2022年10月30日 (日)

Dream Factory 2022 秋

「負け」から始まる 北越の秋

・

Dsc09357

・

秋季新潟地区大会

〇ダブルス

1位 高橋寧々・須貝若菜

2位 安藤愛莉・渡邉七瀬

〇シングルス

1位 高橋寧々

2位 須貝若菜

3位 安藤愛莉

・

県新人選抜大会

〇シングルス

2位 安藤愛莉

3位 高橋寧々、須貝若菜

・

Dsc_7477_2_2

・

 

3年間チームを牽引してきた入澤・本間とチームを支えてきた佐藤・丸山が現役を退き、チーム北越も代替わりの秋を迎えました。

そして、「北越あるある」ですが、今年も秋は勝てないです。

ただ、県新人選抜のダブルスでベスト4に一つも入れなかったというのは、ちょっと記憶にないくらいです。

それもいいでしょう。

「伸びしろ」がたくさんあるチームです。

どんなチームカラーで、今年はどうやって全国エリート校に挑んでいきましょうか。

脚本はこれからです。

・

インターハイ後の夏はとにかく基本をやりました。

身体つくりの基本、技術的な基本、考え方の基本、人として信頼される行動の基本です。

・

2年生(新3年生)の3人にチームリーダーの自覚が根付き、1年生(新2年生)が育ってこないと選抜も来年の夏も戦えません。

成長の第一歩は自分と向き合うこと。

変わるべき自分に気づき(最初は気づかされ)、自己改革の意志を固め、自分と葛藤し、自分の弱さに涙し、それでも前へ進もうともがく中で、少しずつ人は成長していくものだと、今年も信じて、全力でその成長を促し、支え、認め合っていきたいです。

・

県新人選抜では、ほぼ全員が自分に負けての敗退だったと思います。

いいと思います。

自分の弱さに打ちのめされることは、向上のための良質の糧ですから。

・

挫折もあっていい。それが小さなものでも大きなものでも。

ただ、自分で「挫折」だと目を背けずに認めることです。

挫折したなら、また立ち上がるだけですから。

そこから逃げないこと。

人は弱いのです。

その弱さを認めて、だからこそ、仲間と連帯するんです。

・

Dsc07415

・

周囲を見ましょう。

必ず、同じように理想と現実のギャップに悩んでいる仲間がいます。

君だけじゃない。

だから、連帯して、励まし合って、前へ進んでいくんです。

その一つひとつの過程こそが、君たちのドラマであり、君の成長です。

・

Dsc07441

・

県の新人選抜で、弱さを思い切り表現することになってしまった二人の1年生のノートを載せます。

ここが向き合うことのスタートですね。

チーム北越、前へ!!

転んで立ち上がって、前へ!!

・

・

県新人戦のベスト8決め。中越戦のG3-3、P6-4。

安藤が攻めて、私の真上に上がってきたイージースマッシュ。

自信持って打ち切れず、半分コートに入れにいって、その結果OUT。

それから全てが崩れ、4ポイントを全部失ってゲームセット。

毎日練り上げて、一番苦手プレーだったスマッシュも少しずつ自信ついてきていた。

大会会場での朝の当日練習でも問題なかった。

それなのに、マッチポイントで高く上がったスマッシュボール。

どこに打っても決まったはず。

練習通り、ステップもタイミングも正しかったが、あの瞬間、私は自分を疑った。

今までの練習を信じて思い切ってラケットを振れなかった。

ミスをしたら…

思い切り振って大丈夫か…

慎重にいった方が…

私は日々の練習を裏切るような感情が生まれて、スマッシュボールを入れにいった。そしてアウト…

「弱い自分」

こんな形で現れるのか…

・

Dsc_7326

・

信じて戦えない自分が情けなくて、悲しくて、みんなに申し訳なくて。

後悔ばっかり…。

・

私の弱さは、大事な場面で信じれる自分を練習からつくっていないことだ。

大事なところで臆病になるなんて、前衛としてありえないし、チーム北越の一員としても恥ずかしすぎる。

・

今日のことを絶対に忘れずに日々の練習では主体的に貪欲に「私が決める!」という強い思いを持ち続けること。

そして、自分と向き合うノートを作り、毎日の練習の中での感情や決めて取り組んだことの反省など、自分の心を強くしなくちゃならない。

ピンチの時、人に頼って安藤に頼って…、そんなことがないように自立して個の強さを身につけていく必要がある。

スマッシュを振り切れず勝ちを相手にあげてしまった今日の「あの瞬間」を忘れずに、自分の1球はチームの1球だということを強く思える人になるよう、強い意志をもって毎日を全力で正しく生きていきます。

(1年 渡邉七瀬)

・

Dsc08849

・

・

・

「戦っていない」

これがすべてだ。

ただ、土俵から降りただけ。結局何も変わっていない。

私の弱さがバンッ!と全面に現れたのは、ベスト4決め、中越戦の時だ。

最初からラケット振れなかったわけではない。

右ストレート、敵の前衛が視界に入った。

見てしまって、おびえてネット中段。

そのネットから、私はまた引きずった。

相手がどうだからってことじゃない。

ただ、単に自分に負けて、立て直そうともしなかった。

昨日ミーティングで誓ったこと、頭には浮かんだ。

でもただ浮かんだだけだった。その誓いが自分に力を与えてくれるわけでもなかった。

朝の会場練習では長いシュートボールでラリーできていたんだ。

・

これでもう判明した。

私の崩れは、スキルの崩れじゃない。

技術が身についていないからじゃない。

もう完璧にわかった。

私のモンスターは私の心の中にいて、試合で出る。

せっかく練習で積み上げても、試合で別人なら練習している意味がない。

北越に来た意味もない。

ここへ来て半年が経つ。

この半年間の行動、ネガティブな心、いつも引いて閉じこもってしまう性格。

このままなら、また同じ半年が経ったとしても全く成長はない。

・

本当に私は弱い。

私のデビュー戦はいつになるのか。

戦うアスリートになるためには、、、

まず、考え方を変えるところからだ!

(1年 下里鼓)

・

Dsc09321

・

・

・

・

・

Another Dream Factory(前半)

・

昨年、このブログで交流を呼びかけたところ、様々な方と心の交流がありました。

その中で、12月に、ある高校生から一通のメールが届きました。

リーダーとして理想を描きながらも現実は全くかけ離れていて、必死でなんとかしたいのだけれど、孤立無援。

顧問の先生も力になってくれず、仲間も去っていく中、いつも空回りして、自分自身の努力や存在さえ疑うようになってしまった孤独な魂からの便りでした。

藁をもつかもうとする喘ぎのようなメールから、翌年の県総体までの半年間、彼とやりとりした心の交流を、彼の許可をいただいて、これから2回に分けて掲載します。

きっと、全国の部活動で、理想と現実のはざまで悩み、苦しんでいる若い魂がたくさんあるはずです。

その魂たちへ、

現実に折れそうになっている君へ、

無力感に苛まれている君へ送ります、

Another Dream Factory!

・

・

初めまして。

X高校2年男子ソフトテニス部部長の山科信二(仮名)と申します。 

・

毎回DreamFactoryが投稿される度に拝読させて頂いています。 

自分達はこの新体制になってから、来年の県総体団体ベスト4以上を目標としています。

顧問の先生は全員未経験でメニューをはじめとしてほとんどの事を自分一人でやっています。 

自分たちのチームはとても弱いです。

自分が部長になってから「このチームを絶対に変えてやる。勝てるチームにする。インターハイに行くんだ。」と思ってそれをみんなにも話し、この半年程やってきました。

ですが、ほとんど何も変わりませんでした。 

まず初めに声出しを徹底させようと思いました。

さらに練習中の私語をなくし、1年生には毎日テニスノートを書いて提出し、自分がそれを見て書いて返す、という取り組みを始めました。

ですが、先生でない自分に強制力はなく、またチームの中でも自分は上手いわけではないので説得力もなく、声出しは今も徹底できずたった数人が出すようになっただけで、全く緊張感のある練習ではないです。

テニスノートも提出率が段々と悪くなり、内容も薄いものばかりになってしまったので、自分が必要だと思ったら出す、それまでは提出はなしにしました。 

・

なにが問題なのか、問題が多すぎてどこから手をつければ良いのか分かりません。

自分の実力不足はもちろん大問題なので、毎日必死に練習をして一般のクラブチームにも通っていますが、いつも頭の中にはチームの事ばかりで目の前の練習に思いっきり集中することが出来ていません。

自分なりに何百本もの動画を見たり、色々な選手のインタビューやアドバイスを見てテニスの勉強もしていますがまだまだ足りず、また、それを言語化して部員に伝えることも上手くできません。

ペアや団体のオーダーなども全て自分がしているのですが、相性や仲の悪さ、それに対する自分への非難など中々思うようにいきません。

大会や遠征の日などは自分が全員のスケジュールを管理して、何時に起床、朝ごはんはこれを食べて何時からアップなど決めていますが、試行錯誤の繰り返しで部員達からもよく「なんの意味があるの?」「別に良くね?」という言葉ばかりでまだまだ信用を獲得できていません。

信用を獲得できていないのも、まだこのチームになってから、全く結果が出せていないからだと思います。

秋の大会ではほとんどが1回戦負け。

全く後輩たちに背中を見せることができていません。2年の後半にもなって今だに結果が出せていない。

正直焦っています。

・

もう今自分が何をしているか、何が正しいのか分からなくなってしまいました。

どんな言葉をかければ部員の心が動かせるのか。

先生にどんなお願いの仕方をすれば練習試合や遠征を増やしてくれるのか。

今どんなメニューをやるべきなのか。

どのフォームが正しいのか。

自分はなんのためにソフトテニスをしているのか…。

 ・

まもなく県のインドア大会がありますが、きっと今の自分は迷いばかりで部員の支えになれていません。

DreamFactoryにもありましたが、ここまでチームが辛い時に支えて立ち上がらせる部長でいることができていません。

毎回、DreamFactoryを見る度に劣等感でいっぱいになります。

毎日、寝る前も通学中も授業中も来年の県総体のことを考えてしまいます。

今の自分には正直、負けて泣いている自分しか見えません。

 ・

自分は今、芸術系の大学を第1志望として、特に実技対策の学習を毎日帰ったあと夜遅くまでしています。その大学は非常に倍率が高いです。

最近は部活なんかをやっていて良いのか、不安で不安で苦しいです。

・

この半年間、どんな辛い時も「自分が折れたらチームが終わる。」そう思って取り組んできました。

けれど最近は、自分がいてもいなくてもきっとチームは変わらないのではないかと考えてしまいます。 

 ・

前置きが大変長くなってしまいすみません。

先生に質問があります。

①自分はこのチームに、後輩に、あと半年間で何を残せるでしょうか。残さなければならないのでしょうか。

②津野先生の考える、チームの変え方

を教えて頂きたいです。

 ・

お忙しいとは思いますが、お時間のある時にどうかお返事頂けると幸いです。

 ・

山科信二

2021.12月

 ・

Dsc08000

・

・

山科君、初めまして。

 ・

深く感動いたしました。

チームの先頭に立って目標を立て、真剣に理想を追いながらも毎日のように理想と現実のギャップに悩み、見えない未来に不安を抱えながらなんとか活路を見いだそうとしている君に大きな敬意を送りたいです。

本気だからこそ、こうして僕に真摯な思いを伝えてくれたのだと思います。

誠実に受け止めます。

 ・

結論から言うと、悩み続けること、もがき続けること、それしかないのです。

コツも魔法も特効薬もありません。

人生を幸せに生きるコツも魔法も特効薬もないのと同じです。(世の中にはコツや魔法や特効薬であるかのようなhow to本や情報が溢れていますが)

 ・

自分は今、芸術系の大学を第1志望として、特に実技対策の学習を毎日帰ったあと夜遅くまでしています。最近は部活なんかをやっていて良いのか不安で不安で苦しいです。この半年間、どんな辛い時も「自分が折れたらチームが終わる。」そう思って取り組んできました。けれど最近は、自分がいてもいなくてもきっとチームは変わらないのではないかと考えてしまいます。

 →ここだけが、とても気になるところです。

山科君は、今の自分が少なくとも好きではないのですか?

上手くいかないことだらけだし、結果も出ないけど、理想と使命感を持って難題に向かっていく自分が嫌いですか?

もし、そうなら、さっさとコートから去ればいいのです。

ただ、そうだとしたら、芸術なんて目指しちゃダメですよ。

 ・

「自分がいてもいなくてもチームは変わらないかもしれない。」

そうかもしれないし、そうでないかもしれない。

「結果承認」を求めているんですよ、山科君は。

生きることとは、結果じゃありません。

人生において、トライとはそういうことじゃないはずです。

上手くいかないかもしれない、何もかわらないかもしれない、でも自分が選んだ道ならば、あと半年、全力でトライする。今を全力で生きること。そこに命はあります。

それは、たとえばマッチポイントのポーチボレーだし、人生のトライだし、芸術そのものだと思います。

トライすること、挑戦すること、その意志と実行にしか価値はない。

古今東西、芸術家は自分の理想を持ち、理解してもらえなくとも、なかなか認められず賞をもらったりできなくとも、それでも芸術に情熱を傾け、少なくとも自分の芸術の理想を求めてもがき続けて、サラリーや地位やヒエラルキーや数値や偏差値や・・・そういうものの極北で生きる人だと思います。

若いうちから損得計算して生きる人に、誰の心を打つ作品がつくれると言うのです。

結果はどうあれ、自分の理想に向かってもがき(理想が遠いからこそ苦しみもがくのですよ)、苦しみ、なんとかして一筋の光明を見つけようとする日々こそが貴重で価値あるものだと思います。

若い時のその経験が、将来の言葉や作品に深みを与えるのは間違いないのです。

 ・

ただね、ここはちょっと弱音を吐いたんだよね。

それはわかるよ。

 弱音を吐くことも、悪いことじゃないんだ。

それは、なんとかしたいという思いから出た「ため息」だと理解します。

 ※  ※  ※

さて、今後だね。

まず、聞きたいのは、2年生が3人だということだけど、残りの2人とは意思疎通できないの?

思いを真剣にぶつけてみて、自分たちの代の県総体、ベスト4目指して一緒にチーム改革しよう、と訴えられないのかな?

この秋のDream Factoryの生徒のノートにもあったように、僕はどんなにひどい状況でも同士が3人いれば必ず打開できる、って伝えたんだけど、山科君の高校の2年生3人はどうですか? 

2年生3人(マネも含めてもいい)で、ペアやオーダー、1年生への指導、スケジュール管理等を係り分担した上で、チーム全体にはその担当が伝える。

そうやって、ブレーン制を敷いて問題解決にあたることは可能ですか?

まずは、そこから考えたいね。

 ・

また連絡してください。

遠慮することはありません。 

僕は、君のような真っ直ぐであるがゆえに疎外されていくような人間に大きな魅力を感じます。

力になれるかどうかわかりませんが、何らかの気づきがこれからきっとありますよ。

 ・

北越高校 津野誠司

2021.12月

 ・

Dsc07376_2

・

・

津野先生

お忙しい中、お返事ありがとうございます。

直接的な関わりが何も無いにもかかわらず、ここまで自分の思いに真剣にぶつかってくれる大人がいる事に驚き、深く感動しました。 

「結果承認を求めている」、考えてみれば確かにその通りであると思います。

トライし続けることこそが大事で、それはテニスも芸術も同じ。高校に入ってから何度も自分の中で思っていたはずなのに、いつの間にかそれを忘れてしまっていたことに気付かされました。

トライし続けます。ありがとうございます。

 ・

他の2年生との対話、ですが自分以外の2年生は副部長のA、もう1人のB、マネージャーがいます。

何かこういう取り組みをしたい、と思ったときには特にAにはできるだけ1度相談し、その後で全体に連絡するようにしていました。

ですが、チームの事を3人で深く話し合ったことはほとんど無かったです。

というのも、実際やる気があるのか無いのか分からず、そこにぶつかっていくことで自分たちの関係が崩れていくのが怖かったのだと今思います。

けど、自分が本気でぶつかって心を開かなければ何も変わりませんよね。

もう一度、ブレーン制も含めて話し合いたいと思います。

・

ただ、Bは、インドア大会で勝ち進むことが出来なければ部活をやめると言っています。

理由は受験勉強に集中したい、テニスをやっていて楽しさなどのメリットを感じなくなってしまった、というものです。

B は前々からその事を自分達2人に言っていて、なんとか止めていたのですが、今回は本気で辞めようとしていると感じています。

B は1番手後衛で、多少やる気がなくとも練習中はしっかりと集中し、指導者がいないながらも高校に入ってから確実にレベルアップしてきています。

B がチームから抜けてしまうのは正直厳しいと言わざるを得ません。

けれど、もちろん決定権はB にあるし、B の将来に自分が責任を持つことなんて出来ません。

それでも説得するべきでしょうか、B の考えを受け入れ、気持ち良く送り出すべきなのでしょうか。

・

もう1つ悩んでいることがあります。

それは1年生の主体性が全くないことです。

誰かが動き出さなさければ動かない、なにかする時はいつも誰かと一緒、指示されなければいつまでも変わらず、変わってもすぐ元に戻ってしまう。

アドバイスをするのもほとんど2年生からで、なんというか、食らいついていくような必死さや全力さが足りないように感じています。

彼らを変えるには何が必要なのか毎日考えています。

根気強く言い続けることが必要なのか、1度自分が身を引いて気づかせることが必要なのか、はたまた何かもっと大きなターニングポイントやきっかけが必要なのか。これに対する先生の考えをお聞かせ願いたいです。

・

2021.12月

山科信二

 ・

Dsc09545

・

 ・

山科君、返信遅れてすみません。

 ・

戦いモードに入っていました。

いずれ、Dream Factoryに書きますが、今回、北越女子は県の選抜大会で決勝リーグを勝ち抜けませんでした。

今年の3年生が引退してからの大きな戦力ダウンをリカバーしきれませんでした。

こういう冬もあります。

そこからまた学んで、成長していく。

ソフトテニスという競技を通じての成長、そして自立、その過程でのいくつもの挫折と感動。

その一つひとつが大切なのですから。

 ・

さて、山科君の質問に応えていきますね。

1.B君のことについて

B君は3人しかいない仲間の最後の半年ですから、当然説得すべきです。

それは何よりもB君のためです。

理由は前回述べた通りです。

結果が出る出ないはわからない。

わからないけど、今選んだフィールドで全力を尽くす。

それが、部活でも大学でも人生でも同じ、ということ。

頑張ってきたことは、最後までやり続けることで、何かが生まれ、何か将来につながる種ができるのです。

ここでやめるのは、いろんな正当化を人間はしてしまいますが、人生全体から見れば「投げ出す」ことに他ならないからです。

それでも、「投げ出す」なら、それは仕方ないのです。

「投げ出した」過去を持って、その先の人生を歩む、それがその人の人生であり、それはそれで「アリ」なのです。

「アリ」というのは評価を伴わない「アリ」です。

その上で、山科君と他の二人(もしくはA君と二人)、そしてマネさんと今年のブレーンを組んで、役割分担をして、チームの遂行にあたるべきでしょう。

悩みも相談し、思いもオープンにしながら、1日1日を成長の現場にすることです。

マネージャーさんもはっきりとブレーンに組み込むといいと思います。

 ・

2.1年生のモチベーションアップについて

心の成長期である高校時代で、1年間の経験の差はとても大きなものです。

1年後になればはっきりわかることが、1年前には何も見えません。

1年生の心は、まだまだ高校時代が海のように広く長くどこまでも続いているように見えています。

切迫感など何もないでしょう。

山科君は違いますよね。

あと半年でゴールですから。

ゴールが見えていて、現在地を測れる山科君(それゆえに焦りも生まれる)と、現在地を全体の中から推し量れず、また推し量る意志もない1年生とは、意識の差は雲泥の差と言ってもいいくらいでしょう。

それは、我々北越高校とて同じことです。

大きく変わるターニングポイントは必要です。

それは冬の大会かもしれません。春の大会かもしれません。

ひょっとすると、来年の県総体の後かもしれません。

2年生は、まず自分たちの代の結束を高め、理想を話し合い、その上で、1年生を少しずつ巻き込んでいくのが自然だと思います。

立ち位置が全く違うので、1年生は日々変わらないように見えます。

でも少しずつ、変わろうとする者も現れてくるものです。

ここは、焦らず、でも必ず成長するものとして、共に生きることです。

 ・

・ 

今日は、北越高校は負けた次の日。

みんなドーンと落ちている朝でしょうが、そこでの「学び」もあるのです。

お互い、今日も何か「気づき」がありますように。

 ・

では、また。

・

津野誠司

2021.12月

 ・

Dsc09754

・

・ 

先生お久しぶりです。

あけましておめでとうございます。

返信が遅くなってしまったこと、申し訳ありません。

色々と行事などが重なってしまいました。

 ・

北越高校女子、負けてしまったのですね、、

結果を聞いたときとても驚きました。

ここから這い上がり、夏に勝利を収める北越を楽しみにしています。

 ・

ここから自分たちの話になりますが、まず退部しようとしていたBですが自分が止めようとした時にはもう既に顧問の先生に退部届を提出していて、先生との話が済んでいたようでした。

後から自分の気持ちは伝えましたが、それから部活には来ていません。

 ・

Bの退部を受け、ここでチームが落ち込んでしまってはいけないと先生に提案されたブレーン制を導入してみました。

しかし、何しろ前例のない初めての取り組みで、いくつか例は提案してみるものの皆やり方が分からず、結局今まで通り自分がやってしまうという、現在も試行錯誤の段階です。 

また、やはりこの大会の少ない時期、チームの士気も下がりがちなのか、体調不良者や無断欠席者も増え、メニューの取り組みもイマイチで中々練習の雰囲気も良くありません。

声出しや欠席について部員に注意するものの、自分が注意することに「慣れ」てしまっているのか、以前のような効力はありません。

伝え方ややり方を変えてみるものの、中々上手くいきません。

部長という立場でありながら、求められている実力が無いことは自分でも十分理解していて、それを克服するために練習しているつもりです。

それでもやはり、何かを部員に諭すとき説得力や力不足を感じてしまいます。

実際、少し苛立ちを覚えている部員もいると思います。

やはり実力の伴った人物に指示や指導をしてもらうのが最適なのでしょうか?

 ・

また、1年生の中に1人やる気の無い部員がいます。

最初、自分は彼がかなり強い意志を持って、高校からでも上手くなるんだという気持ちで部活に入ったのでは、と思っていました。

しかし練習の取り組みもあまり良くなく、言われたことはやるがそこまで、といった感じでまるでやらされているようでした。

秋になり少しずつ周りの1年生が変わっていく中、彼は中々変化が訪れず、自分もどのように促せば良いのか、悩んでいました。

今日の練習のことです。

前衛がボレーした目の前のボールを全く取る素振りも見せず見逃してしまいます。

そこで僕はつい感情的になってしまい、「やる気ないならやめていいよ」と言ってしまいました。

その後、何事もなく練習は終わりましたが、今とても後悔しています。

帰ってきてから彼のSNSできっと自分に対してであろう言葉が書かれていました。

強制では無い部活で自分で選んで入ったにも関わらず、なぜ練習を面倒くさがって本気にならず、チームに迷惑をかけてしまうのか、正直自分には理解ができません。

ただ、彼にも事情があるのかもしれません。

明日から新学期なのですが、明日の部活でしっかりと彼と一対一で話をしてみようと思います。

とても怖くて不安ですが、今まで自分が彼と向き合ってこなかった代償なのだと感じています。

これからもっとメンバー1人1人と向き合いたいと思います。

 ・

また、最近になり、自分が本当に勝ちたいと思っているのか、何か使命感のようなものに駆られて頑張っているだけなのではないかと思うようになりました。

目標を明確にイメージし続けるために必要なこととは何なのでしょうか?

 ・

最後になりますが、先生にアドバイスを頂いてからほんの少しですが、前に比べて未来に対する絶望感がなくなりました。

 ・

お忙しいとは思いますが返信お待ちしております。

・

2022.1月

山科信二

・

Dsc_7114

Dsc_7135


・

・

山科君 

連絡ありがとう。

 ・

冬は厳しい季節です。

木々も葉を落とし、また来る春に向けて、寒さに耐えながら、命の内部に心を向けている季節です。

我々、人間も木々と同じ命。

いろいろ耐えながら、我々の本質へ目を向ける時だと思います。

 ・

さて、山科君のチームもいろいろ動きがあったのですね。

 ・

先生に提案されたブレーン制を導入してみました。しかし何しろ前例のない初めての取り組みで、いくつか例は提案してみるものの皆やり方が分からず、結局今まで通り自分がやってしまうという、現在も試行錯誤の段階です。

→いいですね!

そうなんです。試行錯誤こそが力の醸成です。すぐに結果が出ることの方が危ないです。

何度失敗しても、ブレーンに諮る、これを自分に戒めてください。

最終的に山科君の意見の通りに進むとしても、その過程で問題点をブレーンで共有するということが重要です。

繰り返すことで、試行錯誤の積み重ねがあり、必ずブレーンがチームとして力を育みます。

最初は上手くいかないのが普通です。

そこで、焦って独断専行に戻らないことです。

春は遠くないですが、そこまでの日々はまだたくさんあります。

 ・

部長という立場でありながら、部員に諭すとき説得力や力不足を感じてしまいます。やはり実力の伴った人物に指示や指導をしてもらうのが最適なのでしょうか?

