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2017年6月

2017年6月 5日 (月)

強くなる途中

新潟県高等学校総合体育大会(5月28日)@西総合スポーツセンター

団体フープ5(塚本,岡田,金澤,登坂,平尾)
第1位 得点 13.700(D:9.1,E:4.6)

試技順は3番。オープン参加の2・3年生チームが、ミスもありながらはじめから最後までとてもいい表情で演技をした後。ライバルの東京学館が、崩れながらもなんとか10点台を出してきたその後。

「春」にも書いた通り、国体予選で負けを経験した1年生団体は、チームとして苦しんでいる真っ只中でした。国体予選での悔しさや、インターハイへの思いは全員共通なのに、その意思を行動に移すことができる選手とできない選手、できる日とできない日、それぞれの弱い部分やわがままな部分が表面化してきて、理想の演技に近づけない毎日。仲間の甘さに気付いたり指摘をし合うことは「友達」になったばかりの彼女たちには難しく、ただチームの空気がよくなるように、声を出し、表情をよくしようと頑張りますが、苦しくなってくると我慢できない。
それでも、長野合宿やユースチャンピオンシップ期間に、全国のトップレベルに触れたり、自分たちだけで練習を組み立てたりする中で少しずつ行動が変わっていきました。具体的な行動目標をノートに書いてくる選手もでてきました。そんな中で迎えた5月28日でした。

競技直前の公式練習、最後のメインフロアでの試技でも、ノーミスが出ません。そこからチームは、残りの2分半をはじめの3分の1の確認に使いました。


はじめの連携から4本投げが綺麗に広がり、流れに乗ります。シカジャンプでの足投げはフープの角度が悪く、手で受けることになりましたが、いい判断でした。1つ目の交換〜ジュッテジャンプ〜2つ目の交換はミスなく続き、次の転がしの連携は少し守りに入ったのか転がすことができず、しかし連係は成立。前半は落下なく後半に入りました。しかし、後半のはじめの連係でミスが出ます。フープの受け渡しが崩れたのをきっかけに、リフトが綺麗に上がらず、落ちずに着地したのは幸いでしたが、連係は不成立。そのあとは交換と連係が続きますが、崩れても落下だけはせずに、フィニッシュ。

耐えた、という演技でした。直前まで、不安になる練習をしてしまい、その部分で落下や大きなミスが出てもおかしくない状況でしたが、「声を掛け合って安心」できたようでした。インターハイへの思いが全員共通だったおかげなのだと思います。
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ここがゴールじゃないことは、選手たちも感じていることです。意思を行動に移せないことには、チームとして苦しい今の状況は変わりません。まだまだ成長の途中。どれだけジャンプアップできるかは毎日の練習にかかっています。

今大会に限らず、先の国体予選でも、HokuetsuRGはとても暖かい応援に恵まれて、本当に幸せです。「絶対できるよ!がんば!」新体操の応援ではよく聞くフレーズですが、HokuetsuRGへのそれは、暖かさが違います。毎回涙が出そうになるくらい心がこもっていて、ものすごい力をもらえます。この応援に報いることができるよう、頑張ります。これからもよろしくお願い致します。
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2017年6月 1日 (木)

努力に勝るものはない。

新潟県高等学校総合体育大会(5月28日)@西総合スポーツセンター

個人
種目別フープ 第2位 塚本実夢 10.150
種目別リボン 第1位 塚本実夢 9.350
       第2位 平尾優林 8.050
個人総合   第1位 塚本実夢 19.500
       第4位 登坂美玲 17.100



練習の虫。いや,練習の妖精??

今回,個人でのインターハイ出場を決めた塚本は,とても小さくて華奢な選手です。
彼女の特徴は,観客を引き込むダイナミックで表情豊かな演技。身のこなしも上手く,多少のズレをミスにしない対応力もあります。
・・・と書くと,素質をもったすごい選手のようですが,彼女がすごいことといえば,誰よりも練習をすること。

全体の練習が終わった後,塚本の曲が流れ始めます。
さっきまで団体の通しをガンガンやっていた体で,その日納得のいかなかった個人の練習をひたすら繰り返します。細い体のどこからそのエネルギーが湧いてくるのか不思議なくらい。
同じ技を何度も何度も・・・できなくて悔しくて泣きながら動き続けることもありました。

彼女は,技術面で絶対的な武器をもっていません。ダイナミックさとは反対に,手先つま先の美しさに欠ける部分もあります。

でも,勝ちたい。
上手になりたい。
そのためなら,いくらでも努力する。
いよいよ初めてのインターハイ出場にチャレンジです。

競技は,フープからのスタート。塚本の試技順は4番です。
フープは,大好きな「Kooza Dance」にのせて,彼女の持ち味であるスピード感あふれる構成になっています。
しかし,直前の試技会ではミスを連発。ひとりで残ってひたすら確認した後,最後の最後にひとりで試技をして,ノー落下をやっと出した状態でした。
本番は,落下が2本。でも直前までできなくて苦しんだ最後のDELを成功させ,まずまずの演技。
10点には乗ったけれど,フープ終了時点でトップと1.1点差の2位。3位の選手とは0.35点の差しかなく,リボンでいい演技をしても,勝負はわからないという状況でした。しかも,1位の選手も3位の選手も,ジュニア時代は塚本より上位にいた選手たちです。
向こうだって,勝ちたい気持ちは同じ。

公式練習では,肩に力が入りすぎていたのか,難度がはまらず,リボンが絡み,なかなか調子に乗れません。
でも,それでもひたすら動き続けました。何度も何度も納得のいくまで,へこたれることなく,ネガティブになることなく,確認を続けました。

本番,途中のリボンの絡まりや最後のさばきがうまくいっていないことをチャラにするような,迫真の表情で演技を終えました。

メインフロアをでて,彼女が真っ先にやったのは,
ミスした部分の確認でした。
試合直後であっても,やりきって終わる。塚本は,その姿勢を貫きました。


新体操は,才能やもって生まれた資質がなければ,勝負していくのが難しい競技です。もちろん努力は必要だけど,「天才たち」に有利な競技といっても言い過ぎではないでしょう。

しかし,塚本は決して天才ではありません。
でも,たくさんのものを自分と関わる全ての物・人から吸収して,どんどん上手くなっています。


『努力に勝るものはない。』

大会のあと,この言葉をノートに記した彼女が,
インターハイでさらに花開くよう,ともに努力を重ねたいと思います。