーションを上げていきます。
今日は全員で朝練をして、3年生中心に気迫があふれていた。真李先輩と木村先輩は今までと違う。それは二人ともミスが圧倒的に減ってきたこと。ミスしそうな時に今は何とかして気迫でボールを返している。二人には絶対に夢をつかんでほしい。驚いたのは(清野)美穂と(佐藤)莉穏が朝二人で走っていたこと。二人ならいつかDREAM FACTORYの主役になれるよ! 自分を信じてペアを信じて、朝のちょっとした時間も大切にしていってほしい。完全フリーだった放課後も二人はずっとコートで練習していた。美穂に「奈央、莉穏のローボレー見てほしい」と言われて見ていた。頑張っている人には自分も全力で教えたい。最初はポイントだけを確認して、自分は走りに行こうと思っていた。でも真剣な二人を見ていたら自分もいつのまにか本気になっていて、気づいたらすごい時間が経っていた。先生が前にコメントに書いてくださった「キャプテンシー」とは、こういうチームメイトがいるからこそ、私の中に生まれるのだと思います。チームが本気だから、私もチームにたくさんエネルギーを与えつづけたいと思います。
(5月21日 水澤奈央)


そして迎えた県総体の初日。
3年生ペアの庭野・木村は、最後まで「強い思い」が固さになり、木村も自分の長所を出すことなく4回戦で敗れました。
唇をかみしめてうなだれる二人。
団体のメンバーから外れる庭野は、団体で勝てなければこれで引退となってしまいます。
26日、団体戦前夜。
チームは団体優勝旗を庭野に渡そうと、強い意志で一つになります。


今日のミーティングで、今年と同じく個人戦では結果を残せなかった先輩の代のDREAM FACTORYを見て、私が感じたのは、最後の最後にチームを信じて戦えるのは絶対に北越の方だということ。今年もチームを作れない、勝ちきれない、自分の心に負ける、そんな弱さを抱えてきたけど、でも今年はとにかく誠実にひたむきに学年関係なくチーム一つになってやってきた。私たちは私たちのドラマを作りたい。これまでの先輩たちのように、どんな逆境も乗り越えて感動的なドラマを作りたい。
明日の主役は私たち! 
全身でこの思いを表現したい。そして見ている人に感動を与えられるような試合を!
どこよりも笑顔で、どこよりも楽しく、どこよりも気迫出して、プレーしていきます。
キャプテンとして進んだ日々。全然まだまだ未熟だけれど、去年の冬から、いつもみんなのこと考えて、新たな課題にトライして失敗して、また勉強して提案して。こういう一つひとつがキャプテンとして一番幸せだと思えるようになった。今までのそんな日々から力を集めて、チームにもペアにも光を放て!
相手は自己ベストで来てほしい。こっちも自己ベストで勝つ。
なつき先輩から受け継いだ団体無敵の心は必ず私が受け継ぎます。
本物のチャンピオンになる。
(5月26日 水澤奈央)


3年最後の県総体。個人戦は初日で負けた。そして私は呆然と挨拶に並んだ。お辞儀をして握手をして、これで終わったのかと思った。
そして今日の夜のミーティングで、私たちは2年前の先輩たちのDREAM FACTORYをDVDで見た。私と同じく3年の個人でインターハイに行けなかった4人の先輩たち。その個人戦の負けから始まる岡山インターハイまでのドラマだ。
あのはじけた笑顔。ガッツポーズ。チーム一体となって夢に向かう姿。すごい輝いていた。
そうだ、私のドラマもここで終わりじゃないんだ。
振り返ってみれば、私が北越に何がなんでも行きたいと中3の時に思ったのは、ミズノカップでの先輩たちを見てからだ。
「あんなに楽しそうにテニスをしている高校はどこだろう。」それほど北越の姿は他と違った。
1本をとっただけで、あんなに全身で喜びを表現し、ガッツポーズをして、最高の笑顔でプレーしていた。そして何よりどんな場面でも思い切りラケットを振って攻め続ける強さ。
あの日の私は北越が表現している光景に純粋に憧れた。
自分も自分が一番好きなものを、純粋に好きでいたい。
自分も全身でコートの上で表現したい。
そう思ったから、津野先生から話があったとき、すごく嬉しかった。
そしてこのチームの一員になった。
2年前のドラマの時、私はまだ1年生で、責任を背負いながらもプレッシャーに打ち克って戦うこと、3年の意地というもの、そういうことがどういうことなのか、全くわからずに生きていた。
北信越前に4人の3年生がお互い遠慮しあっているって伝えられて、コート脇の倉庫の裏で4人の先輩が泣きながら思いをぶつけあっていたのを見た。あれから確かに先輩たちは変わっていった。そして、北信越の団体戦の日、がっかりするような試合をした松浦・大原ペアに(岡崎)楓先輩が涙を流して「戦えよ! お前ら意地出して戦えよ!」そう訴えていた姿を覚えています。その思いに応えてその時の北信越個人チャンピオンだった石川のペアに自己ベストで戦った松浦・大原。そのドラマが岡山インターハイの全国初入賞につながる。想いがたくさんつまったDVDの中のドラマ。
先輩たちが作ってきた感動的なドラマを、今度は私が受けとって主役になりたい。
団体戦のメンバーとしてコートの上で戦い抜き、このチームをインターハイに連れていきたい。
人として、選手として、強くありたい。
そして、優勝旗は真李へ。
真李のために、約束する。
私たちは優勝します!
(5月26日  3年 阿部瑞希)


明日の団体戦。私は真李のために戦う。
真李は一番チームのために働いてきた。3年がダメダメな中で真李だけは違った。自分が部長だったとき全然姿を見せられずチームをまとめられなかった。そんな自分に真李は本気で思いをしっかり伝えてくれた。真李がこのチームを支えてくれたんだ。すごく感謝してる。だから、絶対、優勝旗、真李に渡すからね!
(5月26日 前山愛)


県総体10 県総体11 県総体15


県総体、団体優勝! 真李と一緒に三重に行ける。
今日は1日中緊張してはいたけれど、自分に自信があった。
「チームのハートを作れ」そう先生に言われて、今日も覚悟を決めてコートに入った。
決勝は打っても相手は返してくる。ラリーの数も増えてタクティクスも必要になる。でも問題ない。日々やってきたことだ。やりきれた。
自分でもびっくりしたのが声。喜ぶ声。私、こんなに声出るんだ。自然とこうなるんだ。
チームのハートを作る。真李のために戦う。自分が3年の代で勝ちきる。
この思いがすごく強かった。
私がこんなに純粋に戦えたのは真李のおかげだよ。
いつもチームを作ってくれてありがとう。
みんなも真李が大好きなんだ。信頼してるから。
試合前に真李からメンバーに一人ひとり手紙が渡された。
私の手紙には、北越に入るのを私が誘ったことへの感謝から。そして私の長所をたくさん書いてくれた。
真李、チーム、先生、自分を信じ切れた。
真李、私を変えてくれてありがとう。
勝たせてくれてありがとう。
木村も自己ベスト。
みんなありがとう。
三重インターハイまで、あと62日。
チーム庭野。日本一に向けてスタート!
よし! またこっから!
(5月27日  3年 前山愛)


県総体16 県総体12 県総体14

まずは7連覇を達成できて本当に良かった。
1日目の個人戦でインターハイに行くはずのペアが負けて、1,2年生もドラマを作れず、チームとしては苦しいことがたくさんあったけれど、いつもチームのことを考えてエネルギーを与えてくれた真李先輩のためにも、これまでの先輩たちからの思いをつなぐためにも、みんなが心を一つにして頑張った結果の勝利。コートで戦った人だけの勝利じゃない。このチームだからこその決勝の戦いだったと思う。木村先輩、(冨樫)春菜、まだまだ課題はあるけれど気持ちを強くもってチーム北越の戦いをしてくれた。瑞希先輩もガッツあるプレーで気を作ってくれた。やっぱりみんなの信じる力は本物だった。
真李先輩が、試合前に一人ひとりに手紙を渡してくれた。試合前も試合中も途切れることなく声をかけ続けてくれた。本当に真李先輩の存在は大きかった。ありがとうございます。
真李先輩、これからも一緒に日本一のチーム作りを精一杯やりましょうね。
新潟県で優勝することが目標じゃない。三重インターハイで優勝すること。今日の勝ちは嬉しいけれど、満足しない。より高く! より高みを!
(5月27日 水澤奈央)

県総体07 県総体09 県総体08

選手のみんな、三重への切符をつかんでくれてありがとう。
またこのチームみんなでインターハイに向かっていけるのが何より嬉しいです。
サポーターの6人も選手と一つになって戦ってくれて嬉しかったよ。ありがとう。
私自身は、県総体の怖さを思い知った3日間だった。
私が覚悟を決めて打っても打っても返ってくる。決まった!と思った瞬間もう終わりだ。
今度は北信越、インターハイとどんどんレベルが高くなっていく。
このままでは、全国で花を咲かせるのは難しい気がする。
全国で戦うにはもっと高いレベルのフィジカル、フットワーク、タクティクスが必要になる。
全国選抜での初戦負けから2ヶ月が経つ。そして2ヶ月後がインターハイだ。
私は、新たにもらった2ヶ月の命。チームが全国で花を咲かせられるよう精一杯力を注ぐ。
団体メンバーの8人。本当にありがとう。
今度は私が恩返しするよ!
(5月27日  3年 部長 庭野真李)

県総体03 県総体06 県総体05

2018年1月22日 (月)

DREAM FACTORY 2017 冬

北信越選抜 全勝で優勝! 2年ぶりに全国選抜へ!
冬の北信越優勝旗は7年越しの奪還!
H30.1.12~1.14  石川県小松市 こまつドーム

北信越選抜01

<団体戦>
北越 ②-1 北陸(福井)
北越 ③-0 都市大塩尻(長野)
北越 ②-1 高岡西(富山)
北越 ②-1 能登(石川)

<個人戦>
3位 前山愛・木村美月
ベスト8 水澤奈央・冨樫春菜

大雪の中の出発でした。
富山と石川の県境が通行止めになり、急遽、富山から岐阜周りで福井から入るという搦め手の攻めで何とか会場に辿り着きました。
新チームになって初めての県外大会。チームはまだ穴だらけです。国体を戦った後衛の二人(前山と水澤)を核にしながら、経験不足の新メンバーを強化している最中の大会になりました。
夏の北信越では初の団体優勝旗を手にしましたが、全国レベルまで達した3年生3人が抜けてチームの戦力は大きくダウン。それでも1年生キャプテンの水澤を中心に、どんな状況でも「へこたれない強さ」を表現できるようになってきました。技術はまだまだです。鍛錬の時間が足りません。ただ、鍛錬が可能になるくらいの「心のベース」は出来てきたと思います。
冬の北信越選抜大会は富山県の高岡西高校が6連覇中でした。遡ること7年前の優勝校は…我が北越高校です。
前日の夜のミーティングで、7年前のDREAM FACTORYの記事をみんなで読みました。
7年前のチームキーワードは「Fight Out」でした。「戦い抜く」「最後まで戦い切る」という意味です。北信越はリーグ戦です。たった1ゲーム、たった1ポイントで天国と地獄が分かれる、そういうタフな戦いを丸一日続けること。
7年前に優勝した時は、3対戦目で優勝候補の高岡商業高校と事実上の決勝を戦いました。2面展開ほぼ同時に始まった戦いは北越に勢いがあり、第1対戦はゲームカウント3-1、第2対戦はゲームカウント3-0、優勝旗がすぐそこに見えました。ところが、その時にエース前衛が目の前にフラフラと上がったイージーボールをミスしたところから流れが一気に相手に向かいます。第1対戦は3-3、第2対戦も3-2。会場の雰囲気も選手やベンチの表情も声もプレーも、何もかも相手にアドバンテージがある状況になってしまいました。大きな「流れ」という波にのまれてどうすることもできません。第1対戦は敵に3回連続のマッチポイントがありました。しかし、7年前のチーム北越はそこで踏ん張った。完全な逆風の中、我慢して耐えて、もう一度勢いを取り戻したのです。まさにFight Outしての優勝でした。
「Fight Out」、今年はもう一度この言葉と精神をチームキーワードにしました。
キャプテン水澤、そして新たに部長としてチームの魂をつくる前山、2人は夏からさらに成長していました。それぞれペアの前衛がまだ未熟でなかなか思い通りに機能しませんが、それでも常に主導権を握って全勝。
この団体戦で、チームに勇気を与えてくれたのは、3番手の阿部瑞希と田中遥奈のペアです。
2人は1勝3敗でしたが、その3敗はすべて相手のエースとの対戦。初戦の北陸高校との対戦では福井県の個人チャンピオンのエースペアにファイナル5-5まで競り合います。さらに富山県個人チャンピオンの高岡西のエースにもあと少しでファイナル勝負の接戦。最後の能登高校との対戦では、翌日の個人戦で優勝する技巧派のペアに0負けでしたが、闘志・戦術・技術のすべてにおいて自己ベストの戦いでした。3ペアで力を結集してFight Outできた、それが一番の勝因だったと思います。裏方の仕事をすべて誠実にやり遂げてくれた、1年生の入江と清野の頑張りもありがたかったです。
ただ、翌日の個人戦の結果を見ても、このチームにまだまだ全国を勝ち抜く力はないです。
でも僕らは全国から色とりどりの花を摘んできて花束をつくるチームではありません。
雪国のチームです。深い雪の下でも多年草は根を広げて春を待つのです。
長く続く冬、雪の下で着実に力をつけて、春光とともに芽を出し、夏に大きな花を咲かせます。

北信越選抜03 北信越選抜02

ベストで戦った2年阿部のノートを載せます。
団体として、1位で全国選抜に進むことができた。
私は今日、誰よりもガッツを出す! そして田中を先輩としてどんな場面でも強気でリードする、この二つを絶対にやりきると決めて戦い抜いた。
前回の合宿で、私はこの二つができずに失敗した。それからどうやったら気で後輩を引っ張ることができるんだろう、そのことをずっと考えてきた。田中は素直で、自分が伝えたことには一生懸命に応えようとしてくれる。
今日、はっきりとわかった。田中は成長していた。那須の時よりもずっと。
前は、田中は私がガツンと言うと精神的に落ちていった。だから、気を使って優しい言葉がけをしていたけど、本当の信頼って絶対こうじゃないよなとも思っていた。
でも今日の田中は以前の弱い田中じゃなかった。
あえて、強くはっきりと私の気持ちを伝えた。田中はわかってくれた。伝えている意味も私の思いも。
だから、今日は1日スーパーポジティブでいることができた。
田中、ありがとう。
全国でも頑張ろうね。
2年 阿部瑞希