→いやいや、それは民主主義が機能しないから独裁者を希求するのと同じです。

まずは、山科君の実感をブレーンにオープンにしましょう。

そして、作戦を立てましょう。

マネに初め伝えてもらって、副部長にも話をしてもらう。

最後に、山科君が補ったり、みんなで決め事をしたり、チームとして全体前へ進むようブレーンで話をしていくといいと思います。

誠実に話をすれば絶対に分かり合えるし、問題と捉えられたら改善を図るべきだという原則は共有できるはずです。

・ 

僕はつい感情的になってしまい、「やる気ないならやめていいよ」と言ってしまいました。その後、何事もなく練習は終わりましたが今とても後悔しています。

→そうだね。これは反省だね。明日謝るべきです。

僕もボールを追わない選手に「頑張る気がないなら帰れ」と言うことはあります。

でも、それは、「自分を克えて強くなれ!!」って思いが伝わると信じているからです。

SNSの言葉は気にしないことですね。SNS空間はこのようなネガティブな「ため息」が満ちあふれていますから。

失敗した時に、人にとって何よりも大切なのは、「誠実」であることです。

僕も失敗したときや、信頼が得られないような時に、自分に何度も言い聞かせるのは、「苦しい時ほど誠実に。」です。

必ず、信頼は返ってきますよ。

・

明日、話す時には、謝ると同時に、その1年生への希望も伝えること。

初心者として始めたからこそ、頑張ってほしいし、3年生になったら、今回結果を出した1年生ペアと一緒に団体メンバーになってほしい、とかね。

山科君の彼への希望、期待を伝えるんです。

どうして真面目に練習しないんだ、とかマイナス指摘は、明日は抱き合わせにしないことですよ。

 ・

また、最近になり、自分が本当に勝ちたいと思っているのか、何か使命感のようなものに駆られて頑張っているだけなのではないかと思うようになりました。目標を明確にイメージし続けるために必要なこととは何なのでしょうか?

→これは、君の弱さです。

そんなことはどちらでもいいのです。

本当に勝ちたいと思って頑張っているのもよし。使命感に駆られてチームをまとめようとしているのもよし。どっちもあるならもっとよし。

「そもそも論」に逃げるのは、弱者の常套手段です。現実逃避なのですよ。

目の前の大切な青春の1日を全力で生きる、それしかないです。

試行錯誤から逃げないことです。

試行錯誤、迷いの日々こそ尊いのです。 ・

 ・

2022.1月

 津野誠司 ・

・

(続く)

Dsc07584

2022年8月14日 (日)

DREAM FACTORY 2022 盛夏

・

入澤・本間 IH個人 3位!

・

新潟県として58年ぶりの快挙

・

Dsc_3891_2

・

半世紀以上、固く閉ざされていたIHベスト4への扉を入澤・本間が開けました。

高校女子としてはWフォワードでの初のメダル獲得ではないでしょうか。

ご覧になっていた元全日本の監督さんから、「一番面白いテニスしていたよ。わくわくした。このまま優勝するって思った。」と言われました。

残念ながら、目指していた日本一には届きませんでしたが、前へ前へ、相手を崩してネットに詰める、超攻撃的Wフォワードを貫いての銅メダル。本当に素晴らしい戦いでした。

・

Dsc_0304

Dsc_0649


・

「負けないファイナル」の神話は、IHでも健在でした。

2日目の初戦4回戦から3試合連続のファイナル勝負。

優勝候補も含まれる強豪を自分たちの磨いてきた超攻撃的テニスで差し切る強さは本物でした。

・

Dsc_0985

Dsc_1073


・

2年前、コロナでIHが中止になった年に入学してきた世代です。

W後衛だった二人を「1」から鍛えて中間ポジションのネットプレーを一つ一つ身につけさせていった日々が懐かしいです。

2年生の後半からは、コミュニケーション能力が高かった(高くなった)二人と、戦略や戦術、そのために必要なスキルについて毎日のように話をしました。

二人からのフィードバックがあるので、こちらもコーチとしての気づきもたくさんあり、大会ごとにtry&errorを繰り返しながら、この愛媛IHに照準を合わせてきました。

昨年の石川IHでの5回戦敗退、3月の全国私学の敗退、6月の札幌ハイジャパでの敗退、全国大会での貴重な敗退経験をすべて生かして戦えたと思います。

・

Dsc_1179

Dsc_2879


・

IHの準決勝、僕には特別の思い入れがありました。

遡ること23年前、僕を初めてIHに連れて行ってくれたのは、新潟東高校の子供たちでした。

平成11年 岩手県北上市のIHです。

出場した2ペア、ともにあっと言う間の初戦敗退。

30代でしたね。

ひたすら我武者羅に、本当に365日我武者羅に選手と目指したIH。

その夢舞台で全く戦えない。

その事実に呆然としたことを覚えています。(ああ懐かしい)

2日目は、準決勝から両脇のコートを開放して観覧させてくれます。

北上市のコートサイドで準決勝を観戦しながら、

いつか、遠くてもいい、いつか…

このロープの内側で選手と戦うことができるのだろうか…

そう思いました。

あれから23年が経っていました。

どれほど感動するんだろうと若い頃は思っていましたが、実際ロープの内側で戦う身としてはそんな感慨にふけっている暇は全くありません。

瞬間瞬間のこちら&あちらの情報収集と判断、刻々と変わる状況変化に応じての修正、次のベンチワークの指示の整理、こちらのマインドセットの確認。

30分間の「戦争」です。

・

二人は今回、本当にブレませんでした。

「攻めて前へ」

徹底しました。

ストローク戦になっても守らない。

常に攻め続けること。

この日のために、3年間のすべてが必要だったんだな、と思います。

・

Dsc_2924

Dsc_3046

・

<キャプテン 入澤瑛麻のノートから>

・
・

「超えるべきは 今、この瞬間!  雑な自分と戦い、自分を超えろ!」

このタイトルをノートに書き続けて1年。

そして、今日このタイトルを書きながら実感した。

「私、引退しちゃうんだな」って。

・

愛媛 今治インターハイ。

私、やり切ったと思う。

悔いはない!!

・

津野先生、3年間、本当にありがとうございました。

1年生の頃は本当にガキで、自分で何もわからないレベルで、本当に子供だった。

でもそこから、日本一に向けて、高校女子の誰も本気で取り組んだことのない攻撃的Wフォワードで全国の頂点を目指そうって、友里那と先生と3人で創り上げてきた。

正直言うと、Wフォワードが全然うまくいかずに、W後衛に戻した方が勝てるし、Wフォワードは私には向いていないんじゃないか、と思ったことが何度もありました。

実際、うまくいかないとすぐに守備的になり、先生に何度も伝えられましたね。

「信じて、前へ行け!」

そして、今回のインターハイ、私たちはWフォワードで格上の選手に挑みつづけ、リードされてもファイナルのギリギリの場面でも、躊躇しないで、二人で前へ出続けた。

そしてつかんだ全国3位。

「Wフォワードでベスト4」、こう言えることが嬉しいです。

・

Dsc_3407

Dsc_1364


・

インターハイを通して、ミスをしない方が勝つ、それは確かだ。

W後衛もたくさんいた。でも見ていて、何かつまらない。

日本一には届かなかったけど、私たちは日本一攻め続けられたと思う。

何より、私自身が、Wフォワードを最高に楽しめました。

・

そして、友里那。

直接口に出すことはないけど、感謝でいっぱいです。

小学生から一番一緒に過ごして来た。迷惑もいっぱいかけた。

でも、二人の最後のインターハイでベストを出せて本当によかった。

12年間やってきたソフトテニス、その集大成として最後に自分のベストを表現できた、私は幸せ者です。

ありがとう。

・

Dsc_1611_2

・

団体戦は第1シード東北高校に負けて2回戦敗退。

これで愛媛IHを目指した1年は終了した。

これからは北海道IHに向けて、今度は私がこのチームを日本一のチームにします。

私がしてもらったこと、必ず後輩に送ります。

私が表現したことは、

どんなに格上であっても、日本一の実績者であっても、努力して勝てないことは絶対にない!

ということ。

後輩たち、これから365日。

北海道で、大きな花を咲かせてね!

(キャプテン 入澤瑛麻)

・

・

・

・

・

・

・

団体 東北戦

コートに響き渡った部長の檄(げき)

・

時を止めた 純粋な心の叫び

・

Img_4453_2

・

団体2回戦 1コート

第1シード 東北高校との戦い

お互いのエースが勝って、3番勝負。

相手は昨年の優勝メンバーで、前日の個人戦3位のペア。

こちらは、県総体すら勝ち抜けず、全国経験のない1,2年生ペア。

特に後衛の冨樫は、直前に急遽出場することになった1年生です。

雰囲気に飲まれ、緊張に飲まれ、自分を見失っていきました。

ボールが相手コートに収まりません。

・

Dsc_5211_2

Img_4451_2


・

ゲームカウント0-2のカウントは0-2か0-3だったでしょうか。

G0-3で戻ってくるのは明らかで、もう戦術レベルの問題ではありません、僕はベンチワークで少しでも励ますべきか、気持ちを奮い立たせるか、そんなことを思案していました。

その時、隣に座っていた本間友里那が反対側にいた冨樫・須貝に声を張り上げます。

「ねえ、二人とも、誰のために戦ってんの!」

北越の団体メンバーは、必ず「誰かのために」戦うことを誓ってコートに立ちます。

目の前の二人はその誓いなど遠くに吹き飛んでしまったかのように、自分の中で閉じてしまい、あたかも早くこの辛い現実から「敗退」という言い訳で逃れたいと思っているかのようでした。

・

この試合、コロナ感染拡大予防のため、声を出しての応援は禁止されていました。

もちろん、本間もわかっています。

わかっていますが、内なる叫びを制止できなかった。より正確には、まっしぐらに自分を見失って堕ちていく後輩を目の前にして、部長としておめおめと「見殺し」にできなかった。ルールを超えて、己の内なる誠実さに従ったのだと思います。

ルールに従う誠実。

ルールを超えて(破ってとはあえて言いません)後輩を救うべきだという誠実。

これは、マイケルサンデルの「正義」をめぐる議論を彷彿とさせるモデルだと思います。

本間友里那という人間は、こんな大胆なことをする子ではありませんでした。むしろ真逆。真面目できまりは墨守する。冒険はできない。何らかの保障もしくはお墨付きを得られるという条件下でしか前へ進めない。そんなひと昔前の学級委員タイプの子でした。

この「真面目さ」は大切なことですが、競技上ではマイナスに働くことが多いです。

選手のマインド傾向は「農耕系」と「狩猟系」に分けられますが、本間は「農耕系」の代表格です。

意味不明ですか? 

「農耕系」とは一所懸命に与えられた作業をひたすらミスなく来る日も来る日もやり続けるマインドセットのこと。「狩猟系」とは逆に、挑戦的に新しいものを開拓し、リスクを恐れず冒険するマインドセットのこと。基本的に「農耕系」は守備的であり、「狩猟系」は攻撃的であると言えます。

超攻撃的Wフォワードの完成を目指す僕らにとって、本間の「農耕系マインド」は変換されるべきだと思ったのです。実際、1,2年生の頃の本間は、苦しくなるとすぐにベースラインに下がる、無難なテニスに戻る。そこが彼女のマインドセットの故郷だからです。

本間もその点はよーくわかっていて、テニスノートにでかでかと目標として書いたりしていました。

ちなみに、ペアの入澤は典型的な「狩猟系」で、「え! そこからアタック行く?」みたいなプレーが大好きです。ただ、このタイプの弱点は、リスクを冒して攻めるべき場面と、我慢すべき場面の区別がつかないことです。ワンプレーでポイントをゲットできる武器があるから、苦しい場面でそれを使いたくなる。入澤とはそこを徹底的に話し合い、検証し合い、己を知らしめることで、「したいプレーより、するべきプレー」を考えさせてきました。

今回のインターハイで、二人のそれぞれの長所と短所はほぼ完璧に修正されバランスが保たれていたと思います。あえて言えば、準決勝でそのバランスが崩れた。崩れた結果、敗退した、そう捉えています。

本間の「農耕系マインド」に話を戻しますが、このマインドセットは、人を指導したり、何かのプロジェクトの核になるべき人間にとって、やはり「超えるべき課題」だと考えています。

日本という国自体が「農耕系マインド」の極北にありますから、同調圧力に弱く、他者からの視線を必要以上に気にし、承認欲求が強く、権力者に忖度しがちです。

僕は本間友里那という人間を、将来必ず何らかのリーダーになるべき人物だと評価しているので、この「農耕系マインド」を一度解体し、「狩猟系マインド」をブレンドさせて、バランスのとれたリーダーマインドを作ってあげたいと思っていました。

ですから、あの叫びは、本間が自分を「超えた」瞬間だったのかもしれません。

ルールに従うことを絶対視する「農耕系正義」と、ルールを超えて自分の意志でするべきことを実行する「狩猟系正義」。

僕は、本間の行動を支持します。

・

Dsc02566

Dsc02694


・

あの日、大会役員のルール統制は厳しいものでした。

疑わしきはすべて警告、そんな打ち合わせがあったかのようでした。

しかし、あの瞬間、審判もコート主任も、沈黙しました。

真向いの方からは「イエローカード、イエローカード」という囁きも聞こえてきましたが、役員の皆さん全員が動きを止めた。

あまりにあからさまな「ルール破り」にどう行動すべきかとっさに判断できなかった(マニュアルにはないでしょうから)という解釈も成り立ちますが、僕はそうではないと信じたい。

役員の皆さんの多くは教員だと思います。

「取り締まり」に任務がありながら、本気で仲間を思い鼓舞する本間の叫びに、高校生本来の純粋で熱い青春のドラマを見たのではなかったか。

・

Dsc01831

Dsc01893


・

インターハイとは、競技会の形ではあるけれど、それは青春のエネルギーがぶつかり合い、共鳴し合い、発光し合う、かけがえのない人生1回きりの至高の舞台ではなかったか。

それが言い過ぎだとしても、あのあまりにも真っ直ぐな心に出会って、「取り締まり」の任務を一瞬忘れてしまったと思いたい。

そして、一瞬任務を忘れてしまった皆さんを、心ある教員だと思い、感謝したい。

僕はそう思っています。

・

G0-3のベンチワークは本間に任せました。

部長として、悔いを残させたくない、その一点です。

本間の純粋で骨太の言葉は冨樫を変えました。

・

Dsc_5228_2

Dsc_5235_2_2


・

・

・

・

・

・

県総体以来、力をつけてきたテンポあるストロークでラリーをするようになりました。

須貝も思い切った勝負が決まって、G1-3。

次のゲームも競り合ってデュース。相手のマッチポイントを何度も跳ね返してアゲインが続きます。

・

Img_4521

Img_4512


・

実際、あのゲームを取ってG2-3になっていたら、勝機もありました。

しかし、連覇を狙う東北高校、そんな甘い期待を一蹴してくれました。

当たり前です。IHとは甘い期待が通用するところではありません。

・

負けました。

チーム本間、2回戦敗退。

・

今年も団体で全国エリート校の壁を破ることはできませんでした。

ただ、昨年のIHで和歌山信愛に負けた時「春からの本気じゃ間に合わない」ということを思い知った本間と入澤は、365日自分と闘い続け、自分と向き合い続けた結果、新潟県として半世紀ぶりのベスト4への扉を開いて、新たな光を新潟県の球史に注いでくれました。

・

その姿を見てきた1,2年生が、今後どんなドラマを築いていくのか。とても楽しみです。

今年の負けは、大いなるドラマを伴った希望の種です。

来年の北海道で咲かせます。

・

Img_4543_2_2

Img_4577_2


・

・

<部長 本間友里那のノートから>

・・

団体戦、東北にかなわなかった。

けど、来年につながる負けにはなったと思う。

特に、冨樫と須貝は「戦って」くれた。

・

警告覚悟の、私のあの言葉は、自然と私の中から出てきたものだ。

自分でもびっくりするくらい腹の底から声が出た。

隣のコートの選手までもプレーをやめて注目していた。

1,2年生の時の私じゃ考えられないことだ。

周りの目を気にして、人から見た「正しさ」を絶対視して、自分をさらけ出せなかった。

私は、ルールを破ったのかもしれないけど、このままミスの連発で負けてしまったら、冨樫にとって、このインターハイは悔いしか残らないと思った。

部長としてやれることがあったのに何もしないで、すべてが終わってから「あの時は・・・」なんて言う卑怯な人間でいたくなかった。

・

冨樫は「また着火されて」になっちゃったけど、あの後、精一杯戦ってくれた。

私は、「北越」というゼッケンで挑んだ最後のIH、個人戦でWフォワードとしても、そして団体戦でリーダーとしても、自分の小ささから逃げずに向かっていけたなって思う。

・

1年生から、Wフォワードにトライしつづけてこれたのも、私の「真面目な」小ささに向き合わせてくれたのも、津野先生のおかげです。

本当にありがとうございます。

そして、瑛麻にも感謝です。

小学校1年生から、ずーっと組んできて、全国では全然結果残せなかったけど、最後の最後でこうやって最高の結果を出せて良かった!

いつも、攻めのプレーで私をリードしてくれてありがとう!

・

1,2年生には、来年こそIHで東北を超えるために、365日を本当に本当に全力で生きてほしい。

誰もが弱さや「質」ってもっているけど、決して超えられないことはない。

ただ、「超える」には、

超えるべき瞬間を、自分で神様が与えてくれたチャンスなんだって思えるかどうか。

そして、そこに強い意志と勇気が必要なんだ。

・

Dsc02818

・

今までやってきた中で、みんなに「変われ!」って伝えられている瞬間は何度もあったはず。だけど、変われてないとしたら、それを見て見ぬふりをしてスルーしているか、強い「心」を持っていないか、のいずれかなんだよ。

8月からは、新チームがスタート。

たくさん失敗して強くなれ!

(部長 本間友里那)

・

・

最後に、1年生ペアとして出場し、1回戦、群馬代表の健大高崎戦でエースを倒した前衛 渡邉七瀬のノートを来年の北海道への誓いとして載せて、この1年を締めくくります。

・

今日の団体戦、私は昨日宣言した通りに戦えたと思います。

あの会場の雰囲気や初めての全国の舞台に緊張もあり不安もありましたが、今日のこの瞬間のためにやってきたことを力に換えて、「チームのために」って思い続けて戦いました。

ただ、私が圧倒されたのは、キャプテンの入澤さんと部長の本間さんの姿です。

春の入学以来、いつも言葉だけではなく、行動・姿で私たちの目指すべき場所を示してくれる二人は、私の誇りだし、心から尊敬する存在です。

自分たちの言ったことは必ずやり遂げる。

だから信頼できるし、この人についていきたいって思います。

圧巻だったのは、東北戦の第3対戦。

冨樫が、緊張からか、ラケットを振ってもネット・アウトの連発で、ボールが収まらない。

若菜先輩も全くからめず、どんな相手にでも向かっていく北越の姿からどんどん遠のいているのがわかりました。

その時です。

「二人とも、誰のために戦ってんの!」

友里那先輩が、ベンチから大声を張り上げました。

その瞬間、1コートの空気が変わりました。

チームリーダーがチームと心を一つにして一緒に戦うって、こういうことなんだなって実感した瞬間でした。

コートで自分たちが試合をしている時じゃない時も、部長として後輩と一緒に戦っている。どん底へ落ちかけている後輩をイエローカード覚悟で火をつけようとしている。

改めて、この人、本当にカッコいい。そしてすごい!

そんな単純な言葉しか出て来ないですが、あの瞬間にチーム北越のすべてが現れていたような気がします。

・

「東北にはかなわなかった」

それで終わりではなく、それが始まり。

「日々向上」

先生がよくノートに書いてくださるこの言葉。

この言葉通り、日々少しずつ、着実に成長していくチームでありたいです。

・

Dsc_4585

Dsc_4714


・ 
3年生、ありがとうございました。

感情も考えも何もないままテニスをしてきた私が、北越に入って今まで見たこともない人たちに出会いました。

「日本一」っていう目標を掲げて、たくさんのことに挑戦し、苦戦し、失敗し、悩み、そして乗り超えていく先輩たちです。

そんな中でも、幼い私たちに声をかけてくださり、導いてくださる先輩ってすごいと心底思う時がたくさんありました。

それは、きっと多くの失敗や挫折を経験して、そこから学んで、仲間同士で伝え合って自分の弱さと戦い続けてきたからなんだと思います。

そんな自慢の3年生がこれで引退になり、一緒に戦うことはできなくなりますが、3年生の卒業までの間に、もっと多くのことを学んで盗んで、私は強くなって、「姿」で感謝の気持ちを伝えられるように頑張ります。・

Dsc_4693

Dsc_4706


・ 
北海道IHで、東北にリベンジ!

これから大きな壁にぶち当たっても、決してあきらめず、チームとして成長しつづけて、「私たちならできる!」という気持ちを一瞬たりとも忘れません。

私は誰かに頼る自分から卒業します。

私がチームを引っ張って、来年、絶対、日本一!

3年生、見ていてください。

(1年 渡邉七瀬)

2022年7月 5日 (火)

DREAM FACTORY 2022 梅雨明け

遅咲きのタンポポ 初めての団体戦

・

自己ベストで、北信越 銅メダルに貢献!

・

Cimg3810_2

・

タンポポの黄色い花は、春の訪れを感じさせるものですが、野原や道端で初夏に咲いているタンポポも珍しくありません。秋まで咲くそうです。

生命力が強く、アスファルトの裂け目から強靭に茎をのばし、花を広げているタンポポもあります。

佐藤麻央の3年の夏に咲いた花は、まさにこの「遅咲きのタンポポ」、アスファルトの割れ目に咲いた一輪の黄色い花のようでした。

・

Dsc00744

・

佐藤の長所はガッツ。二番目の長所もガッツ。三番目も四番目もガッツです。

一方で欠点もガッツ。上半身でガッツリとラケットを振り回します。

僕には「佐藤のラリアット打ち」と命名されていました。(ラリアットは佐藤が大好きなプロレスの技です。知らない人はググってみてください)

せっかく相手に短いボールを打たせて、高い打点でウイニングショットを決めようとすると、「ラリアット打ち」で、ネット下段。

ガッツリと身体に力が入っているのに手先だけ力を抜こうとするから面が薄くなって、これもネット下段。

佐藤の3年間は、ストロークの安定を求めて求めてさまよい続けた日々でした。

・

Dsc_3657

Dsd_0001_252

Dsc08836_2

・

ただ、2年後半になるとフィジカル力がついてきて、コートカバーリングが広くなりました。それから、バックストロークを身体で振り切れるようになり、振り回されることに心配がなくなりました。1stサービスは波がありましたが、日々の探究が確実に成果につながっていました。

冬のセンバツは、佐藤のガッツとチームへの貢献度から団体戦で使うことに決まっていたのですが、なんと試合前日の練習で靭帯損傷。チームは県予選で負けてしまいます。

さらに、佐藤には「人に流されやすい」というメンタル的な弱点があり、2年生まではコート外で何度も失敗しては反省、また懲りずに失敗して反省を繰り返していました。心は深いのです。感動する心も感謝する心もしっかり持っています。でも、人に流されてしまう。不等号の向きがどうしても変わりませんでした。

前回の丸山優芽のところでも書きましたが、佐藤が大きく成長したのは、2年生の終わりから3年生になってからです。

春休みの練習試合を通して、力任せの「ノータッチエースの麻薬」をコントロールできるようになったことがまず成長につながったと思います。ペアの丸山の成長もあり、初めて前衛を生かす配球に目覚めます。

・

Dsc03475

Dsc04302

Dsc04209

・

それから、何よりも自分の弱点やもろさに逃げずに(今度こそ)向き合いながら、チームマネージメントに積極的にかかわっていき、後輩の面倒を親身になってやっているうちに、自然と物事を多面的に感じ、考えられるようになっていったと思います。仲間からの助言もあって、日々の生活を自律することで自らを自立させていったように感じました。

・

他者との交わりの中で自分と向き合いながら得た成長は、試合のコート上で必ず表れます。

その成果は、人として、リーダーとして、そして生きていく上でのライフスキルとして、自分が関わっていくあらゆるフィールドで還元されるものです。

自分の関わるフィールドで感じる「貢献感」こそ、社会で生きる「幸福」の実態です。

その「幸福」を手にした人間こそが「自信」を得る。

「自信」とは「他者に信じられていると感じられる自分」であって、「自分こそが他者に優越しているという選良意識」とは根本的に違うもの、むしろ対極にあるものだと思います。

・

いつも生徒の大きな成長を目の当たりにして思うことは、子どもだった選手たちが、「学年を超えて」「一つの目標に全員で」向かっていくこと、なかなか結果の見えない成長を「数年にまたがって」「自分と向き合いながら」「他者とのかかわりによる自己相対化の力も使って」果たしていくこと、その「畑」を整え提供することこそが、学校部活動の最大の「教育的貢献」だと思っています。

勝利至上主義??? 何をおっしゃる・・・

・

いまや、行政もマスコミも部活動矮小化→消滅化(「社会体育移行」と看板には書いてあります)にベクトルを合わせてひた走り始めました。

部活動のネガティブな面ばかりが強調され(一部の大人による故意のプロパガンダなので仕方ないのですが)、人材育成(大げさに言えば国の基の育成)として学校部活動が果たしてきた大きな役割を、歴史的なシステム変換の中でどう引き継ぎ活かしていくべきかという議論が決定的に抜けていると思っています。

「資本主義的価値観」の教育現場への浸透、それに付随する「AI的効率そして数値化至上主義」の対人教育への侵攻は歯止めがかからない勢いで進んでいます。

「部活動改革(本当は消滅)」もその大きな波に飲み込まれる形で叫ばれている、というのが僕のマクロな捉え方です。

そんな大波に飲まれながらも、残り少ない教員人生、泥臭く人間臭く、数値化できない一人ひとりの成長にとことん付き合い、だからこそぶつかり合い、そして最後には喜びあっていきたいと思っています。

・

ごめんなさい。筆が走りました。

・

さて、佐藤麻央のストーリーです。

人間的に大きく成長したものの、春の大会ではシード選手と互角に戦いながら大切なところで弱さが出たり、佐藤が乗り越えて戦っているのにペアの丸山が酷かったりで、なかなか結果につながりませんでした。

それでも、佐藤の成長は「絶対値」としてはっきりあったので、県総体でインターハイの切符を手にした以上、成果発揮の舞台を北信越でつくってやりたいと切に思いました。

・

Dsc05366

Dsc00931

・
失敗しても弱さに負けそうになっても、それでもまた立ち上がり続けた佐藤は、雪の下でもロゼッタを張って雪の重みに耐え、たとえアスファルトでふさがれても、そこから這い上がって花を咲かせる遅咲きのタンポポと重なります。

・

北信越総体 in 富山県高岡市 2022/06/19  最終日 団体戦

初戦は県総体団体と同じ布陣で戦い、③ー0勝利。

準々決勝は、富山県3位ながら福井県の準優勝校を初戦で破って勢いのある地元福岡高校が相手でした。

第1対戦にエース入澤・本間。第2対戦で佐藤・丸山で勝負します。

第3対戦には1年生ペアの安藤・渡辺を置きました。初戦で不甲斐ない試合をした2年生の高橋よりも、1年生の勢いを買ったのと、佐藤・丸山は負ければ勝負を1年生に任せなければならないという背水の陣をあえて取りました。

佐藤と丸山の責任感を強さに換える成長に期待しました。

第1対戦は④ー0で北越勝利。

・

さあ、佐藤、初めてのチーム北越、団体戦。

・

Dsc00688

Dsc00696

・
しかも北信越大会、ベスト4入賞をかけての大事な準々決勝です。

序盤は固かったです。

当たり前です。

ですが、ついにこの試合、「ラリアットミス」はありませんでした。

1stサーブもほぼ100%。

後衛とのラリーを主体にしながらもロブで走らせての丸山を生かした配球、競り合った場面での自らの前衛アタック。

佐藤に器用さはありません。

大きなテニスと適切な配球、思いきりのいいアタック攻撃。

練習でやってきたことをすべて出しました。

・

圧巻だったのは、G3-2リードながら、相手の粘り強さにミスが重なり、P1-3と追い込まれた場面でした。

佐藤は間をとり、何事か自分に言い聞かせ、気魄を失うことなくもう一度強さを取り戻し、そこから5ポイント連続で勝利したのです。

一緒に青春を過ごしてきたBチームの仲間たちに何度もガッツポーズをして、魂を共にして戦っている姿が感動的でした。

ようやく入場制限が撤廃された応援席には保護者の皆さんもお揃いの「タンポポ色」のTシャツを着て陣取り、1球ごとに熱い拍手を送ってくださいました。

麻央の涙、ペアの涙、お母さんの涙、遅れて咲きそろった遅咲きのタンポポの周りに感動の渦が広がりました。

・

今日の準々決勝は、3年4人の力だけで勝利!

