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2020年5月 2日 (土)

Dream Factory 2020 希望の春(応援メッセージ②)

「夢」が 脈を打って

 いつも そばにあった日々…

卒業生から送られてくる、一つひとつを読んで、返事を書きながら思うことは、本気でインターハイを目指す者たちにとって、「インターハイ」とは「大会」ではないんだな、ということです。青春期の若い魂を燃やして全力で目指した「夢」そのものなんだと思います。「生きがい」という言葉は、お年寄りに対して使うことが多いと思いますが、18歳には18歳の「生きがい」があるはずだ、と、ある場所で強く言ったことがあります。「生きがい」とは、「生きている甲斐」つまり、生きる目的、生きるパワーの源泉です。

思うに、「夢」とは幼い頃は、自分から遥か遠く離れたところにあるものでした。そして、多くの生活や責任とかかわらざるを得ない社会人になっていくと、「夢」は(子供のころの憧れとは違う次元で)また少し自分から離れたところに行ってしまうような気がします。

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その「夢」が長い人生の中で、一番自分自身に接近するのが青春期なのです。本気で求めれば求めるほど、「夢」が自分の中で息づき、脈打ち、あまりの鼓動の強さを感じて時には逃げ出したくなるけど、苦しい道を敢えてたどることでそこに近づいているんだと信じ切れる時代。息苦しいほど全力で生きている実感に胸が震える日々。イノセントで純粋な魂の飛翔への希求。

その日々は人生のたった2年と少しの短い間だけど、あの時期、確かに自分の花なるべきを信じて全力で生きた、その実感を覚えているからこそ、「中止」の報道が流れた時、立ち尽くし、料理の手を休めてTVを見つめ、思いを馳せ、悔しさに共鳴し、思いがあふれてメッセージをくれたのだと思います。

今回、北越の卒業生が次々とメッセージをくれる中で、ある教え子からメールが入りました。

それは、僕が30代のころに勤務していた新潟東高校の卒業生で、高橋優実さんといいます。優実さんは今、千葉県で小学校の先生をしています。

優実さんは、東高校に入学し、中学校の時テニス部だったというくらいの理由でソフトテニス部に入ったことで、同じ年に転勤してきた僕と出会ってしまった人です。

新潟市立東石山中学校時代は、全く無名どころか、自分が何番手だったか覚えてない、7番? 8番? という感じです。「先生、ロブって何ですか?」と聞かれたことを印象深く覚えています。初心者の方がまだ教えやすいくらいの、ゼロから、否マイナスからのスタートでした。優実さんは新潟市のジュニア合唱団にも所属していて、高校生ですからリーダー格でした。

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「インターハイ出場」という「夢の種」を自ら望んだわけでもなく植えられた優実さんはとても悩んだ末、「インターハイ」という見たことも聞いたことも想像すらできない「夢」に、自分の青春をかけることを選びます。そして3年生の夏、ペアの伊藤さん(後述)と組んで地獄リーグ(インターハイ出場の5位6位決定リーグ)を全勝で勝ち抜き、「夢」を咲かせたのです。平成11年、指導者としての僕を初めてインターハイに連れて行ってくれた子でした。その優実さんからのメッセージです。

ご無沙汰しています。お元気ですか?東高校でお世話になった優実です🌻

インターハイ中止の速報を、夕飯を作っている時に夫から聞きました。迷った末、やむにやまれずメールした次第です。インターハイの舞台を目指していた、特に3年生にとってどんなにやるせない気持ちか。考える間もなく、感情の方が先にグッと込み上げてきました。魂が覚えてるんだなぁと思いました。

北越に入ってきた子たちは、私とは違って、もしかしたら最初から目指していたのかもしれません。悔しくて切なくて、名前も顔もわからなくても、夢をもって目指しているたくさんの人たちのことを思うと涙が勝手に出てきます。

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夢を追ってきた3年間という貴重な時間、その最後の年に目標を失った高校生に私には何ができるか、考えずにはいられませんでした。何ができるか考えても考えても思い浮かびません。