北信越選抜05 北信越選抜04



和歌浦信雄さんを悼む
1月9日、日本ソフトテニス連盟理事、新潟県ソフトテニス連盟副会長の和歌浦信雄さんが逝去されました。心よりお悔やみ申し上げます。
長きにわたり新潟県ソフトテニス競技の発展と普及、さらには日本のソフトテニス競技のさらなる発展に尽力されていた最中の突然の訃報に言葉を失いました。
最後にお会いしたのは、愛媛国体で新潟県がソフトテニス競技の皇后杯(女子総合1位)を獲得したので、その祝賀パーティが開かれましたが、その席上においてでした。
あの真ん丸の目を見開いて、独特の野太い声で活躍した選手たちにねぎらいと励ましの言葉をかけてくださっていた姿が心に焼き付いています。
思い起こせば、いつも和歌浦さんは真っ直ぐでした。真っ直ぐに物事を見据え、真っ直ぐに行動された人でした。その結果、意見のぶつかりあいもありました。国体の監督として、高体連の代表として、私も何度も和歌浦さんのご自宅にお邪魔し、夜遅くまで議論したことを思い出します。ズバリと物事をおっしゃるのです。裏でこそこそするのが何よりも嫌いな人だったと思います。ですが、相手に理があると認められれば、しっかりと受け入れてくださるのです。
「支援する、と言ったら絶対に支援する。力になると言ったら絶対に力になる。だから、俺くらいの情熱をもって本気でソフトテニスに打ち込め!」
和歌浦さんの心は、いつもそう叫んでおられていたように思います。
愛媛国体で、少年女子チームが夏のインターハイで惜敗した広島にリベンジして5位に入賞したことで、成年女子の5位の得点と合わせて昭和39年以来(一巡目地元国体時)となる皇后杯獲得が決まった時、和歌浦さんは、穏やかに「ありがとう」とつぶやいて握手を求めてくださいました。
今思うと、あの静謐な「ありがとう」には万感の思いが込められていたのだろうと拝察いたします。
選手も和歌浦さんの訃報は知っていましたので、団体戦が始まる朝に集めて話をしました。
「子どものころからお世話になって応援された者は手を挙げて」と尋ねると、すぐに前山、水澤、そして冨樫の手が挙がりました。
「和歌浦さんは、いつもおまえたちのこと応援してくださっていたんだよ。きっと、今日も雪雲の上からおまえたちを応援してくれるから。和歌浦さんのためにも精一杯戦おうな。」
選手たちは深く頷きました。
和歌浦さん、子どもたちはベストで戦いましたよ。そして、7年ぶりに優勝旗を奪い返しました。
これからも頑張りますね。
雪国からの日本一、その夢は生前にお見せできませんでしたけど、必ず叶えて墓前に報告に行きますから。
愛媛国体01 桜

新キャプテンの心に和歌浦さんの心はつながっていました。
7年ぶりに優勝! 素直にまずは嬉しい。応援してくれている3年生にも、和歌浦さんにもいい報告ができる。とくに和歌浦さんには昔、「お前には才能がある。だけど何故チャンスがあるのに勝とうとしない!」と怒られたことがあった。
和歌浦さん、北信越選抜、優勝しましたよ。あの時、本気で怒ってくれてありがとうございました。
でも個人戦は5位。本当に情けない。キャプテンとして個人戦であっても団体戦として戦っているのに、離れた7コートで戦っている前山・木村に勝ちきってエネルギーを与えることができなかった。金沢学院:田川・中村との試合。ファイナルゲーム、1-6で相手のマッチポイント。「これは会津IHだ。私たちも試されている。」と思った。だから、負けるなんて一回も思わなかった。常に春菜に強気な声がけをして、今までこういう場面で入らなかったファーストも2本とも入れて主導権を握り、5-6までは追いつけた。技術的もメンタル的にも向上はあったと思う。でも勝ちたい。もっと春菜をリードして一緒に乗り越えていく力をつけたい。私自身もまだまだ。どんな状況でも変わらずに自分のテニスを貫ける、本物のキャプテンになるためにも、私はまだまだ努力が必要だ。
キャプテンとして、また全国選抜に向けて妥協せずに一人ひとりが1日1日向上がある練習をつくることができれば、このチームはもっと強くなれる。
全国選抜までの私の目標:「どんな状況でも自分を貫ける選手になる」
和歌浦さん、個人は優勝できなくてごめんなさい。
でもまた強くなって、日本一を取るので見ていてください。
  逃げない 日々感謝   1年 水澤奈央


今年も北越からJAPANの選手輩出
鈴木愛香が全日本U-20、そして前山愛がU-17に
鈴木は昨年のU-17から1ランク上でナショナルチーム予備軍のU-20選手に選ばれました。秋の最終選考会で実施されたジュニアジャパンカップでは決して良い結果を残せたわけではなかったのですが、U-17時の合宿時の姿勢や試合の内容を評価されたのだと思います。私の記憶では新潟県の高校生がU-20に選ばれたのは初めてだと思います。今後も精進を重ねて是非ジャパンのユニフォームを着てアジア大会で金メダルを目指してください。
U-20
前山は初の代表入り。U-14やU-17代表経験のある選手をジュニアジャパンカップで次々と倒し、実力で勝ち取った代表だと思います。北越で練習しているオールラウンドのプレースタイルが功を奏したようです。北越の中心選手として、日本の代表選手として、本物のアスリートになるべく、心技体それから知を深めていってほしいと思います。
u-17

県選抜大会結果
H29.12.24 新潟市秋葉区総合体育館、  12.26 燕市体育センター

団体戦
優勝(決勝リーグ3勝)
個人戦
1位 水澤奈央・冨樫春菜
2位 前山愛・木村美月
県インドア01


今年も多くのOGが集まり
恒例の新年会


1月3日は恒例行事となった保護者会主催の「初打ち&お雑煮会」が開かれました。
今年も多くのOGが来てくれて、この1年間の出来事を話してくれました。
毎年、本当に心が洗われる思いです。
実業団でキャプテンや中心選手を任されるようになった人、新しい仕事に慣れて今までは見えなかったその仕事の喜びややりがいが実感できるようになったという人、苦労しながらもチームや監督さんに認められて遠征に連れて行ってもらえるようになった大学生選手、大学で新しいことにチャレンジしている学生等々、この1年間の自分の成長や変化、さらに今年の課題や抱負を語ること、そしてその多くの人生経験をお互い開き合うことで新たに生まれるチーム北越の連帯感、自分の近未来について考えを巡らす在校生…。毎年、とても心が清新になり、今年も頑張ろう!という気が充ちてきます。
北越の「初打ち&お雑煮会」はすべてのチーム北越生の1年のスイッチオンとなる集まりです。
たくさんの印象的感動的な話の中で、現ダンロップの中心選手として昨年の国体2位、日本リーグ2位という輝かしい成果を残した岡村葵さんの話を紹介します。
岡村さんは、昨年のお雑煮会で、僕が「今年のテーマをスーパーポジティブにしたい」と言ったのを聞いて、自分もそのテーマで1年間戦おうと決意したのだそうです。人生をかけてソフトテニス競技を続けている日本リーグの選手として、チームや会社の期待を背負って勝利を重ねるというのはとてもタフな仕事です。それを重荷としてとってしまえばネガティブになる。実力が上の相手と戦うときに臆してしまえばネガティブな思いにつぶされる。だからスーパーポジティブに生きようと決意したというのです。その結果の大活躍。
実際、昨年岡村選手と二度戦って二度敗れたどんぐり北広島の田辺恵理さんは、年末に来てくれた時にこんな話をしていました。
「葵(岡村)は進化しました。全然違うんです。例えばペアが大事なところでミスをして、誰もが痛いなって精神的に落ちる場面でも、はじけるような笑顔で『全然大丈夫ですよ! 攻めてますから全然行けます!』と会場に響くように声かけをするんです。自分がミスをしても全く落ちないし、逆にどんどん攻めてくる。ポイントしてるのはこっちなのに、あの元気と強気に逆にイライラしてしまって、なんだか焦ってくるんです。」
二人とも素敵な話ですね。
高校時代、ペアを組んで日本一を経験(全国私学大会ダブルス)した二人が、今は別々の場所で競技を続け、そして年に1回「心のふるさと」に戻ってきて何かの力を手にして、またそれぞれの場所へ戻っていく。
また、1年が始まります。
チーム北越、今年もファイトだ!
夢を持って、ポジティブに生きような!
新年会03 新年会02 新年会01

2017年11月30日 (木)

DREAM FACTORY 2017 初冬(号外)

今年もまた 力強く
全国の空へ 巣立ち

新キャプテン前山 宮崎STEP4で2つのメダル!

H29 step4 02

週末に嬉しい知らせが南国から舞い込んできました。
宮崎市で開かれていた競技者育成プログラムSTEP4(次年度全日本代表最終選考合宿)、その中で行われた第12回ジュニアジャパンカップにおいて、新キャプテン前山愛がU-17シングルスで3位、ダブルスで2位に入賞し、二つのメダルを獲得しました。(宮崎県ソフトテニス連盟のHPに結果が載っています http://www.cmp-lab.net/users/MST/step4-2017/)これは新潟県としてはもちろん初の快挙ですし、一握りのトップ選手だけが達成できる高みに前山も近づいてきた、その大きな飛躍をうれしく思います。
今回、何よりも前山が変わったなと実感したのは、シングルスで3位になった後、宮崎から連絡をくれたのですが、嬉しさよりも悔しさを伝え、そしてこれまでにない謙虚さがあふれていたからです。
彼女が喜びとして伝えてきたことは、北越での練習の成果がしっかりと出せたこと、それに対しての感謝の気持ちでした。
前山は才能豊かな選手です。ですがこれまでは精神的に幼くて、エースと凡ミスを交互に繰り返すようなテニスから脱却できませんでした。とても全国のトーナメントを勝ち切れる「強さ」をコート上で表現できる選手ではなかったのです。
ただ、「変態」の兆しはありました。
まず、国体でシングルスを任せられ、いつも勝負のかかる第2対戦で、しかも勝ち負けのすべてを自分一人で背負わねばならないタフな戦いを続ける中で、彼女の中の子供がアスリートへと変貌していったこと。シングルスを本格的に初めて国体までの短期間で全国のトップ選手と互角で戦えるようになった背景には、渡辺コーチがつきっきりで彼女のフィジカルとフットワークを鍛え上げていった、そして前山が信じてついていったことが最大の要因だと思います。(DREAM FACTORY 2017秋 愛媛国体を参照 特に最後にコーチと二人でランを繰り返す写真にその信頼の一端が伺えます)
二つ目は、国体が終わって、もう逃げも隠れもできないキャプテンとして新チームに責任を持たなければならなくなった。けれども先に紹介した通り、今、新チームは泥沼の中をもがいている。問題が続出する。チームがまとまらない。キャプテンとしてもつらい時期です。キャプテン自身も準備不足、指示の不徹底などでチームが軌道に乗れません。でも前山は誠実に自分の甘さ、弱さと向き合おうとし始めていました。「反省」と「向き合う」ことの違いをよく考えなさい、僕からも何度も言われていました。最近の前山は時々とても悔しそうな顔をするようになっていました。
そんな中での「飛躍」のニュースでした。
でも、本当の戦いはこれからです。
これで「蝶」になったなどと勘違いしないように。
まだまだだよね。
まだまだ。
まだまだ…
チームもまだまだ。
おまえもまだまだ。
監督もまだまだ。
だから、頑張ろう!
今日も、これまでと変わらず、確かな一歩を進めよう!

H29 step4 01

このSTEP4には、北信越代表としてU=17に水澤、U=20に鈴木、保科も参加しました。
水澤はダブルスで予選突破してベスト8。
U-20は実業団選手も入ってくるナショナルチーム予備軍で勝ち上がるのが格段に難しくなるカテゴリーですが、鈴木がシングルスで予選を突破してベスト8。保科はダブルスで予選を抜けてベスト8。
全員が高いレベルに臆することなく立ち向かい、新たな課題を携えて帰ってきました。
アスリートとして、日本を代表する選手になれるよう、これからも日々「見ている人に感動を与えられる選手」を目指して努力を積み重ねていきましょう。

2017年11月26日 (日)

DREAM FACTORY 2017 晩秋

荷物満載でぬかるみを進む荷車
このすばらしき泥沼を共に進もう!