すごく嬉しかった。

今まで苦労してきた4人が他の学年の力を借りずに勝ち取ったベスト4。

私は、やっとチーム北越の3年生の自覚をコート上で表現できたんだと思えた。

・

団体戦は、個人戦とは比べものにならないくらい、とにかく楽しかった!

喜ぶところでは、全員でガッツポーズをして自分だけじゃなくチーム全員で喜んでくれる。

初めての心地だった。

・

Dsc00713

・

コートに実際に立ってみると、これほど応援してくれる人たちの姿が目に入るんだって驚きだった。

チームのみんな、黄色いTシャツ姿の保護者の人たち、本当に私はチーム北越の一員として「夢の舞台」に立っているんだって実感できた。

初の団体戦で感じたものとして、「楽しさ」と同時に「厳しさ」がある。

私の1本はチームの1本になる。

そういう責任を伴う場面で使う技術って、私自身が信じれるものになっていなければ、本番の大事な場面で自信もってラケット振れないんだってわかった。

・

それから、もう一つ。

チーム全員が私を勝たせてくれた、という感謝だ。

正直、前半はミスが多かった。

それでもチーム全員が私の1球1球に声をかけてくれて、たとえミスしたとしても落ちることなく明るく元気に戦えたと思う。

特にベンチの反対側で戦っていた時、そっちの後ろの応援席にいるBチームの仲間の声掛けが聞こえて、「このままじゃ駄目だ。やるしかない。」って強く思えた。

ガッツポーズも何度もBチームの方を向いてやった。

特に、2年間一緒だった宮川の顔を見て、宮川と心を一つにして戦った。

1本決める。

後ろを振り返ってガッツポーズをすると宮川も立ち上がってガッツポーズしてくれていた。

震えるほど感動した。

・

ただ、正直、試合の序盤は緊張していて、身体の震えが止まらなかった。

だけど、なぜかベンチに戻ると、迎えてくれる先生、そしてみんなの笑顔。

こんなに北越の団体のベンチって落ち着けるんだって不思議な感じがした。

G3-2リードだったけど、P1-3で相手のゲームポイントだった時には、「ここ、ここを超えていく!」って思ったら、梨果先輩(1年先輩の近藤梨果)の顔が浮かんできた。

「麻央ならできる」

そう梨香先輩が笑って言ってくれてるような気がして、大きなエネルギーになった。

・

Dsc00742

・

あれだけ親身になって私の面倒を見てくれた梨香先輩に恩返しもできず、成長した姿も見せられないまま終わってしまったから、最後は梨香先輩に私の成長を見せたいと思えた。

そして、そこから連続ポイントで勝ちきった。

・

Dsc00743

・

戦い終わっても、一緒にやってきたBチームの仲間、後輩たち、そして保護者の皆さんが祝福してくれて幸せだった。

カッコいい試合とは言えないけど、私らしく最後まで戦いきれたと思います。

・

振り返ってみると、ちょうど1年前の北信越の団体戦。

私と優芽(丸山)は、サポートとして働いていたけど、当日バタついてチームの足を引っ張ってしまった。

それから1年、同じ大会の同じ舞台で、その優芽と組んでベスト4入賞を決めるなんて1年前は想像すらできなかった。

・

Dsc00764

Dsc00761


・

こんなに温かく厳しく、弱い私を見捨てずに受け入れてくれて、支えてくれてありがとうございました。

これほど全員でテニスに真っ直ぐ打ち込める部活で3年間を過ごせて、私は幸せです。

・

北越に入るって決めたことは大きな挑戦だった。

できないことだらけだったけど、津野先生、柳先生、朋恵コーチ、愛香先輩、たくさんの熱い情熱を持った方々に出会えて、ちっぽけだった私は変われました。

そして、中学時代は雲の上の存在だった本間・入澤と同じチームで過ごし、最後は仲間としてチームを作り支えていけたことは、私の誇りです。

・

Dsc00901

Dsc00908


・

3年間、ご指導ありがとうございました。

今まで私を育ててくれたたくさんの人たちの情熱を、今度は後輩たちに「恩送り」として捧げます。

私のできる精一杯を後輩に注ぎます。

(3年 佐藤麻央)

・

・

チームはその後の準決勝、県総体のメンバーに戻して戦いましたが、県総体で奇跡的勝利を収めた中越高校にリベンジされました。まだまだ本当の実力があるわけではない、という事実を素直に受け入れようね。

インターハイに向けて、大きな宿題をいただきました。

「地力」をつけなければなりません。

佐藤のように、アスファルトを破って自分のベストを尽くせる地に根っこを張った「地力」をつけねばなりません。

・

今年はなんと、6月に梅雨明けです。

新潟も連日猛暑が続いています。

愛媛、今治で地に根を生やした大きな向日葵を咲かせたいと思います。

今日も、チーム北越、泥臭く人間臭く、頑張ります。

・

・

・

・

・

・

・

・

入澤・本間 北信越個人連覇!

身に着けた「崖っぷちで負けない強さ」

・

Dsc00420

・

準々決勝から、「チーム石川」に対して「殲滅(せんめつ)戦」(インカレの団体で採用されている戦いで、相手の3ペアを全部倒して初めて勝利となる。最初のシリーズで1勝2敗だったとしても負けにならず、その生き残った1ペアが相手の勝った2ペアをすべて倒せば「勝利」になる方式)を仕掛けられたような戦いでした。

すべてファイナル。

そして、すべてが相手マッチからの逆転勝利でした。

崖っぷちに立たされた数はまさに数えきれません。合わせて10回くらいあったのではないでしょうか。

数学的な確率論から考えると、10回の相手マッチを切り抜けて勝つ確率は

2の10乗ですから、1,024。 1/1024になります。

これは、日常ではありえないことです。

1,024回も連続して「ついてる~」なんてありえない。

敵マッチポイントで発揮される「崖っぷちの強さ」を身に着けている、ということです。

それは何か、と言われると答えに窮するのですが、少なくとも、敵マッチポイントの数の10倍、いやひょっとすると100倍くらい、自分と真剣に向き合い、責任感の中でその苦境を超えてきた、その経験が礎になっている、とは確実に言えると思います。

メンタルタフネス、状況判断、決断したことをやりきる実行力、危険な暑さの中でのファイナル3試合(合計で2時間くらい)をこなしても衰えないフィジカルの強さ、二人で部長とキャプテンを務めながら3年間で身に着けたあらゆる「強さ」が血肉になっているのだと思います。

・

Dsc09741

Dsc09854

・
本間友里那が何度も言うのですが、入澤・本間は中学校最後の北信越大会(全中への切符をかけたブロック予選)で、自分を見失い初戦敗退します。だから、「北信越大会で中学校の時のような思いは絶対しない」これを心に誓ってブロック大会に臨んでいます。

・

Dsc00196

Dsc09948

・
高校2年生の夏の初優勝から、冬のセンバツの個人優勝、そして最後の夏の優勝で、3連覇。

しかも、最後は10回に及ぶ敵マッチポイントをしのいでの優勝。

神に「誓い」を試され、挑まれ、それを凌駕しての3連覇。

心から尊敬します。

おめでとう。

・

・

・

・

・

・

・

・

ハイスクールジャパンカップ2022

シングルス 本間友里那 銅メダル!

・

Img_4043_2

・

北信越大会の翌週、札幌でのハイジャパに3年ぶりに参加しました。

水澤のシングルス連覇以来の札幌です。

全くのダークホースだった本間でしたが、1戦1戦、自分にできることを無欲で精一杯やり続けて全国のメダルまで届きました。

ハイジャパ本戦では、各県のシングルスチャンピオンとの戦いが1戦1戦続くわけで、ここでも「崖っぷちの強さ」を求められる場面が数多くありました。

結果として、④ー2、④ー1だったとしても、すべてのゲームで競り合っていて、その中での勝負ポイントや崖っぷちポイントでの「一人の」強さを求められるのがシングルスです。「一人で」強くなることを誓い、自分を作り上げてきた本間ですから、そういう意味での強さは多くの選手以上にあったと思います。

・

Img_4022_2

Img_4364_2

・
準決勝では、指宿商業の吉木選手に力負けです。

特に、アジリティとスピードの差が顕著で、そのアドバンテージによって本間は打球に余裕を持つ時間を奪われ、主導権を取らせてもらえませんでした。

決勝にはいけませんでしたが、自己ベストで全国銅メダル獲得!

新潟県で3人目のシングルスのメダリスト。

大きな誇りです!!

・

・

・

ダブルスは3回戦で敗退しました。

敗因は、1stサービスが二人とも全く入らず、サービスゲームは守勢に回ってしまったこと。

逆に相手のカットサービスへの対応が守備的で、これもまた守勢に回ってしまう場面が多かったこと。

それから、初日の天候不良により、シングルスの準決勝・決勝とダブルスの戦いが日曜日にダブルスと同時進行で行われることになり、不器用な本間は気持ちと戦術的な切り替えが難しかったという面も否定できないと思います。

シングルスとダブルスの切り替えは傍から見ているよりも、選手にとってはとても難しいものです。戦術も打法も、テンポも距離感も異なります。あれだけシングルスで確率高く入っていた本間の1stサービスがダブルスでは全く入らなくなったのも、切り替えがうまくいかなかった現れだと感じています。

・

負けた言い訳のようで、言いづらいのですが、今後こういうケースも当然あるでしょうから、あえて提案したいと思います。

今回のように3日間の試合日程を2日間に短縮する場合は、どちらも出場する選手も多いことから、初日をシングルス。2日目をダブルストーナメント。とした方がいいように思います。

シングルスが決勝まで戦って6試合。ダブルスが1回戦の小さな山からで7試合。ですから、僕の案だと、初日最大6試合で2日目が7試合です。

一方、今回実施された区分けですと、初日が4試合で終了。終了後、時間的な余裕はかなりありました。

2日目のシングルスで決勝まで戦ってダブルスも決勝まで戦う場合は、2試合+7試合で、9試合になります。

6:7と4:9。アンバランスは歴然と思われます。

様々な事情はあることと思いますが、どちらが選手ファーストか、大会主催者の方に議論いただきたいと思いました。

・

それから、議論いただきたいと感じたことがもう一つあります。

今回のシングルス初日は大雨と強風注意報が出ておりました。このように悪天候が強く予想される場合の対応、特に引率者への説明についてです。

シングルス初日24日(金)の朝、強風と雨が断続的に続く中で、試合前公式練習を20分遅らせてスタート。すべての練習をやり終えてから、しばらくの時間があり(大会関係者が協議していたと思われます)、その後放送でその日の大会中止、ダブルスのリーグ戦→トーナメント戦への変更が伝えられました。

正直、あの悪天候の中で、しかも予報は昼過ぎにかけてさらに悪化することを告げており、本当に強行するのか、と驚いていました。しかも、今年からコート脇の駐車場が利用禁止となり、退避する場所もほとんどありません。

結果として、中止の決定は正しかったと思いますが、僕が疑問なのは、大会主催者の見通しと予定について、何ら引率責任者に説明がないことです。

インターハイでも、台風に襲われることは今までも何回かあり、連絡会にて高体連の見通し(判断)と予定(判断に基づく工程、例えば2回戦まではたたくとか)が説明され、少なくとも質問したり意見を言う機会はあります。

生徒が公欠で参加している大会である以上、引率者には生徒の安全について責任があり、場合によっては天気予報を見て心配する保護者や管理職からの質問に答える義務もあります。そうなった時「大会本部からは何の説明もありません。何の見通しも示されず大会は進んでいます。」そんな回答は無責任でできないです。

このような場合は、主催者側が原案を作った上で、大会本部前のコートに引率責任者を集めて説明をし、必要に応じて質問にも答えるべきです。そして、たとえ全員の納得が得られなかったとしても、少なくとも説明責任は果たしたうえで、悪環境の中での大会は実行されるべきだと思います。

毎年、これだけの規模の大会をほぼ1年をかけて準備され運営されている道連の皆様や、いつも本部ハウスの中で忙しく対応され自分の選手の応援もままならない北海道高体連の先生方と補助に携わる生徒さんたちには、本当に頭の下がる思いです。そして大会が参加生徒に良き思い出となるよう様々な工夫や配慮もされていることについては、心からありがたく思っています。

だからこそ、より主催者と参加者が協力しあって、了解しあって、大会が成功裏に終わることを願っています。どうか、今後のためにも、このブログをご覧になった関係者のどなたか、問題提起していただければ幸いです。

・

2022年6月16日 (木)

Dream Factory 2022 初夏

長い冬を超えて咲いた北越の花

3つの学年が 心を交わしてつかんだ 11連覇

・

Dsc07458

・

長い冬でした。

梅が咲いても桜が舞っても「春が来た」という実感が湧いてこない春でした。

ようやく新入生も加えて新しいチームで出発しようと思ったら、またコロナ。

追いかける年なのに、コロナの波状攻撃で練習できない毎日が、重苦しくもどかしかったです。

4月から、制限された練習時間の中、毎日試行錯誤してました。

1年生は未知数。潜在能力は皆あるのですが、とても県総体に間に合うとは思えない。

エース以外の2、3年生も全くの未完成。

・

そしてエースの入澤・本間もまた、もがいていました。

ただ、エースのもがきは、本人たちには「停滞」「不調」「崩れ」と写って焦りもあったでしょうが、僕には「進化の過程」と見えていました。

「進化」には脱皮が必要で、脱皮には時間がかかります。

ジュニア育ちの子が様々な知見を身につけて感覚でやっていたことを明瞭知として言語化できるようになると、一旦技術が崩れます。「脱皮」というより「変態」に近い症状なんだと思います。

先に「変態」を終えていた本間と比べて、入澤は「サナギ」の真っ只中で春を迎えてしまいました。

4月のハイジャパ予選は何とか誤魔化しながら勝ち切りましたが、連休明けの地区大会では秋以降負けていなかった巻高校のエース石山さんと久保田さんのペアに敗れました。

この負けから学ぶものがとても大きかったと思います。

戦略的な弱点、戦術の不正確さ、技術の未成熟、そしてリーダーとしてのメンタルタフネス。たくさんの「ピース」がまだはまっていなかった、その一つひとつがクリアになりました。

本当に「負け」は大事です。

「負けから学ぶ力」は「失敗から得る飛躍の力」です。

・

令和4年度県総体、女子個人戦の決勝は僕が知る限りにおいて、過去20年間で最も高いレベルの決勝だったと思います。

お互いの3年間の切磋琢磨、挫折と克服が縦糸と横糸のように折り重なった努力の結晶。

それがネットをはさんで1球1球表現される。素晴らしい戦いでした。

Img_2547

Dsc_2830

Dsc_2958



・

・

次の日に行われた団体戦。

第1シードの巻高校との対決。

そして再びエース対決。

この試合は、第1対戦で北越の1年生ペアが先勝。

エースとして勝って優勝を決めたい北越の入澤・本間。

エースとして負けられない巻高校の石山さん久保田さん。

戦術や技術よりも、お互いチームを率いてきた者同士の、意地とプライドをかけた戦いになりました。

序盤は巻高校の圧倒的な気魄に圧されます。0-④、1-④で、G0-2。

単純ミスを繰り返しているわけではありません。

石山さんのボールのキレ、テンポ、フラットボールの圧力。そして久保田さんの意地でも通さないと言わんばかりの鉄壁のディフェンス。

プライドをかけて前日の個人戦決勝のリベンジに燃える二人の気魄をひしひしと感じました。

今までの二人であったら、この勢いに飲まれていたかもしれません。

追いつき、突き放され、さらに追いつき、ファイナル4-4から差し切りました。

一番の勝因は、どんな状況にあっても焦らずに戦い抜くメンタルタフネスだったと思います。

・

・

本間は2年生の春に、入澤は1年遅れて3年生の春に、自分の「弱さ」に心底気づき、あえて「弱さ」と向き合い、乗り越えようとしてきました。

今年のチームスローガンは「超えるべきは、今、この瞬間!」というものです。

・

Img_1140

・

二人が原案を考えました。特に、二人がこだわったのが、「今、この瞬間」ということでした。

誰もが弱さを抱え、それを乗り越えようと努力する。

スポーツの世界ではそんなの当たり前だと言われそうですが、多くの場合、人は困難な状況に置かれると、不安になって小さくなり、無難になったり、早くそこから逃れようとして無謀な選択をしたりします。

「今、この瞬間」こそが、自分が自分を超えていくべき時なのだ、となかなか思えない。

そして、状況を打開できずに困難に負けていきます。

自分自身、そして仲間や後輩たちのそういうシーンを繰り返し見てきた部長の本間がこだわったスローガンです。

・

そして迎えた3年最後の県総体、その最終戦としての団体決勝。

前日の勝利の翌日のエース対決再戦。

圧倒的な相手の気魄に圧されてのG0-2。

「超えるべきは、今、この瞬間!」

・

Dsc07196

・

G2ー3と追い込まれてからの第6ゲームの集中。

そしてファイナルの1本1本には魂を感じました。

マッチポイントは本間のアタックでゲームセット。

天高く突き上げられた手、その先の暮れかかる初夏の空。

ようやく長い「冬」が終わった瞬間でした。

Img_3096

Img_3116

・

この二人がこうして成長できたのは、巻高校のライバルがいたからです。

県内にこんなに素晴らしいアスリートがいて、お互いが3年間あらゆる県内大会で決勝を戦い続け、お互いを磨き合える。

それはアスリートを目指す「みにくいアヒルの子」として理想的な関係だと思います。

あらためて、巻高校の選手たち、そして指導者の橋本さんに心から敬意と感謝を伝えさせてください。

・

ついに、やっと、県総体が終わった。

団体11連覇。

今までの重荷が背中で一気にほどけ落ちた感じ。

私がキャプテンを託されて、12月の五泉での選抜予選の敗退から今日までの道のり、正直とても苦しかった。

どうしても誰かと自分を比べてしまう毎日…。

何で私はチームを作れないのか。

何で私はチームの範となれないのか。

逃げたくなる自分もいて、それを感じる瞬間が本当に嫌で悔しかった。

でも、その逃げたくなる自分と戦って、春からは毎朝自分と向き合って走るようになって、一日一日をかみしめるように生きてきた。

その成果が出たんだと思うと嬉しい。

けど、一番嬉しいのは、団体戦で後輩たちや仲間たちが、こんな私みたいなキャプテンを最後まで信じて戦い抜いてくれたことだ。

勝負となる準決勝前、私はみんなに言った。

「絶対私がIH連れていくから、信じてついてきて!」

準決勝、決勝…

本当にみんなそれを実行してくれた。

本当にありがとう。

みんなの11連覇だよ。

(キャプテン 入澤瑛麻)

・

Dsc07406_3

・

・

まずは部長として、大きな仕事を果たせたと思います。

県11連覇。何とか成し遂げられました。

準決勝、中越戦。

冬のリベンジ戦だ。

相手が勝負をかけてきた。

私たちには3番手。④ー0で勝利して、後輩たちに託す。

2面展開で、私たちの隣で戦っていた1年生の安藤・七瀬(渡辺)は相手の2番手。前日の個人戦でIH出場を決めている格上のペアだ。

私たちの後に入ったのは2年生の寧々(高橋)と3年生の優芽(丸山)。相手は前日の個人戦3位の敵のエース。こちらも格上。

個人の力は格上でも、団体戦は違う。先輩たちもこういう場面で強さを発揮して夢を手にしてきた。

1年生、今まで見たこともない気魄の塊だった。特に、七瀬があれほどの声を出して戦うなんて思ってもみなかった。食らいついてG3-2リード。

寧々と優芽。

こっちも食らいついて走りぬいてお互いレシーブキープでG2-2。

こういうところから今まで寧々は自分ですぐにポイントを欲しがる欲望をコントロールできなかったけど、優芽を生かす配球を正確にやり続けてG3ー2リード。

その時、1年生は追いつかれてファイナルに入った。

両面とも熱い戦いだ。

「炎のように」前日のミーティングで先生が話した、その熱い舞台に私たちはいた。

そして両面同時のマッチポイント。

決まった!

と思って隣に目を移すと、隣でも1年生が跳びはねている。

苦しい場面はたくさんあったけど、4人ともそこから逃げずにチームのために超えていってくれた。

・

・

そして決勝の巻戦。これも冬のリベンジだ。

お互い3-1-2のオーダー。

第1対戦。

1年生ペア 安藤・渡辺。

この二人は本当にハートで戦えるんだね、って確信した。

ベンチ見てエネルギーもらって、腕を見て「ここ、ここ!」って自分に言い聞かせながら戦ってくれた。

この1年生二人の姿が私たちに勇気をくれた。

瑛麻も「うちらにかかってるね」って言った。

その声から、瑛麻の覚悟が伝わってきた。

私も、前日に個人戦で勝ちながら次の日の団体戦で負けるというのは、エースじゃない、それは北越じゃない、って自分にビシッと言い聞かせてコートに立った。

思っていたのは、「とにかく魂込めて1球1球戦おう」ということだ。

序盤G0ー2。

先にリードされたが、そこまで焦ってはいなかった。

冷静に、一つひとつ、魂を込めて。

3G目も相手リードから始まったが、中盤になって私が下がりながらスマッシュ、そのフォローを瑛麻が移動してヒッティングボレー。二人で「おら!」って声出して決め切った。

たった1本だけど、これで「行ける」と思った。

実際、少しずつ少しずつ、私たちに流れが来たと思う。

追いついてG2-2。

5G目は正直、とれたゲームだ。

追いついて私たちの「急ぎ」が目立った。落としてG2-3。

6ゲーム目。

ここは退いたら終わり。

向かっていってファイナル。

ファイナルは欲張らず、だけど強気で攻め切ってついにマッチポイント。

最後は気合で押し込んだ。

決まった!

大きなガッツポーズ!

同時に大きな歓声!