高校卒業して何年たっても3年間の記憶は濃いままだし、今でもその時のことが今の自分を支えています。人生という長いものさしてみたらインターハイは通過点で、一瞬なんですよね。その一瞬が輝かしいものになるようにずっと磨いてきたわけだけど...だから、磨いてきた日々がとても尊くて…

うまく言葉が見つからないのですが、どうか腐らないでほしい。

ッカリして悔しくて泣いてしまうときがあったとしても、腐らないでほしい。

折れないでほしい。プツンと緊張の糸が切れてしまわないように。

私はインターハイ行きが決まった後にプツンと切れてしまったというか、逃げてしまったというか、真っ直ぐなみんなに真っ直ぐでいられなくなってしまった…。

心配で北越のテニス部のHP見ました。

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驚きました。3年生グッと踏ん張っていますね。腐るどころか後輩を育てようと引っ張る気持ち、強いです。私は弱かったなぁ。引っ張っていくことは昔からうまくできません...が、支えになりたいなぁと思っています。

花を咲かそうとしていた場が消えて不安に思うこともあるでしょうけれど、どこでどうなるか、人生わかりません。時期が来るまで、辛抱強く、力をためて、咲く日が来るとことを信じて、強く美しくいてほしい。

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つぼみのままで終わることなく、必ず咲く日がくると信じて。たとえどんな咲き方であっても、花になろうと自分と向き合ってきた3年は絶対に無駄ではない! 尊い日々なのです。

「花」である以上、咲かないわけがない。咲く運命なのです。

く時期が今じゃなかっただけ。

どんな色に咲くか、どうやって咲くか、咲く日を楽しみに待ちたいと思います。
『咲かない花はない』だから、枯れないで!腐らないで!諦めないで!

そう生徒さんにお伝えください。

(津野からの返信)

優実、久しぶりです。
温かく、そして熱いメッセージというより心そのものをありがとうございます。
感動しました。

ホームページも見てくれたのですね。

優実、このメッセージ、HPに載せてもいいですか?

北越生だけじゃなく、全国の高校生アスリートへの応援メッセージとして。



優実、逃げ出したなんて言わないでよ
青春時代なんて揺れ動いてなんぼだよ。あなたの合唱団をやめて僕を信じてテニスにかけた、その決意と潔さがあなたをインターハイに連れて行ったのだし、夢が叶った後の落ち込みがあるから、また今こうしていたたまれずに連絡くれるわけでしょ。すべては波なんです。

僕にとって、スタートからゴールまで一番高低差があったのは優実です。
君は僕に勇気と可能性を示してくれたんですよ。
決してネガティブにあの時代をとらえないでくださいね。

光と影、どちらにも意味、いや意義があり、両方を経験した人が一番貴いのです。

(優実さんからの再返信)

光と影・・・いつも先生は私が失敗したな、と思うことを、自分のことが嫌いになりそうな弱い部分も受け止めてくれて、それでもいいと言ってくれる。そして、真剣に向き合うべきところで目を背けようとすると、それは違う!と気づくまで待ってくれる。

ありがとうございます。

私のメールが少しでもお役にたてるなら、いくらでも!

一粒の雫となって、花が咲くお手伝いができるのなら、こんなに嬉しい話はありません。

先生、大事なことを伝え忘れていました。

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私、世代は違っても、レベルも学校も違っても、会ったことなくても、「夢を持ち、叶えようとしてきた」先生の教え子たちが、同じ仲間だと思えたんです。だから、何かできることは?と考えて考えて・・・気持ちを伝えることくらいしかできなかったんですけど。


先生、私はHPで、力をもらったんです。先生と北越高校のソフトテニス部の仲間から。3月の内容は「こんなときだからこそ」、最近更新の内容は「こんなときでも変わらず」ってメッセージを読み取ったのですが、合っていますか?

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色々ごちゃごちゃ考えて不安になっていたのに、大事なことはすごくシンプル。フッと余計な力が抜けた気がしました。そして、ちっちゃな人間になりそうだったなぁと。

変わらずに踏んばっている3年生に力をもらいました。先生からも大事なことを思い出させてもらいました。迷い、不安になったらきっとまたHP見ると思います。何度も何度も。



変わらず頑張っている姿は、エネルギーいっぱいですね。ありがとうございます。

 

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