H29 新チーム03 H29 新チーム02 H29 新チーム01

季節は廻り、新チームのストーリーが始まりました。
本気で日本一を目指して戦ったこの1年のドラマから、新しいチームは何を継承し、そして何を創造し、どんなドラマを紡いでいくのでしょうか。
とても楽しみです。

歴史を創った3年生が中心から抜け、今チームは毎日ガタついています。気魄をエネルギーに突き進んだチームの中で目標だけを見ていたはずなのに、突然、砂利道をよたよた進む荷車の上で夢から覚めたような感じです。
毎年、秋の代替わりの時期は、チームがごたごたして、なかなか前へ進みません。
当然のことです。リーダーシップが育っていないので、毎日続出する問題を整理できない。問題を整理できないから課題を抽出できない。目の前の問題だけにとらわれるので全体が見えない。
問題渾沌、課題満載、視野狭窄、そして結束未完、推進力微弱。まさに乱雑に積まれた荷物満載の荷車状態ですね。
でも、それでいいのです。この時期はむしろそれがいい。
ただ、ストレスたまります。お互いです。新チームも指導者も、育てようとしてくれている3年生も。
でもでも、この時期は本当に大事だと思います。ここを逃れようとしたり、上辺だけ繕おうとしたり、誤魔化したり楽したりして、この泥沼をバイパスしてしまうと、必ず後ででっかいしっぺ返しを食らう。
人間の成長って、バイパスできません。
高校のテニスコートは「教室」・・というより「道場」をイメージしています。そして15歳~18歳の時期は、人間としての「変態」(生物用語ですよ)の時期だと思っています。レギュラーも初心者も、同じコートで日々自らを追い込みながら自分を超えていこうとする、その「変態」への意志がいろんな人のサポートを集め、チームとしての協働を生み、リーダーの自覚を芽生えさせ、内側から変化を促す(変態する)。それをサポートする作業はとてもストレスフルですが、指導者が高校のテニスコートに立つことの意味は、「いも虫」選手がどれだけ美しい羽根を持つ「蝶」に変わるのか、その「変態」を目にした時の喜びを何物にも代えがたいと思えるかどうかに尽きるのではないでしょうか。
今年も「すばらしい」泥沼の中でもがいております。意志は強いです。新チーム全員の意志ということでは今までで一番の結束かもしれません。一歩一歩、ぬかるみながら歩みを進めていきます。

さて、更新をさぼっているうちに初雪が降りました。
秋の諸大会の結果を載せます。

県新人選抜大会 10月21日 上越市総合運動公園テニスコート
ダブルス
優 勝  前山愛・冨樫春菜
2 位  庭野真李・木村美月
ベスト8  田中遥奈・阿部瑞希
(荒天のため、シングルスは中止)

H29 県新人01
H29 県新人04 H29 県新人02 H29 県新人03

今年は秋の県新人大会が、全日本選手権(天皇杯皇后杯)と重なってしまい、監督不在の中の戦いでした。しかも新チームの柱の一人水澤も全日本に出場しており、新チームには試練の門出となりました。
第1シードの前山・冨樫は、不安定なところもありながらなんとか優勝。
でも、この大会のニュースは、なんと言っても庭野・木村の準優勝でしょう!
特に庭野は地区大会ではペアがドクターストップで棄権せざるを得なくなり不出場、県大会は水澤に代わっての出場でした。それが第2シードのインターハイ選手を倒し、続いて第3シードの高いスキルを持つ1年生ペアを退けての準優勝、しかも決勝もファイナルまで競る戦いを演じたわけで、彼女のアスリート魂に改めて感じ入りました。
中学時代の庭野は県では全く無名の選手でした。その無名の庭野に声をかけたのは、地区大会でたまたま見た彼女のハートに感動したからでした。
中学3年時の地区大会の団体戦、ベスト4決め=県大会出場決定戦で、ジュニアからの有名な選手をそろえる第1シードの中学校に庭野は必死に立ち向かっていました。圧倒的な技術力の差。さらにペアの前衛は大事なポイントでミスを重ねます。ほぼ1対3の戦い。それでも庭野は食らいつくのです。ガッツを前面に出してペアを励ましつつ笑顔で戦い続けます。第1対戦としてファイナルまで追いついた時、同時進行で戦っていた隣のコートで2試合が終了してしまいました。なんとか最後まで戦わせてやれないのか…そう強く思ったくらい、彼女の熱いハートは観ている人に感動を与えてくれました。
庭野は誠実な人です。(このページの一番下、地区大会に一人出場できなかった庭野が寂しさを抱えながらチームのためにスコアを付けている写真を見てほしいです)一途でひたむきな人です。新チームの部長を任せています。ただ誠実すぎて柔軟性がないのが欠点ですが、それは長所と短所は表裏一体ですから、誠実であるという素晴らしい長所を生かし伸ばしていくテニスをこれからも追究してほしいです。

全日本選手権 鈴木・保科 4回戦(ベスト32) 
10月20~22日 前橋市総合運動公園テニスコート

H29 全日本05 H29 全日本04 H29 全日本03
H29 全日本01 H29 全日本02 H29 全日本06

全日本選手権、3回目の出場となる鈴木・保科は、初めて初日を突破し、2日目には高い実力を有する実業団(ワタキュー)ペアを攻撃的平行陣を駆使して倒し、ベスト32まで駒を進めました。
4回戦の相手は、西日本選手権2位の関西大学:西岡・古田ペアでした。どちらも高校日本一の経験者で西日本のトップアスリートです。
小雨が降り続く悪コンディションでしたが、二人は、相手にも全日本という独特の雰囲気にも悪コンディションにもひるむことなく、全力で勝ちに行きました。
ファイナルまで互角の戦いでしたが、最終的に敵前衛の古田選手の駆け引きが勝りました。ただ、今までの鈴木は、あれだけ動かれるとロブで逃げることが多かったのですが、今回はあの雨の中でも打ち切って戦う道をあえて選択し続けました。西岡選手がほぼ深いロブで続けてくる状況で、保科は何度もスマッシュを決めましたし、鈴木は完全に打ち勝っていました。
鈴木・保科が、個人戦として最後に「北越高校」のユニフォームを着て戦う全国大会。最後は「こう戦いたい」というイメージ通りに戦いぬいたのだと思います。
「守って勝つくらいなら攻めて負けた方がいい」二人の戦う姿からは、そんな思いが伝わってくるようでした。清々しさに満ちた「有終の美」でした。
この大会、鈴木・保科が常に目標としてきた林田・宮下ペアが初の高校生チャンピオンに輝きました。本当に素晴らしい戦いでした。心から祝福させてください。
その上で、4回戦まで駒を進めた高校生ペアは、優勝ペア以外では鈴木・保科だけでした。実際、チャンピオンペアを除けば、今年の全日本で一番戦った高校生ペアではなかったか、ひいき目も当然ありますが、そう確信しています。
もう一つの代表ペア:水澤・田辺は「どんぐり北広島」の高橋・半谷ペアのパックに入りました。高橋・半谷ペアは昨年末からの全国レベルのインドア大会タイトルを総なめした日本屈指の実力ペアです。力ははるかに格上ですが、二人は超高速テンポのテニスに食らいつき、2ゲームを取りました。しかしながら、レシーブゲームを一つブレイクされそのまま2-⑤で敗れました。この二人も北越でペアを組み、日を重ねるごとに強くなっていきました。鈴木・保科の後塵を踏むことが多く全国的には目立ちませんでしたが、インターハイの団体では全勝。個人戦も含めた3日間の戦いでも、個人戦で準優勝した中村学園のエースに競り負けただけ。国体でも優勝した東京に第2ダブルスとして互角の戦い。もう少しこの二人で戦うチャンスがあれば、間違いなく全国上位に名を残せたことと思います。この北越の「畑」で成長し自立した田辺が水澤を精神的に強くリードし、短期間でたくましいペアになりました。この経験はお互いのこれからの競技歴に、その先の人生に必ずつながるよ。ナイスファイトでした!

さて、今回の全日本で感じたこと。
本当にあり得ないと思います。これほど水捌けの悪い砂入り人工芝コートでの全国大会は見たことがありません。晩秋の天気が安定しない時期ですから、降雨は十分想定されたはずです。初日の女子のコートは悲惨でした。「水が浮く」とはよく言いますが、「水が滞っている」のです。雨が上がっても引いていかない。湿地です。下地の排水システムが機能していないのか、そもそも正式な工事をしていないのか、表面は「ぬるぬる」という状態です。今年のプロ野球セリーグのクライマックスシリーズ、阪神対横浜の泥沼試合、あんな感じです。高校生の大会であれば100%実施しません。入れるだけのアンダーサーブが着地しただけで倍速化しノータッチエース。振り回されれば後衛は足元が気になって全力で追うこともできない。実際うちの選手は振り回されて滑り、身体が空中に浮いて尾てい骨からコートに落下しました。痛みが引かず急遽病院へ行くことになりました。これが「真の日本一を決める大会」ですか。大会運営の皆さんを批判しているのではありません。4日間も雨が降りしきる中、コートキーパーの皆さんは献身的に働いてくださいました。夜遅くまで、カッパギやスポンジで水取りをしてくれた地元の中学生高校生の皆さんには本当に頭が下がります。一人ひとりに熱いココアとほかほかの肉まんを配ってあげたくなりました。だからこそ、物申したい。「真の日本一」を決める「日本最高峰の戦い」と銘打つのであれば、日連の責任部署は安全面と運営面を考慮して基準を設定した上で水捌けのチェックをし、その会場での開催の可否について責任を持つべきです。将来日の丸を背負う中学生や高校生も参加している大会です。心ある日連のトップの方、どなたか耳をお貸しくださいませんか。

秋季新潟地区大会 9月13~14日 新潟市庭球場
ダブルス
優 勝  前山愛・冨樫春菜
2 位  水澤奈央・木村美月
ベスト8  田中遥奈・阿部瑞希
シングルス
優 勝  水澤奈央
2 位  前山愛
3 位  冨樫春菜
ベスト8  木村美月、阿部瑞希、庭野真李、清野美穂

H29 秋地区06 H29 秋地区04 H29 秋地区05
H29 秋地区01 H29 秋地区03 H29 秋地区07

2017年10月16日 (月)

DREAM FACTORY 2017 秋(愛媛国体)

愛媛国体
有終の5位入賞!

IHで惜敗した広島に快勝!


H29 愛媛国体01

平成29年度 愛媛国体 (10月7日~9日 今治市スポーツパーク)
1回戦 シード


2回戦 ③-0 徳島県
 鈴木・保科 ④-0 上出・大谷
 前山  ④-2 西尾
 水澤・田辺 ④-2 太田・新開

準々決勝 0-② 東京都
 鈴木・保科 3-④ 林田・宮下
 前山  1-④ 小林
 水澤・田辺 1-1 鈴木・西東(途中打ち切り)

5~8位 順位決定一次戦 ②-0 鹿児島県
 鈴木・保科 ④-0 中崎・下柳田
 前山  ④-3 加

5~6位決定戦 ②-0 広島県
 鈴木・保科 ④-2 笠井・森本
 前山  ④-2 奥田

1年間のドラマが終了しました。
今年はインターハイではなく、10月の国体がチーム北越としての最後の挑戦になりました。
インターハイ準々決勝で惜敗した後、もう一度チームを引き締め、そして村上の木村さんを国体コーチに迎え、愛媛国体に臨みました。
北越高校内の広報チラシ「愛媛国体特集」が各教室に張り出されたのは、2週間前くらいだったでしょうか。
そこにキャプテンの鈴木は「東京を倒して有終の美を飾りたい」と締めくくっていました。
10月11日の地元紙新潟日報のスポーツ欄に「少年女子 有終の5位」という見出しが載った時、このチームは本当に「有終の美」を飾ったんだなと実感しました。
日報の記者さんは、夏の会津インターハイにも取材に来られており、あの鈴峯女子戦を翌日の新聞で「窮地から驚異の粘り」という見出しで大きな記事にしてくださいました。
その記者さんが、このチームの最後の戦いで鈴峯女子に快勝する姿を見て、そのように感じてくださったこと、そして記事の最後に「試合後にハイタッチを交わした選手たちの表情は、すがすがしさに満ちていた。」と記してくださったこと、嬉しく思います。

5月のゴールデンウイーク、会津で開催された研修大会で、北越は東京都文大杉並高校に木っ端微塵に打ち砕かれました。全く歯が立たない。というより気魄で圧倒されて力が出せなかったという方が正確です。
それから3カ月後、「打倒文大」、「打倒小さな自分」で臨んだ会津インターハイ。もう一つ勝てば、その文大とやれる準々決勝で惜敗。
このチームはいつも去年の三冠「文大を超えること」を心に秘めて練習してきたように思います。
会津の団体戦の負けから、愛媛国体でもう一度文大=東京に挑む、そしてそこに勝って日本一の夢を達成する、そう誓って更なる道を一歩ずつ歩んできました。

初日の準々決勝、真っ向勝負で東京と戦いました。
エース鈴木・保科はJAPANのメンバーで高校生No1の林田・宮下ペアとの勝負でした。
6月のハイスクールジャパンカップ決勝で、全く戦えずに白旗をあげた相手です。
戦いました。
心技体、そして戦略。何よりも負けじ魂、気魄。
すべて出し切って戦いました。
ファイナル勝負まで競りましたが、ファイナルの強さは林田選手、宮下選手が上でした。
シングルスの前山は闘志が力みになって、戦えませんでしたが、同時進行で進んでいた第2ダブルスの水澤・田辺は互角の戦いを繰り広げていただけに、第1ダブルスの結果次第では東京を破るという夢が現実になったかもしれません。

夢が終わった日の夜、こう選手たちに話しました。
ドラマは終わった。
すべて出し切った。すべてを出し切って、それでも相手が上だった。それでいいのだ。それが戦いだ。
ただ、おまえたちには、まだ続きがある。
ドラマの最終回が終わった後に、お前たちの「生き様」としての戦いがある。
人生のドラマは一つだけじゃない。
あの会津での悔しさ。あと2本取れなかった悔しさ。
お前たちが強く思えば、必ずもう一度、広島と戦うチャンスをもらえる。
あの強烈な悔しさからも力を得て、一生涯、明日という日を振り返った時に力をもらえる、そういう一日にしよう。

選手たちは、自分の「生き様」として、チーム最後の日を戦い抜いてくれました。
チーム北越として最後の日を清々しく生きた、保科葵、鈴木愛香、田辺なつき、チームの3年生3人の思いを綴ってみます。

H29 愛媛国体03 H29 愛媛国体12 H29 愛媛国体30


夜のミーティング。先生が松岡修造の記事を読んでくれた。
これは朋恵先生が私たちのために作ってくれたもの。
「一番厳しい場面でタフであること。」
東京戦はタフな戦いになる。
うまくいく方が少ないかもしれない。
東京がすんなり勝たせてくれるはずがない。
でも、自分らは、どこか「やりきる!」とか「自信持っていく」とか、なんか甘く考えているような気がする。
実業団にも大学生にも勝つようになり、自信がついてきた分、東京の強さを今までより低くイメージするようになっているんじゃないか。
今日の練習試合、先生の言うように「決してベストではない」
自分にとってベストパフォーマンスを生むには何が必要か。
感謝の気持ちを持つといい時もある。
例えばIHでカットRをする時、たくさんボール出ししてくれた明彩加先輩に感謝の気持ちを持って戦ったらノーミスを貫けた。
でも、それだけで戦いきれるわけもない。
基本は、とにかく相手への闘志を燃やすことだ。
今までやってきたこと、失敗から学んだことを思い出して、迷わず思い切っていくこと。
先生が言う「気迫じゃなくて気魄」を生むのは、そういう向かっていく心だ。
オラツ!って思いを込めた方が、ギリギリの場面でチームとして戦ってる気がするし、いろんなパワーをもらえてる気がする。
苦しい顔をしても何も引き寄せられない。
とにかくどんな場面でも、笑顔で明るく闘志を持って攻め続ける。
「あらゆることから力を集めて光を放て」
うちの部訓だ。
普通にしてても何も集まらない。
自分の行動、決断、姿がエネルギーをチームに集めるんだ。
気魄、笑顔を忘れずに戦い抜こう。
そして、やっぱり「東京に勝つ!」を表現したい。
(10月6日 保科葵)