ベンチもその後ろの応援席もみんなが両手でガッツポーズしてた。

チームが一つになって戦っていたんだって実感した。

・

Img_3185

Dsc07284_2

・

Dsc07355_2_2

・

冬から今まで、何度も今年はダメなんじゃないかって心が折れそうになった。

それでもそんなことはない、絶対大丈夫って自分に言い聞かせ、チームを信じてきてよかった。

最後の整列。正面に並んだ実来ちゃん(石山さん)が泣いていた。

1年生からずっとこうやって戦ってきたライバルだ。ここまで成長できたのは、二人のおかげです。本当にありがとう。

解散した後、巻の二人のところへ行った。

「(愛媛での団体戦)頑張ってね!」って言ってくれて嬉しかった。

北信越の決勝で、もう一度戦おうね!

・

次は愛媛インターハイ。

去年のように「戦えたけど勝ち切れなかった」というストーリーにするわけにはいかない。

今年こそ全国区のエリート集団にリベンジ!!

ここからが本当のスタート!

(部長 本間友里那)

・

・

Dsc06339_2
・

この大会のチームとしてのハイライトは、準決勝の中越戦だったでしょう。

冬のセンバツ予選で敗退。

前日までの個人戦では、北越が1位と6位。

対する中越はエースが3位。そしてベスト8に二つ(5位と8位)。

インターハイ決定戦での2番手対決では中越が勝利していました。

オーダーは北越が1-3-2。

中越は勝負をかけて3-2-1。

3ペア揃っている中越、しかもオーダーも中越バッチリ。

北越の2番手、2年生の高橋寧々と急遽ペアを組んだ3年生の丸山優芽。練習試合でも組んだことのない急造ペアです。

北越の3番手は、1年生の安藤愛莉と渡邉七瀬。どちらも個人戦はそれぞれ別の1年生と組んでベスト16にも入れない未熟者です。

さあ、チームとして

「超えるべきは 今、この瞬間!」

整列した時に、強くスローガンが湧き上がってきました。

いいですね、この瞬間。

昔から歌人たちが詠んできた「命なりけり」の刹那を感じます。

・

2面展開での戦いでしたが、第1対戦はエースが④ー0で北越先勝。

隣の第2対戦は、ひよっ子の1年生ペアがインターハイ選手に食い下がっています。

なんとG2ー1リード。その辺りで、第3対戦もスタートします。

この頃にはもう一つの準決勝は終わっていて、中越vs北越の2面のコートだけ熱い戦いが繰り広げられていました。初夏の西に傾いていく日差しに照らされながら、一進一退の攻防が続きます。

・

ずっとBチームだった安藤を起用したのは、前日までの個人戦での戦いぶりからでした。

地区大会でも勝っていない安藤は、初戦シード選手との対決。去年から実績のあるペアとの戦いでしたが、とにかく元気出して向かっていってファイナル勝利。

4回戦では3位となる村上高校のエースが相手でしたが、これもまたとにかく元気出して向かっていってG2ー2まで競り合いました。

「元気出して向かっていく」

極めて単純ですが、スポーツの原点だと思います。

・

Dsc_4115

Dsc_3879

・

・

相手が3年生だろうと、エースだろうと、インターハイ選手だろうと、元気出して向かっていく!

ソフトテニスが好きで好きで、強い相手とやれるのが嬉しくて、どんな時でも自分のベストで、元気出して向かっていく!

安藤は(技術力+フィジカル力)では、うちのチームの後衛の中で5番目か6番目の選手です。

けれど、実際の戦いは、それだけでは決まらない。

それがスポーツの面白さであり、難しさでもありますよね。

その安藤の「元気出して向かっていく」強さにかけてみました。

・

一方、隣で敵のエースと戦っている2年生の高橋に急遽組ませた3年生の丸山優芽。

新潟市内の無名の選手です。ただ憧れだけで北越に来た子でしたが、自分の身体を上手く操ることができず、戦術の理解も深まらず、3年間ずっとBチーム(控え選手)でいた子です。

地区大会でも「最悪な(自称)」試合で敗退したことから、県大会の個人戦では早々に巻高校のエースとあたって瞬殺されていました。

ただ、3年生になってからの丸山、そしてペアを組んでいた佐藤麻央が、人間的に大きく成長してチーム全体を見れるようになったことが、4月から急ごしらえで1年生を育てチームの心を伝えなければならないチームの台所事情を救ったと言えます。

本間と入澤も佐藤・丸山を信頼してチームを任せられるようになり、真っ直ぐチーム強化にエネルギーを注げたことがチームの成長につながったと思います。

3年生になってからの佐藤と丸山は、自主練習になるとほとんど1年生指導に時間を費やします。

僕の指示ではないのです。僕は「自分の練習もしなさい!」と指導する有様です。

単にボール送りをするだけではない。1年生の「課題」の解決に向けて真剣になるから時間を忘れるのです。「自分の練習もしたいのに…」と焦ったりイラついたりする幼い精神レベルを凌駕しています。今まで、先輩たちに教えられ、育てられてきた感謝の気持ちが二人をそうさせるのでしょう。

毎年思うのですが、こういう境地に立てた時、若者は大きく成長します。

その力を信じてみました。

・

Dsc04359

Dsc04364

・
実際の試合で、丸山にミスは出ます。ですが、そのマイナスを大きく上回る力を期待しました。

それは、後輩の高橋を励まし、メンタルを維持させ、苦境にあっても常に笑顔で明るく、ある意味、苦境を楽しみながら、それを超えていこうとする困難時の協働力です。

他者を励まし、他者のいい所を引き出しながら、自分が輝くモチベーションにする、丸山にもその力が育っていました。

僕は、前日の丸山のノートにこう書きました。

たのむぞ、太陽!

・

先生、コメントありがとうございました。

このコメント、準決勝でコートに立つ前にもう一度見ました。

気魄としても、自分が表現するプレーとしても、「太陽」になれたと思います。

私に「超える」チャンスをくださって、ありがとうございました。

中越戦。整列したらエースの小川・廣川とだった。

不思議と力が湧いてきた。

超えるべきは今、この瞬間!

そう素直に思えた。

でも、簡単には勝たせてくれない相手だった。

お互いのレシーブゲームを取り合って、G2ー2。

第5ゲームの競り合いを制して、G3ー2。

チェンジサイズのベンチ。

寧々は緊張で手が震えていた。

第6ゲーム。

相手がもってきたボールを練習通りバッチリ止めた。

そして次のポイント、思いきってポーチに行った。

決まった!!

・

・

Dsc07030_2

Dsc_4124

・

・

私は今日、1年生の安藤の姿に勇気づけられたんです。

団体の最初の戦いで、また弱いところを出してしまった私の腕に、安藤が

「私はやれる!! 笑顔!!」

って書いてくれました。

これを見ながら試合をしたし、これを声に出して戦った。

ポイントの合間合間に、隣で戦っている安藤の声が聞こえる。

1年生の安藤が全力で戦っている。

3年の私がやらなくてどうする!

もう一度、気合を入れなおせた。

・

そして迎えたマッチポイント。

震えていた寧々は、コートを走りまくり、ラケットを振り切って戦ってくれた。

勝った!

Img_2909

・

ほぼ同時に安藤と七瀬も勝った。

この試合でつかんだものは大きい。

1年生から3年生まで、全員でつかみとった勝利だから。

次は北信越。

去年、梨果先輩に連れて行ってもらった北信越。

今年は、私がチームに貢献したい。

(3年 丸山優芽)

・

・

最後に、急造ペアながら、準決勝、決勝と勝ち切ってくれた1年生の安藤と渡邉のノートを載せます。

・

・

私につきっきりで指導してくれた愛香先輩、そして春からBチームで一緒にやってきて毎日のようにボール出しをしてくれた麻央先輩と優芽先輩のために、1年生だからってこんなところで負けてたまるか!って思いで、1試合1試合を戦いました。

北越の団体ってすごい!

初めて団体メンバーになって、しかもそれが11連覇をかけた県総体で…

本当に緊張しました。特に準決勝の中越戦、そして決勝の巻戦。

何度も苦しい場面はあったけど、みんなベンチで応援してくれてる、つらい時はベンチ見てって教えてもらっていて、何度もベンチからエネルギーをもらいました。

・

Dsc_3997

地区大会ではベンチの後ろでの応援。コートで戦っている鼓や七瀬が羨ましかった。

そして巻のエースに立ち向かっていく二人は本当にカッコよかった。

個人戦でも私は敗退したけど、インターハイをかけたリーグ戦を土橋が戦っているのが羨ましかった。

・

・

・

その悔しさ、羨ましさ、そのすべてを団体のコートでぶつけた。

緊張したけど、私は楽しんでテニスできたと思う。いや絶対楽しんでやれた。

実際、あれほど、一つ一つの状況を考えて、前衛と駆け引きして、先生のアドバイスも生かして戦えたのは初めてだった。とってもとっても集中して、本気で戦いを楽しんでいたんだって思った。

愛香先輩に「やってきたことを信じろ」って右腕に書いてもらった。

そして、私は毎朝4歩ダッシュを繰り返しやりつづけたんだから、信じて戦うしかないんだって真っ直ぐに思えた。

ハイジャパ予選や地区大会では、1点欲しさにやるべきことを忘れてしまって敗退。

でも少なくとも、私はその幼い私を乗り越えたと思う。

やっぱり私は、インターハイの舞台で選手として戦いたい!

だから、また全力で頑張ります!!

(1年 安藤愛莉)

・

・

私は今日、「信じて戦う」そして「私ならできる!」、この二つを自分に言い聞かせながら試合をしました。

ですが、その「信じる気持ち」は安藤に教えてもらったような気がします。

どんな時でも私の目を真っ直ぐに見て、「大丈夫!」「自分を信じて」って何度も伝えてくれました。

安藤自身のミスが重なってゲームを取られる場面もあって、きっと焦りもあったはずなのに、安藤はそういう時、「麻央先輩のために」「信じる、信じる」って口にしながら、常に前を向いて戦う姿に私は自然と引っ張られていきました。

正直、私ってこんなに声出せるんだって自分でも驚いて、それは出さなきゃとか出そうと思うんじゃなくて、「本気で勝ちたい!」「このチームでIH行きたい!」っていう思いが声や表情に出ていたんだと思います。

・

Img_2809

Img_2900_2


ずっと私は「やりたいこと」じゃなくて「やるべきこと」をやる、それが大きな課題でした。

燃える中でも、「状況判断」を一つひとつ怠らないで選択することができたのは、私にとって大きな成長になりました。

こんなに試合の組み立てを考えて試合したことなかったです。考えてするテニスってめっちゃ面白い!! そして楽しい!!!

そして、やっぱり「チーム北越」の先輩の偉大さを感じることができました。

経験の浅い私に、勝負所で「七瀬ならできるよ!」って瑛麻先輩。

厳しい場面では「七瀬、みんなの顔見て!」って友里那先輩。

「七瀬、大丈夫! 頑張れる!」って寧々先輩。

中越戦をみんなで勝ち切った後に、「安藤と七瀬の姿見て、私も頑張れたんだ」って優芽先輩。

そういう一言一言のすべてが私のパワーになり、勇気になり、このチームのために!って熱い思いになりました。

Dsc06923_2

今日の団体戦。

チーム北越の力強さを深く身に染みて感じる日になりました。

次は愛媛インターハイです。

私は、私を変えてくれたこのチームのために、IHで3年生と一緒に1試合でも長く戦い続けることが目標になりました。

(1年 渡邉七瀬)

2022年1月29日 (土)

Dream Factory 2022 厳冬

・

日々新面目あるべし

・

Dsc00419

・

コロナ第6波の感染拡大が止まりません。

皆さんの地域ではどうですか。

新潟県はまん延防止等特別措置が適用され、学校行事も中止や延期を余儀なくされています。部活動も2月13日まで平日の活動が90分程度に限定され、土日祝日の部活動は禁止となりました。

活動は制限されましたが、闇雲に教育活動をロックダウンした過去の愚を繰り返すことなく、90分とはいえ感染防止に留意しながら日々の活動を認めた県の英断を支持します。

約2週間の短縮活動を経験し、一昨年の教育ロックダウンの暗黒期と比べてみると、毎日の継続というものがいかに大切なのかがよくわかりました。

「競技力向上」だとか「勝負」だとか「夢」だとか、そういうカラー付け以前に、部活動は人間教育なのだと改めて気づかされます。技術であれ戦術であれ人間的な成熟であれ、成長期の子供たちは真剣になればなるほど、自分の未熟さに悔しがり、小さなゲインに喜び、仲間の変化に影響を受けて育っていくものです。SCHOOLという語の語源(集団、集まり)に遡るまでもなく、人は人との関係性の中でしか成長できないのですね。

考えてみれば、春先に蒔いた種が芽を出し、ぐんぐん成長する初夏に突然真っ黒な箱を被せられてしまえば、太陽光を浴びることができず大事な時期の成長が止まる。取り返しのつかない「失われた数か月」になってしまう。教育ロックダウンとはまさにそういうことなのだと思いました。大人のリモートワークとは話がまるで違います。

・

・

前回のDream Factory 2022冬でもお伝えした通り、チーム北越は県予選で敗退し、今ひたすら地中へ深く確かな根を張ろうとしています。

リーダーの本間と入澤が先頭に立ってチームをけん引する姿が日々力強くなってきました。

・

Dsc07549

Dsc07507

・
3年生がコートに来てくださるのが最後の日となった。

まずは、本当にありがとうございました。

3年生が去年の3月、全国選抜で敗退してから、最後の夏に向けて見せて下さった本気と強い意志を鮮明に思い出します。

本気で外シードの和歌山信愛を倒しにいった石川の夏。でも、かなわなかった。そして引退してからは、「春からじゃ間に合わないよ」って何度も何度も伝えてくださった。

それなのに、幼く未熟な私たちはそれを本気で受け止めることができていない。

「負けた」という事実だけ悔しがってしまい、自分の何が足りないのかに本気で向き合おうとしない。もしくは分かったといいながら、本気で現実を変えようとしない。まだまだ暗中模索です。

けど、私は今日、やっと少しだけ、光が見えた気がします。

その光が何かって言われたら、言葉にはできないけれど…

「毎日、悔いを残すな。でも残ってしまう悔いとしっかり向き合え。」

私が訴えたこと、みんなわかってくれたように思う。

悔いを残さずやってほしいけど、結果的に毎日毎日、悔いは残る。

けど、その悔いを「悔しさ」としてとらえられなかった、もしくは、悔しさを感じてもその場だけで終わってしまう。そんなことばかりしていた。

だから、上手くなりたい、強くなりたい、と言っても結果が伴わない。

今日は、みんなミスした時に悔しそうな表情や、「またこれだ!」って自分から叫ぶ姿があった。そうやって、地道に自分という人間に向き合っていくしかないんだ。

県総体まで、約4ヶ月。

本当にあっという間に春を迎え夏になる。

この冬、私は、どれだけ私の弱さとチームに向き合ってきたかが試されている。

先日届いたマガジンに日本代表に選ばれた選手の名前が載っていた。

U-17女子を見ると、中学校の時も選ばれていたようなセンスのある子ばっかりだ。

羨ましいという感情よりも、私はむしろ、早くこういう相手と思い切り勝負したい。

ジュニア時代からのセンスと実績 vs ひたむきに努力してきた不器用者

この夏、思い切り戦いたい!

・

おばあちゃんが、会津八一の言葉を私に贈ってくれた。

「日々新面目あるべし」(常に新しい自分を求め続ける)

努力で培ってきた私をインターハイの舞台で必ず表現したい!

去年のような「勝てた試合だったね…」なんて言わないために…。

「悔いが残らないように(=強い悔いを残しながら)、日々を生きる!」

   (部長 本間友里那)

・

Dsc09933

Dsc09954

Dsc09964

・

友里那が提案してくれたことをみんなで取り組んだ初日。

いつも本気でやっているつもりだったけど、1本も悔いはないかと言われれば、そんなことは絶対になく、何本も悔いは残る。本気さってことでも、まだ残った状態で終わった気がする。つまり、私はいつも自分で自分に限界を作っていたんだなって感じた。

だから、いつもなら何気なくやり過ごす1本も、本気になれば新たな課題になる。そこに今日気づけたなって思う。

たとえば、ボレー&ボレー、私たちは上達していると思っていた。でも、今日久しぶりに外でやったら悲惨すぎた。高いレベルを求めれば、インドアと違って摩擦が使えないから、もっとフットワークを磨く必要がある。

そういう気づきをみんなはどれくらい持てただろうか。

もう一度、今日で最後になった3年生のメッセージを思い出して!

「春からじゃ間に合わない。」

久しぶりに外コートから部室の窓の県総体までのカウンターを見た。

3年生の引退から1年あると思っていたのが、もうこんなにカウントダウンが進んでいる。

もうすぐ2月だ。

チームリーダーとして、私自身も危機感を持ってやっていこう!

   (キャプテン 入澤瑛麻)

・

Dsc09971

Dsc09981

Dsc09986


・

・

本間のおばあさんが贈ってくれたという会津八一の言葉は知りませんでしたので、調べました。

新潟市出身の歌人・書家の会津八一が東京で旧制中学校の教員をやっていた折、新潟から上京してきた受験生数人を書生にして同居していたことがあったという。その書生のために八一は四か条の「学規」(学ぶ心得)を自筆で書いて壁に貼ったそうです。結局、受験勉強に夢中の書生たちは誰一人として目もくれず、八一は自分にのみ言い聞かせる処世訓になってしまったと後年記しています。

「日々新面目あるべし」は、その四か条の最後の文句で、その前の三つと合わせて噛みしめると、とても深い教えになっていることに気づきます。

こんな素敵な教えが壁に貼られていたのに、下ばかり見て受験勉強あけくれていた書生たち…

もったいないですね。

学ぶとは、学芸に励むことで己を知り、日々自分を新しくしていくこと。

・

友里那のおばあさん、そして友里那、こんな嬉しい出会いを橋渡ししてくれてありがとうございました。

・

秋艸堂學規

一 ふかくこの生を愛すべし
(自分に与えられたこの生のかけがえなさに深く気づき、一度しかない生を大切にして悔いなく生きなさい)
一 かへりみて己を知るべし
(自分というものについては自分自身が一番よくわかっていないものです。自分の弱みも強みも自分を日々省みて考え、自分自身をよく知ることです)
一 學藝を以て性を養ふべし
(自分がこの世に生まれ何をなすべきか、その特性は何かに一生懸命になってこそわかるものです。学問や武芸、自分が選んだ道に励み、自分が天から与えられた特性に気付いてそれを磨いていきなさい)
一 日々新面目あるべし
(そのようにして日々生きれば、毎日何かしら新しいことを発見できるはずです。今日のあなたは昨日のあなたと同じでいいはずはありません。どんなちっぽけなことでも、新たな気づきを得て日々成長しなさい)
 
※(  )内の現代語訳は筆者:津野がつけたものです。
・
・
・
 

北信越大会 個人戦

入澤瑛麻・本間友里那

ダブルス夏冬連覇

Dsc00403

Dsc00384

Dsc00357・

※ 地域で地道に夢を目指している指導者や生徒のみなさん。前向きな興味がありましたら交流しましょう。私は時代遅れの人間です。ツイッターもフェイスブックもラインもやりません。そもそもスマホを持っていないです(docomo等が時代遅れの人間を完全に切り捨てるまでこのままです)。郵便かその電子バージョン(メール)で連絡ください。その場合は必ずお名前と所属をお知らせください。

郵便→北越高校 津野宛で

メール→seiji.tsuno@gmail.com

2022年1月 2日 (日)

Dream Factory 2022 冬

何も咲かない寒い日は

下へ下へと根を伸ばせ

078_2

・

センバツ県予選が終わり、今年のチーム北越は県予選で敗退し、春の全国センバツへの戦いが終わりました。

レギュラー6人のうち、4人の3年生が抜けた穴を埋めることができませんでした。

決勝リーグ、1勝1敗で迎えた最終戦、優勝した巻高校との戦いで勝てば三つ巴でチャンスはありました。こういう場面でこれまでのチーム北越は、持っている力以上の集中力を発揮して夢を手繰り寄せてきたのですが、今年のチームはその北越魂が育っていませんでした。観客席から全力で応援してくれている3年生のパワーも借りて共に戦い、「感謝の力」で勝利を届けることもできませんでした。

・

ただ、その最終戦は、この新チームとしてはベストの戦いができたので、その上で夏から力をつけてきた巻高校に敗れたのですから、実力負け、というのが正しいと思います。

・

Dsc09498_3

Dsc09606_3

・

Dsc09385

Dsc09649


負けて泣いていたね。

でも、泣いても何も変わらないよ。

全国センバツへ行けなくて悔しくて泣いていただけなら、ほしいものが手に入らなくて泣いている幼な子と変わりはしない。相手だって日々努力しているのだよ。打倒北越で練習を重ねているのだよ。まずは、その努力に唇を噛みしめながら敬意を持つべきだ。

相手は強くなったんじゃなくて、自分を強くしたんだよ。

少なくとも君たち以上に集中し、チーム力を上げ、声を掛け合い、弱さを克服しながら、チームとして自分を強くしてきたんだよ。

・

その上で、君は自分に何を認める?

「己を知る」

今の君たちには、ここができないのだと思う。

だから、日々の練習が身にならない。力に換わらない。

・

自分の弱さは何か。

自分は何から逃げているのか。

周りのサポートにもかかわらず、なぜ自分は大事な場面でベストを出せないのか。

力を借りているつもりで、ただの依存になってはいないか。

戦いの現場は最終的には自立した力だけが頼りだ、その力を日々つけているのか。

そもそも、君は自分で大きな夢を本気で叶えたいのか。

・

「己を知る」とは「自分と向き合う」ことだ。

自分の弱みを知るからこそ、自分の強みにも気づいていく。

おそらく逆はない。この順序だ。

弱みに目を向けない「強み」など、傲慢か無知か臆病かのいずれかだろう。

自分の弱さと向き合うのは、絶対的な希望に裏打ちされた強烈な意志が必要で、それは簡単なことじゃないんだよ。

・

・

・

元日に、こんなコメントが書かれている賀状をいただきました。

先生、私、去年から自分に向き合うようになって、そして新しい道に進んでみようと思い始めて、新たに勉強を始めたんです。自分と向き合うと、逃げてた自分と戦わなきゃいけないので、手ごわいです。

もうお子さんも小学生になっているのですが、きっと心に期するものがあって、今の自分を脱皮して何かに挑戦するんだと思います。

人間、いくつになっても、新しい道に舵を切る時には、今までの自分と「向き合う」必要があります。それは「逃げてた自分」と面と向かって対決しなければならないことで、だからこそ「手ごわい」のです。

・

この年賀状は、かつての教え子で、新潟東高校キャプテンとしてでっかい夢を叶えた佐藤由樹さん(旧姓 小林さん)からのものです。

由樹さんの中学までの実績はゼロと言っていい。高校2年生の冬までも惨敗の連続。県大会に自力で行ったことなどありません。

何人もの仲間や後輩が諦めてドロップアウトしていく中、夏に咲くヒマワリを自分に重ねて弱い自分を鼓舞し、チームに力を与え続けた人です。

しかし春も惨敗が続きます。地区大会でやっと16本に入って県大会出場がやっと。

そして、迎えた3年の県総体。ノーシードのパッキングから這い上がり、シード選手をいくつ破ったでしょうか。最後は前年のインターハイ選手を撃破してベスト8。それだけでも十分奇跡ですが、翌日の地獄リーグでも、当時の巻高校のエースに奇跡的勝利を果たしてインターハイ出場の夢を叶えたのでした。新潟東高校の創部以来、初めての快挙でした。

由樹さんは、中学から6年間のソフトテニス競技人生で、もらった個人戦の賞状は市内大会も含めて1枚しかありません。

それが、インターハイ出場切符である県総体6位の賞状です。

・

・

君たちは全員が、少なくとも由樹さんよりも実績も経験もあり、恵まれた環境にいて、たくさんの人から応援されている。

決定的に違うもの、それはどんなことがあっても最後には「夢の花」を咲かせたいという揺るがない意志、そして自分の弱さをわかり、さらけ出し、それと向き合い続ける実行力とその継続力だ。

・

・

由樹さんが惨敗を続けていた厳しい冬、繰り返し伝え続けた言葉があります。

2000年のシドニーオリンピックで、日本初の女子マラソン金メダルを獲得した高橋尚子さんが、無名の高校時代に恩師から授かったという言葉です。

何も咲かない寒い日は

下へ下へと根を伸ばせ

やがて大きな花が咲く

高校時代実績のなかった高橋尚子選手は、卒業後、小出監督と出会い鍛えられ世界的なランナーに育っていきました。ずっと座右の銘にしてきたそうです。

それを由樹さんとそのチームに教えたのです。

そして、由樹さんは翌年の夏、奇跡のインターハイ出場の夢を叶え、その次の年、高橋尚子さんはシドニーで金メダルを獲得するのです。いずれも、冬に伸ばした根に「史上初」の快挙を咲かせたのです。

・

・

・

さあ、冬に負けた人たち。

もうダメかも、と諦めかけている人たち。

今するべきは、花を咲かすことではありません。

自分と向き合い、「下へ下へと根を伸ばす」ことです。

泣いているだけなら、根は縮こまり腐ってしまいます。

自分を強くしたいのなら、自分の弱さを見据えることです。

夢を叶えたいのなら、今こそ自分が逃げているものに立ち向かうことです。

もちろん簡単なことではありません。

敵は自分の中にいます。

「手ごわい」ものです。

冬だからいいのです。向かい風だからいいのです。

負けた直後だからチャンスなんです。

春は芽吹く季節、春から伸ばした根では大きな花は咲きません。

・

Dsc09718

敗者たち、結果が出ないからといって、現実を諦めにつなげてはいけない。

それは、人間として大事な尊厳を自ら損なうことです。

悔しさは力の源泉です。

ただし、正のエネルギーにも負のエネルギーにも、どちらにも変換できるものです。

だから、君はそれを燃やしてプラスに向かうエネルギーを得てください。

「負けから這い上がる」

「挫折から起き上がる」

その湧き上がる力より価値のある力なんてありません。

誰もがその力を持っています。

諦めるから現れないだけです。

・

・

チーム北越。

今年の冬は、少しずつ少しずつ、厳冬の中、下へ下へ根を伸ばしていきます。

また来る春を信じて。「大きな花」が咲く夏を信じて。

Dsc09831

・

一粒の向日葵(ひまわり)の種を蒔きしのみに荒野を我の処女地と呼びき

   by  寺山修司

2021年11月 8日 (月)

Dream Factory 2021 秋

北越の秋

・・また来る春に向けて・・

・

Dsc07026

・

秋季新潟地区大会

〇ダブルス

1位 入澤瑛麻・本間友里那

3位 高橋寧々・須貝若菜

〇シングルス

2位 本間友里那

3位 入澤瑛麻、三浦瑞姫

・

Dsc05644_2

Dsc05647_3

・

・

新潟県新人選抜大会

〇ダブルス

1位 入澤瑛麻・本間友里那

〇シングルス

2位 本間友里那

3位 入澤瑛麻

・

・

秋の大会が終わりました。

8月にチームを引き継いで3ヵ月、ダブルスで部長とキャプテンとしてチームを率いる本間入澤が、決勝戦マッチポイントを握られながらもなんとか勝ちきって優勝した以外は、ベスト8の壁を破れませんでした。シングルスは1年生の時は全く相手にならなかった巻高校の石山さんに、本間がファイナルを戦うまでに成長しましたが、ファイナルで突き放されました。

・

今年も「もがきの秋」です。

練習が「習ったこと」の「練り上げ」にならない。

これから団体センバツにシフトしていくのですが、これほどone for all の意識が低くて、どうやって団体戦を勝ち抜いていくのか。

ほぼ毎日、伝え続けていますが、なかなか浸透しません。

苦しい秋の道です。

・

・

新チームの部長を託された本間友里那のノートから

・

For theチーム

この思いがわかる人が、今どれだけいるんだろう。

県新人選抜大会を前にして、これほどチームに気魄がないってこと、今までの北越じゃないってこと、わからせてもらって良かったのかもしれない。

Dsc06758

もちろん、本当はよくないよ。

チーム北越。

数々の奇蹟を作り上げてきたこのチーム。

ねえ、北越らしさって何?

