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2022年12月

2022年12月22日 (木)

HOKUETSU Spirits 2022 ~真の『本気』~

 県選抜まで10日を切った頃、ソフトテニスマガジンに掲載された高田商業高校の記事を選手たちに読ませました。高田商業高校は言わずと知れた日本一の強豪校ですが、この1年は選抜、インターハイと決勝戦で尽誠学園に敗れており、「日本一」をあと一歩で逃していました。

 そして迎えた国体でも、決勝戦で尽誠学園を擁する香川県との対戦。この試合では見事に3番勝負を勝ち切り、「日本一」を奪還しました。その後に受けたインタビュー記事を選手に読ませ、「日本一」を目指す高校生とはどういうものなのか、競技に本気になるとはどういうことなのか、選手たちに少しでも感じ取ってもらいたいと思いました。

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 高田商業という全国のトップクラスの選手が集まっているチームでも、真の『本気』を目指していた。これは技術の問題ではなく、1位を目指す土俵に立つということだと思う。今の北越には『本気』になろうとしている人が1人もいない。チーム全体として変わっていかなくてはいけない。

 自分は正直、高校に入る前は、県1位なんて簡単だと思い込んでいた。入学してから、1年9か月目に入って、やっと1日1日の大切さに気づけている。勝負の県総体まであと6か月しかない中で、高田商業のインタビューを読むまでは、間に合うのかな?と思っていた。

 だが、人が変わるのには時間がかかるけど、真の『本気』になっていまえば、もう怖いものはないと思う。そこに至るまでの時間は個人差がある。

 でも自分は、今の状況をチャンスだと思っている。自分たちの代になってから、いろいろなことを試してきて、どうすれば強くなれるのかわかってきた気がする。例えば、今まで量をやって技術をつけようとしてきた1年間があって、うまくいかなかった経験の1年。

 その後、新シーズンになってコミュニケーションを増やして、質を高めようとしてから、少しだけ手応えがあった。だけど、うまくいっていないところもわかってきた。うまくいってなかったのは、一人ひとりの考え方が違うので、チームの方向性が合っていない。

 インドアシーズンに入ってからチームの方向性を揃えようと取り組んできて、まず自分が変わろうとしている。2年生が変わらなきゃ、チームは変わらない。

 自分たちの代はテニスを好きな人が少なくて、なんのために部活に入っているのかわかっていない人がほとんどだ。キャプテンである谷澤が、まずキャプテンとしての仕事ができていなくて、ただ皆の前に立って指示を出しているだけだった。その指示に本人の意図はなくて、人に言われたことに賛成や、先生に言われたことをやっているだけで、本人がこういうチームにしたいという形がない。

 チームの人に対してダメなことはダメと言わなきゃいけないし、何が必要なのか追求していかなくてはいけない。

 新チームになってから、何が必要なのか明確になってきているのに、それに向き合おうとしていない。技術どうこうの前に、チームの方向性を揃えるためにする行動をできてから練習に入る権利があると思う。

 チームの方向性を揃えるために、声をかけ続けて、キャプテン、副キャプテンがまず変わっていく。(長谷川大輝)

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 2年の松沢、大杉、中濱の3人が研修旅行で不在のころ、長谷川は葛藤していました。県選抜まで時間はわずか。なのに練習に“熱”がないのです。声は出ているけど、出しているだけで思いがない。だから伝わらない。練習終わりに長谷川が谷澤、石川に対して『本気』を問うていました。熱く、熱く。「お前の本気はいつになったらやってくるんだ」と。

 大会5日前。やっと全員が揃いました。群馬県の前橋商業高校と練習試合を行いました。最初はボロボロ、相手の攻撃に対して受ける、守るだけのテニスでまったく勝負になりません。試合の度に選手に話をし、自分たちの甘さ、弱さを伝えていきました。相手監督からは、北越は「発揮力」が足りないと伝えていただきました。後半から徐々に試合内容がよくなり、勝てる試合も増えていきました。ほんの少しですが、光が差したように感じました。