会場に入った。
カウントダウンして生きてきた愛媛国体、いよいよ明日だ。
開会式で東京文大チームを見て、明日はここを倒すんだ!って強く思った。
私は東京(文大)に勝ったことがない。
いつも実力が出せなくて、というか出せる「心」がなくて、自ら戦わずに負けてきた。
会津カップ・・ハイジャパ決勝・・
私は3年前に「北越へ行きます」と岡村先輩(現ダンロップ)に報告した時、「3年後、文大に勝ちたいんです」と言ったのを覚えている。
岡村先輩に「絶対、北越来て良かった、って最後に思わせるからね」と言われた。
その夢が明日なんだ。明日が「3年後」なんだ。
この夢のために3年間北越で自分を磨いてきた。
やってやろう!
絶対に東京を倒す!
「誰も無理だと思っているようなことでも、絶対に叶えたいって誰よりも強く思うこと。そして努力しつづけること。」
成田さん(現アドマッテクス)が来てくださった時に残してくれた言葉。
文大を倒して日本一、誰よりも強く思ってきたし、努力もしてきた。
だから、自信を持ってやり切る!
ミーティングで新潟国体でベスト4に入った時のことを先生が話してくれた。
「壁を破る時、リスクを負って攻める場面が必ずある」
ファイナルのギリギリの場面で8年前の新潟チームはやり切った。私はインターハイでそれができなかった。
その勇気がベスト8かベスト4かを分ける。4決めで戦うのは東京。
思い通りにならないことは多くあるだろう。
でもそこで守ったら勝ち目はない。
リスクを負ってでも攻めなければならない時が必ずある。
明日は、そこで強さを表現したい。
いよいよ3年間のドラマの最終回。
ラストだと思うと悲しくなるけど…
明日は一瞬一瞬、東京を倒す=夢を叶えるために生きる。
文大を倒すためにやってきた日々はどこにも負けない強さになると信じて、私は戦います。
(10月7日 鈴木愛香)


H29 愛媛国体21 H29 愛媛国体22 H29 愛媛国体26

東京に勝つことはできなかった。
本当にごめんなさい。自分のせいです。
少し弱くなっている自分がいた。
林田のフラットボールはロブで返球するとテンポあげてさらに球速とパワーが加わってドッカーンと何度でも打たれる。
中間ポジションで持ってこられて、ビビッてアプローチミス、レシーブミスになった。本当に情けない…
「薄さ」による負けではない。
だけど、圧されているいる時に冷静じゃなかったり無謀になったりしている。
林田よりもずっと未熟だった。
まだまだ足りないところがあったんだ。
「東京に勝つと決めていた」
そうやって過ごしてきた。チームも林田の作るチームを超えるために積み上げてきた。
でも、ダメだった。
倒せなかった。本当に悔しい…
負けて、あいさつの後、先生と握手して、日本一への挑戦が終わったんだって、強く実感した。
結局、私が終わらせた。
でも、この大会、最終日は今日じゃない。
団体戦、3年間の最後の日、明日は終わらせない。
最後は笑って終わりたい。
大丈夫。向き合ってきた日々は間違ってない。
誠実に今までやってきたことをやりきるだけ。
嬉しいことに、夏に負けた鈴峯チームと戦えるチャンスがある。
朋恵先生がミーティングで言ってくれたように、一歩ずつ悔しさをエネルギーにして、明日はすべてぶつける。
「このままじゃ終われない!」
今日の東京戦、G2-3の時に言った言葉だ。そしてファイナルに持ち込めた。
明日はまさにこれだ。
「このままじゃ終われない」
私たちは負けず嫌いのチームだ。
そうやって強くなってきた。
日本一は獲れなかったけど、明日は全勝で終える。表彰式には5位の賞状をもらう。
先生、あの握手、ムダにしません。
どんな場面でも強さを貫きます。
今日の弱さも力に変えて、明日は強く生きて全勝します。
(10月8日 保科葵)


H29 愛媛国体10 H29 愛媛国体11 H29 愛媛国体29

東京にかなわなかった。
本気で勝ちに行っていたから当然悔しい。
第1ダブルス 林田・宮下が相手だった。
最初の乱打の時はテンポと打球スピードにびっくりしてしまった。
でも、今日は逃げないで打ち合おうと決めていたから、ポーチでとられようが打ち合いから逃げなかった。
葵の動きが気になったのか、林田の方が先にコースチェンジしてきた。打ち合ってこない林田は意外だった。
中盤に葵のミスが増えても、自分は自分に集中できていた。
先生とやってきたあらゆることが練習通りにやれて嬉しかった。
次第に林田にミスが増えて、ファイナルへ。
ファイナルではもっと林田と勝負すればよかった。ファイナルは自分が悪かった。
競ったけど、またここを超えられなくて悔しい。
また、なつきに回せなくて申し訳ない気持ちでいっぱい。
でも、今できることは振り返ることではなくて、切り替えて明日の2試合にベストを尽くすこと。
明日戦うことができるのもブロック国体も含めれば参加した47都道府県のうち8チームしかない。
そう考えれば、国体を一番長く戦えるわけだから、その幸せを感じながら楽しんで試合をしたい。
初戦の鹿児島に勝てば、きっと広島との戦いになる。IHで負けた広島にリベンジするチャンスだ。
このチームの最終日。ラスト2試合。
絶対に勝って終わる。
集大成!
やりきる!
(10月8日 鈴木愛香)


H29 愛媛国体05 H29 愛媛国体06 H29 愛媛国体04

最後の舞台で、自己ベストの戦いを貫けたのが嬉しい。
満足のいく試合ができて本当に良かった。
そして、とうとう広島にリベンジできた。
IHは敵のマッチポイントを10回追いついたけど、力尽きた。
でも、今回は鈴峯のエースに勝ち切ることができた。
一番大事な場面で、強さを表現できること。今回はそれができた。
いつもは大事につなげるところも思い切って攻めた。その結果、ネットインしてくれたり、敵の前衛のチップを誘えたり、3年間のすべてを出し切った戦いだった。
北越で先生と出会って、一つひとつ一緒につくってきて、最後の舞台でベストの自分で戦えて、本当に良かったです。
今まで自分の夢のためにやってきたけど、私がこれまでの先輩から力をもらったように、私自身が後輩に語り継がれていくような選手になりたいと思うようになった。
先輩を超えるチームを目指して今までやっていなかったことを提案して始めたこと、たくさんあったと思う。
キャプテンとして、リーダーとして、精一杯生きてきた。このチームは去年の秋から負けるたびに成長してきた。
あと2か月あれば、東京にも追いついて日本一になれる実力を手にしただろうな。
それくらい、北越でやってきたことは日本一への道だったと思う。
そんなところで3年間テニスができて、本当に幸せだった。
でっかい夢を叶えるために本気の先輩、後輩、仲間がそろって、先生、コーチが支えてくれる。
愛(前山)もこの国体で大きく成長した。
6G目は、愛が先に勝ってくれたからとれたと思う。
正直、いつもは頼れなかった。
うちらが負けたら終わりで、水澤・田辺に回すことはできない。そういう状況でずっとやってきた気がするから、愛の成長は心強かった。
だからこそ、私たち頑張らなきゃと思えた。
最後に朋恵先生、いつも私たちのことを一番に考えてくれて、支えてくださって、ありがとうございました。
私たち、最後に全部の力を出し切れました。
(10月9日 鈴木愛香)


H29 愛媛国体24 H29 愛媛国体25 H29 愛媛国体28

国体最終日。
昨日のミーティングでの宣言通り、広島にリベンジして、2試合を勝ち切って、ベスト8の中でのNo1になった。
第1ダブルスの鈴木・保科とシングルスの前山が勝ったから、出番はなかったが、全員昨日は「明日全勝します!」と言ったわけだから、チームとして最終日、全員が有言実行したわけだ。
全員が約束を果たせば、私たちペアの出番はない。
正直なことを言えば、広島のダブル後衛を圧倒して勝ちたかった。夏は追い詰められてからの逆転だったけど、今回は1本目から仕留めるイメージがありありとあったから、圧勝したかったな。
ただ、前山はすごく頑張った。昨日もだけど、どんなボールにも食らいついていた。だから、絶対リードから挽回されてきてG3-2になっていた鈴木・保科にもエネルギーを与えられたんだと思う。
鈴木・保科は強かった。今回の大会で改めて凄さを見せつけられた。
どんな場面でも揺るがないというか、相手に主導権を渡さない。
気魄があふれていたし、このチームへの想いが強く伝わってくる。
だから、会場からの帰り際に、ああやって、知らない人からも「すごく印象に残った戦いだった」って声をかけられるんだ。
新潟とは関係のない人にも、勇気と感動を与えられる。そうやって私たちのチームから希望とエネルギーをもらっている人がいると思うと嬉しい。
5~6位決定戦。新潟vs広島。
準決勝や決勝から見れば、注目されない戦いだけど、私たちにとってはとても大切な戦いだった。
夏のリベンジの機会を与えてくれたのは神様だとしたら、嬉しくてたまらない。
「神様は乗り越えらえる人にしか試練を与えない」
私たちのチームにぴったりだと思う。
結果がすべてじゃない。
「東京を倒すと決めていた」
そう誓って毎日過ごしてきた日々は、この先もずっと忘れない。
私は中学の時まで、団体戦でも全然勝てなかった。
団体戦がこんなに熱くこんなにも楽しいものだなんて、中学の時は正直思いもしなかった。
北越に来て、チームで一つになって大きな夢を目指して戦う楽しさや、目標を達成したときの喜び、練習してきたことが出せたという充実感…
私は団体戦が大好きでしょうがない。
きっと、この北越に来てなかったなら、こんな思いはわからないで終わっていた。
このチームで本当によかった。
このチームの仲間と一緒に日本一に本気で挑めてよかった。
みんな、本当にありがとう。
この3年間のことは一生忘れない。
いつでも、目を閉じて思い出して、勇気と希望をもらえる。
先生、まだ皇后杯があります。
奈央(水澤)と組む最後の大会をベストで戦いきります。
成田・小林のベスト8を超える!
1戦でも長く奈央と先生と戦い続ける。
まだまだ指導をよろしくお願いします。
(10月9日 田辺なつき)


H29 愛媛国体09 H29 愛媛国体08 H29 愛媛国体27

終わった…
全勝!
5位!
昨日で日本一を追ったドラマは終了した。
けど、今日は「私たちの生き様」、そう先生は言った。
チーム北越という私たちが主人公のドラマの番外編。
誰も注目しないけど、私たちにとっては集大成の1日。
私たちは広島に夏のリベンジを果たし、夏よりもずっと進化した自分をみんなで実感することができた。
きっと、昨日の東京の負けからも進化したんだ、私たち。
本当に、向き合ってきたチームだったな、と思う。
闘うチームだった。
負けても負けても這い上がる。
負けることによって、強くなっていった。
どんな相手にもひるまなかった。
今までやってきたこと、すべてが自信につながるような、そんなドラマを生き切った。
このチームを本当に誇りに思う。
1年の時から団体メンバーに入って、3年間チーム北越を背負って戦ってきた。
1年生は3年の皇子先輩のおかげでインターハイ団体出場。
私たちペアは、その頃、団体に弱い個人戦女だった。
奈良インターハイでは団体戦すべて負けた。
そこから、全国での戦いを見据えて一歩一歩進んできた。
部長にもなった。
けど、順調な道のりではなかった。
雑な自分。薄っぺらな自分。
そこを伝えられ、逃げずに向き合った。
1回部長も交代した。そこが一番自分と向き合った原点だったと思う。
それまでは何とかセンスでやってこれた。でもそこが限界だった。
2年生までは責任もプレッシャーも少なかった。いやほぼ無かったな。
岡山インターハイ、ベスト8。歴史を刻んだ。
でも、そこからが本当に苦しかった。
何回泣いたんだろうか。
県新人でのまさかの敗退。県選抜、北信越選抜、エースの私たちの負けで全国選抜へ出られず…
でも、この時期が自分を大きく変えたんだって、今わかる。
あの時期があって、今の自分がいる。
チーム北越が何よりも大事にしていること、「自分の弱さから逃げずに向き合う」その本当の意味を知った。
県団体6連覇。北信越総体、団体初優勝、個人優勝。
そして日本一を目指した会津インターハイ。
1年前の和歌山信愛に雪辱。そしてベスト4をかけた鈴峯戦。ファイナル0-6から追いついたけど、あと2点がとれなくて敗退。
でも、その負けと向き合って、立ち上がって、昨日、そして今日。
私たちは強く生きた。
その証拠が今日の戦いだ。
全国のどこのチームよりも充実した1日1日を私たちは生きてきたと確信する。
ドラマの最終日、エリート集団の東京には勝てなかった。
けど、私たちは自己ベストで、5月の連休に相手にならなかった文大に接近できた。
林田・宮下戦も、札幌のハイジャパ、あのお話にならない決勝からずっと進化して、エース対決としてファイナルを戦えた。
朋恵先生、本当に憧れのアスリートです。ストイックで自分に厳しくて。
朋恵先生が、高校生でキャプテンだった時に作ったチーム、わからないけど、今わかるような気がします。
朋恵先生みたいなリーダーになりたかった。少しは近づけたでしょうか。
闘う厳しさ、いつも作ってくれてありがとうございます。
津野先生。ゼロから前衛初心者の私を鍛え上げてくれて、ありがとうございます。
北越に来る前、最後こんな形で前衛として終えるなんて想像もできませんでした。
たくさん問題ありましたけど、一つひとつ本気で伝えてくれて進化させてくれて、その結果、今の私があります。
感謝しかありません。そして、出会えて私は幸せです。
3年生の仲間たち、そして1,2年生のみんな、厳しいことも言ったけど、受け取ってくれてありがとう。
今、こうして振り返ってみると、本当にたくさんの人たちにエネルギーをもらってきたんだとわかる。
心からの「ありがとう」を伝えたいです。
ただ、北越の名前で出る最後の個人戦、全日本が自分にはある。
これからあと11日。
1日1日を自分と向き合いながら、最後まで「強く生き抜く」
(10月9日 保科葵)

H29 愛媛国体15 H29 愛媛国体14 H29 愛媛国体17
H29 愛媛国体13

2017年8月14日 (月)

DREAM FACTORY 2017 盛夏(会津インターハイ)

会津IH
団体2年連続5位入賞!