勝てば良いってのは違うよね、瑛麻。

試合中だけ元気出せばいいっていうのも違うよね、麻央、優芽。

何を目標にここに来たの?

私は、ここに入ったのなら、全力で自分の限界超えたいし、中学以上の結果を、日本一を獲りたいって思った。

その思いは、入学以来、ブレることはない。苦しい時も、自分は今のままでいいのかって悩む時も、ここで日本一になりたいっていう夢は変わらない。

実際はまだまだだし、今のスキルやタクティクス、そしてフィジカルでは全国トップにはなれないことはよく分かっている。けど、だからこそ、こだわり続けたいんだ。

瑛麻(入澤)には伝えたことが全て。

瑛麻が今のままでいいなら、チームは私が作る。

でも、そうじゃないはずなんだ。

キャプテンを任されたなら、キャプテンがチームのことをど真ん中に据えて考えないなんてありえない。誰よりもチームが力をつけることにこだわるべきだよね。

麻央、優芽。

自分のスキルが整わないからっていうのもわかるけど、北越の上級生ってそうじゃないよね。

チームのことは、役職関係なく、新3年がやるんだよ。

・

Dsc06166_2

今日届いたマガジンで林田・島津ペアの特集があった。

インカレが2年連続で中止になった。全日本もない。頑張ってきた自分を表現する場がなくなった。そこで林田選手が口にした言葉。

私はずっとこれが最後のつもりで準備してきたので、本当に悔いはありません。

いつも次はないと思ってやりました。

だから、最後だから頑張るというのはありません。最後は誰でも頑張るからです。

最後ではない、何でもない時にどれだけ頑張れるかが、他の人と差をつけられるコツだと気づきました。

・

本当にすごい。

これを読んだとき、チャンピオンってこういうことなんだな、本当のアスリートってこういうことなんだな、って思った。

こんなに自信を持って悔いはないですって言えるくらい、毎日毎日全力でテニスを生きてきたんだな、って思う。

私が今、ここでもう残りの試合はすべてありません、と言われたとしたら、悔いしかない。

日本一になる夢を叶えてもいないし、何より部長を任されてチームの心を一つにできていない。

私は、この林田さんの言葉を絶対に忘れない。

私もこの言葉を言えるようなアスリートになりたい!

(部長 2年 本間友里那)

・

・

Dsc04274

Dsc04092

Dsc03791

Dsc04083

・

・

部長ゆえの苦しさ、リーダーが背負う重さ。

新部長は、逃げることなく、その困難性と向き合い続けています。

その新部長に、旧部長の斉藤がエールを送ります。

・


今日も、チームとしても個人としてもたくさん学ぶことがあった日だったと思う。

本気で、チームとして勝ちたいと思って戦っているか

ここがすごく大きいと思う。

Dsc06473

2年生は「自分たちのチームなんだ」という自覚をどれだけ持っているか。

部長の本間の苦しさは、先生も伝えてくれていたけど、本当によくわかる。

何で? どうして? の繰り返し。

何でわかってくれない?

どうすれば心を一つにさせられる?

どうしたらもっと本気になってくれる?

・

もちろん、一人で悩む苦しさは理解できる。だけど、それじゃあ前へ進まない。

どうして? ばかりじゃ変わらない。

リーダーは苦しいが、そこで進むべき方向を示すのがリーダーだ。

こうやったら意識が変わるかもしれない。

こう伝え方を変えてみたら分かってくれるかもしれない。

こういう取り組みを提案したらチームの心は育つのかもしれない。

地道に考えて、悩んで、提案する。

本当に少しずつの積み重ねで前へ進むしかないのだと思う。

そうする中で、なかなか思うような成果が出ないと、自分がやっていることは本当に正しいのか、チームへの伝え方が間違っているんじゃないか、とか、疑って悩むこともあるだろう。

だけど、絶対正解なんてないし、リーダーがどんなチームとして戦いたいか、その意志が明確なら、その方向に向けて間違ってるかもしれないけど、やってみるしかない。

・

先生に、組織を改革するのに志を同じくする者が3人いたら成功する、って伝えてもらって、その同じ日に、本間以外に提案や行動を誰もしないのを見て、私も悔しかった。

本間はもっと悔しいだろう。

けど、これが現状。受け止めるしかない。

先生が言ったから、次の瞬間からチームが変革できる、そんなわけはない。

今日、須貝が失敗してそれでも決意を伝えに戻ってきた。

仲間がどんな失敗をしようと決して見捨てない、それが北越の良さだ。

そのことを梨果が全員に伝えてくれた。

Dsc04045

先生は、本間も受け入れようという心がないと伝えていた。

本間の気持ちは痛いほどわかる。本当によくわかるよ。

私も部長をやっていて、そういう場面は何度もあった。

チームの皆も、がっかりしてる。またか…って思っている。それは空気として感じる。

だけど、私までもが受け入れなかったら、誰が鍵を開けてその子を受け入れるの、って思って私が言葉をかけてきた。

もちろん、それは苦しいことだ。

そして、また失敗した仲間を受けとめ、最初に言葉をかけて受け入れたからには、私に責任があると思っていた。次に同じ失敗をしたら、私の責任でもあるんだなって思った。

だから、リーダーなんだ。

リーダーとして試される苦しさってここなんだな、そう自分にも言い聞かせた。

先生も伝えてくれたけど、調子の良い時なんて、誰がリーダーでも変わりはしない。流れに乗ればいいだけだから。

だけど、リーダーが必要なのは苦しい時だ。苦しい時にチームを思って逃げずにその状況に立ち向かっていけるか。

自分が逃げずにチームをつくるんだって思って、行動しつづけていれば、必ず仲間も本気になってくれる。それを信じて、一人でも自分で悩んでもがいて、前へ進むしかない。

・

苦しいって思うだけじゃ、何にも変わらない。

その時、何を提案できるか、何を行動できるか。

今も、それが試されている。

頑張れ、本間!

(前部長 3年 斎藤菜月)

・

・

一方、部長・キャプテン以外の2年生、特に佐藤麻央の奮起を3年の近藤は促しています。

・

上手くいかないことが続くと、ネガティブ思考になる。

そんな空気がチームに広がってる。

先生の話を受けて、私の2年前のノート、1年生の秋のノートを開いてみた。

私もずっと下手だったから、上手くなれるのかって疑ったこと何百回もある。

ある日のノート。

Dsc03408_2

Aチームのコート、もしくは全体練習に入りたいけど、今の私が入れるレベルじゃない、そう自覚はしていて、最後のミーティングで奈央先輩が「チームに食らいつきがない」って伝えてくださった。

でも、その時の私が思ったのは、私が入ることでAチームに迷惑がかかるんじゃないか、っていうこと。

それを奈央先輩に相談したことが書かれてあった。

その時、奈央先輩から贈られた言葉、今でもアリアリと覚えている。

北越は、上手いか下手かの基準じゃなくて、やる気があるかどうかが重要

この時、私は視野がすーっと広がった感じがした。

よし、じゃあ、いつか、近藤と打ちたいって仲間や後輩が思ってくれるように、気持ちを前に出して頑張ろうって思えた。

そして、3年間を終えた今、奈央先輩の言うとおりだったと納得する。

・

その1年後、2年生の秋。一つ上の先輩で秋に「恩送り」でコーチできたのは二人だけだったから、私に担当コーチなんてつくわけもなく、一人で毎日悩み、必死に言語化して、食らいついていた。菜月も同じだったはずだ。

自分から動かないと何も得られないし、2年にもなって成果を出せないなんて相手にしてもらえないと思って、必死だった。

・

今の麻央は、ほぼ私がつきっきりで面倒を見ている。

麻央から食らいついてくることはほとんどなく、圧倒的に私の方から指摘している。

麻央は自分もチームを引っ張りたいと言うけど、仲間も後輩もすべて3年生が恩送りで見ている。それは正直、怖くもある。

2年生の秋、仲間や後輩のことで悩むこともなく、人任せにして自分のことに専念できる。それは一見幸せだけど、3年になった時に「強さ」が身についているか。苦境になった場面で、後輩に頼られる場面で、責任とともに強さを表現できるか、私の「怖さ」とはそこだ。

麻央が言葉だけじゃなく、本当にこのチームに欠かせない人として、本間や入澤と一緒にチームを率いてほしい。リーダーの名札はなくとも、リーダー学年としての自覚を持って行動してほしい。

(3年 近藤梨果)

・

・

Dsc04020

Dsc04238

Dsc04146

Dsc04136

・

・

その佐藤。

受け身で甘ったれですが、近藤から伝えられていることはよくわかっています。

明らかにノートは変わってきました。思いの強さは育まれています。

春までに固い殻を破って、ドラマを創ってほしいです。

・

今日、合同練習会で久しぶりに去年の3年生のDream Factory(卒業記念につくるフォトムービー)を見た。

3月の卒業祝賀会で見た時と同じ映像なのに、想いが全く違うことに驚いた。時の経過をすごく感じた。

3月に見た時は、「私もこのDream Facoryの一員なんだ!」って思ってとても嬉しく誇らしい気持ちになった。

でも、今日はまるで違う。

Dsc07365

3年生が(卒業生)何度も何度も壁に跳ね返され、それでも「責任感・自覚・妥協しない毎日」を力に換えて成長していく姿、それを自分に問いかけるように見ていた。

3人しかいない卒業生だったけど、それぞれが自覚を持ち、チームを任された2年の秋からはチームの為に本気で生きて、責任感と自覚を深めたからこそ、県の新人選抜から、二人は戦えるようになった。そこから、不利な状況下で県選抜を勝ちきり、北信越選抜での奇蹟の優勝、そして全国選抜出場の夢を叶えた3人。

・

私はどうだ。

今までどれだけのターニングポイントがあったことか…。

未だに自己ベストで戦えたことがない。

先輩たちと何が違うのか。

新3年生としてチームの核になって、仲間や下級生を導かなければならないのに、その責任感がないから、ここぞという場面で自分の強さがないんだ。

私はいつまで同じ場所に留まっているのか。

私は、自分のスキルよりも何よりも、チームに関わっていくことが大事なんだと思う。

・

県新人選抜の時、決勝を金網の後ろで見ていて思ったことがある。

あの試合、本間と入澤は追い詰められた。

入澤のミスが続き、ベンチに戻ってきて、また(県大会個人戦と同じように)泣いていた。

Dsc06179

でも、本間はブレずに戦い続けた。そして苦境を乗り越えて優勝した。

私はあの試合で、本間の底力を見た気がした。常にチームに対して本気で向き合ってきたからこそ、あのような場面で自分の中に閉じこもることはないんだ。ペアが落ちてもブレない強さがある。それは日々の生き方なんだ。

団体メンバーで戦うということは、後ろで応援する人が必ずいるということ。その時、その後ろの仲間たちとチームとしてどう生きてきたか、そこが力になる。

責任感が逆境で力に換わるんだ。

(2年 佐藤麻央)

・

・

毎年恒例の、秋のもがき、停滞、挫折…

でも、新チームの秋というのは、これが健全なんだな、と思うようになりました。

優秀な選手だけが集まっている「特殊な」チームではありません。夏に咲いた花の後は、1年後の満開を目指して、また土壌づくりから始まるのです。「作物」とて、昨年とは違うものですから、こちらの土壌改良も必要ですね。

この「北越畑」に興味を持って根を下ろしてくれた未熟な苗たちを育て、鍛え、花を咲かせること、それが私の営為です。

・

今、早朝、合宿先の外のベンチでこの文章を打っています。

近くに仰ぐ妙高山は白く冠雪しています。そこに朝焼けの光が輝いて、息を飲む美しさです。

コナラ、ミズナラの木々が晩秋の風に吹かれて、カサカサと葉を落としています。

間もなく、ここにも雪が降りてくるのでしょう。

その落葉の下で、1年生が息を白くはきながらダッシュしたりラケットを振ったりしています。

木々もこの子たちも、来年の芽吹きと命の輝きを誓って、冬を迎えようとしています。

秋の挫折と向き合い、幼い自分をそぎ落とし、雪の下で新たな心をはぐくみ、春に備える。

命の輝き、青春のど真ん中。

ガンバ!

Dsc04461_2

2021年8月10日 (火)

Dream Factory 2021 盛夏

2021チーム北越

戦った! 競り合った!

信じて 立ち上がり続けた 最後のインターハイ

・

Dsc_7847

ずっとチームを支えてきた近藤梨果のノートから

第4シード 和歌山信愛に負けた。

目標にしていた「決勝」に行けなかった。

もちろん、選手を責めているのではない。選手たちは最大限やれることをやり切って負けたんだ。

全国から選手を集める和歌山信愛に食らいついていく姿に鳥肌たったし、声を出しての応援は禁止されていたけど、それでも声が出ちゃうくらい心を一つにして戦えた。今思い返しても、とても充実してかけがえのない経験だった。

第1対戦のキャプテンペア星野・高橋。

中盤のG2-2までは互角の競り合い。相手がJAPANであろうと決して引かずビビらず、強い思いと気迫で向かっていく姿は北越らしかったし、とてもカッコよかった。

Dsc_7901

Dsc_7908_2

Dsc_8028_2

Dsc_8032

Dsc_7953_2

Dsc_7922_2

Dsc_7928

Dsc_7999



隣のコートで同時進行で戦っていた入澤と本間。

G1-3と追い詰められても、今回は1本1本、強い意志を崩さずに挽回してくれた。

ファイナルの1球1球に、入澤の強い意志を感じたし、自分の強気を前に押し出して戦い続ける本間の姿に感動した。

Dsc_7867_2

Dsc_7872

Dsc_8113_2

Dsc_7877

Dsc_8159_2

Dsc_8151

Dsc_8229

Dsc_8331

・

・
1-1の三番勝負。

高野は戦ってくれた。

ウイナー(トップ打ち)を何本相手のコートに突き刺したんだろう。ノーミスでラケットを振り切る高野を見て、3番勝負、高野で良かったって、素直に感動した。

Dsc_7711

Dsc_7716


凛の気迫がコート中にあふれていた。最後の最後、全国の大舞台で、自分を信じて戦えた、それは凛にとって、とてもデカいことだと思う。北信越で団体メンバーから途中交代させられて、インターハイでその自分にリベンジした、そのドラマを見れて私も幸せです。

信愛戦で、高野・鷲尾を3番に使うというのは、先生が二人の成長を認め、チームの思いを背負って戦ってくれるって信じたんだと思う。

Dsc_8341

Dsc_7772


ほとんどのゲームで競り合える。競り合えるけど大事なポイントで甘い。そしてG0-3、後がなくなったベンチで、先生は高野に強く伝えた。高野の甘さを先生は見逃さない。

Dsc_8364

その直後から高野は変わった。信愛の後衛と互角の打ち合い、本当に激しい打ち合いだった。凛は全く逃げなかった。そのハートに鷲尾はついていけてないように見えた。鷲尾も悔しいだろうけど、私も悔しい。

ミーティングで先生が話してくれたように、明日からの個人戦、団体戦の延長としてチームのために戦ってほしい。

Dsc_8198

Dsc_8410

Dsc_8467

Dsc_8490_2


(8月2日 近藤梨果)

・

・

8月2日~個人戦。引き続き、近藤のノートから。

個人戦1日目。

星野・鷲尾。二日目に残るための最後の戦いが、またしても和歌山信愛だった。

団体メンバーではないが、和歌山県大会で2位。

G3-0から、相手は戦術を変えて挽回していき、ファイナルへ。

私は二人のファイナルの死闘を決して忘れないだろう。

Dsc_8695

Dsc_8719_2


何本のマッチポイントを握ったんだろう。それでも勝たせてくれない信愛。

それでもあきらめず、また挑み続ける北越。

先生が言っていたことがよくわかった。

ファイナルの強さは 人間力の強さ

少しでも自分を疑ったら、少しでも気持ちが引けてしまったら、すぐにGame Set。

最後は⑫ー10。

Dsc_8772_2

Dsc_8783_2

Dsc_8818_2_2

Dsc_8832_2

実績的、技術的には相手が上だったかもしれない。でもファイナルの強さは別のところにある。

一緒に3年間やってきたからわかる。星野はファイナルに弱かった。自分を超えられないでいたからだ。そして星野はずっと自分の弱さと戦ってきた。直前合宿でも自分の弱さに泣いていた。でもそういう日々がこういう場面で何倍もの強さと自信になる。

試された。そして乗り越えた。

ありがとう星野。

・

鷲尾は…

昨日の団体戦とは全く違った。

星野の強気と一体となっていた。二人の心がつながっていた。

鷲尾は今度こそ「鷲尾で終わり」にしたくなかったんじゃないかと思う。それが鷲尾なりの意地だったのかもしれない。

ここで攻めろ! という場面で、今までの鷲尾なら無難な選択をしていたのに、今回は敵の裏をかくような選択、動きがたくさんあった。

今日の朝、鷲尾は先生に「心に他者を置け」と伝えられていた、それを最後の最後で実践してくれたんだ。何度強く伝えられても心を重ねられなかった鷲尾が、最後の最後で表現したこと、それは先生の願いであり、私たちの願いだった。

ありがとう、鷲尾祐稀。

(8月3日 近藤梨果)

・

・

Dsc_7353

「2021チーム北越」を支え、応援してくださった皆様、ありがとうございました。

心より感謝申し上げます。

新チームもよろしくお願いします!

Dsc_7848

・

・

・

最後に、部長 斉藤菜月のノートでこの1年間を締めくくります。

・

3年間、ありがとうございました。

私たちのチームの戦いは今日で終わりました。

日本一を目指してやってきた3年間。でも届かなかった。

私たちも本気でやってきたけど、まだまだ全国で夢をかなえるまでにはなれなかった。

先生はずっと「今年はチャンスだ」って言ってくれていた。

確かに、戦ってみて、第4シードの和歌山信愛にも1-1の3番勝負。ジャパンの選手にも星野・高橋で中盤までG2-2の互角。個人戦では、星野・鷲尾が和歌山の2位ペアにファイナルジュースの末に勝ち切り、二日目の4回戦では、団体優勝メンバーの東北高校にも競り合える。

入澤・本間は4回戦まで圧勝。5回戦、ハイジャパ準優勝で団体も準優勝の三重高校のエースに互角の戦い。

Dsc_9097_2

Dsc_9101_2

Dsc_9310

Dsc_9386_2

先生が繰り返していたことだけど、全国の頂上って、遥か雲の上ではない。決して届かないところではない。

届かない相手ではないけれど、勝ち切ることができない。

「戦える」と「勝ち切る」の違い。

「互角の力」と「負けない力」の違い。

この差に、きっと3年間の日々の積み重ねの違いがあるんだと思う。

3年間、日本一をまっすぐに思って自分と向き合った者と、頑張ってはきたけど最後の年になって本気になった者と、そこに大きな差があるんだな。

毎日毎日の少しの積み重ねの差、練習の中での少しの意識の差、いろんな小さな差が積み重なって、最後の夏、超えられそうで決して超えられない壁として現れる。

これから後輩への「恩送り」になるけれど、こういうことをしっかり伝えながら指導してあげたいなってすごく思う。

今日の夜にも話が出たけど、私たち、今の意識のままもう一度3年間をやり直せたら、絶対に変わっていた。もっともっと全国で激しい戦いができた。決勝にも行ける力もつけれたと思う。だけど、そのことをやっと実感できた時、もう私たちに時間は残っていない。

やっぱり悔しいです。

・

ただ、3年生、この6人で、よくここまで来れたな、って正直思います。

いろんなこと伝えてもらい、教えてもらって、いくつも回り道したけど、逃げずにこの場所へ来れたこと、やっぱり嬉しく思います。

Dsc_9468

Dsc09600


広島から新潟に来て、この5人の仲間に出会えて本当に良かった。

こんなドラマを一緒に生きれて嬉しかった。

先生、改めて、本当にありがとうございました。

「恩送り」と「受験」、頑張ります。

これからもよろしくお願いします。

(8月4日 部長 斉藤菜月)

2021年7月 8日 (木)

Dream Factory 2021 紫陽花

・

北信越総体 団体 準優勝

・

秘められた まさか過ぎるドラマ

・

Dsc04446

梅雨の候、紫陽花が綺麗です。

あの微妙な色合いは、光が薄くて柔らかな梅雨空でこそ映えるのですね。

雨に濡れた花は輪をかけて美しく艶やかです。

・

・

このDream Factory 、毎年北信越大会を省かせてもらっています。勝っても負けても、インターハイへのTry 大会と捉えているからです。

ただ、今年は省くわけにはいかないドラマがありましたのでUPします。

・

前回の「2021初夏」でも記した通り、裏方でチームを支え続けてくれた3年生の斎藤と近藤を北信越の団体で使う、というサプライズを予定通り1回戦で実行しました。

もちろん、ただのご褒美ではなく、勝負できると判断してのことです。

初戦、地元IH開催権=石川県のベスト4、金沢商業との試合。

近藤・斉藤を第1対戦に使いました。

二人とも、初めての団体戦がいきなり北信越大会。緊張するなという方が無理です。

固いスタート。ぎこちない笑顔。苦戦が予想されました。

Dsc02201

Dsc02249

Dsc02183

リードされてベンチに戻ってきた時、二人に言いました。

いいか、おまえら。

北越に来て、レギュラー目指し続けて、

「団体で期待を背負ってコートで戦う」それがずっとおまえらの夢だったんだろう。

二人は強くうなずきます。

今がその舞台ぞ。

今が夢そのものなんぞ。

今、ここが、憧れ続けてきた「夢」の真ん中ぞ。

勝ち負けじゃない。

精一杯、夢を生きろ!