 大会までの残りの期間は徹底して自分たちの持つ技術を「発揮」することを目指しました。そして、全員の思いをひとつにするべく、選手それぞれがみんなにメッセージを送り続けました。

 大会の前々日には団体メンバーを発表しました。本当に悩みました。選べなかった選手たちには申し訳ない気持ちもありましたが、ここは非情になるしかありません。彼らの涙が、これからの成長の糧になると信じています。

 迎えた大会は、巻高校に3番勝負の末に敗れてベスト8。正直言ってとても悔しい。しかし、戦いの5日前に、やっとひとつになれたチームでは、勝利の女神が微笑まないのは当然だったのかもしれません。真の『本気』の片鱗は見せてくれましたが、まだまだ甘いということがよくわかりました。

 結局、地区大会、県新人と同じ負け方をした。格上とわかっている相手にビビッて名前負けして、勝手に自滅して負けていった感じ。2か月前とは違う結果にすると意気込んで試合に臨んだのに、試合になると自信をもってラケットを振れなくなって、ボールを擦ってアウトばっかり。このような結果になってしまったのは、ここまでの練習の仕方、とくに気持ちの面で準備不足だったと感じた。練習中は、自分の技術を鍛えよう、自信をつけられるものにしようと思って、具体的な想定がまったくできていなかった。さらに、練習試合でも、1試合1試合勝ちきるということができていなく、苦しくて負けても、練習試合だからと悪い意味で開き直っていた。この2か月間、弱い自分から逃げないようにするつもりでいたのに、結局逃げて、それが試合にも出た。

 大輝さん、将樹さんは練習試合や校内の試合のときも絶対負けない。そういうのが自分の自信につながる。あと苦しいことから逃げない。大輝さんも将樹さんもトレーニングは他の人の倍くらいやっているし、練習中もつねに練習に集中し、最後の一本まで全力でやりきっている。自分にはそれがない。

 今回の大会は、自分にもチームにも、自信や成長を感じられるものにしたいと思い、そのための結果を出すために練習に全力でやってきた。でも結果は、団体は巻に負けて、個人も自分たちはいいところなしで唯一大輝さんたちが結果を残していた。大会後に寺尾先生が言っていた、2年2人に負担をかけすぎと言われて、そのとおりだと思った。2人しか力がないから団体もペアをくずし、それぞれに自分たちの倍くらいやらないといけないことをやらせて、精神面でもそうとう負担をかけていた。その大輝さんたちでも巻に勝てなかったのが事実。今のままじゃ絶対インターハイにはいけない。自分がもっと強くならないといけない。そのためにも、これからの6か月弱を絶対に無駄にできない。自分は北越に入って何一つ結果を残せていない。結果を残せないから、ずっと後悔しかしていない。

 もうチームに迷惑はかけたくない。もうメンタルが崩れたみっともない負けはしたくない。豆腐メンタルでヘタレな自分をテニスコートにもっていかない。根本からなおす。

 あと160日くらいで、2年生にとっては最後の県総体がくる。それまでに今のヘタレをなおす。自分がチームのエースでチームの柱になれるような存在になる。個人も団体も県1位になって、インターハイにいく。本気でやる。一日も弱い自分から逃げない。(野﨑 蒼生)

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 1年生の野﨑は非常に能力が高い選手だと思っています。ストロークの技術から言えば、県のトップレベルにいると思います。しかし、勝負の世界に生きる者としては致命的に心が弱い。リスクを負うことを無意識のうちに避けるため、どうしても安パイな配球になります。相手にとっては「怖くない」選手だと言えます。秋地区、県新人、県インドアは格上相手に、G0-4、G1-4、G0-4とまったく勝負になっていません。

 本人に、やっと自覚が芽生えてきたのかもしれません。この弱さと真に向き合い、乗り換えていかなければ、同じことの繰り返しでしょう。ここからが野﨑にとって本当の正念場かもしれません。