1年かけて和歌山信愛にリベンジ!


H29 会津IH 01
H29 会津IH 04 H29 会津IH 15 H29 会津IH 07


平成29年度 会津インターハイ (7月26日~29日 あいづ総合運動公園)
団体戦
1回戦 シード

2回戦 ③-0 星野(埼玉)
 鈴木・保科 ④-2 渡辺・伊藤
 前山・阿部(瑞) ④-2 神庭・榎本
 水澤・田辺 ④-0 田中・佐藤
3回戦 ②-1 和歌山信愛(和歌山)
水澤・田辺 ④-1 朝倉・中井
 前山・阿部(瑞) 2-④ 松井・戸根
 鈴木・保科 ④-1 下江・浦口
準々決勝 1-② 修大付属鈴峯女子
 水澤・田辺 ④-3 白木・広沢
 前山・阿部(瑞) 0-④ 笠井・奥田
 鈴木・保科 3-④ 吉田・森本

2009年、夏の甲子園決勝で起こったドラマを覚えている方がどれくらいあるでしょうか。
史上最多7度目の日本一を目指す中京大中京高校と、それまで夏の甲子園勝率が都道府県最下位の新潟県代表 日本文理高校との決勝戦。日本文理は堅実な野球で新潟県勢初の決勝戦へ駒を進めましたが、最終回は10対4で6点のビハインド。マウンドにはその後広島カープでプレーするエース堂林がマウンドに立ち、すでに2アウトでランナーなし。ところが、ここから、ドラマが起こります。そこから、なんと10対9の1点差に詰め寄るのです。
テレビのアナウンサーの絶叫。異様な歓声が甲子園を包みます。
あと1点届きませんでしたが、サイレンがなる中ホームベースを挟んで整列する二つのチーム、青ざめた中京大中京の選手たちと、最高の笑顔を見せて仲間を讃えあう晴れやかな日本文理の選手。そのコントラストの違和感をよく覚えています。
・・・まさか同じようなことを、うちの選手たちが、インターハイの舞台で演じることがあろうとは、想像だにしていませんでした・・・

1年前の岡山インターハイ、初の団体入賞を果たしたチーム北越は、準々決勝で和歌山信愛に敗れました。完全な力負けでした。
「地方区」の学校でも頑張れば全国ベスト8までは行ける。けれど、その上を目指すとすれば、全国から優秀な選手(全中優勝クラスの選手たち)を集める「全国区」の学校を倒す力、つまり「日本一」の実力をつけなければ、その夢は叶わないということを実感させられた敗戦でした。
それから1年、「次は絶対!」をスローガンにチーム北越は着実に一歩一歩力をつけてきました。ウサギと亀の寓話のごとく、前をぴょんぴょん走る「全国区」チームを追って、雪国のハンデを背負いながらも会津の夏を目指して亀の歩みを進めてきました。北越の選手たちはエリートではありません。このDream Factoryでも綴ってありますが、秋には県でも負けました。冬の北信越選抜でもエースが力を出せずに全国選抜にも出られませんでした。あらゆる面で力不足でした。トップに届く力がないのならつけていくしかない。今年のチーム(特に3年生)は誰も「そんなこと無理だ」とは思いませんでした。やはり岡山での悔しさをチームが共有していたからだと思います。会津で「次は絶対!」、チームの意志が揺らぐことはありませんでした。

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そして臨んだ会津インターハイの団体戦。
初戦の相手は、埼玉県大会の決勝をドラマチックな逆転勝利で優勝してきた星野高校でした。チーム力があります。十分警戒して戦いました。
この試合、全国大会初出場の阿部瑞希(2年)が自己ベストを大きく超えるパフォーマンスを見せて、星野高校のエースを破りました。阿部は県総体でも北信越総体でも団体戦には出ていない選手です。まだまだ技術は未熟ですが、誰にも負けないガッツがある選手です。団体戦では「誰にも負けない」何かが強みになる。それを実証してくれたような戦いでした。チームに勢いをつけてくれました。

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3回戦で第2シード和歌山信愛との勝負です。全国選抜に出ていないため、北越は15シードでした。それで3回戦に信愛と激突です。
ベースラインに並んだ時、1年前の試合後の整列を思い出しました。実力の差が歴然で相手にならなかった準々決勝、敗戦の挨拶。うなだれる選手たち、挨拶の後、選手たちと握り合った手。その手の力から、選手たちが「次は絶対!」と誓ったあの日。あれから1年、雪国育ちのチーム北越が、全中個人優勝、団体優勝選手をそろえた「全国区」チームに挑みます。
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対戦は2面展開で始まりました。
向かって左コートに第一対戦、水澤奈央(1年)・田辺なつき(3年)ペアが全中メダリストペアの朝倉・中井ペアと、右コートでは「ガッツ」の阿部瑞希と昨年の悔しさを知る前山愛の2年生ペアが平行陣の布陣で、前日の個人戦ベスト8の後衛 松井選手と前衛 戸根選手のペアとプレーボールです。
挑むチーム北越は、スタートダッシュに勢いがあり、どちらのコートも怒涛の攻撃で序盤をリードします。その勢いを持続して中盤に入りましたが、右側のコートでは、阿部にボールが集められ、さすがに「ガッツ」のみでは苦しい展開になってきました。ただ、阿部も前山もよく戦いました。特に阿部は練習では見たこともない正確な中ロブと長いシュートボールを何本も打ちつづけ、松井選手をかなり苦しめました。最後はシード校の意地を見せて長いラリーを制した信愛が④-2で逆転勝利。
一方、左側のコートでは、中盤に入っても水澤の正確なラリーは揺るがず、田辺の得点力と機動力でポイントを重ね、一度も主導権を渡さずに④-1で勝ち切りました。
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1-1で3番勝負。キャプテン同士の戦いとなりました。

和歌山信愛は、下江・浦口ペア。3年前の全中、このペアで個人日本一です。対するチーム北越は、全中個人でベスト8に入り「全国区」からの誘いを受けましたが、それを断って地元に残り北越のキャプテンとしてチームをつくってきた鈴木、そして高校になってから前衛を始めた保科のペア。3年最後のインターハイで「ウサギ」と「亀」が最終決戦を迎えました。
遡ること1カ月半前、6月のハイスクールジャパンカップでも、鈴木・保科は下江選手と対戦しました。小雨が降り続く中、④-0で勝利しましたが、あの悪コンディションでは本当の力が出せないままだったと思います。
そして、会津インターハイ、前日の個人戦、4回戦で鈴木・保科は下江・戸根ペアに④-1で敗れました。
初日の3回戦で、下江・戸根ペアは文大杉並高校の小林・西東ペアと凄まじい戦いを繰り広げていました。実際、3年ペアとしての意地、責任、気迫がコートから溢れるばかりの戦いに、僕も心から感動しました。そして深い敬意を覚えました。次の日に当たる相手に「感動と敬意」を覚えている場合ではないのですが、感じてしまうものは仕方がない。それほど素晴らしい戦いでした。
4回戦で鈴木・保科も、気迫を前面に出して戦ったのですが、下江選手の気魄が上回っていたと思います。そして戸根選手の迷いのない機動力にも翻弄されました。戦い後の握手をした時、下江選手は鈴木に「ありがとう。頑張るからね。」と言ってくれたそうです。言われた鈴木も「遥花(下江)は、私が日本一を本気で目指しているのを知っていたから、ああ言って私の夢を受け取ってくれたんだ。」とその日のノートに書きます。もう、これだけでも感激です。この二人の心の交流、そしてお互いへのリスペクトは高校生同士の戦いの域を超えていると思います。
ですから、団体戦、この二人をもう一度対戦させたかったのです。
(チーム北越の挑戦と和歌山信愛の下江さんのドラマ等の記事が「ソフトテニスマガジンポータルのWEBサイト」に載っています。右上の「2017インターハイ特集」をクリック)

個人戦の時より、鈴木・保科に勝利への執念がありました。ゲームの鍵になるポイントを鈴木・保科は確実に押さえていきました。サーブレシーブでも強さを発揮して④‐1で勝利。
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チーム北越が、1年かけて積み上げてきた全国トップへの階段は確かなものでした。
鈴木・保科が強い気持ちで戦えた条件の一つに、1番と2番が自己ベストで戦ったということがあったと思います。決してハイジャパ銀メダルの鈴木・保科だけのチームではない。全員が自己ベストで「全国区」の学校へ挑んだ、そのチームとしての気魄が、団体でエースペアの勝負魂に火をつけたと言えると思います。
これだけでも、十分なDreamであり、北越として新たなDreamを刻んだと言っていいのですが、この後に、とんでもないドラマが待っていたのです。

準々決勝は、修大付属鈴峯女子高校(以下、鈴峯女子)との対戦でした。
鈴峯女子は、3年前の全中団体優勝メンバーがそろっている強豪チームです。このメンバーを中心に昨年の岩手国体でも準優勝。今年の春の全国選抜でも準優勝。優勝候補に挙げられる強敵です。
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スタートダッシュは完全に鈴峯女子が上。とにかくテンポが速い。小技も上手です。向かって右側の水澤・田辺は、敵のテンポについていけずに、相手の得点が続きます。サイドパッシングのテンポとスピードに田辺が遅れます。何とか一つ返してゲームカウント1-2。チェンジサイズのベンチアドバイスで修正点を確認したのですが、焦っていたのか水澤に伝わりません。ゲームカウント1-3。
一方、左のコートでは、前山・阿部の2年生ペアが和歌山信愛戦とは違って、粘りのないテニスでミスを連発し崩れていきます。前山の我慢がききません。阿部にも神がかったラリーは見られず、0-④で敗退。
このままでは、鈴木・保科に託す前に、0-②で敗れ去ってしまう。そんな空気が濃厚でした。3番対戦に向かう鈴木・保科に「大丈夫。絶対にお前たちに回すから、自分の戦いに集中して!」と言って送り出したものの、状況は非常に厳しいものがありました。
その状況を変えたのは、3年田辺なつきがペアの1年生水澤へぶつけた強い想いだったと後で知ります。

3年前の春、中学校の地区大会でふと目にした小さな前衛のバックハイボレーのしなやかな身のこなしと間合いの取り方がとても美しくて印象に残りました。田辺は田辺で、中学3年時に参加した県STEP2の大会で、北越高校の選手たちが明るく元気に、そしてどんなボールでも諦めずにひたむきにプレーする姿に憧れ、自分もあんな風にコートで自己表現できたらいいなと思っていたのだそうです。
入部してからの田辺は、まさに亀の歩みを地で行くような日々でした。当初はとても身体が固く、股関節と肩甲骨が使えない。そして自分自身を前に押し出すことが苦手な選手でした。ただ、田辺の最大の長所は「ひたむきさ」です。納得いくまで練習する。妥協しない。毎日の全体練習が終わった後に自主練習の時間になるのですが、ナイターをつけてとにかく納得がいかない状態では決してやめない。継続的なフィジカルトレーニングで身体も進化していきました。今ではチームのフィジカルリーダーとして、下級生に身体の使い方を教える師範役です。そしてもう一つ、「心」が深いのです。だから信じる力があります。信じる力が強いから団体戦に極めて強い。どこからその粘りと強気と勇気が出てくるんだ、と何度も驚かされました。実際、田辺は3年間インターハイの団体戦に出場して全勝なのです。(1年時:2勝、2年時:3勝、3年時:3勝)
ところが、この鈴峯女子戦で窮地に立たされます。ベンチワークの後の4ゲーム目の落とし方も最悪で、0-4で落とします。水澤のミスが3本、そして自分のWFでゲームオーバーです。かつての田辺なら、そこで退いたでしょう。自分のWFでゲームを落としたのですから、「ごめんね」と言って下を向いたと思います。しかし、もう田辺にはアスリート魂が育っていました。
水澤の目をまっすぐに見て、こう言います。
「しっかりしよう!」

G1-3、超流れが悪かった。
「しっかりしよう!」
試合中にあんなに強く言ったことはない。生まれて初めてのことだ。
タッチも強くして、「これじゃダメだ!」って想いを奈央(水澤)にぶつけた。
言葉じゃなくて、想いを。


こういう二人の強い想いのやりとりがあったのです。
実際5ゲーム目からの二人の動きも気魄も格段に変わりました。まるで、2人の背後に何か強気の音楽が流れているかのように、二人の攻撃にリズムが生まれました。鈴峯女子のテンポの速いアタックはもう通りませんでした。水澤のラリーが正確さを増し、田辺は俊敏な動きでアタックを止め、移動攻撃で得点を重ねます。
G2-3でベンチワーク。二人に生まれたリズムを止める何の言葉も必要ありません。強い想いを共有して送り出します。
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G3-3でファイナル。
ファイナルは一進一退。とってとられて、でも田辺も水澤も攻撃をゆるめません。全く退かない。田辺の積極的な移動攻撃のハイボレーがアウトして敵にマッチポイントが行きましたが、二人は動じませんでした。確かな攻撃でデュースに戻すと、ラッキーも味方してゲームセット。
「言葉じゃなくて、想いを」ぶつけた田辺の行動がターニングポイントを生みました。あの瞬間に、彼女の3年間が凝縮されていたのだと思います。だから水澤はエネルギーをもらったのです。そしてチームは戦う心を取り戻せたのです。
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言葉って不思議です。
言葉そのものは知性に働きかけることはできても、人間の心を大きく動かす情動に作用することは難しい。けれど、そこに込められた想いが確かで強ければ、ありきたりの言葉であっても、人を動かし、勇気を生み、場合によっては人の運命さえ変えることができる。

その時、左のコートでは序盤の有利な流れを保科の悪い面が出て失いかけていました。2人のゲームの入りは完璧で、G2-1。4ゲーム目も北越に主導権はありましたが、小さなミスから追いつかれ、逆転されていく。そのような展開から、鈴木のテニスは慎重になっていきました。流れが敵にいきかけている。そこで1点を安易に取りにいって何度も地獄を見ています。大きなテニスにして長いラリーの中から、失いかけてた主導権をもう一度取り戻そうとしているのです。鈴木の心の中のせめぎ合いが痛いほど伝わってきます。しかし、敵に行った流れは戻りません。G2-3で逆転されて、マッチゲームを迎えます。
ですが、ベンチに戻ってきた二人は、意外と落ち着いていました。今は流れが悪いが、このまま終わるわけにはいかないし、終わるはずもない。そんな感じです。
6ゲーム目、二人はベンチや応援団の思いも強さに換えてきっちりと戦い、ファイナルへ。
ところが、ファイナルは、ゲームの入りでミスが続き、あれよあれよという間に、ポイント0-6の相手マッチポイントを迎えてしまいます。
このまま終わってしまうのかな、と一瞬思ったのは事実です。
でもそれは諦めているというのとはかなり違います。
「運」とか「天」とかいう流れが敵にあり、如何ともし難い。全力で戦っているのですが、なぜかうまく事が運ばず唇をかみしめている状況です。