・

斉藤の目も、近藤の目も、瞳がぐっと深くなりました。

Dsc02254_2

Dsc02285

Dsc02319


中盤から敵の弱点も見えました。

戦う。ガッツポーズをベンチに送る。

戦う。目を合わせる。

最高の笑顔で今を生きる。

表現していました。

二人の3年間。二人の友情。チームへの思い。Bチームへのみんなへの強いメッセージ。

逆転で④ー2勝利。

ペアとしての自己ベストで、最初で最後のチーム北越の団体戦を戦いきりました。

3年間の自分にプライドと喜びを感じる試合でした。

Dsc02393_2

Dsc02414_2

Dsc02369_2

普通は、これで終わりです。僕の筋書きはここまででした。

・

近藤とも強く握手して、「ナイスゲーム!! さあ、後はサポート頼むぞ」、そう言いました。

Dsc02438_2

・

しかし…

これが終わりじゃなかったのです・・・

・

・

・

まずは、近藤梨果という選手がどんな風にチーム北越で生きてきたのかを知ってもらいたいです。入部~北信越大会までを駆け足でたどります。

県の上位で戦う技術はほぼ無しでした。憧れだけで北越に来た不器用な子です。

Dsc_8168

サーブはメチャクチャ。ストロークは力任せ。リズム感無し。中でもフットワークがひどすぎて、これは身体の異常な固さもあって、目も当てられない状態。一歩先のボールを空振りすること数万回。

感情は豊かですが、頭は固い。思考に柔軟性がなく感情が余っていると、思い込みや勘違いが起こりやすいんです。技術的にも他者ができて自分ができないことだらけですから、当然劣等感や嫉妬が溢れます。そのネガティブな自分の心が、真っ直ぐな思いを澱ませる。近藤の3年間は、ほぼ自分との「もがき」です。

・

ただ、近藤の長所は、真面目な努力家であるということ。本当に努力家です。これは日本一レベル。

Dsc_3328

もう一つの長所は、他者へのかかわりに情熱があるということ。特に人間的に成長した3年になってから、感情の豊かさと相まって、仲間や後輩へのシンパシーが半端ないです。もっとありますね。もがきながらも、最終的に意志はブレないということ。

それから感情の豊かさの良い面として、人の深い話を心の深いところで受け止めて感動できるということ。その感動をエネルギーに換えられるということ。感情は厄介なものですが、ネガティブな面をコントロールして、ポジティブな面を生かしていけたら、豊かな人生を送れるんだよな、と近藤を見ていてよく思いました。

そんな近藤が、個人戦で県総体を勝ち抜いて北信越大会に出場するきっかけは、2年生の終わり頃だったでしょうか、自分で「もう団メン(団体メンバー)を諦める」と宣言して、個人戦でのIH出場に目標を切り替えたこと。これは本当にすごい。自らによる戦略的撤退です。他者との比較ばかりしてネガティヴマインドを発生させる、その源を切った。選択的集中を自分で作ったんですね。十年以上前の先輩(石井・依田)がBチームからインターハイに出場した、そのドラマに心底憧れていて、その二人のDream Factoryを繰り返し読んでいました。

それから、近藤は秋まで斉藤と平行陣を組んでいたのですが、不器用な近藤は雁行陣で大きなテニスをする方が性分に合っていると判断して、後輩の丸山と組ませたことだと思います。

・

近藤はどんどん丸山に情熱を注いでいきます。近藤の中で丸山が生き始めていました。当然、丸山の中にも近藤が息づき、二人は強い絆で結ばれていきました。

丸山と組んでの初の公式戦=4月のハイジャパ予選のノートへ遡ってみます。

・

・

今シーズン最初の大会=県総体のシード大会、ハイジャパ予選。

村上高校に私で負けた。

私のイージーミスであっと言う間にG0-2。ここから丸山に救われて立て直して、G3-3のファイナルに追いついた。それなのに、また私が戦えなくて敗退…

ファイナルに弱いのは人としての弱さ。

本当にその通りなんだ、って身に染みる。

どうして私はこんなにクソなのか。

誰と組んでも、後輩と組んでも引っ張っていく3年生の強さが出るわけでもなく、逆に丸山に助けてもらっている。先生が伝えてくれたことって、すべて私にとって図星で・・・

今日の朝錬も放課後練習も、私は私の練習よりも丸山の練習の方に時間を割いた。後輩だからというのもあるけど、ペアとしてやっぱり私が中心ってのは違うと思うからだ。

でも、そうやって私は私の弱さから逃げているんじゃないか。弱点を前面に出して超えようとしてないから芯が弱いんだと思う。後輩の弱点はすぐ見える。だから練習する内容もわかる。けど、自分の弱点はさらさない。そしてすぐ折れる・・・

私は変わりたい。

こんな自分で、ラストまた同じような負け方をして、涙を流して寝落ちして、腫れあがった目で朝を迎える…

これが地区大会だったらと思うと怖い。こんな自分で引退??

3年目の4月17日現在、これまでの先輩のような「北越3年の強さ」は、私にはまだ分からない。

3年の重さは「思いの強さ」だって先生は言う。

だけど、私はその「重さ」に自らが負けてる。

(4月17日)

・

思いは強いが、実際のファイナルの競り合いで、近藤はチャンスボールでラケットを振れず、置きにいくようなロブに逃げました。

・

こんなに苦しいんですね。

丸山がノートの1ページ目に毎日書いてくれていた「梨果先輩とIH!」。このページがいったんなくなるって思うと悔しくて情けなくて…

誰と組んでも私は弱いんです。

浅いチャンスボールをウイナーとして叩き込めず、ロブで逃げてしまうくらい私は弱い人です。

今日も野倉と宮川(共に1年生)を真剣に強化しました。ちゃんと伝わって教えたところはすぐ上手くなりました。でも複雑です。人を強くすることはできるのに、私自身を強化することができない。

今、3年生誰もが苦しいと思います。

高橋も、鷲尾も、星野も、高野も、斉藤も。

3年だから湧き上がる「北越3年の強さ」、6人誰一人わかってないと思います。だから苦しい。

先生は、地区大会へ向けての選手発表の時、Aチーム以外はペアとして名前を呼ばなかった。まだチャンスはあるんだ。

今は苦しいけど、絶対丸山とIH!

(4月18日)

・

これまでの近藤と丸山の深い絆を見てきていますから、県大会までこのペアで行くつもりでしたが、まずは真面目な近藤が、自分の戦えないビビリを隠さないで表に引っ張り出し、おまえと戦うぞって宣言しない限り、県総体の厳しさは乗り越えられないと思っていました。近藤のノートに、この日こんなコメントを書きました。

戦えない人間が選手から外れるのは、それは勝負の世界では当たり前です。そこは情緒的な世界ではありません。でも君は今、情緒的ですね。

自分は強く戦えない人間だ。

それをまず感情を入れずに認め、大事な場面でこそ強く戦い抜く選手になろうとする。

それしかないのですよ。

シンプルなのです。

練習って自己強化ですよ。

・

次の日から、近藤はその日の1ページ目に

ビビリ脱却!

と大きく書くようになりました。

そして、しばらくすると自分がビビッて固くなり、ボールを置きにいった写真を敢えてノートに貼り付けて、超えていくべき自分を見据えます。

自分の弱さをさらけ出す。それが強くなる第一歩。

・

Dsc07445_2_2

朝伝えてもらったことを大切にして、毎日誠実に「強い人」になれるよう生きていきます。

もう戦えない自分、チャンスに逃げたりビビったりする私、本当に嫌です!

去年の代替大会:巻の長井・小林に負け。

秋地区大会:再び巻の長井・小林に負け。

県インドア大会:村上の関根・水澤に初戦負け。

ハイジャパ予選:村上の安城・佐久間に負け。

いつもいつも、少し格上の相手に対して負ける。相手にじゃない。自分に負ける。

挽回はできても、ファイナルまで競り合っても、勝ち切れない。

すべてが自分の甘さだと結果が教えてくれる。

Dsc03442_2

たとえば後輩の本間は、冬に負けた巻のエースにリベンジするために、毎日弱い自分をさらけ出して戦っている。本間から学んだことってたくさんあるけど、改めて思ったことは、

「私の戦うべきは『メンタル』だけど、私の技術の『正確性』をアップさせることが大事なんだ。いつでもどんなメンタル状況においても、ちゃんと戦える、信じて使える技術の『正確性』」

これを追究しないで、精神論ばかり言っててもダメなんだ。

(4月21日)

・

近藤の誠実な取り組みはノートを見るとよくわかります。

まるで『ベイビーステップ』のエーちゃんのノートです。

ただ、エーちゃんと違うのは、近藤のはノートは素晴らしいけど、実際のプレーの向上、メンタルの向上になかなかつながらないことでした。それは、近藤がやっぱりどこかで、ノートを僕に出していたからなんだと思います。自分が強くなりたくて書いているのですが、感情が強い近藤は、どうしても読み手を想像する。先生を想像する。褒められたい、認められたい。もちろん、それは発達過程で必要な段階ですが、アスリートはそこを超えていかねばならない。「アスリート的巣立ち」が必要でした。

僕は近藤のノートへのコメントは極力短くして、逆に近藤が書くノートのページ数を4ページまでに制限しました。知らず知らず「いいノート」を書くことが手段ではなく目的になってしまっていた近藤はとまどったでしょうが、これも巣立ちには必要なことだったと思います。

僕の意を理解した近藤は、その4ページを純粋な自己強化、ペア強化で埋めていかざるをえません。情緒的、感情的な感想を書くスペースがほとんどありません。(それでも字を小さくして近藤は書いていきますが…)

不思議なことに、そうすることで、近藤のノートは格段にレベルアップします。そして自分のスキル向上とつながってきます。

そのうちのいくつかを載せますね。

(クリックすると大きくなります。参考にしてください。本人了解済です。)

Dsc06189

Dsc06191

Dsc06193

Dsc06194_2




・

メンタルコントロールに問題を抱えている選手が何人もいましたので、メンタルレクチャーをしました。メンタル指導って特別なことに聞こえますが、要は自分を知る、そして必要なことをする、それに尽きるのです。それが難しいのですが、でも専門家にしか扱えない臨床心理学的なものではないのです。それを話しました。

・

今日も改めて「チーム北越」の価値について、先生が熱を込めて伝えてくださった。今日は特に心の底で受け取ることができた。

Dsc01540_2

私たちのチームは人間性と日々の生き方にこだわっているからこそ、それをチームの力として発揮できる。自分の弱さを直視して、それを認めることから生まれる「強さ」「潔さ」。そういう仲間たちをリスペクトするからこそのチーム力。心と心の深いつながり。

こういうチームで、3年前の「あと2ポイントで団体日本一」の地点を超えていきたい。

先生はそう言い切った。

絶対、私たちの代で叶えたいって思った。

・

今日みたいな「先生の熱い思い」を私たちは忘れたり薄れさせたりすることなく、心で感じて思いを育てていく集団になりたい。そういう集団として日本一になりたい。

昨日、先生がメンタルレクチャーをしてくれた。それを生かして今日の試合形式はうまくコントロールできた。

「まずは『気づき』から」

本当にその通り。自分のメンタルの崩れに「気づく」から、次にするべきことにつながるんですね。

(5月3日)

・

昨日のメンタルコントロールの成功を力にして、今日は実際の練習試合で成長を感じたかった。

けど、三浦・斉藤にゼロ負け。

どうしてコントロールが効かなかったのか。

私のすべてのスタートは1本のイージーミスだ。

そんなことはよくあるし、そのミス自体はそれほど重いものじゃない。けど、これを「自分一人で取り返そうとするから、攻守の判断がなくなる」

挽回したい。その気持ちが「無理する」リスクにつながる。ミスが無謀を呼び、無謀が混乱を招く。そしてコントロールできなくなって、どん底へ行く。

今日がすごく悔しいし、また1mmも前へ進めなかった自分が嫌い。

そう思って、もう真っ暗になって絶望していた。

先生、最後に伝えてくれてありがとうございます。

「絶望がない限り、希望は生まれない」

今の自分、絶望的に嫌だから、今年のスローガンの通り

「信じて立ち上がる」

絶望の中から希望が生まれるのだとすれば、それを「信じる」しかない。

(5月4日)

Dsc01417

Dsc01457


・

5月のゴールデンウイーク中、近藤は絶望の中にいました。

地区大会目前になっても整わない自分のスキル。4番手争いの相手、三浦・斉藤に連敗。しかも「わかった」はずのメンタルコントロールの失敗…

全体へ(実際は目がうつろになっていた近藤に向けて)、「絶望と希望」の話をしました。

絶望は希望の一部である。

これは、中世の哲学者で神学者のトーマス・アクィナスの考えの断片です。

とても深く感動したので、それを高橋にも(前回のDream Factory)、近藤にも伝えました。

13世紀に生きたトーマス・アクィナスの愛に満ちた洞察が、僕を仲介者にして絶望している若い二人に染み入っていくのを見て、こっちも深く感動させてもらいました。

・

そして、地区大会を迎えます。

近藤・丸山は、4回戦で第5シードの巻高校、長井さん・小林さんのペアと当たります。

これまで、近藤は競り合うけれど、いつも自分に負けて敗退。三度目の正直です。

今回も競り合いました。G3-0になるはずのイージースマッシュを丸山が空振りして、一気に流れが相手に行きました。

ファイナルの競り合い、いつもここで出るビビリ。今回の近藤は違いました。中盤のウイナーをミドルに打ち切ってノータッチ。その後逆に相手が崩れていきました。

崩れそうなところで、粘って耐えて、そしてチャンスで攻める。そのメリハリがありました。

大きな成長です!!

・

できた! 私にもできた!

巻の長井・小林に3度目の正直で勝利した。

ずっと、ノートに「ビビリと戦え」と書いてきた。

ハイジャパ予選の恥ずかしい試合の画像を毎日貼り付けて、ここを超えるんだって、自分に言い聞かせてきた。

超えたかった自分=①リードすると弱くなる ②競り合うと弱くなる ③ゲームポイントを握ると無難になる

もちろん、今日だってビビってる自分もいた。でも、いつもここで自分に負けていたから、「ここだ、ここだ。」って言い聞かせて、信じて立ち上がれたと思う。

G2-0リードから追いつかれてまたしてもファイナル。でも競った時に弱い自分をとことん見ているから、粘って粘って耐えて耐えて、自己ベストでファイナル戦いきれた。

絶望がない限り希望なんてない。

私はあの言葉が自信になったんです。

でも同時に痛感したこと。

ただ、戦えただけじゃ、県総体は簡単に倒されてしまう。

「ビビリと戦う」だけじゃダメだ。そこを超えていかなくちゃ。

さあ、いよいよ、私の最後の勝負=県総体。

絶対ベスト8入って、IHの夢叶える!

(5月10日)

・

今回、団体戦の第3対戦は、基本的に星野・鷲尾ペアで行くことに決めました。

自分の小ささと向き合うことを通して自己コントロール力を身に着けた星野、それからセンスと決定力に優れた鷲尾に3番勝負を託したい。ただ、不安もありました。鷲尾の不安定さです。突然おかしくなります。そのほとんどは集中力の途切れか、やるべきことの抜け落ちです。近藤にヘルプパートナーをお願いしました。意気に感じてくれる近藤ですから、自分やペアの丸山へ集中するエネルギーにプラスして、団体戦のキーマンである鷲尾にも本気で心を注いでくれました。

4ページのノートに、さらに「鷲尾ヘルプ」コーナーが割り込みます。

近藤は誰にでも本気です。情熱を持ってかかわります。

・

・

あと23日で私たちのここでの命は終わるかもしれない。

鷲尾は、そういう状況で、この選択でいいの?

絶対このままじゃ後悔するって、自分でもわかっていると思う。このままじゃダメだって。

センスがあって、試合でも感情に左右されずメンタルは安定して戦うことができる、鷲尾の長所。私には羨ましい限りだ。

でも、今まで起こしたことと同じ道を歩んで最後の戦いに臨めば今までと同じ結果になるに決まっている。

Dsc03341

北越の団体の強み、それはセンスじゃないって鷲尾ももうわかっているはずだよね。センスだけじゃ絶対に落とし穴にはまる。北越を選んだんだから、鷲尾も絶対に変われる。変わろうよ!

ただ変われるかどうか、それはある意味、鷲尾自身が今の自分にどれだけ「絶望」できるかだと思う。何度もチームを失望させてしまう自分と、もがいてもがいて、悩んで、それでやっとやっと光が見える・・・

そんなドラマみたいなキレイごとなんてあんのか⁉って思うかもしれない。

でも、あるんだよ。本当にあるんだよ。

私でさえあったんだよ。

きっと、もがいてるみんなそうなんだよ、信じてほしい…

私たちの部訓

あらゆることから力を集めて光を放て!

私、やっとその本当の意味がわかったよ。

鷲尾が団体メンバーだから言っているんじゃない。

一人の仲間として、鷲尾祐稀に伝わってほしいから言っている。

届け!!

(5月13日)

・

今日も私と菜月を中心にして鷲尾に伝えた。私的に鷲尾には「思いを送っている」と思ってやっていたけど、想像以上に鷲尾には届いていなかった。

でも、以前と違って受け入れてくれてるから、放課後も先生と話したみたいで、自分を立て直そうと今日は動いてくれていた。

Dsc03374

考えてみると、今までは「なんで⁉」って思うことが多くて、ちゃんと鷲尾に寄り添えてなかったのかもしれない。でも、今は鷲尾のこと先生に頼まれているからとかじゃなくて、チームとして仲間として、私は鷲尾を理解して、真のチームとして心一つに戦いたい。

大事な試合、3番勝負になって「頼んだぞ」って信頼できて、応援できる鷲尾祐稀になってほしいんだ。

・

・

何度でも言う。

このチームの10連覇のキーパーソンは鷲尾祐稀。

鷲尾が深く自分のリスクを自覚すること、それがチームのエネルギーとなり10連覇を達成するんだ。

私も全力を尽くす!

(5月20日)

・

この近藤の情熱と二人三脚の行動の積み重ねが、鷲尾を「注意深い」アスリートにしていきました。

最初は「決められたこと」としてやっていた行動も、鷲尾は近藤の思いをくみ取って、自分から進んで努力するようになったと思います。

・

二人で4つの項目を毎メニューの前に確認してメニューの後に振り返る、これがやっと浸透してきて、良い方向に行きつつあるのを感じる。

特に、「やらかしてしまいやすいこと」を予め二人で確認することで、本人も意識できていると思うし、そもそもあの「絶望ミス」が起こりにくくなっているんだと思う。

これも北越の団体戦を戦うチームとしての「練り上げ」なんだと思う。団体は団体の選手だけで戦うのではない。チーム全員で戦うんだ。

3年間、鷲尾はいろんな人にエネルギーをもらってきたはず。少なくとも真剣にかかわってくれたいろんな先輩の熱量はわかると思う。その思いの込められた熱量を受けているからこそ、ラストの団体戦でチームに花を咲かせてほしい。

私は団体メンバーに1回もなったことないから、祐稀の気持ちは分からないかもしれない。でも、だからこそ、私にできる精一杯を祐稀にあげて、一緒に戦いたいんだ。

(5月25日)

・

私は今日練習していて、最初から最後まで鷲尾の声がこっちのコートまで響いていたことに驚いたし、嬉しかった。あの鷲尾が言われたわけでもないのに、どこまでも響く声でずっとチームに声をかけていたことが、ただただ嬉しかった。絶対絶対、このチームで10連覇したい。そう心から思えた。

今日は高野がメンタル的に崩れた。私はその場にいなかったけど、星野と鷲尾が帰りに「その選択(高野の行動)自体が逃げなんじゃないの?」ってちゃんと伝えていて、いつもこういう時に退いていた星野や鷲尾が、仲間の弱さから目を背けないで、仲間としてちゃんと一緒に向き合っているのが、なんかとってもいいなって思えたし、これ絶対に団体戦で力になるんだって感じた。私たち、いつの間にか、あちこちでこうやって自然と仲間の弱さに向き合えるようになっているんだ。

・

さて、私。私はビビリだから、怖い気持ちも不安な気持ちもある。でも、それ以上に「やってやる!」って思う気持ちが強い。私の3年間の夢はあと5日後に決まる。咲くか散るか。

今日の練習ではAチームの中に入っても、しっかりラリーの形になった。それが自信にもなった。

Bチームからインターハイ。絶対絶対インターハイ!

3年間の私を、朋恵先生に見てもらいたい。本番の試合で恩返ししたい。

(5月30日)

・

あっと言う間に県総体です。

・

Dsc00516_2

今日は学校での練習がラストだった。

すごい集中の中でみんなやっていて、時間がたつのがあっという間だった。

ラストの学校練習って意味を考えると、次ここに戻ってきた時、「引退が決まって後輩指導に切り替える私」か、「夢を叶えてIHへ向けてさらに自分を鍛えていく私」か、そのどちらかだということだ。

これ現実なのかっていうくらい、この日が来るのが早かった。

もちろん不安もあるけど、その何倍も「信じれる確かなもの」が私の中にある。

ビビリな私だけど、それを認めてオープンにして生きてきた今の自分に自信があるんだ。

待ってろ、インターハイ! ビビリーがそこに行ってやるよ!

想いの強さは誰にも負けない。

いつでも全力で生きた。

私には信じれるものが山ほどある。

だから、何度でも立ち上がって戦う!

(6月2日)

Dsc_3520


・

今、新潟県は新潟地区にポイント選手が偏在しています。地区ベスト8の近藤・丸山では、県総体でシードを獲るまでに至りません。ベスト16決め=北信越決めで、ハイジャパ予選3位の村上高校の選手と当たり、それに勝つと、またしても因縁の巻高校、長井さん小林さんとベスト8決めを戦う厳しい組み合わせでした。

・

村上高校戦では、お互いが意識する中での意地をかけた戦いになり、1本1本、身を削るような苦しい戦いでしたが、近藤・丸山が競り勝って勝利! 夢の実現まで大きな一段を上りました。

Dsc_5346

Dsc_5349_2



・

ですが、ベスト8決めでは、前回勝ち切った長井さん小林さんにリベンジを果たされ、近藤の長い長い、熱い夢は終わりました。

Dsc_5515_2

Dsc_5482



・

先生、たくさんたくさん伝えて信じてくれてありがとうございます。

IHの夢、叶えられませんでした。

村上のエースを倒して、勝負の巻、長井・小林戦。

リベンジされた。

悔しすぎる…

でも、ちゃんと成果も出た。

私の3年間をかけた勝負、もうビビッて終わるようなことはなかった。

苦しい場面でも、ベンチ見て、丸山見て、キーワード言って、信じて戦えた。

「試されてる」

そう書いた左手を何度も見て、その時の状況から逃げずに向き合えた。

・

負けた後、IH決定戦リーグでの長井・小林を見ていた。地区大会から、何倍も強くなっていた。

このペアに結局、1勝3敗。

このペアが私の壁であり、目標だった。絶対に超えてやるって思い続けた相手。

表彰式の後、長井に声をかけた。

「インターハイ頑張ってください!」

この二人がいたから、私は強くなれたんだ。

本当にありがとうございました。

(6月5日)

・

今、こんな選手って、近藤以外にもいるんでしょうか。

友達でも知り合いでもない、毎日倒すべき敵と見据えてきた相手に、表彰式の後に歩み寄っていって、祝福と激励を伝える、、、

これだけでも、近藤が目指してきた夢と、その道程が素晴らしいものだったことがわかります。

・

・

Dsc02988

・

この後は、県総体の団体戦。

一つ前の、「Dream Factory2021初夏」につながります。

未読の方は、いったん読んでから、またここへ戻ってください。

近藤が心配しながら一緒に戦った鷲尾は、自己ベストで巻高校との厳しい3番勝負を勝ち切ってくれました。近藤と準備した「当日ベンチに置いておく注意書き」を何度も何度も見ながら、そして近藤と約束したプレー中のキーワードやポイント間のイメージトレーニング、すべて鷲尾は近藤と二人で戦い切ったと思います。

・

Img_3288

・

・

・

さて、冒頭に綴った「斉藤との最初で最後の団体戦」をメモリアルに戦いきったつづきがこれからです。

・

Dsc01077_2

Dsc01096


・

時計を北信越大会の前日の夜に戻させてください。

思い出してみると、不思議なことを僕が口走ったことに思い至ります。

近藤もノートに書き留めていました。

今日ミーティングで先生が団体戦の戦いについて話をしていた時に、県総体の個人戦は近藤は長井・小林に敵わなかったけど、もし団体戦に近藤が出て同じ相手と当たったとしたら、どうだったかな。北越って団体の時に出る大きなパワーがあるから、勝っていたんじゃないかな、そう言ってくれた。

私もそう思う。もしくは、もっと競っていたと思う。

こう思うから、なおさら悔しくもある。

私があの負けた試合を団体戦だと思って、チームのために戦えたら、もっと違うパワーが出ていたんじゃないか。

あの日、G1-3で追い込まれた時、私のバディだった麻央が「梨果先輩。姿で見せてください! 私見てます!」ってフェンス越しで、熱のある言葉をかけてくれた。麻央の言葉があれから、ずっと私の心で消えない。この子の思いを私は受け取って一緒に戦えなかった。Dream Factoryの星実里さんのように、後輩のために私は頑張り切れなかった。

だから、あれは私の自己ベストじゃない。

後輩の思い、チームの思い、それを背負って炎のように戦いたい。

明日の団体戦は、私がチーム北越の第1走者として勝ち切って、2番手にバトンを渡す。

これが私のインターハイ

先生が伝えてくれたこの言葉。明日、腕に書いて戦う。

この言葉に込められた思いを力に換えて、泥臭く北越らしく戦う。

私は上手くない。上手くなくても強い自分で戦いぬく!

(6月19日)

・

確かに僕はそう口にしました。

でも、まさか、それが現実になるなんて、全く微塵も思っていませんでした。

・

団体戦、2回戦。

長野県2位の上伊那農業高校。

毎年、チーム一丸となって思いきりラケットを振ってくる熱いチームです。

ここから、県総体のメンバー高野・高橋に戻しました。

ところが、高野の弱さがまた出ます。

地区大会の団体決勝で出た弱さです。

高野は近藤よりもフィジカル力もありますし、サービス力も展開力もあるはずでした。けれど、近藤のように、高橋や斉藤のように、自分の弱さと本気で向き合うことを避けてきました。自分では向き合っているつもりなのですが、実際は儀式的なものだったかもしれません。

それが、大事な試合で露呈します。

その場でいくつかの手を打ちますが、縮こまったハートには何も伝わりません。

他の2ペアが勝ってチームとしては勝利しましたが、高野の「戦わない弱さ」はチームとしてダメージが大きすぎます。次は準決勝、おそらく巻高校が上がってくると踏んでいました。

北信越大会は、県総体で優勝を狙っていて果たせなかったチームが最後に戦う団体戦です。これが私たちのインターハイだ、という強いハートでリベンジを誓う大会で、実際、県での準優勝校が北信越で優勝という例は何度もあるのです。

しかし、県総体で勝ち切った相手に、2週間後リベンジを食らうようではインターハイを勝ち抜けません。

近藤を呼びました。

・

Dsc02797_2

近藤、おまえ準決勝、戦ってくれるか?