 自分はこの大会で、また大きなことを学べたと思う。まず1つ目は、自分のテニスについてだ。個人戦は団体戦よりプレッシャーが少なくて「テニス」で勝負ができた。八木澤コーチに当日言われたり、高商のテニスを見ていたりしてて、相手がミスをしたあとに狙い続けることへの大切さを学んだ。これは「テニス」の学びだった。自分たちの戦えるレベルを上げるために必要な技術だった。今までわかっていたものの、1日通して取り組んできたことがなくて、きれいなテニスを求めすぎていた。それだと攻撃の手段が狭くなりやすいし、ほんとは競れる相手にも自分たちのテニスができなくてG0-4やG1-4負けになってしまう。この戦い方を覚えることで、攻撃の手段が何パターンも増えた。

 2つ目は、うまくいっていないときに立て直すことができないことに気づいた。「テニス」の形として、攻撃のことしか考えていなくて、自分たちがうまくいかなくなったときに、どうやって自分たちのテニスにもっていくか考えたこともなかった。それこそ、インターハイで2年連続負けている原因がそれだと思う。

 例えば自分が一番苦手な相手はロブを主体として戦ってくる人だ。ディフェンスの手段がまったくなかった。これについては、タクティクスや伊比コーチに聞いて、試して、自分に合うものを見つけていきたい。

 自分は、この県インドアに向けて、チームを育てるために一人ひとりと深くコミュニケーションをとり、自分なりに信用できる関係を築いてきたつもりだった。でも形として現れてきたのは約1週間前。大会前になったからというのもあるかもしれない。だけど自分の自信にもつながっていた。団体戦でG1-3、P1-1で相手が足をつってタイムをとったとき、自分は自分のやってきたことに自信がもてなくて不安になり、また自分のせいでチームが負けてしまうのではないかと思ってしまった。何本もスマッシュ、ボレーでミスをして、入れにいこうとしてしまっていて、サーブ、レシーブでしか攻めることができていなかった。

 だけど、今までの自分とは変わったのを試合を見に来てくれた方々に見せたくて、なんとかスマッシュを追い、ペアを組んでくれた野﨑が助けてくれて、ファイナルに追いつき、最後は自分のハイボレーでゲームセット。

 その後に3番勝負松沢・大杉は勝てなかった。それは自分の責任だと思っている。チームの1番手として、圧倒して1本取らないと他のメンバーは気軽にプレーできない。自分の努力不足であり、甘さだと思う。

 過去の北越のブログを見返すと、自分と似たような道を歩んでいる人を何人も見ることができた。これは、自分のしてきたことが間違いじゃないんだと思えた。だけど、石塚さん、田辺さん、星野さんと比べると努力が全然足りない。まだ自分にできることはあるし、しなきゃいけないことが山ほどある。残りの約160日を充実して過ごせると思った。

 今回の大会1週間前に、キャプテン谷澤が毎朝3キロ走ろうと言い出し、朝から身体が起きる習慣がついたことは確かだった。だけど、自分ができる最大限の努力ができていたかと問われると、ストレッチに全然時間がとれなくて、学校で少しすることしかできなかった。これは妥協だ。3キロ走は、自分の中でも追い込んでやれていたと思う。でも、それが限界かと問われたら、あと1秒でも縮められる気は全然する。これも妥協。

 自分は妥協の「塊」だ。

「塊」をどうやって「魂」に変えていくのか。

 これはこれから160日の過ごし方で、どうとでも変えれると思う。(長谷川 大輝)

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 個人戦では、松沢・長谷川が準優勝。野﨑・大杉が2回戦敗退。水野・中濱が1回戦敗退。野﨑のノートにあるように、今のチーム北越は松沢・長谷川だけのチームです。この状況をチームがどのように考えるのか。長谷川の言う「魂」とはなんなのか。

 あと160日。苫小牧への道を拓くために。真に『本気』のチームになるために。

 いつも応援してくださる皆様。本当にありがとうございます。皆様の支えがあって私たちは活動できています。大会のたびにドリンクの差し入れを頂いたり、練習用具などの支援を頂くなど、感謝の気持ちでいっぱいです。コロナ禍において、選手たちのがんばりを観ていただくことができないことが非常に心苦しい。しかし、必ずや恩返しができるように、これからも邁進していきます。