北越のドラマは相手のシュートがネットしたところから始まります。
1-6、2-6、3-6、1本1本、長いラリーで追いついていく、まさに亀の歩みでした。


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ベンチで思っていたことは、ただ一つです。
「エースを信じるだけ」
4-6、5-6。あと1点…
ここで鈴峯女子は、ファーストサービスを入れ、レシーブをしてそのまま前進する保科にアタックして来ました。
こういう時に保科は強さを発揮します。目の覚めるような中間ポジションからのミドルボレーが相手のラケットを弾き飛ばしました。
ついに6-6。
追いつきました。本当に追いつきました。
0-6から6-6に至るまでの心境について、鈴木は試合後のインタビューでこう答えています。
「(ファイナル0ー6マッチからの緊張感は)意外とそうでもなくて。自分のプレーをしようと思って1点だけに集中してやれたし、絶対負けないで次につなぐからと思ってできました」(ソフトテニスマガジンポータルのサイトから引用)
「無心」ということだと思います。
試合の方ですが、最終的にはファイナルのスコアは12-10です。6-6の後、さらに4回のデュースアゲインが続きます。しかも、そのすべてがアドバンテージ鈴峯なのです。
ということは、10回の相手マッチポイントを鈴木・保科は跳ね返したことになります。水澤・田辺の敵マッチポイントの1回を合わせると、チームとして11回の絶体絶命を乗り越えた。
翌日の地元新聞(新潟日報)には「驚異の粘り!」という記事で大きく取り上げられることになります。
この試合、保科の敵のマッチポイントでの強気のプレーは観ている人に勇気と希望を与えたと思います。
深いロブを追ってスマッシュミスで相手のマッチポイント。でも、退かずにもう一度スマッシュを追ってデュースに持ち込む。そんなプレーが何度もありました。
長いラリーの中、相手後衛がシュートを打ちこんでくる気配を察して、何度ポーチボレーを決めたことでしょう。
以前の保科は違いました。ミスが出ると心が浮ついて連続ミスを犯す。もしくはミスを怖がってフォワード魂を失ってしまう…。
その保科が、あの苦境、あの土壇場の剣が峰で、あれほど冷静に、そしてどんな状況にも動じない勇気をもって、戦う意志を表現できた。それをひたすら嬉しく思います。
6-7、7-7、7-8、8-8、8-9、9-9、9-10、10-10と信じられないスコアが続いていく… 時間が流れているのか、止まっているのか、その中でスーパープレーが何度も繰り広げられる、夢の中のシーンなのか、現実なのか、とても不思議な感覚でした。
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最後は、10-11から短くなった鈴木のロブを森本選手がたたいてゲームセット。
北越の日本一への夢は終わりました。
見方を変えれば、鈴峯女子は10度マッチポイントを握りながら追いつかれ、それでも1度もマッチポイントを渡さなかったのです。その強さもこのドラマのもう一方の主役であるはずです。
泣き崩れる北越の選手たちと、勝利で泣きながら抱き合う鈴峯女子の選手たち。
勝者と敗者が分かれた整列でしたが、去年とは明らかに違う感慨を選手たちも抱いたはずです。「力がなくて負けた」ではなく「互角の力をつけて戦いきって負けた」のですから。

1年間、「次は絶対!」を合言葉に力を紡いできた選手たち。
「全国区」の一角を実力で倒し、全中団体優勝メンバーが中心で春の選抜2位の学校を劣勢から驚異の追い上げで追いつき、信じられないドラマを繰り広げることができました。
今年のチームカラーはイエロー。会津でヒマワリを満開にしようと言い合ってきました。
咲きませんでしたか?
満開ですよね。
ありがとう。みんな。
お前たち、最高だよ。
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そして、今年も力を貸してくれた様々な人たち、丁寧なお礼もできずすみません。
この場を借りて、御礼申し上げます。
ありがとうございました。

最後にキャプテン鈴木のノートを載せます。
今回、みんな結構あっさりしたノートでちょっと拍子抜けなのですが、それは国体があるからでしょう。
今年の新潟県少年女子チームは選手も監督もチーム北越で構成します。
もう、心は国体です。
今度こそ!
その思いは、会津前より強いのです。


会津IH日本一の夢、終わってしまった。
もう一つは勝ちたかった。
なつき、つないでくれて本当にありがとう。そしてごめん。
でも、みんなのおかげで鈴峯戦、頑張れたよ。
苦しい時、ベンチを見て何度も救われた。
ここで負けられっか!って踏ん張れた。
新潟県の他校の人や新潟から応援に駆けつけてくれた人たち、あんなに大勢の人たちに応援されて試合ができて幸せでした。
先生、最後まで自分がベストを出せるように、いろんなことをしてくれて、ありがとうございました。
先生がいなかったら、今の自分はありません。先生のおかげでここまで来れました。
正直、2年生のころまでは先生を信じ切ってなかったのかもしれないな、と今になって思います。
アドバイスやヒントをもらいながら自分で何とかしようと思っていました。
でも、3年になってから本当に苦しくて、逃げ出したくなって、先生を頼るようになった。
そして、その結果、最後は信じ切って戦えた。本当に全国レベルと戦えた。
たくさん悩ませてしまったと思います。
でも、自分のことを信じてくれてありがとうございました。
去年と同じ結果(団体5位)だけど、去年と違う嬉しさがあり、悔しさがある。
和歌山信愛を倒せたのは本当にうれしかった。
1年前は歯が立たなかったけど、あの時、先生は言った「1年後に追いつけない背中じゃない」。
そして私たちはやり切った。
下江にこの大会でリベンジできた。
昨日の個人戦の負けは決して無駄じゃなかったと思う。
「あらゆることから力を集めて光を放て!」
全中チャンピオンの下江・浦口。
北越を選んで、ここで3年間地道にやってきて、3年生で追いつけて良かったなあって思う。
北越に来て良かった…改めて心の底から思う。
鈴峯女子には勝てた。
あと2ポイント。
その2ポイントが取れなかった。
悔しいな。
でも、苦しい場面を何度も乗り越えながら思ったことがある。
3年間の練習って、こういう試合で2ポイントをとるためにやってきたんだなって。
一番苦しい時に頑張れた。
それは自分と向き合ってきたから。そのことは自信を持って言える。
P0-6でも、なんか行ける気がしてた。
怖くもなかった。
ラケットも振れていた。
少しは観ている人に感動を与えられたかな。
地元からも、応援していたよ。見ていたよ。感動したよ。っていっぱい連絡をもらった。
国体ではもっとプレーの幅を広げたい。
このままでは限界がある。
今日のリベンジ、絶対国体でするからね。
みんな見ててね。
今日の試合を見てて「愛香先輩のようになりたい」って言ってくれたけど、国体でもっと強い試合するからね。
国体で勝ってから言ってね。
今日のはダメだよ。だって負けたから。

今日より明日。
おやすみなさい。
(3年 キャプテン 鈴木愛香)


今年のサプライズ旅行は、「裏磐梯の大自然と鍾乳洞の神秘」がテーマでした。
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最後に、会津インターハイで自己ベストを出せたチーム北越を支え続けた3年生3人を紹介します。
冨樫美咲は北信越の記事で紹介しました(Dream Factory 2017初夏)。阿部玖瑠実と猪俣佳矢乃は、県総体で自己ベストで戦いましたが、巻高校のエースペアに競り負けて3年間の選手を終えました。2人は3年間の様々な経験を経て人間的にも精神的にも大きく成長しました。選手としての活動が終了しても、3人は朝練習から放課後の自主練習の時間まで、この会津インターハイの夢のため、そして後輩たちの指導のために、全力で力を貸してくれました。立派な3年生です。団体戦は3年生がチームを作れないと厳しい戦いでチームとしての力を発揮できません。この3人の支えがなかったら、今回のドラマはありえませんでした。
すべてが終わって、新潟へ帰る前、表彰式で首にかけてもらったメダルを、試合には出なかった1,2年生が、この3人に贈りました。
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2017年7月11日 (火)

DREAM FACTORY 2017 初夏

北信越総体 団体初優勝!
鈴木・保科は個人冬・夏連覇!

H29 北信越01
  
団体戦
1回戦 ③-0 福井商業(福井)
準々決勝 ②-0 七尾(石川)
準決勝  ②-0 高岡西(富山)
決 勝   ②-0 高岡商業(富山)

個人戦
1 位  鈴木愛香・保科葵
3 位  水澤奈央・田辺なつき
ベスト16 阿部瑞希・木村美月、前山愛・冨樫春菜
2回戦 庭野真李・冨樫美咲

H29 北信越06 H29 北信越05 H29 北信越04
 
北信越団体制覇、長くかかりました。今までは県で勝っても、高岡西高校という日本一を常に狙って鍛えているチームの壁、ジュニアが盛んで優秀な選手が毎年揃う石川県の壁、その二つの壁をなかなか越えられませんでした。3ペアの力が結集できないと北信越の優勝旗を持ち帰るのは難しいのです。
準々決勝からは、過去3年間、北信越で負けてきた学校に一つひとつ借りを返していったような対戦になりました。3年生主体の今年のチーム、強くなっていました。1,2年生の前へ向かっていく強さもチームとして引き出しながら、戦いを重ねるごとに「圧倒する強さ」をようやく表現できたように感じました。
さあ、残すはインターハイの団体。
今年のチームカラーはヒマワリ色です。
でっかい向日葵を会津のコートで満開にする。
さらに強くなって、夏を目指します。
H29北信越02
個人戦では、鈴木・保科が、県勢としては田辺(恵理)・岡村以来の冬・夏連覇。田辺なつきは1年生の水澤と組んで、鈴木・保科以外には完勝でした。同士討ちで、県総体も北信越総体も敗れましたが、「前へ向かっていく強さ」の絶対値が、勝利or敗北という剣が峰のポイントで鈴木・保科には敵わない。ゲームの要となる場面で、鈴木・保科は相手の心にも踏み込んで「ギアを入れる」。田辺は「受ける」。その差だと思います。田辺にはもっともっと大きな力が眠っています。全国レベルでもっと戦うことができる選手です。Push Yourself Forward At Key Points!  会津で、でっかく咲く花をみたい。いままで会ったこともない自分と、会津のコートで出会ってほしいです。
阿部瑞希・木村美月の2年生ペアは、県総体の個人戦、インターハイ決めの試合で、これ以上はないような「弱さ」を表現してしまい(ファイナル 5-5から、阿部の手打ちロブをスマッシュされ、木村はセカンドサーブのレシーブを重圧から当てにいってネット下段でゲームセット)ましたが、上位大会である、北信越総体で、その弱い自分を乗り越えるチャンスをもらいました。初戦の相手は、石川県の金沢東高校。しっかりしたテニスをするペアでした。自分を超えていく時、いかねばならない時、「神様」はイニシエーションを課す。本当にそうとしか思えないシーンに毎年のように出会います。今回もリードしながら追いつかれ、逆転され、ファイナル5-6で敵マッチポイントのセカンドサーブ。レシーバーは木村。県総体の「あの」シーンと全く同じ状況。「神様」うますぎます。木村は二度目のイニシエーションに向かう直前、ペアの阿部に向かってとびっきりの笑顔でこう告げました。「よし、振り切るからね!」
そして、深く逆クロスに突き刺さったレシーブに、相手は対応できずアウトミス。その勢いに阿部も乗じて再逆転勝利。その後、福井のシード選手にも勝利。さらにベスト16をかけた戦いで、高岡西の選手との競り合いにも勝ち切りました。二人は来年のチームの主力になってもらいたい選手です。2年生の県総体で見せてしまった弱さと向き合い、それを上位大会で乗り越えたという経験を自信にして、さらにレベルアップしてほしい。
最後に、2回戦で準優勝した第2シードの選手に敗れはしましたが、3年生の冨樫美咲は2年生の庭野を精神的にも戦術的にもリードし、自己ベストで有終の美を飾りました。
冨樫美咲01 冨樫美咲02
冨樫はチーム北越になくてはならない存在です。チームの太陽のような存在です。1,2年生のころは幼くて失敗を繰り返しました。大きな怪我もありました。そういう負の経験を通して、自分のあるべき生き方をこのチーム北越で見出した。そして最後の県総体~北信越総体で自己ベスト。素晴らしい3年間だったと思います。


鈴木・保科 ハイジャパ銀メダル!
ようやく全国デヴュー!