目が止まりました。

(目が点になる、ってこのことなんですね、って感心している場合じゃない!)

近藤は、少し驚いて、少しためらってから、小さくうなずきました。

もう一回聞きます。

本当にいいか。

さっきより力強く

「はい!」

・

まさか過ぎる展開です。

ついさっき、引退したばかりなのに、今度は負けられない巻高校のリベンジを受ける戦い⁉

・

準決勝。

整列。

両チーム、顔を上げて相手を確認。

・

第1対戦 近藤・高橋 vs 長井・小林

第2対戦 入澤・本間 vs 石山・神保

第3対戦 星野・鷲尾 vs 山本・久保田

・

第1対戦は、なんと長井さん小林さんとの再戦。昨日、ふと口にしたことが、次の日に実際に起こる。しかも全くの想定外の条件がいくつも掛け合わさって。

神はいる。もしくは言霊の仕業か。

こんなスリリングなドラマ、オカルトも推理小説もすべて凌駕しています。

人生はかくも驚きと感動にあふれている・・・

幸せすぎます、、、

・

エース対決となった第2対戦ですが、この日、個人戦の決勝を午前中に戦っているのです。

その個人戦では、入澤・本間は石山さん神保さんのリベンジを退け、北信越初優勝を遂げていました。

それが同じ日の数時間しか経っていない状況での再戦。

これも鳥肌が立つ展開。

両チームのプライドをかけた戦いになりました。

団体戦をこのメンバーで戦うのはこれが最後です。

・

2面展開で行われたこの試合、どちらも一進一退の競り合いとなりました。中盤リードしたのは両コートとも巻高校。リベンジに燃える巻高校の底意地を感じました。ぐっぐっと土俵際に追い詰められていく感じです。

・

Dsc02923_2

Dsc02958_2


数時間前に優勝旗を手にした入澤・本間。やはりやりにくそうです。実力が拮抗している場合、直前に負けた方が次の試合で勝つ確率はかなり高いのだそうです。心理的なものでしょう。それでもファイナルに持ち込んで手に汗握る1本1本を戦っています。

・

さて、近藤・高橋。

1ゲーム目は取りましたが、G2-0にできるところをミスで落としてG1-1。ここで近藤のビビリが顔を出します。「高橋を生かす」という方針が、逆に「高橋に決めてほしい」という依存に変容していくことに自分も気づかない。ラリーを続けていけば高橋が決めてくれる。いや決めてほしい・・・ここに弱さが現れます。

G2-3でチェンジサイズ。

・

Dsc03003_2

いいか、近藤。

おまえが引っ張ってきたBチームCチーム、みんな後ろで応援してる。BCチームだったおまえが3年の最後に団体メンバーに入って、ベストで戦ったら、やつら、どんだけ勇気と希望を持てるか。

裏方の気持ちを分かって本当に裏方と一緒に戦えるのは、ずっと裏方だったお前にしかできないんだ。

近藤の目が再び、すーっと透明度を増しました。

・

近藤のノート

G2-3のところで先生に熱く伝えてもらって、サイドをチェンジして巻側のサイドへ行った。正面には北越のベンチ、そしてずっと一緒にやってきたBCチームが見えた。

レシーブゲーム。ポイントの合間、ずっとベンチとその後ろを見ていた。麻央も見えた。この子たちの思いを力にして、この子たちの分まで戦う、そう強く思えた。

・

Dsc03020

Dsc03061

・

ファイナルに弱かった近藤。

北信越の団体の準決勝という晴れ舞台で、一番強いファイナルを戦いました。

キャプテン高橋も、チームの思いを背負って、力強く戦いぬきました。

・

Dsc03081_2

Dsc03071_2


・

今回は、麻央の思いも受け取って戦い切れた。

県総体でできなかった、後輩の思いを力にして120%で戦いきる。

先生、私にもできました。

北越の団体戦。

夢に見続けた団体戦。

思いも責任も背負って、私、戦い抜けました。

すごいですね。

もう戦うこともないと表彰式で祝福した長井・小林と北信越の団体で戦うなんて。

すべてが奇跡で、すべてが夢のようです。

ずっと応援してくれていた朋恵先生。

朋恵先生、私にも、チームのために全力で力を出し切る、思いを力にして団体で貢献する、北信越のコートで表現できました。

本当にありがとうございました。

・

エース対決は、巻高校に軍配が上がりました。

結果として、近藤・高橋の3番手勝負がどれだけ価値があったかということです。

・

3番勝負の星野・鷲尾は実は負けゲームです。

G0-3になってもおかしくなかった3ゲーム目。流れは完全に巻高校。

星野の起死回生のバックハンドストロークが2本決まって、流れを引き寄せました。

決勝の能登戦の3番勝負の不甲斐ない試合も含めて、二人は県総体で「やり切った感」に開放されすぎたのだと思います。周りからも祝福され続けて、研ぎ澄まされたアスリート魂を失ったのだと思います。

でも、負けは負けとして学ぶべきことが必ずあります。この決勝での敗退も必ず何かにつながるのです。何につながるのか、それはわかりません。ただ、前を向いて自分のベストを毎日生き切ることでしか、その「何か」にはつながらないことは確かです。

今まで、2年生エースの入澤・本間が必ず1勝して、勝ち上がってきました。今回、初めてエースが団体で負けた。「ボロクソ3年生」で2勝しなければ勝ち上がれない。その危機的状況を3年生4人とベンチの強い絆で乗り越えた経験はとても大きいと思います。

Dsc04994

・

近藤のこの信じられないドラマを、同じ会場で行われる石川インターハイに僕らはつなげていきたい。

近藤は「奇跡」と言いました。

でも、僕は近藤の「軌跡」なんだと思います。

近藤が1年生の頃だったでしょうか。

「なんだかんだ言って、北越だってスキルじゃないか」

そう吐き捨てたことがありました。

・

努力しても努力しても、自分よりもずっと努力の薄い人がスキルが高いからって団メンになっている。Dream Factoryなんてキレイごとだというわけです。

僕は県総体が終わった日、北信越の切符を手にした近藤のノートに、ただ一言こう書きました。

Dsc07317_2_2

努力は必ず報われる   

これから後輩たちに伝えていってね

僕の中じゃ、1年生の時の近藤のネガティブな言葉への返答としても書いたつもりです。

でも近藤の並外れた努力は、個人戦北信越出場だけの報いじゃ割が合わなかったのでしょう。

「奇跡」じゃない。近藤自身の「努力の軌跡」の延長にこのドラマがちゃんと用意されてあったのです。

近藤が憧れて何度も何度も読んだ、10年前の石井・依田の物語。

次は、後輩たちが近藤梨果の物語を憧れて読むようになるのです。

北越Dreamのリレーですね。

・

・

6月、1年で一番太陽高度が高くなる日差しの強い季節。

日向で光をいっぱいに浴びて輝く花たちもいます。

でも、梅雨交じりの曇りがちな空のもと、Bチームとして裏方で精一杯生きてきた花が美しく咲く日もある。

今回の北信越は梅雨空の下での試合でした。

近藤には紫陽花が似合います。

Dsc04451_2

2021年6月23日 (水)

Dream Factory 2021 初夏

・

新潟県大会 団体10連覇!

・

ボロクソ3年生が見せた「信じる強さ」

Dsc_7158

令和3年の県総体。準決勝でライバル巻高校を退けて、2面展開で行われた決勝戦。

思い切りラケットを振って向かってくる長岡商業を、2年生エース本間・入澤が跳ね返して先勝。隣のコートでもキャプテンペアの高野・高橋がG3ー0のアドバンテージでマッチポイントを迎えていました。

右ストレート展開から、高橋の矢のようなポーチボレーが決まって、県10連覇を達成しました。

・

長く苦しい冬でした。

Dream Factory 2020秋〜冬〜2021春と、季節は巡りましたが、今年のチームのツボミは全然膨らんできませんでした。

リーダー不在。託されたリーダー自身が責任を背負えない。3年生が入れ替わり立ち替わり自分の弱さに負けてチームの核になれない。言葉では「らしい」ことを言うけど、全くの言行不一致。ボロクソです。

何とか立て直して全国選抜の切符は取ったものの、その後、全国へギアを入れるべき時に3年生が責任と自覚を持てない。

とうとう2年生にキャプテンを任せて全国センバツを戦うことになりました。

本間は当時まだ1年生。部長の斉藤と精一杯努力してくれましたが、3年生の誰一人キャプテンの責任を背負えないチームが勝負になるわけがありません。あっさり初戦敗退して新年度を迎えます。

このボロクソ3年生チームにようやく芽吹きが訪れたのは、高橋咲羽が覚悟を決めてキャプテンを「する」ようになってからだと思います。

Dsc02325

Dsc02334

・

高橋との出会いは3年前の中学校の新潟地区大会です。確か初戦だったと思います。

相手はその年の県中学校No1後衛でしたが、高橋は果敢に取りに行きまくるのです。技術はありません。実力差は圧倒的です。全く触らせてもらえません。それでも怯(ひる)まず、諦めず、追い続ける。 

こういう選手を育て上げたら、どんな風景見させてあげられるんだろう。

そう思いました。

1年目は幼いながらも順調に成長して、インターハイのメンバー入り、冬の県センバツ〜北信越センバツではレギュラーの一人として優勝に貢献しました。

しかし、その後のコロナ休校から2年生のほぼ丸1年、高橋の夢は「夢」ではなくなりました。 

「夢」とは、何であれ、すぐに手に入るものではないですから、本気で手に入れようとすれば困難性が伴います。本気じゃなく夢を語っている時、夢はシャボン玉のようにふわふわと自分の周りを漂っているでしょう。ですが、本気で「夢」を見据えた時、シャボン玉はスーッと遠のき、星のように遠くで仄かに光るのです。その時、人は初めて「夢」までの遠い道のりに慄(おのの)き、その遥かさに困難性を実感するのです。だからこそ、「夢」は「希望」であり続けるわけですが(すぐに手に入るものへのアプローチは「欲望」といいます)、その困難性=厳しさを忌避するのであれば、もはやそれは「夢」ではない。

アスリートとは、この困難性を自ら追い求めて「夢」を全力で掴みにいく者のことです。

Dsc05613

トップクラスに立った経験のない子がトップの「夢」を目指し続けられるには、強い意志力か、「君ならやれる」という指導者のメッセージを信じる力か、そのいずれかが(最終的にはどちらも)どうしても必要だと思っています。

高校部活動の世界でアスリート魂を育てるにあたっては、高校2年生というステージがとてもキーになるといつも感じさせられます。

1年目はがむしゃらに行ける。3年目は最後の追い込み歯車が回る。その間の高校2年生。多感な時期に溢れかえる情報と誘惑の氾濫、この1年間を、コーチが選手とどう関わり合い、どう「夢」に舵(かじ)を切らせ、どう精神的に成長させられるか。それはとても難しく、それ故とてもやり甲斐のある「生の燃焼」(うまい対応語が見つかりません)だと思います。

高橋がようやく「夢」へ真っ直ぐ舵を切ったのは3月になってからです。無論、全国センバツに間に合うわけもなく、名古屋では1ゲームも取ることが出来ず敗退します。

自らに今何をすべきかを問わなかった人間に、全国の舞台でできることなど何一つない。

水澤選手の言葉通りです。

県10連覇をかけた県総体までは、たった2ヵ月しかありません。

それでも、高橋が持っている「光」を諦めるわけにはいきません。

Dsc07617

Dsc09603_2

途中でバトンを落とそうが、何度も転ぼうが、思春期ですから、すべてに意味があります。どんなに遅くとも「自ら何をすべきか」この時期に真剣に向き合うことは、人生において計り知れないほどの価値があると思います。

・

・

このボロクソチームのもう一人のキーパーソンは部長の斉藤菜月です。前にも紹介した広島から北越に来た子です。

Dsc01170

技術的には伸び悩みましたが、リーダーの責任を果たしながら人間的に大きく成長しました。斉藤は誠実で努力家で、心が豊かで仲間や後輩の面倒見がとてもいい。何よりも基本的にポジティブで建設的。ボロクソだった3年生の「良心」と言っていい存在です。何度も「やらかす」仲間や後輩たちに、愛情を持って妥協せず向き合います。自分自身の弱さも十分に理解しているので、仲間たちの弱さにも寄り添ったうえで一緒に乗り越えようとします。6人の3年生の中で、斉藤と近藤の二人がBチームや1年生を指導し、北越の心を伝え続けてくれました。

キャプテン高橋と部長の斉藤。二人のノートを軸に、ボロクソチームがアップダウンを繰り返しながら、チームとして意志力と信じる力をはぐくみ、熱い絆を築きあげて、10連覇へのチャンピオンシップポイントを高橋が鮮やかなポーチボレーで決めるまでの日々を追っていきます。

・

・

全国センバツから3週間後、県総体のシードに大きくかかわるハイジャパ予選の前日。高橋のノートから。

・

こうやって1日1日振り返って、時には過去も振り返って、言葉にして記述していることが私のエネルギーになっているし、自信にもつながっています。きっと私だけじゃなく、ノートを読んでくれている先生にもエネルギーを与えているんだと信じます。

「信じる」これをパワーワードとして、明日戦います。

高校でテニスを続ける「縁」をもらって、夢を追っていたつもりだったけど、1年間の闇に阻まれた。それを春の選抜の完敗で思い知って、今真っ直ぐ努力している。そして再びチーム北越のキャプテンを任されている。私には私のストーリーがある。

今は光へ向かってもがいている状態だけど、私はそれを超えて、光をコートの中に放ちたい。

星みたいに誰かにエネルギーを与えられるように☆☆

次こそ、口だけじゃないことを証明したいんだ!

(4月16日)

・

しかし、ドラマはそれほど簡単ではありません。

高橋は星野と組んで戦いますが、ライバル校の巻のレギュラーと当たる前に、冬の練習試合では簡単に勝っていた村上高校の2年生に負けて(コケて)しまいました。

序盤、思い切り高橋にぶつけてくる戦略に混乱してしまい、我を失ってしまいます。何とかファイナルまで挽回しますが、ファイナルの中盤に高橋の不安定で意志の感じられないプレーが続いて敗退します。

真っ直ぐになれなかった1年間、きつい場面になると逃げるようにして過ごしてきた日々が、もともと弱くはなかったメンタルタフネスをすっかり台無しにしてしまいました。

・

村上の2年生にファイナルで負けた。悔しいを超えて自分が嫌いだ。正直、光は私からは見えない。もう「光!」って自信持って言えないし、何のために頑張っているのかわからない。私が「信じて」ベストで戦って勝つことがみんなへの恩返しだと思ってたのに、それが叶うことはない、きっと。

闇がよみがえってくる。これからどうやって光を探していけばいいかわからない。どうやって姿を見せればいいかわからない。だって次の大会でもまたライバルの巻と当たる前にコケるのわかっているから。もう不安100%で自信ゼロ。

(4月17日)

・

物事が上手くいっている時は、強気になれるし、ポジティブでいられるけれど、それが阻まれると一気にすべてをネガティブに捉えてしまいます。こちらの指導も仲間の励ましもすべて自分の非を咎(とが)めるものとして敵対してしまう。失敗や挫折は必要なことであり、糧となるものですが、逃避マインドが心にあると「嫌」という感情と結びついてしまうのですね。ただ、高橋はネガティブを引きずらないカラっとしたところもあり、その回復も早いのです。

晴れのち嵐のち快晴、夕方には豪雨警報・・・春先の高橋はそんな感じです。なかなか難しい…。

10日後のノートは、一転して希望に満ちています。

Dsc01642

Dsc_0976

Dsc00685

・

最近、私は「信じるPOWER」で戦っている私を想像してから、眠りについています。いつか夢で出てきてそれが「正夢」になることを待ちわびています。そのために足りないこと必要なことを全力でやり抜いていきます。

今日は1年生にしっかりと強く伝えた。部活に来る時間、ノートの書き方について。もちろん1年生は元気があっていい面もあるけど、調子に乗ったりゆるい感じがあるから、3年生の意志としてしっかり伝えた。

それから、クラスの子と部活の話をよくするようになった。その子は準備が遅かったり雰囲気が悪かったりする時に、1年生やチームに対してズバッと言える人がいないんだ、って言ってた。

私自身は、そういうこと伝え合うのが当たり前だと思っていたけど、それは北越女テニだからなんだなって改めて思った。

その子には、チームにとってプラスでしかないんだから勇気出して言ってみるか、仲のいい仲間にその悩み話してみて二人で伝えたらいいんじゃないって言ってみました。

私がこんなこと言うなんて、違和感ありありだけど、改めて、私、いろんなこと見る視点とか色々変わったなって思う。

その子の悩みはプラスへ向かうものだから、一緒に悩んでいきたいと思った。

(4月26日)

・

アップダウンを繰り返しながらも、高橋のメンタルは着実に健全な方向に育ってきているのを感じていました。

草木も人も日陰にいたら育たない。命は光を浴びて育つものです。

リーダーとしての自覚も徐々に表れていきました。そして、自分を対象化することも、それを言葉にして他者へ開くことも、自然とできるようになってきました。以前の高橋からは考えられないことです。

・

今日は、私、自分の弱さを(多分初めて)オープンにした。

どうなるかがわかっているはずなのに、自分に負けてやってしまうのが弱い私。今は光へ向けて生きているけど、苦境の中で弱い私が現れる。上手くいっている時は、どこに弱さがあるの?ってくらいポジティブで攻めの発想の中にいられる。それが私の「弱さ」のやっかいなところ。試される場面は多くない。だからこそ、その時に「来たぞ、弱い私。ここだぞ」って思えるかどうかだってことをチームにも伝えたかった。

伝えたいことを話すと気持ちいい。

伝えたいってことは、その弱さを対象化できているってこと。私自身が認めて、その弱さに対する準備ができているってこと or すでに私がやっていること。弱さであっても強さであっても、こうやって姿で見せて、伝えていきたいんだ。

(4月29日)

・

Dsc_0792

Dsc07807

Dsc03897


それでも、まだ苦境に立つとネガティブな感情をコントロールできません。些細なことから始まるのですが、自らどんどん状況嫌悪→環境否定→自己否定に陥ります。

・

昨日の夜は、とてもネガティブになってたと思います。すごく思い出してくるというか、自分の闇がフラッシュバックしてきて、なんか胸が苦しくなって部屋でノート書いてたのですが、外のベンチに行って泣きながらノート書きました。

コメント、本当にありがとうございます。

昨日、ネガティブになった時、もう前と違って、隠さず現れた感情をすべて先生に吐き出しました。ひどい言い方したと思います。すみません。

あの少しの壁を超えられない。元気に返事する。笑顔でいる。深く呼吸する。これだけでネガティブワールドに行かないのに、それができない…。もう自分でコントロールが効かなくなって…。

でも、先生が言うように、あれが希望の一歩なのですね。

信じます、今日の日、今日のあの時が、希望の光につながる一歩だということを。

(5月6日)

・

僕は真っ暗闇にいる高橋に「これ、希望だよ」と言ったのです。

これまでの高橋は自分を開けなかった。ネガティブな闇を内に押し込めて、表面上「らしい」ことを言って誤魔化していたのです。それが自分を歪めてしまう。今回は、それを吐き出しました。

「それは絶望ではなくて希望でしょ。」

希望を持つから絶望があり挫折がある。リアルに希望を抱けなければ、絶望せずに逃避するはずですから。疑いなく「絶望」は「希望」の一部です。

・

春季地区大会直前のノート

・

今日はとても1日、楽しかったです。

こうやって練習の中で起こる事を日々言語化、対象化していくことが、強さにつながっているんだって実感します。

地区大会では、まだまだ未完成だけど、少しでも強くなった自分と出会いたいです。ラストの地区大会、私は挑戦です。メンタルも今まで積み上げてきた技術もタクティクスも。信じて戦うのみです。

朋恵先生が帰られる直前に私のところに来て声をかけてくださいました。

「高橋が日々、自分を対象化して変わろうとしているのはよくわかるよ! だからこそ、苦しい時に自分でどう頑張れるかだね。そういう時に高橋に集まるみんなの目は決して敵じゃないよ!」

ネガティブに陥る私は、自分を見失って人格が変わったようになってしまいます。もしそうなったとしても先生方は全力で本来の私を取り戻そうと力を貸してくれる。そういう環境にいることを本当に感謝して日々生きたいと思いました。

(5月8日)

・

地区大会。個人戦は、巻のレギュラーにペアの1年生後衛がラリーにならず高橋は何もできませんでしたが、団体戦は、同じ相手に対してポイントしまくりました。後衛の高野が中盤から相手にも状況にもビビってしまってファイナルで負けましたが、高橋の精神的成長がプレーにつながってきました。試合後のノートでもそのことを実感しました。そして弱さに負けた高野へ語り掛ける言葉は、ストレートです。

Dsc_2883

Dsc_3250

Dsc_3274


地区団体優勝!

お疲れ様でした!

今日はバイザーに「勇気」「信」って書いてもらいました。大事な場面に手で触ってすごくエネルギーをもらえました。

決勝戦の巻戦。

あれは私、完璧に「ゾーン状態」だったと思います。

相手が見える。心が見える。予想が外れない。身体が勝手に反応する。超集中でした。

心配していた厳しい場面での人の目、全く気にしなかった。

新潟市庭球場で1面だけ残った決勝戦、リードしていて追いつかれて逆転される嫌な展開。いつもなら人の視線が気になるような場面だったけど、今日は全く気にもせず敵に集中できていた。

昨日の個人戦で鷲尾が先生のアドバイスを信じてやりきったって話を聞いて、それが私に火をつけた。一番信頼されているはずのキャプテンが信頼してくれる人を信頼しないなんてあり得ない、そう思った。信じて戦う姿を表現したかった。

個人戦の近藤と斎藤の姿は本当に凄いというか、これが3年だっていう姿だった。

斎藤の県総体代表決定戦でのファイナル2-6からの逆転劇。相手のネットインさえ走りきって返球してポイントした。諦めないへこたれない北越を表現してくれた。

私たちも、団体決勝、ポイント2-6だった。

前日の菜月の姿を思った。「諦めない、私たちも…」

敵のセカンドアタック!

身体が反応した。

バッチリ止めた。

3-6。

でも次のポイントで、凜が振り回されて簡単にサイドを割った。

凜、ハートが弱い。凜の弱さは序盤~中盤はあまり出ない。けど終盤に出る。競ってくるとハートがどんどん弱くなる。「信じて戦うよ」って口では言っていても、自分の中に芽生える不安や怖さにどんどん負けていく。「信」が「疑」に負ける。自分を疑う心。疑心暗鬼。つまり自分に負ける。

凜、ラストの県総体まであと1ヶ月だよ。

私も死ぬ気で強くなっていくから、凜も死ぬ気で頑張れよ。

誰の手を借りてもいいんだよ。そんなの恥ずかしくなんかない。

先生の力も借りて、弱い自分を対象化して、本気で向き合い、やるって決めたことを全部やって、時には闇に入りそうになっても、弱音吐いても、自分を隠さないで、強くなろうよ。

本当に変わった凜と、ラストの県総体、勝負したいんだ!

(5月11日)

・

・

一方の斉藤。自ら選んだ後輩の三浦とインターハイを目指しますが、地区大会の3回戦で自滅敗退してしまいます。その後の敗者復活戦の最終決定戦もファイナル2-6と追い詰められましたが、そこから驚異的な粘りを見せて、逆転勝利。何とか県大会への出場権をもぎ取りました。

斉藤のその日のノートです。

斉藤は喜ぶどころか、本戦で出た自分の弱さに涙します。

・

今日は高校最後の地区大会だった。

結果は本戦で負けて、県大会出場枠をかけた敗者復活戦を勝ち上がって、本当にギリギリの県出場だった。

最後まで苦しかった。本当に苦しかった。だけど、この苦しさは私に課せられたハードルとしか思えない。決定戦最終戦はファイナル2-6の相手マッチ。

負けたくない、その思いだけだった。

そこから1本1本、逆転勝利して、みんなみんな喜んでくれた。

でも、私は弱い。

今日は今までに泣いたことないくらい、悔しくて情けなくて泣きました。

県10連覇に向けて、部長としても強くならなければならない。

チームのために、私、毎朝走ります。そしてどんな時でも北越ホールの下で夜イメトレします。

今日の姿だけは表現したくない。

戦うべきものは自分自身。演じる強さではなく、本物の強さを。

(5月10日)

・

翌日の団体戦。

・

今日は地区の団体戦。

巻との一騎打ちだ。

勝ったけど、咲羽が最後のミーティングで伝えてくれたように、決して気持ちのいい勝ち方ではなかった。

ただ、昨日の個人戦も含めて、本間・入澤はエースとしての姿を表現してくれた。本当にありがとう。

二人は冬に巻のエースに負けてからペアを解消し、この地区大会から再結成した。入澤はずっと自分の甘さと向き合っていた。本間だって、自分を変えたいとずっともがいていた。

向き合ってきた者の強さって本当にすごい。何でこんなに強いんだろうって思うくらいエネルギーになって現れる。

咲羽も今日は強さを表現してくれた。高野が小さくなってもチームを救う勇気あるプレーを何度も見せてくれた。キャプテンとして本当に頼もしかった。

二人で作ってきた今年のチーム。県10連覇に向けて、リーダーとしてもまた頑張っていこうね!

