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2017年9月

2017年9月 7日 (木)

スタートライン

平成29年度全国高等学校総合体育大会
@山形市総合スポーツセンター(8月11日~12日)

個人(塚本 実夢)
種目別フープ 10.950(第20位)
種目別リボン 9.550(第26位)
個人総合 20.500(第24位)

団体フープ5(金澤,岡田,塚本,登坂,平尾)
第13位 得点 14.950(D:9.2,E:5.750)


演技が終わり,観客席に戻ろうと,地下の廊下を岡本先生と一緒にとぼとぼ歩きます。
ベストな演技ができなかった。わたしたちはこんなもんじゃない。
あんなに通し込みをして,シュミレーション練習をして・・・
終わったことをひとつひとつ振り返りながら,ふと通った速報掲示板。この掲示板には,現段階での上位20チームの点数が貼り出されます。
今の1位はどこだろう,上位チームの様子はどうだろう,自分たちとどれだけの差があるのだろう・・・目をやったその先には

「14 北越」

(ん?北越?あれ,うちは試技順遅かったよな(試技順が20番以内であれば,直後の掲示板にはのることができる)。14.950だって。そんな点数出るはずない・・?)
溝越「先生,うちがいるよ」
岡本「え,ちがうよ,北海の間違いだよ」
(やっぱり見間違いかな・・)
溝越「ちがうよ,それより前」
岡本・溝越「うわー・・・・・」
岡本「・・・・・あとひとつだったね」
しばらく呆然と眺めて,やっと13位の緑ヶ丘高校さんと得点が同点であること,実施の点数ではトップ10に入っていることなどがわかり始めました。
奇跡の目標達成です。

その10日前,第2アリーナの入り口に貼り出された紙には,今回の目標が書いてありました。
「インターハイの目標は?」「今回はどこまでいけそう?」応援してくださる方々にそう聞かれるたび,「13位が目標です。」と答えました。
「なんで13位??」聞いた方も,貼り紙を見た方も,みなさん不思議に思ったことでしょう。

さらに遡ること1ヵ月半。北信越大会で不甲斐ない演技をして,次は絶対!と決意を新たにしたころ。
何を目指そうか?
これからの練習で,リアルに届く場所。達成することを最重要視したとき,思い浮かんだのは「15点を出す」ことでした。
15点を出したら,昨年までのインターハイの結果を参考にすると,13位になれる。
このことを,いつ生徒たちと共有しようか,そう思いながら開いたキャプテン塚本のノートに書かれていたのは,

「インターハイ個人20位
インターハイ団体13位」

奇跡はここから始まっていたのかもしれません。

新体操の団体競技は,本番で奇跡のプレーを”やってはいけない”というところが,ほかの競技と大きく違うところだと感じます。
大会当日,なぜかいつもはできないパフォーマンスができる,ということが,高校生では特によくあると思うのですが,新体操団体では,誰かがいつもより足が上がったり,いつもより表現力豊かに演技すると,それは同時性に欠けることになったり,連係で思いもよらない失敗をしたり,ポジティブに点数につながらないのです。
大きな舞台にどんなにテンションが上がろうが,気合いが入ろうが,緊張しようが,粛々と,練習と同じことを2分30秒やりきらなければならない。
また,練習で15点取れる演技ができなければ,本番を迎える前にあきらめざるをえない,とも言えます。

目標達成のために彼女たちがやらなければならないことが大きく分けて2つ。

練習で15点の演技をすること。
練習でできたことを,本番でもできるチームになること。

今までと同じ練習をしていては15点にはとどきません。
正しい投げ方,受け方,体の動かし方がいつもできること,また,小さなミスをミスに見せない対処をすることが必要です。
通し込みをしようか・・・そう思っているとき,2つ目の奇跡がおきました。
「通し込みがしたいです。」選手たちのほうから提案してきました。本当に驚きました。
限られた時間の中で,10~15本,毎日毎日ひたすら2分30秒を繰り返します。だらだらやっても疲れるだけなので,北信越前のような練習にはなりませんでしたが,1,2本しかノー落下が出ないことが続きました。
7月の終わりから始めた合宿では,さらに本数を増やしました。15点の1本が出るようになったのはこのころです。
それゆえに,本気を出せばできそうな気がして,甘い行動が増えてきました。
故障を抱えているメンバーがいることもあり,ちょっと休もう,この1本手を抜いても,次本気出せばできる,今この投げをがんばらなくても本気出せばできる。
無意識にそういう通しをすることがありました。
練習でできることを本番で出すということは,こういう甘え心が出ないようにする,ということです。
頭ではわかっていることを再度意思統一したとき,あの貼り紙が貼られました。
妥協しそうになる自分たちを奮い立たせるために。

山形に入ってからは,今思い返せば,ノー落下を普通に出せるようになっていました。会場練習3日目ともなると,もう第2アリーナと変わらない雰囲気で練習できていました。
もう課題の1つはクリアしています。あとは,練習でできることを本番でできるか・・・
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今回の点数は,若さゆえの勢いや,私たちの力以外のものが味方した結果が大きいと思っています。
練習でできることを本番でできるチームには,まだなっていない。
しかし,目標を「達成する」ことが,どれだけ自分たちの力になるか,彼女たちは実感しました。
達成すると決めて,それに向かっていけば,自分たちだってできる。
まだ1年生です。この経験の上に,まだまだたくさんのものを積み上げていくことになります。
その高い場所から見えるものは,今の彼女たちには想像もできないくらい美しいものになる。
次の舞台は秋の地区大会です。
新潟県の皆さんに,成長した姿が見せられるよう,明確な目標を持って挑みます。
応援よろしくお願いいたします。
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