H29 ハイジャパ03
ダブルス
予選リーグ
 ④-1 藤 ・ 為 藤 (佐賀県:佐賀清和)
 ④-1 片 野 ・ 小 松 (宮城県:東北)
決勝トーナメント
 ④-3 小 林 ・ 福 田 (長崎県:大村)
準々決勝
 ④-0 下 江 ・戸 根 (和歌山県:和歌山信愛)
準決勝
 ④-1 原 口 ・ 久 保 (福岡県:中村学園女子)
決勝
 1-④  林 田 ・ 宮 下 (東京都:文大杉並)

降り続く雨の中、神経戦、消耗戦の戦いが続きました。我慢の場面でよく我慢し、攻める場面でよく攻めた。悪コンディションにおいて、そのシンプルな戦いの精度が高かったと思います。
本人たちは、全く納得していませんが、文大、三重、中村学園、信愛という全国区の学校が順当に勝ち残る中で、地方出身地方育ちの鈴木・保科が札幌で残した戦いの軌跡は、十分に誇れるものだと思います。
鈴木・保科は昨年の大会では予選敗退。技術的にも戦術的にも精神的にもまだまだ未熟で、敗退した後、応援に駆けつけてくれた保護者の方に「未熟の一言。また鍛えなおします!」と言った記憶があります。
そして、その1年後、鍛えられて育った二人は、堂々の戦いぶりで決勝まで勝ち上がりました。努力は嘘をつかない。Dream Factoryチーム北越で自己向上に努力してきた日々は確かなものでした。
ただ、決勝は「ごめんなさい」の試合。全国の決勝を幾度も経験してきている相手に対して、その相手に負ける前に、自分たちが駆け上がってきた舞台の高さに初めて気づいた感じで、雰囲気に負けてしまいました。
錦織選手が、全米オープンの決勝で自分を表現できずに敗れた時に「ここまで硬くなったのは久しぶりで、試合に入り込めなかった。」と話していましたが、同じ精神状態になってしまったのかもしれません。
日本一のチャンスが目の前にありながら、純粋にそのチャンスに挑めなかったのは残念ですが、二人が積み上げてきた日々の結果として、全国の決勝の舞台に立てたのは間違いない事実ですから、二人は自信を持っていい。
夏の会津で、また挑めばいい。そのための大事な経験ですよ。

H29 ハイジャパ01 H29 ハイジャパ02 H29 ハイジャパ04

決勝は戦わずに負けた。ほぼ自分たちの自滅で終わった。
攻める!と言ってコートに入ったが、ディフェンス的なプレーでのミスから始まってしまった。
会場の雰囲気をとても気にしてしまった。
文大が勝って当たり前的なムードの中、私たちがミスをすると「やっぱりね」って言われているような気がして、心が真っ直ぐに集中できなかった。
人の目を気にした。
始めて立った全国の決勝。あれだけ大勢の人に囲まれたセンターコート状態での試合。
小さく縮こまって、負けていった。
敵に負けたのではない。決勝という雰囲気に負けた。小さすぎる…
でも、そういう経験ができて逆によかった。インターハイの決勝だって、たくさんの注目を浴びて試合をする。
あと1ヶ月、今日起こったことを絶対に忘れずに生きる。
みんな、エネルギーをありがとう。
次は、絶対! 北越が優勝する!
(保科葵)

決勝、全然戦えなかった。
初の全国決勝の舞台。大勢の観客。
ただ向かって行くだけだとは思っていた。
けど、序盤にミスが続き、それからはその悪いイメージが抜けずに、自分のテニスができなかった。
本当に、情けなくて恥ずかしい試合をしてしまった。
葵は全国レベルにまで達したと思う。自分が変わらない。
葵が変わったみたいに、自分も変わりたい。
今まで自分たちが超えられなかった全国の壁。その壁はブレークスルーできた。
目標は達成した。初の全国メダル。
いろんな人からパワーをもらった。
ありがとうございました。
それでも決勝は戦えなかった。悔しさの方しかないし、情けない思いでいっぱいだ。
チームのみんなも、ありがとう。みんなが頑張ってくれているから、自分も苦しい場面で頑張れたよ。
IH、絶対日本一だよ!
(鈴木愛香)






2017年6月15日 (木)

DREAM FACTORY 2017 春(県総体 )

県総体 団体6連覇!

H29 県総体01

  
団体戦
準々決勝 ②-0 三条東
準決勝  ②-0 中越
決 勝   ②-0 巻
 前山・冨樫(春) ④-3  古澤・藤田
 鈴木・保科    ④-1  小林・石山
 水澤・田辺         蓮沼・阿部

H29 県総体06 H29 県総体11 H29 県総体12


高い集中で、会津インターハイへの切符を勝ち取りました。
6連覇と言っても、毎年いろんな条件の中、たった一つの挑戦権をかけたドラマがあります。
今年は、昨年の岡山インターハイベスト8というスタートがすべての起点でした。
1,2年生主体で勝ち取ったIH5位入賞。それゆえに県内大会では勝って当たり前という空気が、まだまだ成長期にある高校生には重荷としてのしかかります。
一方で「敵は全国5位。私たちは失うものなんか何もないから、ただ向かっていくだけ」こうした開き直りのパワーを相手に与える条件にもなります。
昨年の10月の県新人戦での惨敗。そして冬の県選抜決勝では、目の前の勝利にこだわりすぎて戦う心を見失ってしまいます。相手の悲鳴にも似た歓声。うなだれる北越の選手たち。重い日々が続きました。
北信越選抜では個人戦1位と3位。実力的には十分優勝を狙えるのに、団体では勝負所でエースが敗退。全国選抜を逃してしまいます。
このような「重荷」は、他方、自分らを強くしてくれる「負荷」でもあります。
僕は繰り返し実感するのですが、3年の夏(県総体~IH)に自己ベストを出せるかどうかは、この種の負荷としっかり向き合ってきたかどうかにかかっていると思います。
前年の実績という重荷だけではなく、学年が上がるにつれチームの中では責任という負荷がかかってきます。チームをまとめる責任、後輩を指導する責任、チームの問題を自らの問題として逃げずに背負う責任。どんなチームにあってもエースであったり、リーダーであったり、上級生であったり、責任のかかる立場にある者は、秋~冬、そして冬~春と季節が移り行く中で、自分の責任と向き合う場面が数多くあるはずで、その一つひとつとどう向き合ってきたか、逆に向き合わずにきたか、それが最後の大会での強さになり、弱さになっていく。
「負荷」は実際重いですから、できれば脱ぎ捨てたい。身軽になりたい。身軽で戦える1年生~2年の夏までは、この「負荷」がないので伸び伸びと戦えても、2年の秋からは、「負荷」をあえて背負う覚悟が必要なのだと思います。その覚悟を日々の取り組みの中で育ててやるのは、我々指導者の大切な仕事です。選手も苦しいし指導者も苦しい。その苦しい時期を共に歩む。その日々から、アスリートが誕生する。そう信じています。

昨年の秋~冬にかけて、チームの敗北の「現場」にいつもいたのが保科葵です。
保科は能力の高い選手です。高校に入ってから前衛になったのですが、飲み込みが早く、ポイントを伝えてやるとすぐにできます。半年あまりで県のトッププレーヤーになり、2年目には北信越代表として宮崎で行われる全日本最終選考合宿に参加するまでに成長しました。しかし、性格が(よく言えば)おおらか、(悪く言えば)大雑把。これはトップ前衛にはむしろ必要な資質でもあると思っているのですが、本物のアスリートとして全国トップの選手に近づくには、この大雑把で緻密性に欠ける自分と向き合う必要がありました。

さて、今回の6連覇、そして個人戦の鈴木・保科の大会連覇、その「ど真ん中」には保科葵がいました。
個人戦、向かってこられる重圧からか、当日の空模様のようにペアの鈴木は重苦しかった。それを支え、苦境を切り開いていったのが保科でした。
団体戦では、常にチームを鼓舞し、後輩を励まし、自分自身もほぼ完ぺきなパフォーマンスで全勝しました。
今回のDREAM FACTORYは、昨年12月、県選抜で長岡商業に敗れた日から、保科が自分と向き合ってきた日々を振り返ってみたいと思います。

遡ること半年、県選抜団体決勝。鈴木・保科のペアを崩して、保科は下級生の前山と組んで戦いました。
第一対戦に出て相手の長岡商業のエースとの対決になりました。
序盤、保科の雑なネットプレーが続いてリードされていきます。前山も走らされて強引なプレーがミスになり、G0-3まで追い込まれました。
インドアの平行陣の安定に対して、北越の雁行陣の攻めが正確性を欠きます。
ここから、こちらも平行陣にして戦いました。苦肉の策です。1本1本、かみしめるようにしてポイントを重ね、ファイナルまで追いつきました。
長いラリーが続き、隣のコートでは2試合が終了。1-1となって、この第一対戦が3番勝負の形になりました。
お互いが追い込まれた状態でのミス待ちラリーが果てしなく続きましたが、最終的には保科が狙われてゲームセット。

自分の薄っぺらさでチームを負けに導いた。悔しい…。本当にごめんなさい。
長商のW後衛にファイナル負け。G0-3から、こっちも平行陣にしてファイナルまで追いついた。
P2-0、逆クロスへのボール、面が薄くて吹いてアウト。その後スマッシュがアウト。
ここから小さくなってラケットを振れなくなる。
吹くのが怖くてほぼ返球。お互い返球しあってミスを待っているラリー。
デュースまでいって、果てしなくアゲインは続いた。
こっちのマッチポイントは4回あった。
愛(ペアの前山)のツイストがネット。そして次はWF。
だけど、3回目と4回目のマッチポイントは私のストロークが薄くてのアウトだ。
マッチを握っても、雁行陣で攻める選択はできなかった。序盤のようにネットについて狙われたら…という不安に勝てなかった。
「インパクトでの面の薄さは人間の薄さ」前に先生から言われたことがある。
それがチームを負けに導いたんだ。
変わりたい。この負けは絶対に忘れない。
変わらないと、来年の県総体、同じように私がチームの夢を終わらせる。
これから毎日、朝6:45からギャラリーを走る。
少しでも厚い人になって、勝利を導ける人になれるように。
(12月17日 保科葵)


翌日、みんなで日本リーグを観に行きました。
日本リーグにはDreamFactoryの卒業生がたくさん活躍しています。
アドマテックスの成田さん小林さん、太平洋工業の小林さん、ダンロップの岡村さん。
セミプロのアスリートが、チームの夢、会社の誇りを背負って、それでも思いきり戦う姿を保科にも感じてほしいと思いました。

日本リーグは、私みたいなクソ試合する人なんて誰もいない。いるわけがない。
相手のマッチポイントだって、当然打ち切るし、点を取りにいく。ミス待ちなんかじゃない。戦いだ。
点を取り合う戦いだ。
見ていてもハートを感じる。絶対負けられないと強く思っているから、だから絶対点を取りに行く。
それだけのことだ。
私は、絶対負けられないと思って無難に引いてしまう。攻める気持ちを失ってしまう。
この差だ。勝ちたい勝ちたいと思っているけど、自分自身の勝つための準備が薄っぺらなんだ。
葵先輩(ダンロップ岡村葵;北越の卒業生)は私とは全然違った。
ペアの安藤さんの引退試合。負けられない戦いだ。
相手の強打を敢えてポーチボレーに行く。後衛前の深いロブを追いに行く。
あんなに深いロブ、「ミスするかも…、決まらないかも…」という雑念は当然あるだろう。
でも、その雑念を振り払って決めに行く姿。
「厚い」人だ。ハートが強い。思いが強い。
この二日間のこと、決して忘れないで北信越でリベンジする。
選抜の切符、全国への切符、必ずつかむ。
(12月18日)


それから約1か月。新潟県2位校として、北信越選抜に出場しました。
2位校は、各県からの2位校のリーグで1位となり、1位校リーグの3位チームと全国への第3代表の切符をかけて争います。要は全勝しなければならない。
2位校リーグの中では、石川県の七尾高校との試合がキーになりました。その戦いで、エース鈴木・保科は力を出せずに敗れ、チームも全国選抜への出場を逃してしまいました。
鈴木に精彩がなく、そうなると保科は冷静な判断を欠き、ペアとして踏ん張りがきかなくなります。
次の日の個人戦では、団体を負けに導いた悔しさから、鈴木・保科が圧勝。しかし、保科は決勝のチャンピオンシップポイントでイージーなミスを連発します。

全国選抜に行けない…
また、自分が終わらせた…
ここ勝負、って場面にいつも私がいる。
そして勝てない。県も、北信越も。
背負う場面で耐えられない。
うまくいかないと顔がこわばっていく。ミスが出ると振り切れない。いつもこうだ。
ペアとしても問題があると思う。
それは愛香(ペアの鈴木)にいつも試合をつくってもらっていることだ。
主体が愛香にいつもある。
良いチームになってきたって自信もあったけど、やっぱり核となるべき自分が弱すぎる。
努力はしている。でもまだまだ弱いんだ。
今日の試合ではっきりわかった。
愛(後輩の前山)がミーティングで勇気出して言ってくれたように、
失敗から学ぶのはもうたくさんだ。成功を積み上げるチームに!
私って本当に懲りない人間だなってつくづく思う。
今度こそ、今度こそターニングポイントにしないと、日本一どころか、IHにさえ出られない。
(1月14日)
個人戦、優勝した。
嬉しいけれど、正直悔しい。
また馬鹿なことをした。優勝を決めるマッチポイントから4本連続クソミス…
負けそうな土壇場にも弱いし、あと一歩で勝利という土壇場にも弱い。
どっちにしても、ギリギリの場面で1点がほしくなる。それが力みになったり、馬鹿な判断につながる。
ペアの意志疎通にも問題ありだ。
私たちのペアは二人で何かをする時間がほぼない。
愛香は一人で全部する。私は二人でする時間を増やしたい。
最近の愛香はなんか怖い。もっとコミュニケーションとりたいけど、どうしても一歩引いてしまう。
自分でもわかっている。怖いと思っている自分が最悪だ。ペアとして一緒に前へ進もうとしていないということだ。
次、団体で戦うのは、もう春のインターハイ予選だ。
自分の弱さから逃げず、ペアからも逃げず、1日1日を大切にしていこう。
ペアとしても本気で話をしよう。
チームとしても、ペアとしても、本物になりたい。
(1月15日)


向き合っているはずの自分の薄っぺらさがなくなりません。メンタル的にも自信をなくし、ペアとの関係もしっくりいかなくなります。
この頃が、保科のボトムポイントだったかもしれません。自分の薄っぺらさを自覚し、そこと向き合い取り組んでいるのに成果が出ない。部長としてチームをまとめ、メッセージしつづけなければならないのに、自分自身がありえないプレーを大事な場面で犯してしまう。
保科は誠実な人間です。失敗すれば、その失敗から逃げずにきっちり反省できる人です。ただ、それが長続きしない。簡単に言えば「子供の反省」の域を出ないので、そこを根気強く指導しつづけました。反省をするのではなく、日々の姿勢を変えるのだ。試合のない普段の時に、自分の夢に立ち戻り、自分をコントロールし、後輩たちをきっちり指導し、時には仲間とぶつかりあうこと。
実際、今年のチームはそこが弱い。ぶつかり合えないのです。お互いが気を使ってぶつかり合うことを回避する。去年の岡崎のような存在がいません。それもまた追い込まれた時の弱さにつながっている。
ただ、保科、鈴木を中心に、徐々にチームはメッセージを心で受け取り、リーダー改革、チーム改革に取り組み始めます。保科の本気の姿が練習中も練習外でも見られるようになってきました。