凛(高野)、最後の最後でこうして弱さが出るんだね。

3年になって戦う団体戦は今までと違う責任を背負っての戦い。だからこそ、それを背負えるだけの生き方をしてきたかどうかが必ず試される。本当にその通りなんだ。

でも、もう一度チャンスをもらったんだよ!

だからこそ、絶対後悔しない選択を日々していこうよ!

(5月11日)

・

Dsc01475

Dsc01674

Dsc_0966


地区大会でライバルの巻高校に勝ちはしましたが、二人のノートにも書いてあるように、団体メンバーの高橋以外の3年生は、自分を出し切れていない、もどかしさの残る戦いでした。最後の歯車が回るはずの3年の情けない姿を見て、2年生の本間が熱いメッセージをノートに綴ってくれたので、それをみんなで読みました。

・

本間って、ここまでチームのこと考えてくれてるんだなって思った。

3年生の問題をチームの問題として考えてくれている。本気でメッセージしてくれている。

本間のメッセージは「自分の弱さをオープンにして、それを自分が認めて、そして自分自身を切り拓け」ということだ。

変わってほしいという願い。

このチームが好きだからこそ、一緒に夢を叶えたいという希望。それゆえの厳しさ。

そこから本間は逃げない。

逃げるとすれば、私たち3年だ。

2年生が私たちにこれだけ退かないで、熱く訴えかけてくれている。

それを熱く受け止めないとすれば、それはもうチーム北越じゃない。

本間のメッセージ、それをノートに書くのにどれだけの決意と勇気と願いと希望があるのか、それを私たち3年生は噛みしめるべきだ。

友里那、いつもチームのこと本気で考えてくれて、ありがとう。

私たち絶対変わるからね。

・

下級生が「自分の弱さを認めて、新たな自分を切り拓け」と語りかけたメッセージから、斉藤は自分と向き合います。

・

私の弱さについて

本間から伝えられて、私は今日、思ったことがある。

私は自分の中で強いものから壁を作ってしまうことがある。これは1年生の時に、練習帰りのバスの中で先生に伝えてもらったことだ。でも私はその弱さと今まで向き合ってこなかった。今回の地区大会の負けもこことつながっていたなって今になって思う。

練習中だったら、Aチームと打ち合う時に感じてしまう壁。一緒にやった方が強くなるのはわかっている。だけど、また打ち合えないんじゃないか、また元の打ち方に戻ってしまうんじゃないか。そんなネガティブな感情が自分の中に湧き上がるのを感じていた。それを感じるから、その感情を強引にねじ伏せて、押し殺そうとしてきた。でも、これは向き合うのとは違う。戦っているつもりで、実は強引にねじ伏せようとしている、何とかして蓋をしようとしているだけだったんだ。

梨果(近藤)は、練習のラストがかかると、自分からAチームコートに行って「〇〇、ラストお願いしていい?」って大声で頼んで自分を向上させている。でも自分は梨果って凄いなって思っているだけ。

梨果、ごめんね。

あなたが、本気で強くなりたいって思っている行動をこんな風に受け取ってしまっていました。

これが私の弱さです。

だから地区も、追い込まれて打てなくなる。強いプレッシャーに飲み込まれて逃げたんだ。

三浦(ペア)が弱いだけじゃない。

今まで、このことをこのノートに書いたりして向き合うのを避けてきた。

ラストの県総体、もう後悔だけは嫌だ。

もう自分を中途半端にしたまま、自分に負ける戦いだけは絶対にしたくない。

(5月15日)

・

本間のチーム愛にあふれた熱いメッセージを受け取って、他の3年生も深く考えました。県総体まで2週間余りとなった中で、3年がどう責任を背負ってチームを前へ進めるのか真剣に話します。チームメイトにどうすれば本間の思いが伝わるのかという点で、斉藤と近藤、そして高橋がぶつかり合います。

・

その日の高橋のノート

・

今日、私は初めて仲間に本気で反論しました。

自分の思ってることを吐き出すって、本当に勇気がいることだと思います。

私がこうして自分の思っていることに素直になれたのも、先生との信頼関係を築いていく中で、いろんなものが良い意味で吹っ切れているんだな、って感じます。

先生に今回のこと、言葉にしてもらって深く納得しました。性格とか長所とか傾向とか、人それぞれで全く違うんですね。いろんなことを広く見れてすべてにかかわれる人もいれば、私みたいに自分が大事だと思うことに特化してエネルギーを集約する人もいる。それぞれ、良い悪いじゃなくて個性なんですね。個性がそれぞれであるゆえに、時にすれ違いも起こる。ぶつかり合いも起こる。とてもよく理解できました。

幼い頃の言い合いとは違って、なんだかぶつかり合うことで逆により深いものが見えた気がします。だから、今日はぶつかり合ってみんな成長できた日なんだと思います。

これまでの私は、一方的に伝えられて、「はい…」とか、言い訳みたいなことを言ったりして、クソな感じだったけど、なんか、今は自分自身もチームの夢に向かって精一杯生きてきてたから、自分を否定されるようなことに対して黙っていられませんでした。凛も思っていることがあるなら、はっきり言った方がいいのにと思いました。自分の思いがあるなら吐き出せ!って思っていたくらいです。

(5月21日)

・

Dsc07013

Dsc06981_2

Dsc07688



同じ日、斉藤のノート

・

今日、先生がみんなに伝えてくれたこと。

自分とは違うけど本気の仲間をリスペクトする

それぞれ戦っていることがあって、思っていることだって違うけど深い。

レギュラーは自分たちが10連覇の戦いを背負うっていう強いプレッシャーの中で自分を磨いている。咲羽は咲羽でキャプテンとして本気で考えていることがある。毎日提案型で生きようとしていることもよくわかる。もう以前の咲羽じゃない。

先生に直接伝えてもらったように、私の中でも考え方の進化が必要なんだな。

部長として、キャプテンとして、それぞれ全力を尽くすことがある。立場が違えばエネルギーを注ぐ場所も違う。

今日、先生に「自分で問題だと思ったことを、他の仲間にも加わってもらって伝えようとすることがお前の弱さだ」と伝えてもらって、自分の中でもスッキリしました。

リーダーとしての潔さ。それは信頼と自信そのものだ。

部長として、これでいいのかな、いつもそんな風に私は考えていた。みんなが一番納得する道はどれだろう、って。

ここまで本気のメンバーがそろって最後の大会を目の前にすれば、いろんな考えがあるのが当たり前。部長として、自分の考えを覚悟を決めて伝える、それが逆にみんなが私に求めていることかもしれない。信頼がそこにはある。自分の中のモヤモヤがなくなりました。

自分がこれから生きていく中で、こうやって面と向かって「これが君の弱さなんだよ」って伝えてくれる人っているんだろうか。大人になったら、もうこんな機会はないのかもしれないと思ったら、とても幸せなんだなと思います。

確かに、莉穏先輩は、チームに何かを伝える時、いつも一番本気で、一番熱があった。

でも、それって覚悟と信頼があるからなんだ。部長として本気でチームに伝え続けるって、苦しいことでもあるって、この立場になってよくわかる。でも、莉穏先輩はそういう苦しさはチームに見せなかった。私たちが見えないところでもがき苦しんでいたんだと思う。

自分の中だけで考えているだけじゃ、変わらない。思っているだけじゃ、変わらない。人も自分も。

いかに行動として切り拓いていくかに尽きるんだと思う。

チームに対しても、まだ切り拓ける部分はたくさんあるんだろうな。

咲羽、ぶつかり合ったけど、咲羽は今まで通り勝つためのチーム作りに力を尽くしてね!

県10連覇を達成するため。石川IHで決勝に行くため。

チームの団結は私に任せて。私が変える。私が切り拓く。

今日、こうやって3年生でぶつかり合った。

改めて、みんな本気なんだな、って思った。

この仲間と本気で勝ちたいって強く思った。

強い思いはみんなが持ってる。そこにリスペクト。

どこの学校よりも絆は間違いなく一番強い。

さらに強い「チーム高橋」にするために、私は残された日々を全力で生きる。

(5月21日)

・

青春映画そのものですね。このぶつかり合いを機に、3年生がぐっとまとまったように思います。斎藤は、この件から、さらに自分自身への洞察を深めていきます。

Dsc00133

Dsc00353_3

Dsc00910


今日は本を読みました。広島カープの新井さんの著書です。その中にリーダーのことについて書いてあって…

心を鬼にして言うべきことを言わなければならない時もある

とあった。

先生がこの前伝えてくれた部長としての覚悟。

莉穏先輩のようなリーダーになるためには、この考えも必要なんだな。

県での10連覇。

強力なライバルがいるからこそ、チームが引き締まって戦う環境を作りたい。だからこそ、私に覚悟がいるんだ。

部長をやっていてすごく感じるのは、伝えられる方も苦しいが伝えている方はもっと苦しいんだっていうこと。

責任もあるし、プレッシャーもある。

莉穏先輩、そして今までの9連覇、それぞれの代にリーダーで苦しんでいた人がいたはず。その先輩たちの偉大さを思う。

私は10回目のチーム北越のリーダー。

この苦しさがチームを強くし、私自身を強くする源だ。

(5月24日)

・

今日は、持久力トレーニング。

考え方を変えた。

いつもはあと何分だということに意識がいく。それから前に誰々がいて、すぐ後ろは誰々。

もう私は自分のベストに集中していない、雑念だらけの人間だった。

抜きたい、抜かれたくない。いつも他者との比較。

でも、表現したいのは自己ベスト。

試合に置き換えて考えれば、ポイントは〇対〇、あと何ポイントでゲームが取れる、ゲームを失う。相手は誰々で私より強い、弱い…

そんなことばっかりが意識に上る。

そうじゃないんだって!

今、自分ができる目の前のことを、全力でやる。

今を全力で生き切る!

自分が走る30分間、肩甲骨の振り、重心の位置、呼吸、これだけに集中した。

すると、いつもよりずっと集中して自分のペースで走れたし、いつもよりずっと自分自身を追い込めた。

そうなんだ。こうなんだよ。

集中するってこういうことなんだ。

(5月26日)

・

今日は県総体前の最後の休日練習。

昨日、愛香先輩(鈴木愛香:教育実習中)に厳しく伝えてもらって、私は「気魄タイム」を作って1年生に見せた。こうやって気魄を込めて戦うってこと、私たちが先頭に立ってチームをリードしていかなくちゃ。そして練習の一つひとつ入る前に、チームで心を一つにする時間を提案した。練習中もまずは私が一番気魄を出すんだと誓いながらやりきった。

男子はまさかの敗退。優勝は巻。2位は長商。どちらも角シードではない。団体は何があるかわからない。巻は男女アベック優勝って思って向かってくるに違いない。だからこそ、もっともっとギアを上げて、跳ね返す力を表現する。やってきたことはどの学校より自信があるって言えることが北越にはたくさんある。あとはハートだ。だから想いの強さを表現することだ。

(5月30日)

Dsc_4334

Dsc_4093

Dsc09322_2_2


今日で学校でできる県総体前、最後の練習が終わった。

本当にあっという間だったなって思う。

練習中ペアの三浦のサーブが入らなくなって、コート外で一緒に見てやっていたら、1年の船山が近づいてきて、「菜月先輩、最後の試合なのに、自分のことはいいんですか…」って、泣きながら話しかけてくれた。こんなに感性豊かな1年生が一緒にいるんだって思ったら、私の方こそ泣きそうになってしまった。

先生も伝えてくれたように、私たちが1年生の時は、ただ連れて行ってもらったインターハイだった。だけど、今年は自分たちがこの1年生を「連れていく」番なんだ。

本当にいろんな事があった6人だけど、この6人だからこそ、っていうことだってある。

今までやってきたこと、向き合ってきたこと、伝えてもらってきたこと、たくさんの宝物がある。

新潟県のどこよりも、私たちは真っ直ぐ夢に向かってきた、それだけは断じて言い切れる。

だからこそ、自分たちを信じて戦うだけだ。

どこだって、打倒北越で向かってくる。

かかってこい!

相手がどこであれ、私たちは私たちの目標に向けてまっすぐ生きるだけだ。

(6月2日)

・

雨の中の県総体初日。

斉藤は地区大会をギリギリで抜けてきたためポイントがなく、厳しい組み合わせでした。最終的にベスト8に残るペアのパッキングで、2回戦が勝負でした。

これまでの斎藤は、誠実な人間が強く勝ちたいと念ずることによって生じる「縮こまり」に悩まされていましたが、この日はすべてラケットを振りぬきました。タクティクスも駆使して中盤のG2-2まで互角です。次のゲームで脚が止まっての失点が響き、そのまま2-④で敗れました。硬式テニスでいう1ブレイクです。敗れましたが戦って敗れました。自分に負けたのではない。ベストを尽くして敵に負けました。

Dsc_4857_2

Dsc_4868_2

Dsc_4759_2


最後の県総体が終わってしまったけど、まだ全然実感がないです。

今日の試合はずっと先生がベンチに入ってくださった。本当にありがとうございました。中越(高校)戦、勝ちたかったです。

最後は私が狙われた。三浦は自己ベストで戦ってくれた。

地区大会であの情けない試合をしてから、本気で自分の弱さを認め向き合ってきた。

あれから自分ができることすべてをやり切ったと思う。

自分を変えるというのがいかに難しく覚悟のいることなのか、そのことに最後にやっと気づいた。

宿に帰ったら、お父さんから連絡が来ていた。

部屋で電話した。悔しくて、なかなかしゃべれなかった。

「菜月が自分で新潟に行くことを決めて、3年間やり切ったこと。本当に誇りに思う。一緒に夢を見させてくれてありがとう。」って言ってくれた。

お父さんの夢、現実にしてあげたかったな。

最後に、「3年間、ありがとうございました。」って伝えた。

電話越しにお父さんも泣いているのがわかった。

小学校からテニスを始めて、こうやって新潟に来させてもらって本当に感謝している。

中本監督やどんぐり北広島の選手とのかかわりもお父さんがいたからだ。元々サッカーのコーチをしていたのに、私がソフトテニスを選んだら、いつの間にかソフトテニスのコーチをしていた。本当にすごい人だと思う。

こうして振り返ってみると、本当にあっという間だった。

1年生の時は逃げてばかりの私だった。でも、2年生になってリーダーを任されて、私が逃げたらチームが終わるんだって思えるようになった。

最後の戦いで、三浦とペアを組んでよかったです。三浦には人一倍厳しいことも言ってきて、みんなの前ではああやって言っているけど、三浦を信頼しています。三浦ならわかってくれる、必ず思いを込めて一緒に戦ってくれる、その思いはずっとあった。三浦と組んで、私も成長できました。これからはチームだけに集中します。

先生、私、北越に来て本当に良かったです。ありがとうございました。

きっとこれから先、まだまだたくさん壁が出てくるのだと思います。

向き合ってきたことを信じる、その力は本当に強いんだなって、改めて思っています。

その信念を頼りに生き抜いていきたいと思います。

(6月4日)

・

・

時計を1週間戻して、高橋のノートです。

・

今日の疲労感は、今までにないものでした。

やっぱ、1日1日の生き方が以前と全く違うんだなって改めて実感しています。

最近、駆け引きがめっちゃ楽しいんです。やっと莉穏先輩が「楽しい」って言っていた意味がわかってきました。

県総体の団体戦は、私が勝利して10連覇決めたいです。

3年生のこの時期になって、こんなにも日々やってきてることが「自信につながる」とは思っていなかった。

ハイジャパ予選の暗黒の負けが、自分にとっては大きな成長のきっかけだったような気がする。そこから、このノートに書く「思いの綴り」も深くなったし、こうして毎日自分自身を対象化して言語化していることが、今の自分を確かなものにしているんだと思う。

最後の時に、自分を100%信じれるかどうか、それはこうした日々の積み重ねなんだ。

絶望から大きな希望の花を咲かせるために、日々進化し続けたい。

(5月24日)

・

勝負の日が近づくにつれて、高橋のノートは「なりたい自分」「表現したい自分」のイメージが明確になってきます。「~したい」という強い思いが言葉になって溢れます。

・

Dsc_3438

県総体まで、あと5日。早い…

今日1日は、何かいつもと違った。県総体のことを考えると、ワクワクするし緊張もするし、少し不安もあるし、いろいろ複雑な気持ち。

団体戦は誰と組むかわからない。でも今の私なら誰とでもいける。

誰よりも激しく勝負して、莉穏先輩のように県でNo1の前衛を表現したい。

絶対、マッチポイントは私が決める。見ててください!

3年になって、私は真っ直ぐこのチームの夢に生きてきた。真っ直ぐに信じて立ち上がったんだ。勇気持ってやるだけ。

絶対大丈夫! 私ならやれる!

先生が信じてくれる「私の光」、表現したい!

(5月31日)

・

Dsc06397

Dsc06363

Dsc06936



プロ野球選手の「ホームラン宣言」のようです。確率はずっと小さいはずですが…

しかし、実際にそうなるのです。

このノートに書いたとおりになるのです。

チーム北越は、こういうこと本当によくある…

ただの願望を書いたのではありません。

強く強く思うことは実現する

思いの純度が極限まで高まるとそれが現実になる

・

今日、ミーティングで先生が2年前のDream Factory(卒業生に贈る3年間のフォトムービー)を見せてくれた。

何か、今までと全く違う心境だった。

ドックン!と突き刺さる何かがあるように、重いし、緊張するし、何よりも深い感動があった。

2年前、あの田中先輩のマッチポイント、ノータッチウイナーは凄い。凛も見て泣いていた。絶対に強く何かを誓ったんだと思う。

私たちも先輩たちみたいに、苦境になっても戦い続ける人になってみせたい。3年生の力を見せつけたい。

絶対に絶対に苦しくても逃げずに戦いきる!

信=勇気

先生が書いてくれた言葉。

やってきたことを信じて、それを勇気に換える。

(6月4日)

・

・

Dsc_7016_2

Dsc_7022_2

Dsc_7026_2

Dsc05363

・

・

みんなが最後に私に渡してくれた優勝旗は、とても重かったです。

団体メンバー、そしてサポート、全員が本当に自己ベストで戦ってくれました。

3年間の総決算の団体戦。勝って嬉しかったが、ホッとしたというのが正直な思いです。

準決勝の巻戦は、本当にタフな戦いだった。

冬の北信越選抜を圧勝したエースがいる巻高校。しかも地区大会の巻き返しで勝負をかけてくるに違いない。思いと思いのぶつかり合いだ。

3番勝負になった。心配していた祐稀。初めて見る気魄。

スマッシュを打つ時のキーワード。インパクト時の気魄。表現してくれた。

本当に嬉しかった。

2年生エースの入澤・本間。

試合をしていく中での、瑛麻の成長。本間のブレない強さ。この重圧にも屈しない強さを身に着けていたね。何度もベンチに向かってガッツポーズしてくれた。

決勝戦の高野と咲羽。今回の団体戦は3年の思いもすごく伝わってきた。

絶対に石川IHに行くんだって戦ってくれた3年生4人、本当に頼もしかった。

最後に先生からのサプライズニュースは何がなんだか最初はわからなかった。

私を梨果を組ませて北信越の団体を戦う!?

一昨日引退したつもりだったのに、頭が整理できなくて、抱き着いてきて大泣きしている梨果のテンションに追いつかなくて…

でもだんだん状況が理解できて、嬉しさがこみあげてきた。

チームのみんなも笑顔で祝福してくれた。

私の寿命、もう少し伸びたんだね。

そして3年生全員で戦える北信越。しかも苦楽を共にしてきた梨果とペア復活!

先生、本当にありがとうございます。

選ばれるからには、他の2本に頼った「おまけ」になんかならない。

梨果と二人、泥臭く北越Bチームの意地見せて戦います!

(6月6日)

・

Img_4834

Dsc_7169

・

・

・

・

個人戦 入澤・本間 県チャンピオン奪還!

同士討ちで星野・鷲尾が銅メダル

Img_3287

巻高校のエース、石山さん神保さんのペアとの決勝対決は去年の代替大会以来何度目になるのでしょう。二人によると中学校時代からだそうで、中学時代は敵わなかったそうです。

高校に入って力をつけた二人は1年時に3連勝しました。

夏の代替大会、秋季地区大会、県新人選抜です。

しかし、12月に行われた県インドアの大会で敗れました。巻ペアは、確実にこちらの弱点を研究し、一方で自らの弱点はしっかり修正してきており、決して「たまたま」ではない「実力の逆転」を感じさせる勝負でした。

1月の北信越インドアでも巻ペアがほぼ敵なしの状態で優勝。このままやっていても翌年の春~夏に再逆転は難しいと判断して、このペアに大ナタをふるうことにしました。

まずはしばらくの間ペアの解消。ジュニア時代からのペアですから、お互いをよく知っているがゆえのなれ合いとマンネリが生じていました。冬の間、様々な経験をさせることで、自分の強みと弱みを徹底的に洗い出させて、春を待ちました。

春のハイジャパ予選は、入澤は3年生の鷲尾と組んで決勝で敗退。本間は入ってきたばかりの1年生の高橋寧々を教育して引っ張って、ベスト4入り。お互いがしっかり結果を出してきたので、春季地区大会から再結成させました。

冬に突かれた弱点はむしろ強みに変わっていました。

そして、県総体。

ベスト4決めで、入澤の未熟さが露わになり、マッチポイントを握られるまで追い詰められましたが、本間はその状況を跳ね返す強さを身に着けていました。

決勝は初めて完勝と言っていい内容の勝利。

県チャンピオンのポジションを研究と努力、そして人間的な成長を伴って奪還しました。

この2ペアのライバル関係は理想的だと思います。

お互いを超えようとすることで、2ペアの力が上がっていく。

石山さん、神保さんに敬意と感謝を伝えたいと思います。

・

・

3年生の星野と鷲尾は充実したパフォーマンスで勝利を積み上げました。

翌日の団体戦の準決勝=巻高校戦では、お互いのエースが勝っての3番勝負、個人戦の3位同士の激突になりました。

Dsc_6717

Dsc_6784

Dsc04715



自分と向き合いながらメンタルコントロール力をつけてきた星野。そして、これまで何度も集中力を欠いたようなミスからチームを危機的状況に招いていた鷲尾でしたが、3年生の近藤と斉藤が試合に向けた準備と実際の戦いの場で起こるリスクをしっかりマネージしてくれました。それから鷲尾自身も、自分の性格の弱みから目をそらさず、仲間のヘルプを素直に受け入れることで自分が強くなれることを理解して、団体戦としての自己ベストを表現してくれました。

・

星野結衣のノート

3番勝負に強い3年生。

ひとまず県総体で表現できました。

先生、私に自信をつけさせるご指導、ありがとうございました。

いつも熱く伝えてくれてありがとうございました。

団体優勝したが、なんだか実感がわかないのはなぜだろう。

あのクソな3年が4人も入って優勝? 10連覇?

本当にひどかった私たち3年生。

私たち勝負できるのか? 何度目かのつまずきの時そう思った。

ただ、いつか本間がつぶやいた言葉を先生が拾って伝えてくれた。

「巻のエースに1本負けても他の2本で勝って優勝って、何か違う気がする」

私はこの言葉が深く心に刻まれた。

そしてずっと、巻のエースを自分も倒すんだって誓って日々を積み重ねた。

毎日、渦のように沸き起こる様々なこと、不安や悔しさ、いろんなことが混ざり合いながらも、私たちは1日1日を精一杯生きてきたと思う。

県総体前の練習で、OGの愛香先輩、なつき先輩、玖瑠実先輩が本気で伝えてくれた。

「気魄がない」「北越らしくない」

あの時、伝えてもらって火がついた。

あの次の日、菜月が提案してくれてチームの気魄は上がっていった。

先輩、ありがとうございました。

菜月に最後、優勝旗を渡した。

何だろう、何て言ったらいいんだろう。

このチームの結束力。つくづく感じる。

目に見えないずっと深いところでつながっている感じ。

それが根っこのように張り巡らされて、最後に花が咲く、って言えばいいのかな。

先生が前に伝えてくださった通りになる。

本当にすごい。

信じて戦える

こういうことなんだって実感する。

でも、まだまだ今日の力では、3年前の先輩が行ったところまでは行けない。

分かっている。レベルが違うんだ、全国は。

エリートだらけの全国、そこに雑草魂を持った北越が挑む。

こっからがスタートなんだ。

(6月6日)

Dsc04700

Dsc_6788

Dsc_6724



ベンチの後ろから、近藤が「祐稀、やれるよ! 祐稀も信じて戦える!」これまで「やらかしていた」場面で何度も何度も、祈るように、仲間の心に深く届くように、響かせていた声が印象的でした。

最後に、団体戦途中からの出場になった、高野の決勝戦での気魄も10連覇になくてはならないものでした。

「ボロクソ3年生」が失敗するたびに「信じて立ち上が」って築き上げてきた絆が、団体10連覇と2年生エース入澤・本間のチャンピオン奪還に深く寄与したと思います。

2021年、今年も3年生のドラマがあって全国Dreamの切符を力強くつかみました。

ここからが本編です。ここがスタートです。

アクセスランキング

Powered by Six Apart