リーダーミーティングを持った。
テーマは「リーダー同士がぶつかれないことについて」
私たちの一番の問題は、ぶつかった後の関係を気にしてしまうことだ。
嫌われたくない。っていう気持ちがあるから、強く言えない。全員一致だった。
そこが下北沢との違いだ。(前にバレー女子の下北沢成徳チームを追った番組をみんなで見た)
下北沢のキャプテンは嫌われても大事なことをメッセージし続けていた。
それから、伝えられた側の態度も重要だ。
逆ギレ、言い訳、他の人への愚痴、そんなのはもっての外。
仲間が勇気を出して言ってくれたことをちゃんと受け取ってあげること。
「〜していこう」とか「〜しよう」じゃなくて、「〜して」ってズバッと言う。
そして、部員みんなの人間性の理解。誰が 何に取り組んでいるのか、リーダーは把握していないと 、的確なアドバイスができない。
その三つを主に話した。
部長の私が人の目を気にするからダメだ。
もう小さな殻に入るのはやめにする。
結局それは人の評価を気にすることだし、大事なポイントで不自然なことをすることにもつながるんだ。
(2月13日)


今日、おばあちゃんの家に行ってきた。そしたら親戚の叔母さんが来て一緒に話をした。
幼い頃以来なので、初対面みたいな感じだった。いつもなら、そこで引いてしゃべらなくなる自分。
だから、敢えて自分から昔のこと聞いたり、話したりするようにした。
昔からこういう時に口数が少ない方だったから、叔母さんに変わったねって言われた。
全然そうじゃなくて、話題が出てこなくて困っているのに…
もっと堂々とした人になりたい。
自信を持って発言したり、自分の意見をはっきり言える人に…
(2月15日)


今日は都道府県対抗に出る中学生が練習試合に来た。
冬の間、ずっと続けて来た雑ミス撲滅の取り組みの成果を見るチャンスだ。
1試合目の雑ミスは2本。
何もない場面での雑ミスはゼロだが、勝敗に関わる大事なポイントで出る。
相手が中学生だろうと関係ない。わかって準備していなければ必ず出る。
・大事なポイントをどういう心で迎えるか。
・そういう時の集中力の作り方はどうあるべきか。
まだまだ追究が足りない。
2試合目の雑ミスは序盤なし。
ゲームカウント2-0からWFをきっかけに3連続のクソミス。
ギリギリのポイントでも出るし、余裕がある時も出る。
余裕がある時のパターンは、心に余裕があって、そこでWFとかスマッシュミスとか、イージーな ミスが出ると、「ああー、やってしまった…」って考えてしまう。その考え方が連続ミスの始まりなんだ。
3試合目も同じだった。序盤のミスはなし。リードしてから始まる。
これも自分の中の「負けないっしょ」って考えからだ。なんか落ち着かなくなって、圧勝してしまいたくなる。
簡単なプレーの雑さ。何度言われても変われない自分がいる。
午後に先生が時間をかけてメンタルの講義をしてくださった。
それを聞きながら、自分は本当に日本一を狙っているのかと思ってしまった。
メンタルって心のことだと思っていたけど、考え方や行動までもが深くメンタルに関係していた。
私は普段から何気にマイナス発言をしていた。小さいことかもしれないけど、「疲れた…」なんて普通に教室でも言っている。
こういうマイナス発言を続けていれば、自分の中の心も感情もマイナスなものになっていく。
部長がこんなじゃあ、チームがチャレンジしていけるわけがない。
ただ、いきなり「疲れた」「ああ…」とかって、それを思わないところから始めるって難しいと思う。
だから、まずは口に出さない。
思ったとしても、これは日本一への道って考えて、口に出さずに思考を変えていく。
それを毎日振り返る。
あと96日で県総体。100日を切ってることにドキッとした。
本物のエースになりたい。
どんな場面にも揺るがない、頼りになるエースになりたい。
(2月26日)


このようなノートを見ていると、保科が自分の心に向ける眼差しが深くなっていることに気づきます。
ぺらっと自己弁護してしまう自分へも客観的な眼差しが向けられるようになってきました。
日々の練習の、イージーミスを一つひとつ振り返ると同時に、自分の心のマイナス思考を、保科は毎日チェックするようになります。

マイナス発言をチェックし始めて10日。今日も1回してしまった。
どういう時にしてしまうのか?
場面とか自分の心の状況とかじゃなくて、話してる相手だ。
マイナスな空気や言葉で同調を求める相手に合わせてしまう。
こうやって自分の思考パターンや発言に注意するようになってから、周りの心がわかるようになってきた。
野球部、バレー部、いろんな部活の人の心が態度や発言からわかる。
最近、男テニ(男子ソフトテニス部)が、勝利を積み重ねているのもわかる気がする。いつも前向きだ。本当にインターハイベスト8をとるために何が必要かを考えてる。
かつては全然だったのに、リーダーが変わった。やっぱり日ごろの自分とコート上の自分ってしっかりつながっている。
今日のリーダーミーティングで、なつき(田辺)はほとんど無言。
愛の問題も進めたのは愛香で、愛もなつきの方を向いて話すことはない。
しっかり伝えたら泣いてたけど、昨日もそのことで伝えられて泣いたんじゃないの。
変われよ。悔しくて泣くくらいなら変われよ。
日本一への道だと思って頑張れよ。
本気になれよ。
寮に戻って、「自分がチームを変える!」机の上に大きく書いて貼った。
「愛香と」じゃない。自分が、だ。
(3月8日)


マイナス発言、今日はゼロ。
でもマイナスに思うことはやっぱりあるんだな。
ただ、そのマイナス思考が始まった時に「違う!」ってことを強く言い聞かせる。
そうしないと、マイナスの渦に巻き込まれる。
チームにもマイナス発言のこと伝えつづけて、部員同士のマイナス発言はほとんど聞かれなくなった。
これがチーム全体の気を上げることになればいいな。
練習中も、マイナス思考との戦いだ。
1本のミスに対して「また~してしまった…」って思ってしまう。
自己嫌悪は悪いことじゃない、と先生は言う。自己向上へのスターティングブロックになるから。
でも、試合中そんなことは考えていられない。ミスを修正することは大切だけど、「~してしまった…」というような思考は自分を下向きにさせるからNG。
ミスをした。「じゃあ次はどうする?」「どうやって挽回していく?」
それを瞬間瞬間に考える。思考は前へだ。そうすると連続ミスはなくなる。
(3月11日)


今日は練習を早めに切り上げて、みんなで「チアダン」(映画 福井商業高校チアダンス部が全米選手権で優勝するまでを実話をもとに映画化したもの)を観た。
軽いショックを受けた。
自分らと「やりたい! なりたい!」の強さが違う。
チアダンの部員たちは、思いを直接言うし、思いを共有する。
ミーティングなんてわざわざ持たなくたって、言うべきことは言うし、そして受け止める。
全く受け身ではない。自らの行動。
私もひかり(主人公)と同じく「仲良くまとめようとする」。
でもチアダンの部長は違う。
敢えて嫌われ役に徹する。
みんなの夢をかなえるため、あえて嫌われる存在になる。
この覚悟が自分にないんだ。
全然優しすぎる。気ばっか使いすぎる。
リーダーの覚悟が足りなさすぎる。
本当に強いところ、本当にでっかい夢をかなえるところってこうなんだろうな。
ぶつかりあって、お互い本音を伝えあって。
私は一つにしようとするから逆にまとまらないんだ。
メンバーの心が開けば一つになるのか。
だとすれば、私たちが口を閉じていたり、心を開いていかない限り、何も始まらない。
私も、ひかりの「夢ノート」作ってみよう。
本当に自分が思ったことを全部書き込むノート。
このテニスノートにも思いを書いているけど、文章になるから長くて見にくい。
ひかりのように、赤ペンで短く、ズバッと書くのもありだ。
(3月18日)


こうして冬が終わり、春を迎えます。
鈴木・保科は、全国私学大会、全日本選抜に出場しました。
ところが、格上との戦いになると、まず鈴木が臆してしまいます。県内では無敵であっても全国のトップと戦うと挑戦者魂を貫けない。
保科も悩みます。
ただ、この全国での「腰引け敗退」は、このペアに強い課題を与えてくれることになります。
自分の内側の心技体の充実だけではなく、外に対して強く自分を押し出す力への自覚です。

全国私学、全日本女子選抜、収穫はあった。けど負けた。自己ベストではない。
また失敗。また、また。
ペアとしても失敗。
何だろう…。自分がやっぱり愛香に対しての気づきが浅い。
今回、愛香自身になんか迷いがあって、気迫があるときの「思いきり」がなくなる。
「かわさないで、しっかり打って!」何度も言った。けど変えられなかった。
格上になると、愛香は別人になる。表情も固くなり、何よりまず目が死ぬ。そしていつものボールじゃなくなる。
どうしたらいいんだろう。愛香がチキンになったとき、私は何ができるんだろう。
愛香は頭もいいし、うまいし、技術や戦術も高い。けど、やっぱり、責任や勝負がかかった試合になると重くなる。その重さを吹き払うような気魄がなくなる。
試合前の準備も、やっぱりどこか気が足りなかったと本人も認めた。
日ごろからのペアとしての取り組みも、でっかい夢をかなえるためには甘いんだ。
私の本気が足りないから、ペアの心に届かないんだ。
チアダンを見てから、チームに対して考えを変えてやっていることはあるけど、それまでが甘かったから結局こういう全国レベルで出てしまう。
愛香が全国レベルで戦えなくなる、この問題は自分もかかわるべきだ。エースとして格上と当たってすぐ負けるようじゃダメだ。
こうして、また「変わらなくちゃ」なんて言ってるから、ダメなんだけど、でも、今回は今までと違って「こんな自分を…」というより、今取り組んでいることを本物にしていくこと、そう思える。
私自身は、この私学大会、メンタルがおかしくなったというよりも、すべきことの整理をさぼっていて負けた。雑だ。
自分への全国大会からのラストヒントは、
・技術、戦術の整理
・相手の心を読み切るタクティクス
まだまだ勉強が足りないんだよ。本当に。
自分の雑ミスは、心の問題ももちろんあるけど、テニスの勉強、技術、戦術の日ごろのメンテナンスが大きいんだよ。
県総体まで、あと70日。
自分にできること、ペアとして取り組むこと、チームに対してやること。今の取り組みを充実させる中で、進化しよう。
(4月1日)


5月の連休の最後に、今年のインターハイ会場の会津総合運動公園で研修大会がありました。
予選を終え、決勝を文大杉並高校と戦うことになりました。昨年3冠、王者の文大です。
真夏にここで咲くでっかい向日葵の種をこのコートに蒔いてこい、そう言って送り出しました。
砕け散りました。木っ端微塵とはこのことです。
スピード、力強さ、正確性、そして何よりも気の強さが桁違いでした。
エース鈴木・保科はオーダーで、文大の3番手、1年生ペアと当たりましたが、またしても鈴木が戦わずにリードされ、その後開き直って打ち合いますが、怯えた保科が気持ちで負けてしまいました。

今年のインターハイ会場に、私はヒマワリの種を蒔けなかった。
決勝、文大の1年生に戦わずに終わった。しかも1年生だ。
序盤・中盤は、また愛香が打ち切れない。
それでも、G1-2から生き返ったのに、自分は全くなにもできない。ただただ、それまでの相手とは全く違うスピード、ボールの力、テンポの速さ、それに怯えた。小さくなった。
抜かれているわけではない。なのに気持ち的に自滅した。レシーブミス、WF、サーブレシーブが乱れ、もう戦いじゃなかった。
私は何に怯えているのか。
準決勝までの相手だってインターハイ常連だけど、全く問題なかった。
決勝の文大、トップ校のテニスにひるむ。
文大という名前にひるんでいる、先生はそう言う。
私の中の薄っぺらな部分、自分に甘いところ、すぐ言い訳するところ、人の目を気にするところ。
相手が強ければ強いほど、向かっていった田辺・岡村先輩のような、フラットな心がほしい。
もう一度、自分を見つめなおそう。
「自分と契約しているコーチを変えろ。」先生にはそう言われた。
選手は指導者のほかに、自分の中だけにいる「個人契約コーチ」を持っているという。
OKラインの低いコーチ。厳しさを課さないコーチ。言い訳を流してくれるコーチ。
私が契約しているコーチは、私に優しく、ぬるいコーチだ。
あと80日後には、ここでインターハイだ。
自分の薄っぺらさをもっと自覚しよう。
(5月7日)


なぜ、向かっていかないのか。トップに対してのこのひ弱さはどこからくるのか。
2年前のエース、田辺・岡村は違いました。相手が強ければこちらのエネルギーレベルも上げて挑んでいきました。格上との戦いを楽しんでさえいるようでした。
小技やかわすテニスで勝機を見いだすのではなく、真っ向勝負で戦う心、それを「フラットな闘志」と名付けました。
「フラットな闘志」が君たちには欠けているのだよ。
チーム北越で向き合ってきた日々は本物だ。
文大にもどこにも負けない。誇りをもっていい日々だ。
それなら、なぜ臆する?
自分の培ってきたすべてをフラットにぶつけて戦ってみろよ。
自分や仲間やチームを信じて、大きなものに挑みきってみろよ。
その結果、勝っても負けても清々しいじゃないか。

ただ、保科がこうして向き合ってきた「薄っぺらさ」、その日々は決して薄っぺらいものではありませんでした。
秋~冬~春、季節が移りゆく中、保科の心も技術も磨かれていきました。何よりもリーダーの自覚が確かなものとなりました。

県総体直前、鈴木のノートにはこう書かれてあります。

チーム全体に「本気」が感じられることが多くなってきました。
先生も言っていましたけど、私も教室で遠く離れたコートからハッキリ二人の声が聞こえてきました。
葵(保科)となつき(田辺)です。
文大戦の負けから、少しずつ変わりはじめていると思います。
県大会が近いから、ではなく、文大に惨敗したから、葵やなつきの心はきっとそうだと思います。
葵はミーティングで、チームはまだまだ気が足りないと強く伝えてくれた。
球出しであっても、あれほど気を込めて一球一球ボールを打つ部長を見て、私も頑張らなきゃと思います。
まだまだ、キャプテンの私も足りないなと思いました。
「逃げずに!」「堂々と!」「正面からフラットに」ぶつかっていく!
(3年 鈴木愛香)


H29 県総体03 H29 県総体02 H29 県総体04

県総体を見ていた方から、こんなことを言われました。
「今回、鈴木は保科に助けられたな。苦しい時に、保科は基本的なことをミスなく完璧にやった。あんなテニスをやられたら、敵はどうしようもない。」

H29 県総体13 H29 県総体05 H29 県総体10

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